GLP-1 receptor agonist/ja: Difference between revisions
GLP-1 receptor agonist/ja
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!一般名 | |||
!先発名 | |||
!class="unsortable"| 日本 | |||
!創薬/開発 | |||
!備考 | |||
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|[[Dulaglutide/ja]] | |||
|[https://www.lillymedical.jp/ja-jp/trulicity トルリシティ](Trulicity) ([https://www.lillymedical.jp/ja-jp/assets/vaultpdf/565d081131f6d2bb133124f9c7cf107ef88de13b8b849a371c319d39b60caff9/トルリシティ(デュラグルチド)電子化された添付文書%20%7C%20医療関係者向け%20–%20日本イーライリリー株式会社 PI]) ([https://www.lillymedical.jp/ja-jp/assets/vaultpdf/cbb6477fcf44dc48299a00752139241dd2233803167c2977c7307fc27d85baca/トルリシティ(デュラグルチド)インタビューフォーム%20%7C%20医療関係者向け%20–%20日本イーライリリー株式会社 IF]) | |||
|販売 | |||
|[[Eli Lilly and Company]] | |||
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'''グルカゴン様ペプチド-1(GLP-1)受容体作動薬'''は、'''GLP-1アナログ'''、'''GLP-1DA'''または'''インクレチン模倣薬'''としても知られており、[[glucagon-like peptide 1 receptor/ja|GLP-1受容体]]を活性化することによって血糖値と[[energy intake/ja|エネルギー摂取量]]を減少させる薬物の一種である。食後に腸から分泌される内因性の[[incretin/ja|インクレチン]]ホルモン[[GLP-1/ja|GLP-1]]の作用を模倣する。 | '''グルカゴン様ペプチド-1(GLP-1)受容体作動薬'''は、'''GLP-1アナログ'''、'''GLP-1DA'''または'''インクレチン模倣薬'''としても知られており、[[glucagon-like peptide 1 receptor/ja|GLP-1受容体]]を活性化することによって血糖値と[[energy intake/ja|エネルギー摂取量]]を減少させる薬物の一種である。食後に腸から分泌される内因性の[[incretin/ja|インクレチン]]ホルモン[[GLP-1/ja|GLP-1]]の作用を模倣する。 | ||
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ヒトを対象とした臨床試験およびメタアナリシスでは、本剤と[[pancreatitis/ja|膵炎]]または[[pancreatic cancer/ja|膵がん]]との関連は認められていない。しかしながら、市販後の報告で膵炎の症例報告がいくつか出ており、[[:en:American Association of Clinical Endocrinologists|米国臨床内分泌医会]]は膵炎の既往歴のある人には注意を勧めている。急性膵炎が発生した場合は中止が推奨される。[[thyroid C-cell tumors/ja|甲状腺C細胞腫瘍]]のリスクについてはFDAの黒枠警告が必要であり、[[medullary thyroid cancer/ja|甲状腺髄様がん]]または[[multiple endocrine neoplasia type 2a/ja|多発性内分泌腫瘍2a型]]または[[multiple endocrine neoplasia type 2b/ja|2b]]の家族歴または個人歴がある場合、薬剤は禁忌である。マウスにおいて、GLP-1アゴニストの長期使用は[[calcitonin/ja|カルシトニン]]の分泌を刺激し、[[Parafollicular cell/ja|C細胞]]の肥大と甲状腺がんのリスク上昇を引き起こす。しかしながら、ヒトではカルシトニンの分泌増加は観察されていない。 | ヒトを対象とした臨床試験およびメタアナリシスでは、本剤と[[pancreatitis/ja|膵炎]]または[[pancreatic cancer/ja|膵がん]]との関連は認められていない。しかしながら、市販後の報告で膵炎の症例報告がいくつか出ており、[[:en:American Association of Clinical Endocrinologists|米国臨床内分泌医会]]は膵炎の既往歴のある人には注意を勧めている。急性膵炎が発生した場合は中止が推奨される。[[thyroid C-cell tumors/ja|甲状腺C細胞腫瘍]]のリスクについてはFDAの黒枠警告が必要であり、[[medullary thyroid cancer/ja|甲状腺髄様がん]]または[[multiple endocrine neoplasia type 2a/ja|多発性内分泌腫瘍2a型]]または[[multiple endocrine neoplasia type 2b/ja|2b]]の家族歴または個人歴がある場合、薬剤は禁忌である。マウスにおいて、GLP-1アゴニストの長期使用は[[calcitonin/ja|カルシトニン]]の分泌を刺激し、[[Parafollicular cell/ja|C細胞]]の肥大と甲状腺がんのリスク上昇を引き起こす。しかしながら、ヒトではカルシトニンの分泌増加は観察されていない。 | ||
インスリンと同様に、GLP-1アゴニストも[[retinopathy/ja|網膜症]]を引き起こしたり悪化させたりすることがあるが、これは直接的な影響というよりも、グルコースの急激な低下によって間接的に引き起こされると考えられている。患者の中には[[anti-drug antibodies/ja|抗薬物抗体]]を発症する者がいるが、これは他のGLP-1作動薬よりも[[exenatide/ja|エキセナチド]]でよくみられ(抗薬物抗体は患者の3分の1以上で検出可能)、薬効を低下させる。GLP-1作動薬は、急速な体重減少を誘導するために使用すると[[gallstones/ja|胆石]]のリスクを増大させる。 | |||
症例報告によると、グルカゴン様ペプチド1(GLP-1)受容体作動薬を服用している患者は、胃排出の遅延により、麻酔中の誤嚥リスクが高まる可能性がある。2023年、米国麻酔科学会は、GLP-1作動薬を処置・手術の当日または1週間前に保持することを提案した。 | |||
==薬物送達== | |||
{{Anchor|Drug delivery}} | |||
ネイティブGLP-1はペプチドホルモンであり、酵素[[dipeptidyl peptidase-4/ja|ジペプチジルペプチダーゼ-4]]によって速やかに消去されるため、[[half-life/ja|半減期]]は2分である。その結果、さまざまなGLP-1作動薬が半減期を延長するためにさまざまな方法で改良され、その結果、1日に複数回、毎日、毎週、あるいはそれ以下の頻度で投与できる薬ができた。ほとんどの合成GLP-1作動薬は[[subcutaneous injection/ja|皮下注射]]で投与されるが、これが使用の障害となり、中止の理由となっている。自己注射は、2型糖尿病患者によくみられる視力障害や運動障害のある人には特に困難である。経口セマグルチドのように修飾されたペプチド、あるいは[[small molecule/ja|低分子]]薬剤のいずれかの経口生物学的利用可能なGLP-1作用薬を開発する試みは、さらなる薬剤候補を生み出してきた。他の企業は、吸入または[[transdermal/ja|経皮]]投与を試験している。 | |||
==コスト== | |||
{{Anchor|Cost}} | |||
GLP- | GLP-1作動薬は2型糖尿病の他の治療薬よりも高価である。台湾の2型糖尿病患者において、GLP-1作動薬と[[long-acting insulin/ja|長時間作用型インスリン]]の費用対効果を比較した研究がある。CVDを有する患者において、GLP-1作動薬は心血管事故が少ないため、費用を節約できると推定された。CVDのない患者では、1QALYあたりのコストは9,093ドルであった。米国では、コストはGLP-1作動薬使用の最も大きな障壁であり、使用を中止した米国患者の48.6%が中止の理由として報告している。別の研究によると、米国ではGLP-1作動薬は小児肥満に対して費用対効果がない。 | ||
==承認済み== | |||
{{Anchor|Approved}} | |||
*[[exenatide]] ( | *[[exenatide/ja|エクセナチド]](商品名バイエッタ(Byetta)、ビデュリオン(Bydureon)、[[AstraZeneca|アストラゼネカ]]社製)、2005年/2012年承認。 | ||
*[[liraglutide]] (Victoza | *[[liraglutide/ja|リラグルチド]](糖尿病治療薬ビクトーザ(Victoza)、肥満治療薬サクセンダ(Saxenda)、[[Novo Nordisk|ノボ・ノルディスク]]社製)、2010年承認 | ||
*[[albiglutide]] (Tanzeum | *[[albiglutide/ja|アルビグルチド]](タンゼウム(Tanzeum)、[[GlaxoSmithKline|GSK]]社製)、2014年承認 | ||
*[[dulaglutide]] (Trulicity | *[[dulaglutide/ja|デュラグルチド]](トリシティ(Trulicity)、[[Eli Lilly and Company|Eli Lilly]]社製)、2014年承認 | ||
*[[lixisenatide]] (Lyxumia | *[[lixisenatide/ja|リキシセナチド]](欧州ではリクスミア(Lyxumia)、米国ではアドリキシン(Adlyxin)、[[Sanofi|サノフィ]]社製)、2016年承認 | ||
*[[semaglutide]] (Ozempic | *[[semaglutide/ja|セマグルチド]](糖尿病治療薬オゼンピック(Ozempic)とライベルスス(Rybelsus)、肥満治療薬ウゴービ(Wegovy)、ノボノルディスク社製)、2017年承認 | ||
*[[tirzepatide]] | *[[tirzepatide/ja|チルゼパチド]](GLP-1と[[Gastric inhibitory polypeptide receptor/ja|GIP]]のデュアルアゴニスト、糖尿病治療薬マンジャロ(Mounjaro)、肥満症治療薬ゼップバウンド(Zepbound)、イーライリリー社製)、2022年承認 | ||
==複合および複数の標的薬== | |||
{{Anchor|Combination and multiple target drugs}} | |||
{{see also|GLP1 poly-agonist peptides}} | {{see also/ja|GLP1 poly-agonist peptides/ja}} | ||
[[tirzepatide/ja|ティルゼパチド]]のようないくつかのGLP-1アゴニストは、[[GIP receptor/ja|GIP受容体]]および/または[[glucagon receptor/ja|グルカゴン受容体]]のアゴニストでもある。これらの付加的な標的は、薬物によって引き起こされる体重減少の量を改善することが期待されている。グルカゴン作動薬との併用は,さらなるリスクと低い[[therapeutic index/ja|治療指数]]を犠牲にして,薬剤の減量効果をより高める可能性が高い。 | |||
GLP-1アゴニストは、2型糖尿病を治療するためのインスリンとの併用薬として利用可能であるが、これらの併用処方がインスリンとGLP-1アゴニストを別々に投与するよりも利点があるかどうかは不明である。実験的な処方である[[cagrilintide/semaglutide/ja|カグリリンド/セマグルテス]]は、さらなる体重減少のために[[dual amylin and calcitonin receptor agonist/ja|二重アミリン・カルシトニン受容体作動薬]]とsemaglutideを組み合わせたものである。 | |||
GLP- | |||
==適応外使用と娯楽的使用== | |||
{{Anchor|Off-label and recreational use}} | |||
GLP-1アゴニストは、医学的な用途のほかに、[[:ja:インフルエンサー|インフルエンサー]]や[[:ja:有名人|有名人]]によって広まった美容的な減量のために、多くの人々によって求められている。[[:en:Gray market|グレーマーケット]]の販売者は、GLP-1作動薬であると主張する無許可の製品をオンラインで提供している。このような行為は米国では違法であるが、保険適用を拒否されたり、有名ブランドの医薬品を買う余裕がなかったりするために、無許可の小売業者に手を出す購入者もいる。購入者は、無許可の販売者が販売する偽造品や規格外の医薬品によるリスクに直面している。 | |||
{{Oral hypoglycemics and insulin analogs/ja}} | |||
{{Oral hypoglycemics and insulin analogs}} | |||
[[Category:GLP-1 receptor agonists| ]] | [[Category:GLP-1 receptor agonists| ]] | ||