Hypertension/ja: Difference between revisions
Created page with "=== 測定技術 === 高血圧を正確に診断するためには、適切な血圧測定技術を用いることが不可欠である。不適切な血圧測定は一般的であり、血圧測定値を最大10mmHgも変えてしまうことがあり、高血圧の誤診や誤分類につながる。正しい血圧測定法にはいくつかのステップがある。適切な血圧測定には、血圧を測定する人が少なくと..." |
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{{About/ja|arterial hypertension/ja|other forms of hypertension/ja}} | {{About/ja|arterial hypertension/ja|other forms of hypertension/ja}} | ||
{{Infobox medical condition (new) | {{Infobox medical condition (new) | ||
| name = 高血圧 | | name = 高血圧 | ||
| image = Grade 1 hypertension.jpg | | image = Grade 1 hypertension.jpg | ||
| caption = 自動化された腕の[[sphygmomanometer/ja|血圧計]]で[[artery/ja|動脈]]高血圧([[systolic blood pressure/ja|収縮期血圧]]で示される。158 mmHg、[[diastolic blood pressure/ja|拡張期血圧]]は99 mmHg、[[heart rate/ja|心拍数]]は80拍/ | | caption = 自動化された腕の[[sphygmomanometer/ja|血圧計]]で[[artery/ja|動脈]]高血圧([[systolic blood pressure/ja|収縮期血圧]]で示される。158 mmHg、[[diastolic blood pressure/ja|拡張期血圧]]は99 mmHg、[[heart rate/ja|心拍数]]は80拍/分である) | ||
| field = [[Cardiology/ja]] | | field = [[Cardiology/ja]] | ||
| synonyms = Arterial hypertension, high blood pressure | | synonyms = Arterial hypertension, high blood pressure | ||
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{{Human body weight/ja}} | {{Human body weight/ja}} | ||
'''高血圧'''は、[[artery/ja|動脈]]の[[blood pressure/ja|血圧]]が持続的に上昇する[[Chronic condition/ja|長期的]]な[[Disease/ja|医学的状態]]である。高血圧は通常、症状を引き起こさない。しかし、[[stroke/ja|脳卒中]]、[[coronary artery disease/ja|冠動脈疾患]]、[[heart failure/ja|心不全]]、[[atrial fibrillation/ja|心房細動]]、[[peripheral arterial disease/ja|末梢動脈疾患]]、[[vision loss/ja|視力低下]]、[[chronic kidney disease/ja|慢性腎臓病]]、[[dementia/ja|認知症]]の主要な危険因子である。高血圧は世界中で早死にの主な原因となっている。 | '''高血圧'''は、[[artery/ja|動脈]]の[[blood pressure/ja|血圧]]が持続的に上昇する[[Chronic condition/ja|長期的]]な[[Disease/ja|医学的状態]]である。高血圧は通常、症状を引き起こさない。しかし、[[stroke/ja|脳卒中]]、[[coronary artery disease/ja|冠動脈疾患]]、[[heart failure/ja|心不全]]、[[atrial fibrillation/ja|心房細動]]、[[peripheral arterial disease/ja|末梢動脈疾患]]、[[vision loss/ja|視力低下]]、[[chronic kidney disease/ja|慢性腎臓病]]、[[dementia/ja|認知症]]の主要な危険因子である。高血圧は世界中で早死にの主な原因となっている。 | ||
高血圧は[[Essential hypertension/ja|一次性(本態性)高血圧]]と[[secondary hypertension/ja|二次性高血圧]]に分類される。症例の約90~95%は一次性で、非特異的な生活習慣や[[Genetics/ja|遺伝]]要因による高血圧と定義される。リスクを高める生活習慣要因としては、食事中の[[salt/ja|塩分]]過多、[[overweight/ja|過体重]]、[[smoking/ja|喫煙]]、運動不足、[[Alcohol (drug)/ja|アルコール]]使用が挙げられる。残りの5~10%の症例は[[secondary high blood pressure/ja|二次性高血圧]]に分類され、慢性腎臓病、[[renal artery stenosis/ja|腎動脈]]の狭窄、[[endocrine disorder/ja|内分泌疾患]]、[[endocrine disorder/ja|避妊薬]]の使用など、明確に特定できる原因による高血圧と定義される。 | 高血圧は[[Essential hypertension/ja|一次性(本態性)高血圧]]と[[secondary hypertension/ja|二次性高血圧]]に分類される。症例の約90~95%は一次性で、非特異的な生活習慣や[[Genetics/ja|遺伝]]要因による高血圧と定義される。リスクを高める生活習慣要因としては、食事中の[[salt/ja|塩分]]過多、[[overweight/ja|過体重]]、[[smoking/ja|喫煙]]、運動不足、[[Alcohol (drug)/ja|アルコール]]使用が挙げられる。残りの5~10%の症例は[[secondary high blood pressure/ja|二次性高血圧]]に分類され、慢性腎臓病、[[renal artery stenosis/ja|腎動脈]]の狭窄、[[endocrine disorder/ja|内分泌疾患]]、[[endocrine disorder/ja|避妊薬]]の使用など、明確に特定できる原因による高血圧と定義される。 | ||
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血圧は2つの測定値、[[Systole (medicine)/aj|収縮期]](高い測定値)と[[Diastole/ja#Diastolic pressure|拡張期]](低い測定値)によって分類される。ほとんどの成人にとって、安静時の正常血圧は収縮期100~130[[:en:Millimeter of mercury|ミリメートル水銀]](mmHg)および拡張期60~80mmHgの範囲内である。ほとんどの成人では、安静時血圧が130/80または140/90mmHg以上が持続する場合に高血圧となる。小児には異なる数値が適用される。24時間にわたる[[外来血圧測定]]は、診察室での[[blood pressure measurement/ja|血圧測定]]よりも正確であるように思われる。高血圧は[[diabetic/ja|糖尿病患者]]に約2倍多くみられる。 | 血圧は2つの測定値、[[Systole (medicine)/aj|収縮期]](高い測定値)と[[Diastole/ja#Diastolic pressure|拡張期]](低い測定値)によって分類される。ほとんどの成人にとって、安静時の正常血圧は収縮期100~130[[:en:Millimeter of mercury|ミリメートル水銀]](mmHg)および拡張期60~80mmHgの範囲内である。ほとんどの成人では、安静時血圧が130/80または140/90mmHg以上が持続する場合に高血圧となる。小児には異なる数値が適用される。24時間にわたる[[外来血圧測定]]は、診察室での[[blood pressure measurement/ja|血圧測定]]よりも正確であるように思われる。高血圧は[[diabetic/ja|糖尿病患者]]に約2倍多くみられる。 | ||
生活習慣の改善と薬物療法は血圧を下げ、健康合併症のリスクを低下させる。生活習慣の改善には、[[weight loss/ja|減量]]、[[exercise/ja|身体運動]]、[[Health effects of salt/ja|塩分摂取量]]の減少、アルコール摂取量の減少、[[healthy diet/ja|健康的な食事]]などがある。生活様式の変更が十分でない場合は、[[blood pressure medication/ja|血圧治療薬]]が使用される。最大3種類の薬を同時に服用することで、90%の人の血圧をコントロールすることができる。薬物による中等度の高動脈血圧(160/100mmHg以上と定義)の治療は、[[life expectancy/ | 生活習慣の改善と薬物療法は血圧を下げ、健康合併症のリスクを低下させる。生活習慣の改善には、[[weight loss/ja|減量]]、[[exercise/ja|身体運動]]、[[Health effects of salt/ja|塩分摂取量]]の減少、アルコール摂取量の減少、[[healthy diet/ja|健康的な食事]]などがある。生活様式の変更が十分でない場合は、[[blood pressure medication/ja|血圧治療薬]]が使用される。最大3種類の薬を同時に服用することで、90%の人の血圧をコントロールすることができる。薬物による中等度の高動脈血圧(160/100mmHg以上と定義)の治療は、[[life expectancy/ja|生命予後]]の改善と関連している。130/80 mmHgから160/100 mmHgの間の血圧に対する治療の効果はあまり明らかでなく、有益であるとするレビューもあれば、有益性は不明であるとするレビューもある。高血圧は、世界人口の16〜37%が罹患している。2010年には、高血圧が全死亡の17.8%(世界で940万人)の要因であったと考えられている。 | ||
[[File:En.Wikipedia-VideoWiki-Hypertension.webm|thumb|thumbtime=2:16|upright=1.3|ビデオサマリー([[Wikipedia:VideoWiki/Hypertension|スクリプト]])]] | [[File:En.Wikipedia-VideoWiki-Hypertension.webm|thumb|thumbtime=2:16|upright=1.3|ビデオサマリー([[Wikipedia:VideoWiki/Hypertension|スクリプト]])]] | ||
{{TOC limit}} | {{TOC limit}} | ||
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===二次性高血圧=== | ===二次性高血圧=== | ||
{{Main/ja|Secondary hypertension/ja}} | {{Main/ja|Secondary hypertension/ja}} | ||
二次性高血圧は、同定可能な原因による高血圧であり、特定の徴候および症状が追加されることがある。例えば、[[Cushing's syndrome/ja|クッシング症候群]]は、高血圧を引き起こすだけでなく、しばしば[[Abdominal obesity/ja|三頭筋肥満]]、[[glucose intolerance/ja|耐糖能異常]]、[[moon face/ja|ムーンフェイス]]、首や肩の後ろの脂肪のこぶ(バッファローコンプと呼ばれる)、および紫色の腹部の[[stretch marks/ja|妊娠線]]を引き起こす。[[Hyperthyroidism/ja|甲状腺機能亢進症]]は食欲亢進を伴う体重減少、[[tachycardia/ja|速い心拍数]]、[[exophthalmos/ja|眼球膨張]]、振戦を頻繁に引き起こす。[[Renal artery stenosis/ja|腎動脈狭窄症]] | 二次性高血圧は、同定可能な原因による高血圧であり、特定の徴候および症状が追加されることがある。例えば、[[Cushing's syndrome/ja|クッシング症候群]]は、高血圧を引き起こすだけでなく、しばしば[[Abdominal obesity/ja|三頭筋肥満]]、[[glucose intolerance/ja|耐糖能異常]]、[[moon face/ja|ムーンフェイス]]、首や肩の後ろの脂肪のこぶ(バッファローコンプと呼ばれる)、および紫色の腹部の[[stretch marks/ja|妊娠線]]を引き起こす。[[Hyperthyroidism/ja|甲状腺機能亢進症]]は食欲亢進を伴う体重減少、[[tachycardia/ja|速い心拍数]]、[[exophthalmos/ja|眼球膨張]]、振戦を頻繁に引き起こす。[[Renal artery stenosis/ja|腎動脈狭窄症]](RAS)は、正中線の左側または右側に限局した腹部拍動を伴う(片側性RAS)こともあれば、両方の部位に伴う(両側性RAS)こともある。[[Coarctation of the aorta/ja|大動脈瘤]]は、腕に対する下肢の血圧低下、または[[femoral artery/ja|大腿動脈脈拍]]の遅延または欠如を頻繁に引き起こす。[[Pheochromocytoma/ja|褐色細胞腫]]は、頭痛、[[palpitation/ja|動悸]]、[[Pallor/ja|青白い外観]]、および[[Diaphoresis/ja|過度の発汗]]を伴う高血圧の突然のエピソードを引き起こすことがある。 | ||
===高血圧危機=== | ===高血圧危機=== | ||
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血圧は、[[Western pattern diet/ja|西洋型食生活]]やライフスタイルと関連すると[[aging/ja|加齢]]とともに上昇し、晩年に高血圧になるリスクは大きい。いくつかの環境因子が血圧に影響する。食塩の大量摂取は食塩に敏感な人の血圧を上昇させる;運動不足や中心性肥満は個々の症例で役割を果たすことがある。カフェインの摂取や[[vitamin D deficiency/ja|ビタミンDの欠乏]]などの他の因子の役割の可能性はあまり明らかではない。[[metabolic syndrome/ja|シンドロームX]](または[[metabolic syndrome/ja|メタボリックシンドローム]])の構成要素である[[Insulin resistance/ja|インスリン抵抗性]]も高血圧の一因である。 | 血圧は、[[Western pattern diet/ja|西洋型食生活]]やライフスタイルと関連すると[[aging/ja|加齢]]とともに上昇し、晩年に高血圧になるリスクは大きい。いくつかの環境因子が血圧に影響する。食塩の大量摂取は食塩に敏感な人の血圧を上昇させる;運動不足や中心性肥満は個々の症例で役割を果たすことがある。カフェインの摂取や[[vitamin D deficiency/ja|ビタミンDの欠乏]]などの他の因子の役割の可能性はあまり明らかではない。[[metabolic syndrome/ja|シンドロームX]](または[[metabolic syndrome/ja|メタボリックシンドローム]])の構成要素である[[Insulin resistance/ja|インスリン抵抗性]]も高血圧の一因である。 | ||
[[low birth weight/ja|低出生体重児]],[[Smoking and pregnancy/ja|母親の喫煙]],[[breastfeeding/ja|母乳育児]]の欠如といった幼児期の出来事は,成人本態性高血圧の危険因子である可能性があるが,これらの曝露と成人高血圧を結びつける機序は依然として不明である。未治療の高血圧患者では、正常血圧の人に比べて[[hyperuricemia/ja|高血中尿酸]]の割合が高いことが判明しているが、前者が因果関係にあるのか、腎機能の低下に伴うものなのかは不明である。平均血圧は夏よりも冬の方が高いかもしれない。[[Periodontal disease/ | [[low birth weight/ja|低出生体重児]],[[Smoking and pregnancy/ja|母親の喫煙]],[[breastfeeding/ja|母乳育児]]の欠如といった幼児期の出来事は,成人本態性高血圧の危険因子である可能性があるが,これらの曝露と成人高血圧を結びつける機序は依然として不明である。未治療の高血圧患者では、正常血圧の人に比べて[[hyperuricemia/ja|高血中尿酸]]の割合が高いことが判明しているが、前者が因果関係にあるのか、腎機能の低下に伴うものなのかは不明である。平均血圧は夏よりも冬の方が高いかもしれない。[[Periodontal disease/ja|歯周病]]も高血圧と関連している。 | ||
===二次性高血圧=== | ===二次性高血圧=== | ||
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[[pulse pressure/ja|脈圧]](収縮期血圧と拡張期血圧の差)は、高血圧の高齢者ではしばしば上昇する。これは収縮期血圧が異常に高く、拡張期血圧が正常または低いことを意味し、[[isolated systolic hypertension/ja|孤立性収縮期高血圧]]と呼ばれる状態である。高血圧または孤立性収縮期高血圧の高齢者における高い脈圧は、一般的に加齢に伴い、高血圧によって悪化する可能性のある[[arterial stiffness/ja|動脈硬化]]の増加によって説明される。 | [[pulse pressure/ja|脈圧]](収縮期血圧と拡張期血圧の差)は、高血圧の高齢者ではしばしば上昇する。これは収縮期血圧が異常に高く、拡張期血圧が正常または低いことを意味し、[[isolated systolic hypertension/ja|孤立性収縮期高血圧]]と呼ばれる状態である。高血圧または孤立性収縮期高血圧の高齢者における高い脈圧は、一般的に加齢に伴い、高血圧によって悪化する可能性のある[[arterial stiffness/ja|動脈硬化]]の増加によって説明される。 | ||
高血圧における末梢抵抗の上昇を説明するために、多くのメカニズムが提唱されてきた。多くのエビデンスは、腎臓の塩分と水分の処理の障害(特に腎内[[renin–angiotensin system/ja|レニン-アンジオテンシン系]]の異常)か、[[sympathetic nervous system/ja|交感神経系]]の異常のいずれかが関与している。これらの機序は相互に排他的ではなく、本態性高血圧のほとんどの症例では両者がある程度寄与していると考えられる。また、[[endothelial dysfunction/ja|内皮機能障害]]や血管の[[inflammation/ja|炎症]]も高血圧における末梢抵抗の増加や血管障害に関与している可能性が示唆されている。[[Interleukin 17/ja|インターロイキン17]]は,[[tumor necrosis factor alpha/ja|腫瘍壊死因子α]],[[interleukin 1/ja|インターロイキン1]],[[interleukin 6/ja|インターロイキン6]],[[interleukin 8/ja|インターロイキン8]]など,高血圧に関与していると考えられている他のいくつかの[[cytokine/ja | 高血圧における末梢抵抗の上昇を説明するために、多くのメカニズムが提唱されてきた。多くのエビデンスは、腎臓の塩分と水分の処理の障害(特に腎内[[renin–angiotensin system/ja|レニン-アンジオテンシン系]]の異常)か、[[sympathetic nervous system/ja|交感神経系]]の異常のいずれかが関与している。これらの機序は相互に排他的ではなく、本態性高血圧のほとんどの症例では両者がある程度寄与していると考えられる。また、[[endothelial dysfunction/ja|内皮機能障害]]や血管の[[inflammation/ja|炎症]]も高血圧における末梢抵抗の増加や血管障害に関与している可能性が示唆されている。[[Interleukin 17/ja|インターロイキン17]]は,[[tumor necrosis factor alpha/ja|腫瘍壊死因子α]],[[interleukin 1/ja|インターロイキン1]],[[interleukin 6/ja|インターロイキン6]],[[interleukin 8/ja|インターロイキン8]]など,高血圧に関与していると考えられている他のいくつかの[[cytokine/ja|免疫系の化学シグナル]]の産生を増加させる役割を担っていることで注目を集めている。 | ||
食事中のナトリウム過剰または[[potassium/ja|カリウム]]不足は、細胞内のナトリウム過剰を招き、血管平滑筋を収縮させて血流を制限するため、血圧を上昇させる。 | 食事中のナトリウム過剰または[[potassium/ja|カリウム]]不足は、細胞内のナトリウム過剰を招き、血管平滑筋を収縮させて血流を制限するため、血圧を上昇させる。 | ||
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高血圧を正確に診断するためには、適切な[[blood pressure measurement/ja|血圧測定]]技術を用いることが不可欠である。不適切な血圧測定は一般的であり、血圧測定値を最大10mmHgも変えてしまうことがあり、高血圧の誤診や誤分類につながる。正しい血圧測定法にはいくつかのステップがある。適切な血圧測定には、血圧を測定する人が少なくとも5分間静かに座っていることが必要であり、その後、裸の上腕に適切に装着された血圧計を装着する。測定者は、背中を支え、足を床につけ、足を組まずに座る。血圧を測定する人は、この作業中は話したり動いたりしないようにする。測定する腕は、心臓の高さで平らな面に支える。血圧測定は静かな部屋で行い、正確な血圧測定のために[[stethoscope/ja|聴診器]]で[[brachial artery/ja|上腕動脈]]を聴きながら、血圧をチェックする医療従事者が[[Korotkoff sound/ja|コロトコフ音]]を聞き取れるようにする。コロトコフ音を聞きながら、血圧カフをゆっくり(1秒間に2~3mmHg)収縮させる。膀胱を空にすると血圧が最大15/10mmHg上昇する可能性があるため、血圧を測定する前に[[urinary bladder/ja|ぼうこう]]を空にする。正確さを確保するために、1~2分間隔で複数の血圧測定(少なくとも2回)を行う。12~24時間にわたる外来血圧モニタリングが、診断を確定する最も正確な方法である。この例外は、血圧値が非常に高い場合、特に[[organ (anatomy)/ja|器官]]機能が低下している場合である。 | 高血圧を正確に診断するためには、適切な[[blood pressure measurement/ja|血圧測定]]技術を用いることが不可欠である。不適切な血圧測定は一般的であり、血圧測定値を最大10mmHgも変えてしまうことがあり、高血圧の誤診や誤分類につながる。正しい血圧測定法にはいくつかのステップがある。適切な血圧測定には、血圧を測定する人が少なくとも5分間静かに座っていることが必要であり、その後、裸の上腕に適切に装着された血圧計を装着する。測定者は、背中を支え、足を床につけ、足を組まずに座る。血圧を測定する人は、この作業中は話したり動いたりしないようにする。測定する腕は、心臓の高さで平らな面に支える。血圧測定は静かな部屋で行い、正確な血圧測定のために[[stethoscope/ja|聴診器]]で[[brachial artery/ja|上腕動脈]]を聴きながら、血圧をチェックする医療従事者が[[Korotkoff sound/ja|コロトコフ音]]を聞き取れるようにする。コロトコフ音を聞きながら、血圧カフをゆっくり(1秒間に2~3mmHg)収縮させる。膀胱を空にすると血圧が最大15/10mmHg上昇する可能性があるため、血圧を測定する前に[[urinary bladder/ja|ぼうこう]]を空にする。正確さを確保するために、1~2分間隔で複数の血圧測定(少なくとも2回)を行う。12~24時間にわたる外来血圧モニタリングが、診断を確定する最も正確な方法である。この例外は、血圧値が非常に高い場合、特に[[organ (anatomy)/ja|器官]]機能が低下している場合である。 | ||
24時間[[ambulatory blood pressure/ja|外来血圧]]モニターや[[bloodpressure/ja#Home monitoring|家庭血圧]]測定器が利用できるようになり,[[white coat hypertension/ja|白衣高血圧]]患者を誤って診断しないことの重要性が,プロトコルの変更につながっている。英国では、現在のベストプラクティスは、1回だけ上昇したクリニックの測定値を外来測定でフォローアップすることであり、より理想的なのは7日間にわたる家庭血圧モニタリングである。また、[[:en:United States Preventive Services Task Force|米国予防サービス専門委員会]] は、医療環境以外での測定も推奨している。[[Pseudohypertension in the elderly/ja|高齢者の偽高血圧]]や非圧縮性動脈症候群も考慮が必要であろう。この病態は、動脈の[[calcification/ja|石灰化]]によるものと考えられており、その結果、動脈内の血圧測定値は正常であるにもかかわらず、血圧計による血圧測定値が異常に高くなる。[[Orthostatic hypertension/ja|起立性高血圧]]は、起立時に血圧が上昇するものである。 | |||
=== その他の調査 === | |||
{{anchor|Laboratory tests}} | {{anchor|Laboratory tests}} | ||
{| class="wikitable" style = "float: right; margin-left:15px; text-align:center" | {| class="wikitable" style = "float: right; margin-left:15px; text-align:center" | ||
|- | |- | ||
|+ | |+ 代表的な検査 | ||
! | ! 系 | ||
! | ! 検査 | ||
|- | |- | ||
| [[Urinary system| | | [[Urinary system/ja|腎臓]] | ||
| [[Urinalysis| | | [[Urinalysis/ja|顕微鏡による尿検査]], [[proteinuria/ja|尿蛋白]], [[blood urea nitrogen/ja|BUN]], [[creatinine/ja|クレアチニン]] | ||
|- | |- | ||
| [[Endocrine system| | | [[Endocrine system/ja|内分泌]] | ||
| | | 血清[[sodium/ja|ナトリウム]], [[potassium/ja]], [[calcium/ja]], [[Thyroid-stimulating hormone/ja|TSH]] | ||
|- | |- | ||
| [[Metabolic]] | | [[Metabolic/ja|代謝]] | ||
| [[Glucose test| | | [[Glucose test/ja|空腹時血糖値]], [[High-density lipoprotein/ja|HDL]], [[LDL/ja|LDL]], 総コレステロール, [[triglycerides/ja]] | ||
|- | |- | ||
| | | その他 | ||
| [[Hematocrit]], [[electrocardiogram]], [[chest radiograph]] | | [[Hematocrit/ja]], [[electrocardiogram/ja]], [[chest radiograph/ja]] | ||
|} | |} | ||
高血圧の診断が下されたら、医療提供者は、危険因子および他の症状があれば、それに基づいて根本的な原因の特定を試みるべきである。[[Secondary hypertension/ja|二次性高血圧]]は思春期前の小児に多く、ほとんどの症例は[[kidney disease/ja|腎臓病]]が原因である。一次性または[[essential hypertension/ja|本態性高血圧]]は、思春期および成人に多く、肥満や高血圧の家族歴など複数の危険因子がある。二次性高血圧の可能性のある原因を同定し、高血圧が[[human heart/ja|心臓]]、[[human eyes/ja|目]]、[[kidney/ja|腎臓]]に障害を引き起こしているかどうかを判定するために、臨床検査も実施できる。[[diabetes/ja|糖尿病]]および[[high cholesterol/ja|高コレステロール]]値の追加検査は通常行われるが、それはこれらの状態が[[heart disease/ja|心臓病]]発症のさらなる危険因子であり、治療が必要な場合があるからである。 | |||
高血圧患者の初期評価には、完全な[[medical history/ja|既往歴]]と[[physical examination/ja|身体診察]]を含めるべきである。血清[[creatinine/ja|クレアチニン]]を測定して腎疾患の有無を評価するが、これは高血圧の原因でも結果でもありうる。血清クレアチニンだけでは[[glomerular filtration rate/ja|糸球体濾過量]]を過大評価する可能性があり、2003年のJNC7ガイドラインでは糸球体濾過量(eGFR)を推定するために[[Modification of Diet in Renal Disease/ja|腎疾患における食生活の改善]](MDRD)式などの予測式の使用を提唱している。eGFRはまた、特定の[[Antihypertensive drug/ja|降圧剤]]の腎機能に対する副作用を監視するために使用できる腎機能のベースライン測定値を提供することができる。さらに、[[proteinuria/ja|蛋白]]の尿検体検査は、腎疾患の二次的指標として用いられる。[[Electrocardiogram/ja|心電図]](EKG/ECG)検査は、高血圧によって心臓に負担がかかっている証拠を確認するために行われる。心電図検査は、心筋の肥厚([[left ventricular hypertrophy/ja|左室肥大]])や、心臓が以前に静かな心臓発作のような軽度の障害を経験しているかどうかを示すこともある。[[chest X-ray/ja|胸部X線検査]]や[[echocardiogram/ja|心エコー図検査]]も、心臓肥大や心臓の損傷の徴候を調べるために行われることがある。 | |||
===成人における分類=== | |||
{| class="wikitable" | {| class="wikitable" | ||
|+ | |+ 血圧の分類 | ||
|- | |- | ||
! | ! カテゴリ | ||
! colspan=2 | [[Systolic blood pressure]], [[mmHg]] | ! colspan=2 | [[Systolic blood pressure/ja|収縮期血圧]], [[:en:mmHg|mmHg]] | ||
! rowspan=2 | And/or | ! rowspan=2 | And/or | ||
! colspan=2 | [[Diastolic blood pressure]], mmHg | ! colspan=2 | [[Diastolic blood pressure/ja|拡張期血圧]], mmHg | ||
|- | |- | ||
! | ! 方法 | ||
! | ! オフィス | ||
! | ! 24時間[[Ambulatory blood pressure/ja|外来]] | ||
! | ! オフィス | ||
! | ! 24時間外来 | ||
|- | |- | ||
| [[Hypotension]] | | [[Hypotension/ja]] | ||
| <110 | | <110 | ||
| <100 | | <100 | ||
Line 167: | Line 156: | ||
| <60 | | <60 | ||
|- | |- | ||
! colspan=6 | [[American College of Cardiology]]/[[American Heart Association]] (2017) | ! colspan=6 | [[:en:American College of Cardiology|米国心臓病学会]]/[[:en:American Heart Association|米国心臓協会]] (2017) | ||
|- | |- | ||
| | | 正常 | ||
| <120 | | <120 | ||
| <115 | | <115 | ||
Line 176: | Line 165: | ||
| <75 | | <75 | ||
|- | |- | ||
| | | 通常より高い | ||
| 120–129 | | 120–129 | ||
| 115–124 | | 115–124 | ||
Line 183: | Line 172: | ||
| <75 | | <75 | ||
|- | |- | ||
| | | 高血圧, ステージ1 | ||
| 130–139 | | 130–139 | ||
| 125–129 | | 125–129 | ||
Line 190: | Line 179: | ||
| 75–79 | | 75–79 | ||
|- | |- | ||
| | | 高血圧, ステージ2 | ||
| ≥140 | | ≥140 | ||
| ≥130 | | ≥130 | ||
Line 197: | Line 186: | ||
| ≥80 | | ≥80 | ||
|- | |- | ||
! colspan=6 | [[European Society of Hypertension]] (2023) | ! colspan=6 | [[:en:European Society of Hypertension|欧州高血圧学会]] (2023) | ||
|- | |- | ||
| | | 最適 | ||
| <120 | | <120 | ||
| {{N/A}} | | {{N/A}} | ||
Line 206: | Line 195: | ||
| {{N/A}} | | {{N/A}} | ||
|- | |- | ||
| | | 正常 | ||
| 120–129 | | 120–129 | ||
| {{N/A}} | | {{N/A}} | ||
Line 213: | Line 202: | ||
| {{N/A}} | | {{N/A}} | ||
|- | |- | ||
| | | 通常より高い | ||
| 130–139 | | 130–139 | ||
| {{N/A}} | | {{N/A}} | ||
Line 220: | Line 209: | ||
| {{N/A}} | | {{N/A}} | ||
|- | |- | ||
| | | 高血圧, グレード1 | ||
| 140–159 | | 140–159 | ||
| ≥130 | | ≥130 | ||
Line 227: | Line 216: | ||
| ≥80 | | ≥80 | ||
|- | |- | ||
| | | 高血圧, グレード2 | ||
| 160–179 | | 160–179 | ||
| {{N/A}} | | {{N/A}} | ||
Line 234: | Line 223: | ||
| {{N/A}} | | {{N/A}} | ||
|- | |- | ||
| | | 高血圧, グレード3 | ||
| ≥180 | | ≥180 | ||
| {{N/A}} | | {{N/A}} | ||
Line 241: | Line 230: | ||
| {{N/A}} | | {{N/A}} | ||
|} | |} | ||
[[File:hypertension_chart.svg|thumb| | [[File:hypertension_chart.svg|thumb|小児における欧州心臓病学会および欧州高血圧学会の分類と基準範囲を比較した拡張期血圧と収縮期血圧の比較表]] | ||
18歳以上では、高血圧は収縮期血圧または拡張期血圧のいずれかが常に正常値(ガイドラインによって収縮期血圧129または139 mmHg以上、拡張期血圧89 mmHg以上)より高いと定義される。測定値が24時間[[ambulatory blood pressure/ja|外来血圧]]または在宅モニタリングに由来する場合は、より低い閾値が使用される。 | |||
===子ども=== | |||
== | 高血圧は新生児の約0.2~3%にみられるが、健康な新生児では日常的に血圧を測定することはない。高血圧は高リスクの新生児に多くみられる。新生児の血圧が正常かどうかを判断する際には、[[Gestational age (obstetrics)/ja|妊娠年齢]]、妊娠後年齢、[[birth weight/ja|出生時体重]]などの様々な要因を考慮する必要がある。 | ||
高血圧とは、数回にわたる血圧の上昇と定義される。 数回にわたる血圧の上昇と定義される高血圧は、小児および青年の1%~5%が罹患しており、長期的な不健康リスクと関連している。小児期の血圧は年齢とともに上昇し、小児では、3回以上の平均収縮期血圧または拡張期血圧が、小児の性別、年齢、身長に適した95パーセンタイル以上である場合を高血圧と定義する。しかし、子どもを高血圧と定義する前に、何度も受診して高血圧であることを確認しなければならない。子どもの高血圧予備軍は、収縮期または拡張期の平均血圧が90パーセンタイル以上95パーセンタイル未満と定義されている。青少年では、高血圧と高血圧予備軍を成人と同じ基準で診断・分類することが提案されている。小児期の血圧は年齢とともに上昇し、小児では、3回以上の平均収縮期血圧または拡張期血圧が、 | |||
高血圧は小児救急や外来診療で頻繁に遭遇するが、紹介やさらなる処置の必要性を評価する最も簡単で信頼性の高い方法の1つが、2018年に発表されたElbaba M.によって開発されたスコアである。このスコアは10項目から構成され、各項目について1、2、3の評点が付けられている。著者は、中間の15点以下は真の高血圧とは関係なく、反応性、白衣性、または信頼性の低い測定であるとしている。そして、16点以上は真の高血圧に対する警告アラームであり、通常、モニタリング、検査、治療が必要である。 | |||
==予防== | |||
{{Anchor|Prevention}} | |||
高血圧による疾病負担の多くは、高血圧と診断されていない人々によって経験されている。そのため、高血圧の影響を軽減し、降圧薬の必要性を減らすための集団戦略が必要である。薬物療法を始める前に、血圧を下げるために生活習慣を変えることが推奨される。2004年の英国高血圧学会のガイドラインでは、高血圧の一次予防のために、2002年に米国のNational High BP Education Programによって概説されたものと一致する生活習慣の変更を提案している: | |||
* | * 成人の標準体重を維持する(例:[[肥満度指数]]20~25 kg/m<sup>2</sup>)。 | ||
* | * 食事からのナトリウム摂取量を100 mmol/日未満(塩化ナトリウム6g未満またはナトリウム2.4g未満/日)に減らす。 | ||
* | * 早歩きなどの有酸素運動を定期的に行う(1日30分以上、ほとんどの曜日)。 | ||
* | * アルコール摂取を男性で3単位/日以下、女性で2単位/日以下に制限する。 | ||
* | * 果物や野菜を多く摂る(例:1日5回以上); | ||
* | * ストレスを減らす | ||
ストレスを避けたり、ストレスの対処法を学ぶことは、血圧をコントロールするのに役立つ。 | |||
ストレス解消に役立つリラクゼーション・テクニックをいくつか挙げてみよう: | |||
* 瞑想 | |||
* | * 温浴 | ||
* | * ヨガ | ||
* | * 長い散歩をする | ||
* | |||
効果的な生活習慣の改善は、個々の降圧薬と同程度に血圧を下げる可能性がある。2つ以上の生活習慣の改善を組み合わせれば、さらによい結果が得られる。食塩摂取量の減少が血圧を低下させるという多くのエビデンスがあるが、それが死亡率や心血管疾患の減少につながるかどうかはまだ不明である。推定ナトリウム摂取量6g/日以上と3g/日未満はともに死亡または主要心血管系疾患の高リスクと関連しているが、高ナトリウム摂取量と有害な転帰との関連は高血圧患者においてのみ観察される。そのため、ランダム化比較試験の結果がない限り、食塩摂取量を3g/日以下に減らすことの賢明さが疑問視されている。ESCのガイドラインでは、[[periodontitis/ja|歯周炎]]が心血管の健康状態の悪化と関連していると言及している。 | |||
定期的な高血圧スクリーニングの価値については議論がある。2004年、全米高血圧教育プログラムは、3歳以上の小児に対し、医療機関を受診するたびに少なくとも1回は血圧測定を行うことを推奨し、[[:en:National Heart, Lung, and Blood Institute|国立心肺血液研究所]]と[[:en:American Academy of Pediatrics|米国小児科学会]]も同様の推奨を行っている。しかしながら、[[:en:American Academy of Family Physicians|米国家庭医学会]]は、[[:en:United States Preventive Services Task Force|米国予防サービス作業部会]]の見解を支持し、症状のない小児および青年における高血圧スクリーニングの有益性と有害性のバランスを決定するには、利用可能なエビデンスが不十分であるとしている。米国予防医療作業部会は、18歳以上の成人に対して、診察室血圧測定による高血圧スクリーニングを推奨している。 | |||
==管理== | |||
{{Anchor|Management}} | |||
{{Main|Management of hypertension}} | {{Main/ja|Management of hypertension/ja}} | ||
2003年に発表されたあるレビューによると、[[blood pressure/ja|血圧]]を5 mmHg下げると、脳卒中のリスクを34%、[[ischemic heart disease/ja|虚血性心疾患]]のリスクを21%減少させ、[[dementia/ja|認知症]]、[[heart failure/ja|心不全]]、[[cardiovascular disease/ja|心血管系疾患]]による[[death/ja|死亡]]の可能性を減少させることができる。 | |||
=== 目標血圧 === | |||
{{See also/ja|Comparison of international blood pressure guidelines/ja}} | |||
{{See also|Comparison of international blood pressure guidelines}} | |||
さまざまな専門家グループが、高血圧の治療を受ける際の血圧の目標値をどの程度低くすべきかというガイドラインを作成している。これらのグループは、一般集団に対して140~160/90~100mmHgの範囲以下の目標を推奨している。[[:en:Cochrane (organisation)|コクラン]]のレビューでは、糖尿病患者や心血管疾患の既往のある患者などのサブグループに対しても同様の目標値を推奨している。さらに、Cochraneのレビューでは、中等度から高度の心血管リスクを有する高齢者では、標準よりも低い血圧目標(140/90mmHg以下)を達成しようとする利益は、介入に関連するリスクによって上回るとされている。これらの知見は他の集団には当てはまらないかもしれない。 | |||
多くの専門家グループは、60~80歳以上では150/90mmHgというやや高めの目標値を推奨している。JNC-8と[[:en:American College of Physicians|米国医師会]]は60歳以上で150/90mmHgを推奨しているが、これらのグループの中にはこの推奨に反対する専門家もいる。また、糖尿病や慢性腎臓病で[[proteinuria/ja|尿中蛋白減少]]のある人では、やや低めの目標値を推奨している専門家グループもあるが、一般人口と同じ目標値を推奨している専門家グループもある。何が最良の目標値なのか、また高リスク者について目標値を変えるべきかどうかという問題は未解決であるが、いくつかのガイドラインで提唱されているよりも、より集中的な血圧降下を提案する専門家もいる。 | |||
心血管疾患の経験がなく、心血管疾患の10年リスクが10%未満の人に対しては、2017年の米国心臓協会のガイドラインでは、収縮期血圧が140mmHgを超えるか、拡張期血圧が90mmHgを超える場合に薬物療法を推奨している。心血管疾患経験者または心血管疾患の10年リスクが10%を超える人には、収縮期血圧が130mmHg以上または拡張期血圧が80mmHg以上の場合に薬物療法を推奨している。 | |||
===生活習慣の改善=== | |||
高血圧治療の第一選択は、食生活の改善、身体活動、減量を含む生活習慣の改善である。これらはすべて科学的勧告で推奨されているが、[[:en:Cochrane (organisation)|Cochrane]]の系統的レビューでは、減量ダイエットが高血圧患者の死亡、長期合併症、有害事象に影響を及ぼすというエビデンスは(データ不足のため)発見されなかった。このレビューでは、体重と血圧の減少が認められた。その潜在的な有効性は、単剤の薬物療法と同様であり、時にはそれを上回る。もし高血圧がすぐに薬物療法を行うのに十分なほど高い場合は、薬物療法とともに生活習慣を変えることが推奨される。 | |||
血圧を低下させることが示されている食事療法には、ナトリウムを減らした食事療法、包括的レビューで他の11の食事療法に対して最も優れていた[[DASH diet/ja|DASH食]](高血圧を止めるための食事療法)、および植物ベースの食事療法がある。[[green tea/ja|緑茶]]の摂取が血圧を低下させるという証拠もあるが、治療法として推奨するには不十分である。[[Hibiscus tea/ja|ハイビスカス茶]]の摂取が収縮期血圧(-4.71mmHg、95%CI [-7.87, -1.55])および拡張期血圧(-4.08mmHg、95%CI [-6.48, -1.67])を有意に低下させるというランダム化二重盲検プラセボ対照臨床試験の証拠がある。また、[[Beetroot/ja|ビーツジュース]]の摂取は、高血圧の人の血圧を有意に低下させる。 | |||
[[Potassium/ja#Nutrition|食事性カリウム]]を増やすことは、高血圧のリスクを下げる効果が期待できる。2015年食事ガイドライン諮問委員会(DGAC)は、カリウムは米国で摂取不足の栄養素の一つであると述べている。ただし、特定の降圧薬(ACE阻害薬やARBなど)を服用している人は、カリウムが高濃度になるリスクがあるため、カリウムサプリメントやカリウム濃縮塩を摂取すべきではない。 | |||
血圧を低下させることが示されている身体運動療法には、[[isometric exercise/ja|等尺性抵抗運動]]、[[aerobic exercise/ja|有酸素運動]]、[[resistance exercise/ja|レジスタンス運動]]、機器誘導呼吸などがある。 | |||
[[biofeedback/ja|バイオフィードバック]]や[[transcendental meditation/ja|超越的瞑想]]などのストレス軽減技術は、高血圧を軽減するための他の治療法に追加するものとして考慮されうるが、単独で心血管疾患を予防するための証拠はない。セルフモニタリングと予約リマインダーは、血圧コントロールを改善するための他の戦略の使用をサポートするかもしれないが、さらなる評価が必要である。 | |||
===薬物療法=== | |||
高血圧の治療には、[[antihypertensive drug/ja|降圧剤]]と総称されるいくつかのクラスの薬が利用できる。 | |||
高血圧に対する第一選択薬としては、[[Thiazide/ja|サイアザイド系利尿薬]]、[[calcium channel blockers/ja|カルシウム拮抗薬]]、[[angiotensin converting enzyme inhibitor/ja|アンジオテンシン変換酵素阻害薬]](ACE阻害薬)、および[[Angiotensin II receptor blocker/ja|アンジオテンシン受容体拮抗薬]](ARB)がある。これらの薬物は単独または併用で使用できる(ACE阻害薬とARBの併用は推奨されない);後者の選択肢は、血圧値を治療前のレベルに戻すように作用する逆調節機序を最小限に抑える役割を果たす可能性があるが、第一選択の併用療法に関する証拠は十分に強くない。ほとんどの人は高血圧をコントロールするために複数の薬を必要とする。血圧コントロールのための薬物療法は、目標値に達しない場合、段階的ケアアプローチによって実施されるべきである。死亡率、[[myocardial infarction/ja|心筋梗塞]]、[[stroke/ja|脳卒中]]に影響を及ぼすという強いエビデンスはないため、高齢者ではこのような薬物の中止を医療専門家が検討することができる。 | |||
以前は、[[atenolol/ja|アテノロール]]などの[[beta-blockers/ja|β遮断薬]]も、高血圧の第一選択薬として用いれば同様の有益な効果があると考えられていた。しかし、13の臨床試験を含むコクラン・レビューによると、β遮断薬の心血管疾患予防効果は他の降圧薬よりも劣っている。 | |||
高血圧の子供に降圧剤を処方することには、限られたエビデンスしかない。プラセボと比較したエビデンスは限られており、短期的には血圧に対して緩やかな効果を示している。より高用量を投与しても、血圧の低下が大きくなることはなかった。 | |||
===抵抗性高血圧=== | |||
抵抗性高血圧とは、[[mechanism of action/ja|作用機序]]の異なる3種類以上の降圧薬を同時に処方されているにもかかわらず、目標値を超えたままの高血圧と定義される。[[Adherence (medicine)/ja|処方された薬を指示通りに服用しないこと]]は、抵抗性高血圧の重要な原因である。抵抗性高血圧はまた、[[autonomic nervous system/ja|自律神経系]]の慢性的に高い活動によって生じることもあり、この影響は''神経原性高血圧''として知られている。[[baroreflex/ja|圧反射]]を刺激する電気療法は、このような状況にある人の血圧を下げる選択肢として研究されている。 | |||
抵抗性高血圧の一般的な二次的原因には、[[obstructive sleep apnea/ja|閉塞性睡眠時無呼吸症候群]]、[[pheochromocytoma/ja|褐色細胞腫]]、[[renal artery stenosis/ja|腎動脈狭窄症]]、[[coarctation of the aorta/ja|大動脈瘤]]、[[primary aldosteronism/ja|原発性アルドステロン症]]などがある。抵抗性高血圧の5人に1人は原発性アルドステロン症であり、治療可能で、治癒することもある。 | |||
=== 難治性高血圧 === | |||
{{Main/ja|Refractory hypertension/ja}} | |||
{{Main|Refractory hypertension}} | |||
難治性高血圧は、長時間作用型の[[thiazide-like diuretic/ja|サイアザイド様利尿薬]]、[[calcium channel blocker/ja|カルシウム拮抗薬]]、[[renin-angiotensin system/ja|レニン-アンジオテンシン系]]の遮断薬など、異なるクラスの5種類以上の降圧薬によってもコントロールできない[[blood pressure/ja|血圧]]上昇を特徴とする。難治性高血圧の患者は一般的に交感神経系の活動が亢進しており、より重篤な心血管疾患および全死因死亡のリスクが高い。 | |||
===非調節性=== | |||
== | 非調節性本態性高血圧は、[[sodium/ja|ナトリウム]]摂取が[[Adrenal gland/ja|副腎]]または[[Kidney/ja|腎臓]]のいずれをも調節しない[[salt/ja|食塩]]感受性高血圧の一形態である。[[Vascular system/ja|血管]]の[[angiotensin II/ja|アンジオテンシンII]]に対する反応を調節しない。このサブセットを持つ患者は非モジュレーターと呼ばれている。高血圧人口の25~30%を占める。 | ||
==疫学== | |||
{{Anchor|Epidemiology}} | |||
[[File:Hypertension World Map Men 2014.png|thumb|upright=1.5| | [[File:Hypertension World Map Men 2014.png|thumb|upright=1.5|2014年の成人男性における高血圧の割合]] | ||
[[File:Hypertensive heart disease world map - DALY - WHO2004.svg|thumb|upright=1.5|[[Disability-adjusted life year]] | [[File:Hypertensive heart disease world map - DALY - WHO2004.svg|thumb|upright=1.5|2004年の人口10万人当たりの[[hypertensive heart disease/ja|高血圧性心疾患]]による[[Disability-adjusted life year/ja|障害調整生存年]]である: | ||
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{{legend|#cb0000|>1600}} | {{legend|#cb0000|>1600}} | ||
{{col-end}}]] | {{col-end}}]] | ||
===成人=== | |||
== | 2019年現在、世界の30~79歳の成人([[:en:world population|世界人口]]の16%以上)のうち、少なくとも10億2,800万人(うち女性6億2,600万人、男性6億5,200万人)が高血圧であると推定されている。これは、2014年から約2億7,800万人増加し、1990年に比べてほぼ倍増している。 | ||
高血圧は男性に''わずかに''多く、[[socioeconomic status/ja|社会経済的地位]]の低い人に多く、年齢とともに多くなる。高、中、低所得国に多い。2004年では、高血圧の割合はアフリカで最も高く(男女とも30%)、アメリカ大陸で最も低かった(男女とも18%)。また、ペルーの22.8%(男性)、18.4%(女性)と低く、パラグアイの61.6%(男性)、50.9%(女性)と高い。アフリカの2016年の割合は約45%であった。 | |||
ヨーロッパでは、高血圧は約30〜45%の人にみられる(2013年時点) 。1995年には、米国では4300万人(人口の24%)が高血圧であるか、降圧薬を服用していると推定された。2004年には29%に増加し、さらに2017年には32%(米国の成人7,600万人)に増加した。高血圧の定義が変更された2017年には、米国では46%の人が罹患している。米国のアフリカ系アメリカ人の成人の高血圧罹患率は44%と世界で最も高い。また、[[:en:Filipino Americans|フィリピン系アメリカ人]]に多く、米国の[[:en:European Americans|白人]]や[[:en:Mexican American|メキシコ系アメリカ人]]には少ない。高血圧率の差は多因子性であり、現在研究中である。 | |||
===子供=== | |||
=== | 小児および青年期の高血圧の割合は、米国では過去20年間に増加している。小児期の高血圧、特に思春期前の高血圧は、成人よりも基礎疾患による二次的なものであることが多い。腎臓病は、小児および青年における高血圧の二次的原因として最も一般的である。とはいえ、一次性または本態性高血圧がほとんどの症例を占めている。 | ||
==予後== | |||
{{Anchor|Prognosis}} | |||
{{Main|Complications of hypertension}} | {{Main/ja|Complications of hypertension/ja}} | ||
[[File:Main complications of persistent high blood pressure.svg|thumb|upright=1.4| | [[File:Main complications of persistent high blood pressure.svg|thumb|upright=1.4|持続性高血圧の主な合併症を示す図]] | ||
高血圧は世界中で最も重要な[[List of preventable causes of death/ja|早死にの予防可能な危険因子のリスト]]である。[[ischemic heart disease/ja|虚血性心疾患]]、[[strokes/ja|脳卒中]]、[[peripheral vascular disease/ja|末梢血管疾患]]、その他の心血管疾患([[heart failure/ja|心不全]]、[[aortic aneurysm/ja|大動脈瘤]]、びまん性[[atherosclerosis/ja|動脈硬化症]]、[[chronic kidney disease/ja|慢性腎臓病]]、[[atrial fibrillation/ja|心房細動]]、[[cancer/ja|がん]]、[[leukemia/ja|白血病]]、[[pulmonary embolism/ja|肺塞栓症]]など)のリスクを高める。高血圧は[[cognitive impairment/ja|認知障害]]や[[dementia/ja|認知症]]の危険因子でもある。その他の合併症としては、[[hypertensive retinopathy/ja|高血圧網膜症]]や[[hypertensive nephropathy/ja|高血圧腎症]]がある。 | |||
==歴史== | |||
{{Anchor|History}} | |||
{{Main|History of hypertension}} | {{Main/ja|History of hypertension/ja}} | ||
[[File:William Harvey ( 1578-1657) Venenbild.jpg| | [[File:William Harvey ( 1578-1657) Venenbild.jpg|ハーヴェイの''Exercitatio Anatomica de Motu Cordis et Sanguinis in Animalibus''から静脈の画像を引用する。|left|thumb]] | ||
===測定=== | |||
循環器系に関する近代的な理解は,医師[[:en:William Harvey|ウィリアム・ハーヴェイ]](1578-1657)の著作"''De motu cordis''"の中で血液の循環について述べたことから始まった。イギリスの聖職者[[:en:Stephen Hales|スティーブン・ヘイルズ]]は1733年に初めて血圧の測定を発表した。しかし、1896年に[[:en:Scipione Riva-Rocci|Scipione Riva-Rocci]]によってカフを使用する[[sphygmomanometer/ja|血圧計]]が発明されたことで、臨床的な実体としての高血圧が確立された。これにより、収縮期血圧を臨床で簡単に測定できるようになった。1905年、[[:en:Nikolai Korotkoff|ニコライ・コロトコフ]]が血圧計のカフを収縮させた状態で聴診器で動脈を聴診したときに聞こえる[[Korotkoff sounds/ja|コロトコフ音]]を発表し、技術を向上させた。これにより収縮期圧と拡張期圧を測定できるようになった。 | |||
===同定=== | |||
=== | 中世ペルシアの医学書の「満腹病」の章に、高血圧性クリーゼ患者の症状と類似した症状が論じられている。その症状とは、頭痛、頭重感、動作緩慢、全身の発赤と温感、血管の膨張と緊張、脈拍の充満、皮膚の膨張、色尿、食欲不振、視力低下、思考障害、あくび、眠気、血管破裂、出血性脳卒中などである。充血症は血管内の血液が過剰になるためと推定された。 | ||
病気としての高血圧の記述は,とりわけ1808年の[[:en:Thomas Young (scientist)|トーマス・ヤング]]と,特に1836年の[[:en:Richard Bright (physician)/ja|リチャード・ブライト]]によってなされた。腎臓病の徴候のない人の血圧上昇の最初の報告は、[[:en:Frederick Akbar Mahomed|フレデリック・アクバル・マホメド]](1849-1884)によってなされた。 | |||
1990年代までは、収縮期血圧160mmHg以上を収縮期高血圧と定義していた。1993年、WHO/ISHガイドラインは140mmHgを高血圧の閾値と定義した。 | |||
===治療=== | |||
== | 歴史的に「硬脈病」と呼ばれていたものに対する治療は、[[bloodletting/ja|瀉血]]や[[leech/ja|ヒル]]の塗布によって血液の量を減らすことであった。これは中国の[[:en:Yellow Emperor|黄帝]]、[[:en:Aulus Cornelius Celsus|コルネリウス・ケルスス]]、[[:en:Galen|ガレノス]]、[[:en:Hippocrates|ヒポクラテス]]によって提唱された。硬脈疾患の治療アプローチには、生活習慣の変更(怒りや[[sexual intercourse/ja|性交]]を控える)と患者のための食事プログラム([[wine/ja|ワイン]]、肉、菓子の摂取を避け、食事の量を減らし、低エネルギー食を維持し、[[spinach/ja|ほうれん草]]と[[vinegar/ja|酢]]を食用とする)が含まれていた。 | ||
高血圧に対する効果的な薬物療法が可能になる以前の19世紀と20世紀には,3つの治療法が用いられたが,いずれも副作用が多かった。厳格なナトリウム制限(たとえば[[rice diet/ja|米食]]),[[sympathectomy/ja|交感神経切除術]]([[sympathetic nervous system/ja|交感神経系]]の一部を外科的に切除する),パイロジェン療法(発熱を引き起こす物質を注射して間接的に血圧を下げる)である。 | |||
高血圧のための最初の化学薬品である[[sodium thiocyanate/ja|チオシアン酸ナトリウム]]は1900年に使用されたが、副作用が多く不評であった。[[:en:World War II|第二次世界大戦]]後にいくつかの他の薬剤が開発されたが、その中で最も人気があり、それなりに効果があったのは[[tetramethylammonium chloride/ja|塩化テトラメチルアンモニウム]]、[[hexamethonium/ja|ヘキサメトニウム]]、[[hydralazine/ja|ヒドララジン]]、[[reserpine/ja|レセルピン]](薬用植物''[[Rauvolfia serpentina/ja|ラウヴォルフィア・セルペンティナ]]''由来)であった。これらはいずれも忍容性に乏しかった。忍容性の高い経口薬が初めて発見され、大きなブレークスルーがもたらされた。最初のものは[[chlorothiazide/ja|クロロチアジド]]であり、最初の[[thiazide/ja|サイアザイド]]であった。[[diuretic/ja|利尿薬]]であり、抗生物質[[sulfanilamide/ja|スルファニルアミド]]から開発され、1958年に利用可能となった。その後、降圧薬として[[beta blocker/ja|βブロッカー]]、[[calcium channel blockers/ja|カルシウム拮抗薬]]、[[angiotensin converting enzyme/ja|アンジオテンシン変換酵素]](ACE)阻害薬、[[angiotensin receptor blockers/ja|アンジオテンシン受容体拮抗薬]]、[[renin inhibitors/ja|レニン阻害薬]]が開発された。 | |||
==社会と文化== | ==社会と文化== | ||
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Latest revision as of 11:18, 4 March 2024
高血圧 | |
---|---|
Other names | Arterial hypertension, high blood pressure |
![]() | |
自動化された腕の血圧計で動脈高血圧(収縮期血圧で示される。158 mmHg、拡張期血圧は99 mmHg、心拍数は80拍/分である) | |
Specialty | 循環器学 |
Symptoms | None |
Complications | Coronary artery disease/ja, stroke/ja, heart failure/ja, peripheral arterial disease/ja, vision loss/ja, chronic kidney disease/ja, dementia/ja |
Causes | 通常はライフスタイルと遺伝的要因である。 |
Risk factors | 睡眠不足, 過剰な塩分, 過剰な体重, 喫煙, アルコール, 大気汚染 |
Diagnostic method | 安静時の血圧 130/80 あるいは 140/90 mmHg |
Treatment | 生活習慣の改善、薬物療法 |
Frequency | 16–37% globally |
Deaths | 9.4 million / 18% (2010) |
aシリーズの一部である。 |
体重 |
---|
高血圧は、動脈の血圧が持続的に上昇する長期的な医学的状態である。高血圧は通常、症状を引き起こさない。しかし、脳卒中、冠動脈疾患、心不全、心房細動、末梢動脈疾患、視力低下、慢性腎臓病、認知症の主要な危険因子である。高血圧は世界中で早死にの主な原因となっている。
高血圧は一次性(本態性)高血圧と二次性高血圧に分類される。症例の約90~95%は一次性で、非特異的な生活習慣や遺伝要因による高血圧と定義される。リスクを高める生活習慣要因としては、食事中の塩分過多、過体重、喫煙、運動不足、アルコール使用が挙げられる。残りの5~10%の症例は二次性高血圧に分類され、慢性腎臓病、腎動脈の狭窄、内分泌疾患、避妊薬の使用など、明確に特定できる原因による高血圧と定義される。
血圧は2つの測定値、収縮期(高い測定値)と拡張期(低い測定値)によって分類される。ほとんどの成人にとって、安静時の正常血圧は収縮期100~130ミリメートル水銀(mmHg)および拡張期60~80mmHgの範囲内である。ほとんどの成人では、安静時血圧が130/80または140/90mmHg以上が持続する場合に高血圧となる。小児には異なる数値が適用される。24時間にわたる外来血圧測定は、診察室での血圧測定よりも正確であるように思われる。高血圧は糖尿病患者に約2倍多くみられる。
生活習慣の改善と薬物療法は血圧を下げ、健康合併症のリスクを低下させる。生活習慣の改善には、減量、身体運動、塩分摂取量の減少、アルコール摂取量の減少、健康的な食事などがある。生活様式の変更が十分でない場合は、血圧治療薬が使用される。最大3種類の薬を同時に服用することで、90%の人の血圧をコントロールすることができる。薬物による中等度の高動脈血圧(160/100mmHg以上と定義)の治療は、生命予後の改善と関連している。130/80 mmHgから160/100 mmHgの間の血圧に対する治療の効果はあまり明らかでなく、有益であるとするレビューもあれば、有益性は不明であるとするレビューもある。高血圧は、世界人口の16〜37%が罹患している。2010年には、高血圧が全死亡の17.8%(世界で940万人)の要因であったと考えられている。

徴候と症状
高血圧が症状を伴うことはまれであり、その同定は通常、健康スクリーニングを通して、あるいは無関係な問題のために医療を求めるときに行われる。高血圧の人の中には、頭痛(特に後頭部と午前中)のほか、ふらつき、めまい、耳鳴り(ブーンまたはヒューヒューという耳鳴り)、変視症または失神エピソードを訴える人もいる。しかし、これらの症状は、高血圧そのものではなく、関連する不安に関連している可能性がある。
身体検査では、高血圧は検眼鏡検査でみられる眼底の変化の存在と関連していることがある。高血圧性網膜症に典型的な変化の重症度はI~IVに分類され、I度およびII度の鑑別は困難である。網膜症の重症度は、高血圧の罹病期間または重症度とほぼ相関する。
二次性高血圧
二次性高血圧は、同定可能な原因による高血圧であり、特定の徴候および症状が追加されることがある。例えば、クッシング症候群は、高血圧を引き起こすだけでなく、しばしば三頭筋肥満、耐糖能異常、ムーンフェイス、首や肩の後ろの脂肪のこぶ(バッファローコンプと呼ばれる)、および紫色の腹部の妊娠線を引き起こす。甲状腺機能亢進症は食欲亢進を伴う体重減少、速い心拍数、眼球膨張、振戦を頻繁に引き起こす。腎動脈狭窄症(RAS)は、正中線の左側または右側に限局した腹部拍動を伴う(片側性RAS)こともあれば、両方の部位に伴う(両側性RAS)こともある。大動脈瘤は、腕に対する下肢の血圧低下、または大腿動脈脈拍の遅延または欠如を頻繁に引き起こす。褐色細胞腫は、頭痛、動悸、青白い外観、および過度の発汗を伴う高血圧の突然のエピソードを引き起こすことがある。
高血圧危機
重度の血圧上昇(収縮期180または拡張期120以上)を高血圧クリーゼと呼ぶ。高血圧クリーゼは、末端臓器障害の有無によって、それぞれ高血圧緊急症と高血圧緊急症に分類される。
高血圧性緊急症では、血圧上昇に起因する末端臓器障害の証拠はない。このような場合は、24~48時間かけて徐々に血圧を下げる経口薬が使用される。
高血圧性救急疾患では、1つ以上の臓器に直接的な障害が認められる。最も影響を受ける臓器には、脳、腎臓、心臓、肺があり、錯乱、眠気、胸痛、息苦しさなどの症状が現れる。高血圧緊急症では、進行中の臓器損傷を食い止めるために血圧をより急速に下げなければならないが、このアプローチに関するランダム化比較試験のエビデンスは不足している。
妊娠
高血圧は妊娠の約8~10%にみられる。6時間間隔で2回の血圧測定で140/90 mmHgを超えると、妊娠高血圧症候群と診断される。妊娠中の高血圧は、既存の高血圧、妊娠高血圧症候群、または子癇前症に分類することができる。妊娠前から慢性的な高血圧がある女性は、早産、低出生体重児、死産などの合併症のリスクが高くなる。高血圧で妊娠中に合併症があった女性は、血圧が正常で妊娠中に合併症がなかった女性と比較して、心血管疾患を発症するリスクが3倍になる。
子癇前症は、血圧上昇と尿中蛋白の存在を特徴とする、妊娠後期と分娩後の重篤な状態である。妊娠の約5%に発症し、全世界の妊産婦死亡の約16%の原因となっている。子癇前症はまた、出産前後の赤ちゃんの死亡のリスクを2倍にする。通常、子癇前症には症状がなく、定期的なスクリーニングによって発見される。子癇前症の症状が現れる場合、最も一般的なものは頭痛、視覚障害(しばしば「閃光」)、嘔吐、胃の上の痛み、むくみである。子癇前症は時に子癇と呼ばれる生命を脅かす状態に進行することがあり、これは高血圧緊急症であり、視力低下、脳腫脹、痙攣、腎不全、肺水腫、播種性血管内凝固障害(血液凝固障害)などの重篤な合併症を伴う。
一方、妊娠高血圧症候群は、尿蛋白を伴わない妊娠中の新規発症高血圧と定義される。
子どもたち
新生児や幼い乳児では、発育不全、痙攣、過敏性、元気がない、呼吸困難が高血圧と関連することがある。年長の乳児および小児では、高血圧は頭痛、原因不明の易刺激性、fatigue、発育不全、かすみ目、鼻出血、および顔面神経麻痺を引き起こすことがある。
原因
一次性高血圧
高血圧は遺伝子と環境因子の複雑な相互作用から生じる。血圧に小さな影響を及ぼす多数の一般的な遺伝的変異が同定されており、血圧に大きな影響を及ぼすいくつかのまれな遺伝的変異も同定されている。また,ゲノムワイド関連研究(GWAS)では,血圧に関連する35の遺伝子座が同定されている。同定された各新規遺伝子座のセンチネルSNPは,近傍の複数のCpG部位におけるDNAメチル化との関連を示している。これらのセンチネルSNPは、血管平滑筋と腎機能に関連する遺伝子内に位置している。DNAメチル化は,これらの関連性の根底にあるメカニズムが解明されていないにもかかわらず,共通の遺伝的変異を複数の表現型に結びつける何らかの影響を及ぼす可能性がある。本研究で行われた35のセンチネルSNP(既知および新規)に対する単一変異型検定では、遺伝的変異が単独または集合して高血圧に関連する臨床表現型のリスクに寄与することが示された。
冠動脈外反症:冠動脈外反症(CAE)は、冠動脈が他の非外反部位の1.5倍以上に拡大することを特徴とする。高血圧(HTN)患者におけるCAEのプールされた未調整のORは、HTNのない患者と比較して1.44と推定された。
血圧は、西洋型食生活やライフスタイルと関連すると加齢とともに上昇し、晩年に高血圧になるリスクは大きい。いくつかの環境因子が血圧に影響する。食塩の大量摂取は食塩に敏感な人の血圧を上昇させる;運動不足や中心性肥満は個々の症例で役割を果たすことがある。カフェインの摂取やビタミンDの欠乏などの他の因子の役割の可能性はあまり明らかではない。シンドロームX(またはメタボリックシンドローム)の構成要素であるインスリン抵抗性も高血圧の一因である。
低出生体重児,母親の喫煙,母乳育児の欠如といった幼児期の出来事は,成人本態性高血圧の危険因子である可能性があるが,これらの曝露と成人高血圧を結びつける機序は依然として不明である。未治療の高血圧患者では、正常血圧の人に比べて高血中尿酸の割合が高いことが判明しているが、前者が因果関係にあるのか、腎機能の低下に伴うものなのかは不明である。平均血圧は夏よりも冬の方が高いかもしれない。歯周病も高血圧と関連している。
二次性高血圧
二次性高血圧は、特定可能な原因によって生じる。腎臓病は、高血圧の最も一般的な二次的原因である。高血圧は、クッシング症候群、甲状腺機能亢進症、甲状腺機能低下症、先端巨大症、 コン症候群または高アルドステロン症、腎動脈狭窄症(アテローム性動脈硬化症または線維筋異形成による)、副甲状腺機能亢進症、および褐色細胞腫などの内分泌疾患によっても起こりうる。二次性高血圧の他の原因としては、肥満、睡眠時無呼吸症候群、妊娠、大動脈コーカクテーション、甘草の食べ過ぎ、アルコールの飲み過ぎ、特定の処方薬、漢方薬、コーヒー、コカイン、覚醒剤などの刺激物などがある。飲料水によるヒ素曝露は血圧上昇と相関することが示されている。うつ病も高血圧と関連していた。孤独も危険因子である。
2018年のレビューによると、男性ではどんなアルコールでも血圧を上昇させるが、女性では1、2杯以上の飲酒でリスクが上昇することがわかった。
病態生理学


確立された本態性高血圧のほとんどの人では、心拍出量は正常のままであるが、血流に対する抵抗の増加(全末梢抵抗)が高血圧の原因となっている。高血圧前症または'境界型高血圧'の若年者の中には、心拍出量が高く、心拍数が上昇し、末梢抵抗が正常な人がおり、運動亢進型境界型高血圧と呼ばれている。このような人は、加齢とともに心拍出量が低下し、末梢抵抗が上昇するため、後年、確立した本態性高血圧の典型的な特徴を呈するようになる。このパターンが最終的に高血圧を発症するすべての人の典型的なパターンであるかどうかは議論のあるところである。確立した高血圧における末梢抵抗の増加は、毛細血管の数や密度の減少も寄与しているかもしれないが、主に小動脈や細動脈の構造的狭窄に起因している。
動脈管の血管収縮が高血圧に関与しているかどうかは明らかではない。高血圧は末梢の静脈コンプライアンスの低下とも関連しており、静脈還流を増加させ、心臓の前負荷を増加させ、最終的には拡張機能障害を引き起こす可能性がある。
脈圧(収縮期血圧と拡張期血圧の差)は、高血圧の高齢者ではしばしば上昇する。これは収縮期血圧が異常に高く、拡張期血圧が正常または低いことを意味し、孤立性収縮期高血圧と呼ばれる状態である。高血圧または孤立性収縮期高血圧の高齢者における高い脈圧は、一般的に加齢に伴い、高血圧によって悪化する可能性のある動脈硬化の増加によって説明される。
高血圧における末梢抵抗の上昇を説明するために、多くのメカニズムが提唱されてきた。多くのエビデンスは、腎臓の塩分と水分の処理の障害(特に腎内レニン-アンジオテンシン系の異常)か、交感神経系の異常のいずれかが関与している。これらの機序は相互に排他的ではなく、本態性高血圧のほとんどの症例では両者がある程度寄与していると考えられる。また、内皮機能障害や血管の炎症も高血圧における末梢抵抗の増加や血管障害に関与している可能性が示唆されている。インターロイキン17は,腫瘍壊死因子α,インターロイキン1,インターロイキン6,インターロイキン8など,高血圧に関与していると考えられている他のいくつかの免疫系の化学シグナルの産生を増加させる役割を担っていることで注目を集めている。
食事中のナトリウム過剰またはカリウム不足は、細胞内のナトリウム過剰を招き、血管平滑筋を収縮させて血流を制限するため、血圧を上昇させる。
診断
高血圧は、持続的に高い安静時血圧に基づいて診断される。米国心臓協会(AHA)は、少なくとも2回の医療機関での受診時に少なくとも3回の安静時測定を推奨している。
英国では「血圧UK」が、健康な血圧は90/60mmHgから120/80mmHgの間であるとしている。
測定技術
高血圧を正確に診断するためには、適切な血圧測定技術を用いることが不可欠である。不適切な血圧測定は一般的であり、血圧測定値を最大10mmHgも変えてしまうことがあり、高血圧の誤診や誤分類につながる。正しい血圧測定法にはいくつかのステップがある。適切な血圧測定には、血圧を測定する人が少なくとも5分間静かに座っていることが必要であり、その後、裸の上腕に適切に装着された血圧計を装着する。測定者は、背中を支え、足を床につけ、足を組まずに座る。血圧を測定する人は、この作業中は話したり動いたりしないようにする。測定する腕は、心臓の高さで平らな面に支える。血圧測定は静かな部屋で行い、正確な血圧測定のために聴診器で上腕動脈を聴きながら、血圧をチェックする医療従事者がコロトコフ音を聞き取れるようにする。コロトコフ音を聞きながら、血圧カフをゆっくり(1秒間に2~3mmHg)収縮させる。膀胱を空にすると血圧が最大15/10mmHg上昇する可能性があるため、血圧を測定する前にぼうこうを空にする。正確さを確保するために、1~2分間隔で複数の血圧測定(少なくとも2回)を行う。12~24時間にわたる外来血圧モニタリングが、診断を確定する最も正確な方法である。この例外は、血圧値が非常に高い場合、特に器官機能が低下している場合である。
24時間外来血圧モニターや家庭血圧測定器が利用できるようになり,白衣高血圧患者を誤って診断しないことの重要性が,プロトコルの変更につながっている。英国では、現在のベストプラクティスは、1回だけ上昇したクリニックの測定値を外来測定でフォローアップすることであり、より理想的なのは7日間にわたる家庭血圧モニタリングである。また、米国予防サービス専門委員会 は、医療環境以外での測定も推奨している。高齢者の偽高血圧や非圧縮性動脈症候群も考慮が必要であろう。この病態は、動脈の石灰化によるものと考えられており、その結果、動脈内の血圧測定値は正常であるにもかかわらず、血圧計による血圧測定値が異常に高くなる。起立性高血圧は、起立時に血圧が上昇するものである。
その他の調査
系 | 検査 |
---|---|
腎臓 | 顕微鏡による尿検査, 尿蛋白, BUN, クレアチニン |
内分泌 | 血清ナトリウム, potassium/ja, calcium/ja, TSH |
代謝 | 空腹時血糖値, HDL, LDL, 総コレステロール, triglycerides/ja |
その他 | Hematocrit/ja, electrocardiogram/ja, chest radiograph/ja |
高血圧の診断が下されたら、医療提供者は、危険因子および他の症状があれば、それに基づいて根本的な原因の特定を試みるべきである。二次性高血圧は思春期前の小児に多く、ほとんどの症例は腎臓病が原因である。一次性または本態性高血圧は、思春期および成人に多く、肥満や高血圧の家族歴など複数の危険因子がある。二次性高血圧の可能性のある原因を同定し、高血圧が心臓、目、腎臓に障害を引き起こしているかどうかを判定するために、臨床検査も実施できる。糖尿病および高コレステロール値の追加検査は通常行われるが、それはこれらの状態が心臓病発症のさらなる危険因子であり、治療が必要な場合があるからである。
高血圧患者の初期評価には、完全な既往歴と身体診察を含めるべきである。血清クレアチニンを測定して腎疾患の有無を評価するが、これは高血圧の原因でも結果でもありうる。血清クレアチニンだけでは糸球体濾過量を過大評価する可能性があり、2003年のJNC7ガイドラインでは糸球体濾過量(eGFR)を推定するために腎疾患における食生活の改善(MDRD)式などの予測式の使用を提唱している。eGFRはまた、特定の降圧剤の腎機能に対する副作用を監視するために使用できる腎機能のベースライン測定値を提供することができる。さらに、蛋白の尿検体検査は、腎疾患の二次的指標として用いられる。心電図(EKG/ECG)検査は、高血圧によって心臓に負担がかかっている証拠を確認するために行われる。心電図検査は、心筋の肥厚(左室肥大)や、心臓が以前に静かな心臓発作のような軽度の障害を経験しているかどうかを示すこともある。胸部X線検査や心エコー図検査も、心臓肥大や心臓の損傷の徴候を調べるために行われることがある。
成人における分類
カテゴリ | 収縮期血圧, mmHg | And/or | 拡張期血圧, mmHg | ||
---|---|---|---|---|---|
方法 | オフィス | 24時間外来 | オフィス | 24時間外来 | |
Hypotension/ja | <110 | <100 | or | <70 | <60 |
米国心臓病学会/米国心臓協会 (2017) | |||||
正常 | <120 | <115 | and | <80 | <75 |
通常より高い | 120–129 | 115–124 | and | <80 | <75 |
高血圧, ステージ1 | 130–139 | 125–129 | or | 80–89 | 75–79 |
高血圧, ステージ2 | ≥140 | ≥130 | or | ≥90 | ≥80 |
欧州高血圧学会 (2023) | |||||
最適 | <120 | — | and | <80 | — |
正常 | 120–129 | — | and/or | 80–84 | — |
通常より高い | 130–139 | — | and/or | 85–89 | — |
高血圧, グレード1 | 140–159 | ≥130 | and/or | 90–99 | ≥80 |
高血圧, グレード2 | 160–179 | — | and/or | 100–109 | — |
高血圧, グレード3 | ≥180 | — | and/or | ≥110 | — |

18歳以上では、高血圧は収縮期血圧または拡張期血圧のいずれかが常に正常値(ガイドラインによって収縮期血圧129または139 mmHg以上、拡張期血圧89 mmHg以上)より高いと定義される。測定値が24時間外来血圧または在宅モニタリングに由来する場合は、より低い閾値が使用される。
子ども
高血圧は新生児の約0.2~3%にみられるが、健康な新生児では日常的に血圧を測定することはない。高血圧は高リスクの新生児に多くみられる。新生児の血圧が正常かどうかを判断する際には、妊娠年齢、妊娠後年齢、出生時体重などの様々な要因を考慮する必要がある。
高血圧とは、数回にわたる血圧の上昇と定義される。 数回にわたる血圧の上昇と定義される高血圧は、小児および青年の1%~5%が罹患しており、長期的な不健康リスクと関連している。小児期の血圧は年齢とともに上昇し、小児では、3回以上の平均収縮期血圧または拡張期血圧が、小児の性別、年齢、身長に適した95パーセンタイル以上である場合を高血圧と定義する。しかし、子どもを高血圧と定義する前に、何度も受診して高血圧であることを確認しなければならない。子どもの高血圧予備軍は、収縮期または拡張期の平均血圧が90パーセンタイル以上95パーセンタイル未満と定義されている。青少年では、高血圧と高血圧予備軍を成人と同じ基準で診断・分類することが提案されている。小児期の血圧は年齢とともに上昇し、小児では、3回以上の平均収縮期血圧または拡張期血圧が、
高血圧は小児救急や外来診療で頻繁に遭遇するが、紹介やさらなる処置の必要性を評価する最も簡単で信頼性の高い方法の1つが、2018年に発表されたElbaba M.によって開発されたスコアである。このスコアは10項目から構成され、各項目について1、2、3の評点が付けられている。著者は、中間の15点以下は真の高血圧とは関係なく、反応性、白衣性、または信頼性の低い測定であるとしている。そして、16点以上は真の高血圧に対する警告アラームであり、通常、モニタリング、検査、治療が必要である。
予防
高血圧による疾病負担の多くは、高血圧と診断されていない人々によって経験されている。そのため、高血圧の影響を軽減し、降圧薬の必要性を減らすための集団戦略が必要である。薬物療法を始める前に、血圧を下げるために生活習慣を変えることが推奨される。2004年の英国高血圧学会のガイドラインでは、高血圧の一次予防のために、2002年に米国のNational High BP Education Programによって概説されたものと一致する生活習慣の変更を提案している:
- 成人の標準体重を維持する(例:肥満度指数20~25 kg/m2)。
- 食事からのナトリウム摂取量を100 mmol/日未満(塩化ナトリウム6g未満またはナトリウム2.4g未満/日)に減らす。
- 早歩きなどの有酸素運動を定期的に行う(1日30分以上、ほとんどの曜日)。
- アルコール摂取を男性で3単位/日以下、女性で2単位/日以下に制限する。
- 果物や野菜を多く摂る(例:1日5回以上);
- ストレスを減らす
ストレスを避けたり、ストレスの対処法を学ぶことは、血圧をコントロールするのに役立つ。
ストレス解消に役立つリラクゼーション・テクニックをいくつか挙げてみよう:
- 瞑想
- 温浴
- ヨガ
- 長い散歩をする
効果的な生活習慣の改善は、個々の降圧薬と同程度に血圧を下げる可能性がある。2つ以上の生活習慣の改善を組み合わせれば、さらによい結果が得られる。食塩摂取量の減少が血圧を低下させるという多くのエビデンスがあるが、それが死亡率や心血管疾患の減少につながるかどうかはまだ不明である。推定ナトリウム摂取量6g/日以上と3g/日未満はともに死亡または主要心血管系疾患の高リスクと関連しているが、高ナトリウム摂取量と有害な転帰との関連は高血圧患者においてのみ観察される。そのため、ランダム化比較試験の結果がない限り、食塩摂取量を3g/日以下に減らすことの賢明さが疑問視されている。ESCのガイドラインでは、歯周炎が心血管の健康状態の悪化と関連していると言及している。
定期的な高血圧スクリーニングの価値については議論がある。2004年、全米高血圧教育プログラムは、3歳以上の小児に対し、医療機関を受診するたびに少なくとも1回は血圧測定を行うことを推奨し、国立心肺血液研究所と米国小児科学会も同様の推奨を行っている。しかしながら、米国家庭医学会は、米国予防サービス作業部会の見解を支持し、症状のない小児および青年における高血圧スクリーニングの有益性と有害性のバランスを決定するには、利用可能なエビデンスが不十分であるとしている。米国予防医療作業部会は、18歳以上の成人に対して、診察室血圧測定による高血圧スクリーニングを推奨している。
管理
2003年に発表されたあるレビューによると、血圧を5 mmHg下げると、脳卒中のリスクを34%、虚血性心疾患のリスクを21%減少させ、認知症、心不全、心血管系疾患による死亡の可能性を減少させることができる。
目標血圧
さまざまな専門家グループが、高血圧の治療を受ける際の血圧の目標値をどの程度低くすべきかというガイドラインを作成している。これらのグループは、一般集団に対して140~160/90~100mmHgの範囲以下の目標を推奨している。コクランのレビューでは、糖尿病患者や心血管疾患の既往のある患者などのサブグループに対しても同様の目標値を推奨している。さらに、Cochraneのレビューでは、中等度から高度の心血管リスクを有する高齢者では、標準よりも低い血圧目標(140/90mmHg以下)を達成しようとする利益は、介入に関連するリスクによって上回るとされている。これらの知見は他の集団には当てはまらないかもしれない。
多くの専門家グループは、60~80歳以上では150/90mmHgというやや高めの目標値を推奨している。JNC-8と米国医師会は60歳以上で150/90mmHgを推奨しているが、これらのグループの中にはこの推奨に反対する専門家もいる。また、糖尿病や慢性腎臓病で尿中蛋白減少のある人では、やや低めの目標値を推奨している専門家グループもあるが、一般人口と同じ目標値を推奨している専門家グループもある。何が最良の目標値なのか、また高リスク者について目標値を変えるべきかどうかという問題は未解決であるが、いくつかのガイドラインで提唱されているよりも、より集中的な血圧降下を提案する専門家もいる。
心血管疾患の経験がなく、心血管疾患の10年リスクが10%未満の人に対しては、2017年の米国心臓協会のガイドラインでは、収縮期血圧が140mmHgを超えるか、拡張期血圧が90mmHgを超える場合に薬物療法を推奨している。心血管疾患経験者または心血管疾患の10年リスクが10%を超える人には、収縮期血圧が130mmHg以上または拡張期血圧が80mmHg以上の場合に薬物療法を推奨している。
生活習慣の改善
高血圧治療の第一選択は、食生活の改善、身体活動、減量を含む生活習慣の改善である。これらはすべて科学的勧告で推奨されているが、Cochraneの系統的レビューでは、減量ダイエットが高血圧患者の死亡、長期合併症、有害事象に影響を及ぼすというエビデンスは(データ不足のため)発見されなかった。このレビューでは、体重と血圧の減少が認められた。その潜在的な有効性は、単剤の薬物療法と同様であり、時にはそれを上回る。もし高血圧がすぐに薬物療法を行うのに十分なほど高い場合は、薬物療法とともに生活習慣を変えることが推奨される。
血圧を低下させることが示されている食事療法には、ナトリウムを減らした食事療法、包括的レビューで他の11の食事療法に対して最も優れていたDASH食(高血圧を止めるための食事療法)、および植物ベースの食事療法がある。緑茶の摂取が血圧を低下させるという証拠もあるが、治療法として推奨するには不十分である。ハイビスカス茶の摂取が収縮期血圧(-4.71mmHg、95%CI [-7.87, -1.55])および拡張期血圧(-4.08mmHg、95%CI [-6.48, -1.67])を有意に低下させるというランダム化二重盲検プラセボ対照臨床試験の証拠がある。また、ビーツジュースの摂取は、高血圧の人の血圧を有意に低下させる。
食事性カリウムを増やすことは、高血圧のリスクを下げる効果が期待できる。2015年食事ガイドライン諮問委員会(DGAC)は、カリウムは米国で摂取不足の栄養素の一つであると述べている。ただし、特定の降圧薬(ACE阻害薬やARBなど)を服用している人は、カリウムが高濃度になるリスクがあるため、カリウムサプリメントやカリウム濃縮塩を摂取すべきではない。
血圧を低下させることが示されている身体運動療法には、等尺性抵抗運動、有酸素運動、レジスタンス運動、機器誘導呼吸などがある。
バイオフィードバックや超越的瞑想などのストレス軽減技術は、高血圧を軽減するための他の治療法に追加するものとして考慮されうるが、単独で心血管疾患を予防するための証拠はない。セルフモニタリングと予約リマインダーは、血圧コントロールを改善するための他の戦略の使用をサポートするかもしれないが、さらなる評価が必要である。
薬物療法
高血圧の治療には、降圧剤と総称されるいくつかのクラスの薬が利用できる。
高血圧に対する第一選択薬としては、サイアザイド系利尿薬、カルシウム拮抗薬、アンジオテンシン変換酵素阻害薬(ACE阻害薬)、およびアンジオテンシン受容体拮抗薬(ARB)がある。これらの薬物は単独または併用で使用できる(ACE阻害薬とARBの併用は推奨されない);後者の選択肢は、血圧値を治療前のレベルに戻すように作用する逆調節機序を最小限に抑える役割を果たす可能性があるが、第一選択の併用療法に関する証拠は十分に強くない。ほとんどの人は高血圧をコントロールするために複数の薬を必要とする。血圧コントロールのための薬物療法は、目標値に達しない場合、段階的ケアアプローチによって実施されるべきである。死亡率、心筋梗塞、脳卒中に影響を及ぼすという強いエビデンスはないため、高齢者ではこのような薬物の中止を医療専門家が検討することができる。
以前は、アテノロールなどのβ遮断薬も、高血圧の第一選択薬として用いれば同様の有益な効果があると考えられていた。しかし、13の臨床試験を含むコクラン・レビューによると、β遮断薬の心血管疾患予防効果は他の降圧薬よりも劣っている。
高血圧の子供に降圧剤を処方することには、限られたエビデンスしかない。プラセボと比較したエビデンスは限られており、短期的には血圧に対して緩やかな効果を示している。より高用量を投与しても、血圧の低下が大きくなることはなかった。
抵抗性高血圧
抵抗性高血圧とは、作用機序の異なる3種類以上の降圧薬を同時に処方されているにもかかわらず、目標値を超えたままの高血圧と定義される。処方された薬を指示通りに服用しないことは、抵抗性高血圧の重要な原因である。抵抗性高血圧はまた、自律神経系の慢性的に高い活動によって生じることもあり、この影響は神経原性高血圧として知られている。圧反射を刺激する電気療法は、このような状況にある人の血圧を下げる選択肢として研究されている。
抵抗性高血圧の一般的な二次的原因には、閉塞性睡眠時無呼吸症候群、褐色細胞腫、腎動脈狭窄症、大動脈瘤、原発性アルドステロン症などがある。抵抗性高血圧の5人に1人は原発性アルドステロン症であり、治療可能で、治癒することもある。
難治性高血圧
難治性高血圧は、長時間作用型のサイアザイド様利尿薬、カルシウム拮抗薬、レニン-アンジオテンシン系の遮断薬など、異なるクラスの5種類以上の降圧薬によってもコントロールできない血圧上昇を特徴とする。難治性高血圧の患者は一般的に交感神経系の活動が亢進しており、より重篤な心血管疾患および全死因死亡のリスクが高い。
非調節性
非調節性本態性高血圧は、ナトリウム摂取が副腎または腎臓のいずれをも調節しない食塩感受性高血圧の一形態である。血管のアンジオテンシンIIに対する反応を調節しない。このサブセットを持つ患者は非モジュレーターと呼ばれている。高血圧人口の25~30%を占める。
疫学


no data <110 110–220 220–330 330–440 440–550 550–660 | 660–770 770–880 880–990 990–1100 1100–1600 >1600 |
成人
2019年現在、世界の30~79歳の成人(世界人口の16%以上)のうち、少なくとも10億2,800万人(うち女性6億2,600万人、男性6億5,200万人)が高血圧であると推定されている。これは、2014年から約2億7,800万人増加し、1990年に比べてほぼ倍増している。
高血圧は男性にわずかに多く、社会経済的地位の低い人に多く、年齢とともに多くなる。高、中、低所得国に多い。2004年では、高血圧の割合はアフリカで最も高く(男女とも30%)、アメリカ大陸で最も低かった(男女とも18%)。また、ペルーの22.8%(男性)、18.4%(女性)と低く、パラグアイの61.6%(男性)、50.9%(女性)と高い。アフリカの2016年の割合は約45%であった。
ヨーロッパでは、高血圧は約30〜45%の人にみられる(2013年時点) 。1995年には、米国では4300万人(人口の24%)が高血圧であるか、降圧薬を服用していると推定された。2004年には29%に増加し、さらに2017年には32%(米国の成人7,600万人)に増加した。高血圧の定義が変更された2017年には、米国では46%の人が罹患している。米国のアフリカ系アメリカ人の成人の高血圧罹患率は44%と世界で最も高い。また、フィリピン系アメリカ人に多く、米国の白人やメキシコ系アメリカ人には少ない。高血圧率の差は多因子性であり、現在研究中である。
子供
小児および青年期の高血圧の割合は、米国では過去20年間に増加している。小児期の高血圧、特に思春期前の高血圧は、成人よりも基礎疾患による二次的なものであることが多い。腎臓病は、小児および青年における高血圧の二次的原因として最も一般的である。とはいえ、一次性または本態性高血圧がほとんどの症例を占めている。
予後

高血圧は世界中で最も重要な早死にの予防可能な危険因子のリストである。虚血性心疾患、脳卒中、末梢血管疾患、その他の心血管疾患(心不全、大動脈瘤、びまん性動脈硬化症、慢性腎臓病、心房細動、がん、白血病、肺塞栓症など)のリスクを高める。高血圧は認知障害や認知症の危険因子でもある。その他の合併症としては、高血圧網膜症や高血圧腎症がある。
歴史

測定
循環器系に関する近代的な理解は,医師ウィリアム・ハーヴェイ(1578-1657)の著作"De motu cordis"の中で血液の循環について述べたことから始まった。イギリスの聖職者スティーブン・ヘイルズは1733年に初めて血圧の測定を発表した。しかし、1896年にScipione Riva-Rocciによってカフを使用する血圧計が発明されたことで、臨床的な実体としての高血圧が確立された。これにより、収縮期血圧を臨床で簡単に測定できるようになった。1905年、ニコライ・コロトコフが血圧計のカフを収縮させた状態で聴診器で動脈を聴診したときに聞こえるコロトコフ音を発表し、技術を向上させた。これにより収縮期圧と拡張期圧を測定できるようになった。
同定
中世ペルシアの医学書の「満腹病」の章に、高血圧性クリーゼ患者の症状と類似した症状が論じられている。その症状とは、頭痛、頭重感、動作緩慢、全身の発赤と温感、血管の膨張と緊張、脈拍の充満、皮膚の膨張、色尿、食欲不振、視力低下、思考障害、あくび、眠気、血管破裂、出血性脳卒中などである。充血症は血管内の血液が過剰になるためと推定された。
病気としての高血圧の記述は,とりわけ1808年のトーマス・ヤングと,特に1836年のリチャード・ブライトによってなされた。腎臓病の徴候のない人の血圧上昇の最初の報告は、フレデリック・アクバル・マホメド(1849-1884)によってなされた。
1990年代までは、収縮期血圧160mmHg以上を収縮期高血圧と定義していた。1993年、WHO/ISHガイドラインは140mmHgを高血圧の閾値と定義した。
治療
歴史的に「硬脈病」と呼ばれていたものに対する治療は、瀉血やヒルの塗布によって血液の量を減らすことであった。これは中国の黄帝、コルネリウス・ケルスス、ガレノス、ヒポクラテスによって提唱された。硬脈疾患の治療アプローチには、生活習慣の変更(怒りや性交を控える)と患者のための食事プログラム(ワイン、肉、菓子の摂取を避け、食事の量を減らし、低エネルギー食を維持し、ほうれん草と酢を食用とする)が含まれていた。
高血圧に対する効果的な薬物療法が可能になる以前の19世紀と20世紀には,3つの治療法が用いられたが,いずれも副作用が多かった。厳格なナトリウム制限(たとえば米食),交感神経切除術(交感神経系の一部を外科的に切除する),パイロジェン療法(発熱を引き起こす物質を注射して間接的に血圧を下げる)である。
高血圧のための最初の化学薬品であるチオシアン酸ナトリウムは1900年に使用されたが、副作用が多く不評であった。第二次世界大戦後にいくつかの他の薬剤が開発されたが、その中で最も人気があり、それなりに効果があったのは塩化テトラメチルアンモニウム、ヘキサメトニウム、ヒドララジン、レセルピン(薬用植物ラウヴォルフィア・セルペンティナ由来)であった。これらはいずれも忍容性に乏しかった。忍容性の高い経口薬が初めて発見され、大きなブレークスルーがもたらされた。最初のものはクロロチアジドであり、最初のサイアザイドであった。利尿薬であり、抗生物質スルファニルアミドから開発され、1958年に利用可能となった。その後、降圧薬としてβブロッカー、カルシウム拮抗薬、アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬、アンジオテンシン受容体拮抗薬、レニン阻害薬が開発された。
社会と文化
意識

世界保健機関は、高血圧を心血管系死亡率の主要な原因としている。世界高血圧連盟(WHL)は、85カ国の高血圧学会と高血圧連盟の統括組織であるが、世界の高血圧人口の50%以上が自分の状態に気づいていないことを認識していた。この問題に取り組むため、WHLは2005年に高血圧に関する世界的な啓発キャンペーンを開始し、毎年5月17日を世界高血圧デー(WHD)と定めた。過去3年間で、より多くの国の学会がWHDに参加し、一般の人々にメッセージを伝えるために革新的な活動を行ってきた。2007年には、WHLの47の加盟国から記録的な参加があった。WHDの一週間、これらの国々は、それぞれの地方自治体、専門家協会、非政府組織、民間産業と連携して、いくつかのメディアや市民集会を通じて、国民の間に高血圧の認識を広めた。インターネットやテレビなどのマスメディアを利用して、そのメッセージは2億5,000万人以上に届いた。この勢いは年々加速しており、WHLは、高血圧に罹患していると推定される15億人のほぼ全員にメッセージを届けることができると確信している。
経済学
高血圧は、アメリカの初期医療機関を訪れる際の最も一般的な慢性医療問題である。アメリカ心臓協会によると、2010年の高血圧の直接および間接的なコストは766億ドルと推定されている。アメリカでは、高血圧の患者のうち80%がその状態を認識しており、71%が抗高血圧薬を服用しているが、高血圧であることを認識している人のうち48%しか適切にコントロールしていない。高血圧の適切な管理は、高血圧の診断、治療、またはコントロールにおける不足によって妨げられることがある。 Health care providers/ja医療提供者 は、複数の薬を服用して血圧目標を達成する抵抗感など、血圧コントロールを達成するために多くの障害に直面している。また、人々は薬のスケジュールを守ることやライフスタイルの変更に対処することにも困難を感じている。それでも、血圧目標の達成は可能であり、最も重要なことは、血圧を有意に下げることが心臓病や脳卒中による死亡リスク、他の機能障害の発症、高度な医療ケアに伴う費用を大幅に減少させることある。
その他の動物
猫の高血圧は収縮期血圧が150 mmHg以上で適応となり、アムロジピンが通常の第一選択薬となる。収縮期血圧が170mmHgを超える猫は高血圧とみなされる。もし猫が腎臓病や網膜剥離のような他の問題を抱えているならば、160 mmHG以下の血圧もモニターする必要があるかもしれない。
犬の正常血圧は犬種によって大きく異なるが、収縮期血圧が160 mmHgを超える場合、特に標的臓器障害を伴う場合は高血圧と診断されることが多い。犬の高血圧の治療には、レニン・アンジオテンシン系の阻害薬やカルシウム拮抗薬が用いられることが多いが、高血圧を引き起こす特定の疾患に対しては他の薬剤が適応となることもある。
さらに読む
- James PA, Oparil S, Carter BL, Cushman WC, Dennison-Himmelfarb C, Handler J, et al. (February 2014). "2014 evidence-based guideline for the management of high blood pressure in adults: report from the panel members appointed to the Eighth Joint National Committee (JNC 8)". JAMA. 311 (5): 507–20. doi:10.1001/jama.2013.284427. PMID 24352797.

