Nicotinamide/ja: Difference between revisions
Created page with "ニコチンアミド" |
No edit summary |
||
(22 intermediate revisions by the same user not shown) | |||
Line 84: | Line 84: | ||
}} | }} | ||
<!-- Definition and medical uses --> | <!-- Definition and medical uses --> | ||
'''Niacinamide''' | ナイアシンアミド('''Niacinamide''')または'''ニコチンアミド'''('''nicotinamide''')は、食品に含まれる[[vitamin B3/ja|ビタミンB<sub>3</sub>]]の一種であり、[[dietary supplement/ja|栄養補助食品]]や医薬品として用いられる。サプリメントとしては、[[pellagra/ja|ペラグラ]](ナイアシン欠乏症)を予防・治療するために経口で使用される。この目的には[[nicotinic acid/ja|ニコチン酸]](ナイアシン)が使用されることもあるが、ナイアシンアミドは[[Flushing (physiology)/ja|皮膚潮紅]]を引き起こさないという利点がある。クリームとしては[[acne/ja|にきび]]の治療に使用され、臨床研究では[[hyperpigmentation/ja|色素沈着]]や赤みを抑えることで老化した肌の見た目を改善することが確認されている。[[Water-soluble vitamins/ja|水溶性ビタミン]]である。ナイアシンアミドはサプリメント名であり、ニコチンアミドは学名である。 | ||
<!-- Side effects and mechanism --> | <!-- Side effects and mechanism --> | ||
副作用はほとんどない。高用量では[[liver problems/ja|肝障害]]が起こることがある。通常量は[[pregnancy/ja|妊娠中]]の使用にも安全である。ナイアシンアミドは[[vitamin B/ja|ビタミンB]]系列の医薬品、特に[[vitamin B3 complex/ja|ビタミンB<sub>3</sub>複合体]]に属する。ニコチン酸の[[amide/ja|アミド]]である。ナイアシンアミドを含む食品には、[[yeast/ja|酵母]]、[[meat/ja|肉]]、牛乳、[[green vegetables/ja|緑黄色野菜]]などがある。 | |||
<!-- History and culture --> | <!-- History and culture --> | ||
ナイアシンアミドは1935年から1937年にかけて発見された。[[WHO Model List of Essential Medicines/ja|世界保健機関の必須医薬品リスト]]に掲載されている。ナイアシンアミドは[[generic medication/ja|ジェネリック医薬品]]および[[over the counter/ja|市販薬]]として入手可能である。商業的には、ナイアシンアミドは[[niacin (substance)/ja|ニコチン酸]](ナイアシン)または[[nicotinnonitrile/ja|ニコチノニトリル]]から作られる。一部の国では、[[food grains/ja|穀類]]にナイアシンアミドが添加されている。 | |||
== 医療用途 == | |||
{{Anchor|Medical uses}} | |||
=== ナイアシン欠乏症 === | |||
== | ナイアシンアミドは、ナイアシン欠乏によって引き起こされる[[pellagra/ja|ペラグラ]]の治療薬として好まれている。 | ||
=== にきび === | |||
ナイアシンアミド[[cream (pharmaceutical)/ja|クリーム]]は[[acne/ja|にきび]]の治療薬として用いられる。 | |||
ナイアシンアミドは、試験管内ではヒト[[keratinocyte/ja|ケラチノサイト]]における[[ceramide/ja|セラミド]]の生合成を増加させ、生体内では表皮透過性バリアを改善する。2%と4週間のナイアシンアミド局所塗布は、[[Sebaceous gland/ja|皮脂]]排泄率の低下に有効であることが判明している。ナイアシンアミドは、''[[Cutibacterium acnes/ja|アクネ菌]]''による[[TLR2/ja|トール様受容体2]]の活性化を防ぎ、その結果、炎症性[[Interleukin 8/ja|インターロイキン8]]産生を抑制することが示されている。 | |||
=== 皮膚がん === | |||
ナイアシンアミドは1日500~1000{{nbsp}}mgの用量で、[[melanoma/ja|メラノーマ]]以外の[[skin cancer/ja|皮膚がん]]のリスクが高い人のリスクを低下させる。 | |||
== 副作用 == | |||
{{Anchor|Side effects}} | |||
ナイアシンアミドは副作用が少ない。3g/日を超える超高用量では、急性[[liver toxicity/ja|肝毒性]]が少なくとも1例記録されている。通常量は[[pregnancy/ja|妊娠中]]にも安全である。 | |||
== 化学 == | |||
{{Anchor|Chemistry}} | |||
ニコチンアミドの構造は、[[pyridine/ja|ピリジン]]環に[[primary amide/ja|一級アミド]]基が[[arene substitution pattern/ja|''メタ'']]位に結合したものである。[[nicotinic acid/ja|ニコチン酸]]の[[amide/ja|アミド]]である。[[aromatic compound/ja|芳香族化合物]]であるため、[[electrophilic aromatic substitution/ja|求電子芳香族置換]]反応を起こし、2つの[[functional group/ja|官能基]]の変換を受ける。''[[Organic Syntheses/ja|有機合成]]''で報告されているこれらの反応の例には、[[N-oxide/ja|''N''-オキシド]]を経由する2段階プロセスによる[[2-クロロニコチノニトリル]]の調製が含まれる、 | |||
:[[File:Nicotinamide to 2-chloronicotinonitrile.png|500px]] | :[[File:Nicotinamide to 2-chloronicotinonitrile.png|500px]] | ||
[[nicotinonitrile/ja|ニコチノニトリル]]からは[[phosphorus pentoxide/ja|五酸化リン]]との反応によって、[[3-aminopyridine/ja|3-アミノピリジン]]からは[[bromine/ja|臭素]]と[[sodium hydroxide/ja|水酸化ナトリウム]]から''その場で''調製した[[sodium hypobromite/ja|次亜臭素酸ナトリウム]]の溶液との反応によって得られる。 | |||
[[File:Nicotinamide highlighted in NAD+.svg|thumb|right|NAD<sup>+</sup> は、[[nicotinamide adenine dinucleotide/ja|NADH]]の酸化型であり、ニコチンアミド[[moiety (chemistry)/ja|部位]](赤で強調表示)を含む。]] | |||
[[File:Nicotinamide highlighted in NAD+.svg|thumb|right|NAD<sup>+</sup> | |||
===工業生産=== | |||
[[nicotinonitrile/ja|ニコチノニトリル]]の加水分解は、''[[Rhodococcus rhodochrous/ja|ロドコッカス]]''J1由来の酵素[[nitrile hydratase/ja|ニトリルヒドラターゼ]]によって触媒される。動物飼料用に年間3500トンのニコチンアミドが生産される。この酵素により、アミドから[[nicotinic acid/ja|ニコチン酸]]へのさらなる加水分解が避けられるため、より選択的な合成が可能になる。ニコチン酸からニコチンアミドを作ることもできる。''[[:en:Ullmann's Encyclopedia of Industrial Chemistry|ウルマン工業化学百科事典]]''によると、2014年には世界で31,000トンのニコチンアミドが販売された。 | |||
=== 生化学 === | |||
=== | [[File:NAD+ Oxidation and Reduction.png|thumb|upright=1.3|NAD<sup>+</sup>分子上の活性ニコチンアミド基は、多くの代謝経路で酸化を受ける。]] | ||
[[File:NAD+ Oxidation and Reduction.png|thumb|upright=1.3| | ニコチンアミドは、補酵素[[nicotinamide adenine dinucleotide/ja|ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド]](NADH / NAD<sup>+</sup>)の一部として、生命維持に不可欠である。細胞内では、ニコチンアミドはNAD<sup>+</sup>と[[nicotinamide adenine dinucleotide phosphate/ja|ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸]](NADP<sup>+</sup>)に取り込まれる。NAD<sup>+</sup>とNADP<sup>+</sup>は、多種多様な酵素的[[redox/ja|酸化還元]]反応、特に[[glycolysis/ja|解糖]]、[[citric acid cycle/ja|クエン酸サイクル]]、[[electron transport chain/ja|電子伝達系]]の[[Cofactor (biochemistry)/ja|補因子]]である。ヒトがニコチンアミドを摂取した場合、おそらくそれをNADに変換する一連の反応を経て、NADP<sup>+</sup>を形成する変換を受けることができる。このNAD<sup>+</sup>の生成方法は、[[Salvage Pathway/ja|サルベージ経路]]と呼ばれている。しかし、人体はニコチンアミドを摂取しなくても、アミノ酸[[tryptophan/ja|トリプトファン]]とナイアシンからNAD<sup>+</sup>を作り出すことができる。 | ||
NAD<sup>+</sup>は、栄養素と細胞のエネルギー通貨である[[adenosine triphosphate/ja|アデノシン三リン酸]](ATP)との間のエネルギーの相互変換を仲介する電子キャリアとして働く。酸化還元反応において、補酵素の活性部分はニコチンアミドである。NAD<sup>+</sup>では、芳香族ニコチンアミド環の窒素がアデニンジヌクレオチドと共有結合している。窒素上の形式電荷は、芳香環の他の炭素原子の共有電子によって安定化されている。NAD<sup>+</sup>の上にヒドリド原子が付加されてNADHが形成されると、分子は芳香族性を失い、したがって安定性も失われる。この高エネルギー産物は、後にヒドリドの放出によってエネルギーを放出し、電子伝達鎖の場合は[[adenosine triphosphate/ja|アデノシン三リン酸]]の形成を助ける。 | |||
NAD<sup>+</sup> | |||
NADH1モルが酸化されると、158.2{{nbsp}}kJのエネルギーが放出される。 | |||
=== 生物学的役割 === | |||
ニコチンアミドは、[[vitamin B/ja|ビタミンB]]ファミリー内、特に[[vitamin B3 complex/ja|ビタミンB<sub>3</sub>複合体]]を含む、様々な生物学的システムの構成成分として存在する。また、[[nicotinamide adenine dinucleotide/ja|NADHとNAD<sup>+</sup>]]の構造の決定的に重要な部分でもあり、酸化型NAD<sup>+</sup>の''N''-置換芳香環はヒドリド攻撃による還元を受けてNADHを形成する。[[Nicotinamide adenine dinucleotide phosphate/ja|NADPH/NADP<sup>+</sup>]]構造は同じ環を持ち、同様の生化学反応に関与する。 | |||
ニコチンアミドは、十分なメチル供与体があれば、肝臓でメチル化されて生物学的に活性な[[1-Methylnicotinamide/ja|1-メチルニコチンアミド]]になる。 | |||
== 食品源 == | |||
{{Anchor|Food sources}} | |||
ナイアシンアミドは、主に肉類、魚類、ナッツ類、キノコ類に微量に含まれる。ナイアシンアミドは、一般的にシリアルなどに添加されている。多くのマルチビタミンには20~30{{nbsp}}mgのビタミンB<sub>3</sub>が含まれており、より高用量のものもある。 | |||
== 公定書収載状況 == | |||
{{Anchor|Compendial status}} | |||
* [[British Pharmacopoeia]] | * [[British Pharmacopoeia/ja]] | ||
* [[Japanese Pharmacopoeia]] | * [[Japanese Pharmacopoeia/ja]] | ||
== 研究 == | |||
{{Anchor|Research}} | |||
2015年の試験で、ナイアシンアミドは非黒色腫皮膚癌と光線性角化症の新規発生率を減少させることが明らかになった。 | |||
ナイアシンアミドは、[[bullous pemphigoid/ja|水疱性類天疱瘡]]非メラノーマ皮膚がんの治療など、さらに多くの疾患に対して研究されている。 | |||
ナイアシンアミドは乾癬の治療に有効かもしれない。 | |||
にきび、酒さ、自己免疫性水疱症、老化皮膚、アトピー性皮膚炎の治療にナイアシンアミドの役割が期待できるという暫定的な証拠がある。ナイアシンアミドはまた、放射線や化学療法によって誘発されたDNA鎖切断の再結合に関与する酵素であるポリ(ADP-リボース)[[polymerase/ja|ポリメラーゼ]]([[PARP1/ja|PARP-1]])を阻害する。ARCON(加速放射線療法+カルボゲン吸入+ニコチンアミド)は、がんにおいて研究されている。 | |||
研究では、ナイアシンアミドが[[HIV/ja|HIV]]の治療に一役買う可能性が示唆されている。 | |||
{{Vitamins/ja}} | |||
{{Vitamins}} | {{Estrogen receptor modulators/ja}} | ||
{{Estrogen receptor modulators}} | {{GABAAR PAMs/ja}} | ||
{{GABAAR PAMs}} | {{HDAC inhibitors/ja}} | ||
{{HDAC inhibitors}} | |||
{{Portal bar|Medicine}} | {{Portal bar|Medicine}} | ||
[[Category:Nicotinamides| ]] | [[Category:Nicotinamides| ]] | ||
[[Category:B vitamins]] | [[Category:B vitamins]] | ||
Line 219: | Line 171: | ||
[[Category:World Health Organization essential medicines]] | [[Category:World Health Organization essential medicines]] | ||
[[Category:Wikipedia medicine articles ready to translate]] | [[Category:Wikipedia medicine articles ready to translate]] | ||
Latest revision as of 15:03, 4 April 2024
![]() | |
![]() | |
Clinical data | |
---|---|
Pronunciation | /ˌnaɪəˈsɪnəmaɪd/, /ˌnɪkəˈtɪnəmaɪd/ |
Other names | NAM, 3-pyridinecarboxamide niacinamide nicotinic acid amide vitamin PP nicotinic amide vitamin B3 |
AHFS/Drugs.com | Consumer Drug Information |
License data |
|
Routes of administration | By mouth, topical |
ATC code | |
Legal status | |
Legal status |
|
Identifiers | |
| |
CAS Number | |
PubChem CID | |
DrugBank | |
ChemSpider | |
UNII | |
KEGG | |
ChEBI | |
ChEMBL | |
Chemical and physical data | |
Formula | C6H6N2O |
Molar mass | 122.127 g·mol−1 |
3D model (JSmol) | |
Density | 1.40 g/cm3 g/cm3 |
Melting point | 129.5 °C (265.1 °F) |
Boiling point | 334 °C (633 °F) |
| |
|
ナイアシンアミド(Niacinamide)またはニコチンアミド(nicotinamide)は、食品に含まれるビタミンB3の一種であり、栄養補助食品や医薬品として用いられる。サプリメントとしては、ペラグラ(ナイアシン欠乏症)を予防・治療するために経口で使用される。この目的にはニコチン酸(ナイアシン)が使用されることもあるが、ナイアシンアミドは皮膚潮紅を引き起こさないという利点がある。クリームとしてはにきびの治療に使用され、臨床研究では色素沈着や赤みを抑えることで老化した肌の見た目を改善することが確認されている。水溶性ビタミンである。ナイアシンアミドはサプリメント名であり、ニコチンアミドは学名である。
副作用はほとんどない。高用量では肝障害が起こることがある。通常量は妊娠中の使用にも安全である。ナイアシンアミドはビタミンB系列の医薬品、特にビタミンB3複合体に属する。ニコチン酸のアミドである。ナイアシンアミドを含む食品には、酵母、肉、牛乳、緑黄色野菜などがある。
ナイアシンアミドは1935年から1937年にかけて発見された。世界保健機関の必須医薬品リストに掲載されている。ナイアシンアミドはジェネリック医薬品および市販薬として入手可能である。商業的には、ナイアシンアミドはニコチン酸(ナイアシン)またはニコチノニトリルから作られる。一部の国では、穀類にナイアシンアミドが添加されている。
医療用途
ナイアシン欠乏症
ナイアシンアミドは、ナイアシン欠乏によって引き起こされるペラグラの治療薬として好まれている。
にきび
ナイアシンアミドは、試験管内ではヒトケラチノサイトにおけるセラミドの生合成を増加させ、生体内では表皮透過性バリアを改善する。2%と4週間のナイアシンアミド局所塗布は、皮脂排泄率の低下に有効であることが判明している。ナイアシンアミドは、アクネ菌によるトール様受容体2の活性化を防ぎ、その結果、炎症性インターロイキン8産生を抑制することが示されている。
皮膚がん
ナイアシンアミドは1日500~1000 mgの用量で、メラノーマ以外の皮膚がんのリスクが高い人のリスクを低下させる。
副作用
ナイアシンアミドは副作用が少ない。3g/日を超える超高用量では、急性肝毒性が少なくとも1例記録されている。通常量は妊娠中にも安全である。
化学
ニコチンアミドの構造は、ピリジン環に一級アミド基がメタ位に結合したものである。ニコチン酸のアミドである。芳香族化合物であるため、求電子芳香族置換反応を起こし、2つの官能基の変換を受ける。有機合成で報告されているこれらの反応の例には、N-オキシドを経由する2段階プロセスによる2-クロロニコチノニトリルの調製が含まれる、
ニコチノニトリルからは五酸化リンとの反応によって、3-アミノピリジンからは臭素と水酸化ナトリウムからその場で調製した次亜臭素酸ナトリウムの溶液との反応によって得られる。

工業生産
ニコチノニトリルの加水分解は、ロドコッカスJ1由来の酵素ニトリルヒドラターゼによって触媒される。動物飼料用に年間3500トンのニコチンアミドが生産される。この酵素により、アミドからニコチン酸へのさらなる加水分解が避けられるため、より選択的な合成が可能になる。ニコチン酸からニコチンアミドを作ることもできる。ウルマン工業化学百科事典によると、2014年には世界で31,000トンのニコチンアミドが販売された。
生化学

ニコチンアミドは、補酵素ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NADH / NAD+)の一部として、生命維持に不可欠である。細胞内では、ニコチンアミドはNAD+とニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸(NADP+)に取り込まれる。NAD+とNADP+は、多種多様な酵素的酸化還元反応、特に解糖、クエン酸サイクル、電子伝達系の補因子である。ヒトがニコチンアミドを摂取した場合、おそらくそれをNADに変換する一連の反応を経て、NADP+を形成する変換を受けることができる。このNAD+の生成方法は、サルベージ経路と呼ばれている。しかし、人体はニコチンアミドを摂取しなくても、アミノ酸トリプトファンとナイアシンからNAD+を作り出すことができる。
NAD+は、栄養素と細胞のエネルギー通貨であるアデノシン三リン酸(ATP)との間のエネルギーの相互変換を仲介する電子キャリアとして働く。酸化還元反応において、補酵素の活性部分はニコチンアミドである。NAD+では、芳香族ニコチンアミド環の窒素がアデニンジヌクレオチドと共有結合している。窒素上の形式電荷は、芳香環の他の炭素原子の共有電子によって安定化されている。NAD+の上にヒドリド原子が付加されてNADHが形成されると、分子は芳香族性を失い、したがって安定性も失われる。この高エネルギー産物は、後にヒドリドの放出によってエネルギーを放出し、電子伝達鎖の場合はアデノシン三リン酸の形成を助ける。
NADH1モルが酸化されると、158.2 kJのエネルギーが放出される。
生物学的役割
ニコチンアミドは、ビタミンBファミリー内、特にビタミンB3複合体を含む、様々な生物学的システムの構成成分として存在する。また、NADHとNAD+の構造の決定的に重要な部分でもあり、酸化型NAD+のN-置換芳香環はヒドリド攻撃による還元を受けてNADHを形成する。NADPH/NADP+構造は同じ環を持ち、同様の生化学反応に関与する。
ニコチンアミドは、十分なメチル供与体があれば、肝臓でメチル化されて生物学的に活性な1-メチルニコチンアミドになる。
食品源
ナイアシンアミドは、主に肉類、魚類、ナッツ類、キノコ類に微量に含まれる。ナイアシンアミドは、一般的にシリアルなどに添加されている。多くのマルチビタミンには20~30 mgのビタミンB3が含まれており、より高用量のものもある。
公定書収載状況
研究
2015年の試験で、ナイアシンアミドは非黒色腫皮膚癌と光線性角化症の新規発生率を減少させることが明らかになった。
ナイアシンアミドは、水疱性類天疱瘡非メラノーマ皮膚がんの治療など、さらに多くの疾患に対して研究されている。
ナイアシンアミドは乾癬の治療に有効かもしれない。
にきび、酒さ、自己免疫性水疱症、老化皮膚、アトピー性皮膚炎の治療にナイアシンアミドの役割が期待できるという暫定的な証拠がある。ナイアシンアミドはまた、放射線や化学療法によって誘発されたDNA鎖切断の再結合に関与する酵素であるポリ(ADP-リボース)ポリメラーゼ(PARP-1)を阻害する。ARCON(加速放射線療法+カルボゲン吸入+ニコチンアミド)は、がんにおいて研究されている。
研究では、ナイアシンアミドがHIVの治療に一役買う可能性が示唆されている。