Ipragliflozin/ja: Difference between revisions
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'''イプラグリフロジン'''('''Ipragliflozin'''、[[International nonproprietary name/ja|INN]]、商品名'''スーグラ''')は、[[Diabetes mellitus type 2|2型糖尿病]]治療薬である。イプラグリフロジンは[[Astellas Pharma|アステラス製薬]]と寿製薬が共同開発し、[[:ja:日本|日本]]では2014年1月17日に、[[:ja:ロシア|ロシア]]では2019年5月22日に承認された。 | |||
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イプラグリフロジンは、[[SGLT2/ja|ナトリウム・グルコース共輸送体2(SGLT2)]]阻害薬([[gliflozin/ja|グリフロジン]])である。これらの膜タンパク質は細胞表面に存在し、グルコースを細胞内に移行させる。SGLT2は、SGLTのサブタイプの1つであり、腎臓の近位尿細管におけるグルコースの再取り込みにおいて重要な役割を果たしている。イプラグリフロジンは、SGLT2を選択的に阻害することでグルコースの再取り込みを阻害し、血糖値を低下させる。 | |||
==臨床試験== | |||
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イプラグリフロジンの有効性及び安全性は、国内における[[Phases of clinical research/ja#Phase III|フェーズⅢ]]の単剤投与試験及び他の血糖降下剤(6種類)との併用臨床試験において確認されている。 | |||
プラセボ対照二重盲検試験が韓国の18ヵ所と台湾の12ヵ所で行われた。対象は20歳以上で2型糖尿病を12週間以上患っている患者であった。8週間の休薬期間を設け、メトホルミン以外の薬物をすべて除去した。患者は50mgのイプラグリフロジンとプラセボのいずれかを投与された。薬物は物理的な形はすべて同じであった。患者はメトホルミン以外の抗糖尿病薬の使用を禁止された。試験は4週間の追跡期間とともに24週間行われた。 | |||
[[Glycated hemoglobin/ja|ヘモグロビンA<sub>1c</sub>]]の標準偏差はイプラグリフロジン群で-0.94%、プラセボ群で-0.47%であった(群間差-0.46%、[[p-value/ja|''p'']]<0.001)。空腹時血糖値および体重の変化もイプラグリフロジン群で有意に大きく、群間差はそれぞれ-14.1 mg/dLおよび-1.24 kgであった(いずれも''p''<0.001)。最も多くみられた有害事象は[[Upper respiratory tract infection/ja|上気道感染症]]と[[urinary tract infection/ja|尿路感染症]]であった。以上より、イプラグリフロジンは有効であると同時に安全であると結論された。 | |||
しかし、イプラグリフロジンは現在、長期的(3年以上)に使用した場合の安全性を確認するための観察症例対照臨床試験中である。この試験の終了予定は2018年10月である。 | |||
* 2016年10月18日:アステラス製薬、2型糖尿病を対象とした国内臨床試験を2016年10月に先行して完了 | |||
* | * 2016年9月7日:アステラス製薬、日本で1型糖尿病を対象とした第III相臨床試験(併用療法)を計画 | ||
* | * 2016年8月1日:日本における1型糖尿病(併用療法)の第III相臨床試験について | ||
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イプラグリフロジンは、米国、欧州などでも2型糖尿病治療薬として開発されており、メトホルミンとの併用で3つの第II相試験が終了していた。これはその後中止された。 | |||
==商品化== | |||
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2014年現在、スーグラは日本で最も償還額の高い薬物である。ピーク時の売上は80万人で{{USD}}515百万に達し、患者1人当たりの年間コストは{{USD}}644に達した。 | |||
2014年、日本における選択的SGLT2阻害薬の市場規模は約90億円であった。この市場におけるスーグラのシェアは約49%であった。 | |||
2015年5月から長期処方が可能となったことを受け、2015年のスグラットの売上高は77.8%増の73億[[:en:Japanese yen|円]]となった。日本の選択的SGLT2阻害薬市場におけるスーグラのシェアは約39%であった。 | |||
2016年の予想売上高は125億円に跳ね上がる。 | |||
==マーケティング== | |||
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イプラグリフロジンは日本で初めて発売された薬物である。そのため、アステラス製薬は同市場におけるトップシェアを維持するため、マーケティングに注力していく。アステラス製薬は、イプラグリフロジンの有効性・安全性に関する市販後データを蓄積してきた。アステラス製薬は、イプラグリフロジンの有効性・安全性に関する製造販売後データを蓄積しており、これらのデータに基づく情報提供により、日本市場におけるイプラグリフロジンの市場浸透を図っていく。 | |||
2015年、アステラス製薬はさらに韓国でSuglatを、タイで[[:en:Febuxostat|Feburic]]を発売した。 | |||
==知的財産== | |||
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2013年5月、ドイツのベーリンガーインゲルハイム社は、治療方法、医薬組成物およびその用途に関する特許を出願した。この特許出願にはSGLT2阻害薬イプラグリフロジンが含まれていた。 | |||
2014年4月、ベーリンガーインゲルハイムはSGLT2阻害剤のウマ科動物への使用を申請した。動物実験でのこれらの阻害剤の使用は、糖尿病だけでなく、ヒトへの適用を進めることを可能にする。 | |||
北京の国立生物科学研究所も2015年9月に同様の特許を出願している。 | |||
2016年1月、大連理工大学はイプラグリフロジンの合成法に関する特許を出願した。 | |||
この種の阻害剤に至る中間体の合成に関する特許は他にもある。 | |||
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Latest revision as of 22:11, 20 February 2024
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![]() Haworth projection/ja (bottom) | |
Clinical data | |
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Trade names | Suglat |
Other names | (1S)-1,5-anhydro-1-C-{3-[(1-benzothiophen-2-yl)methyl]-4-fluorophenyl}-D-glucitol |
Routes of administration | 口から (タブレット) |
ATC code | |
Legal status | |
Legal status |
|
Pharmacokinetic data | |
Bioavailability | 90.2% |
Protein binding | 94.6–96.5% |
Metabolism | UGT2B7/ja (major), UGT2B4/ja, 1A8, 1A9 (minor) |
Elimination half-life | 14.97±4.58 hours |
Excretion | Urine/ja (67.9%), feces/ja (32.7%) |
Identifiers | |
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CAS Number | |
PubChem CID | |
DrugBank | |
ChemSpider | |
UNII | |
KEGG | |
ChEMBL | |
Chemical and physical data | |
Formula | C21H21FO5S |
Molar mass | 404.45 g·mol−1 |
3D model (JSmol) | |
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イプラグリフロジン(Ipragliflozin、INN、商品名スーグラ)は、2型糖尿病治療薬である。イプラグリフロジンはアステラス製薬と寿製薬が共同開発し、日本では2014年1月17日に、ロシアでは2019年5月22日に承認された。
イプラグリフロジンは、ナトリウム・グルコース共輸送体2(SGLT2)阻害薬(グリフロジン)である。これらの膜タンパク質は細胞表面に存在し、グルコースを細胞内に移行させる。SGLT2は、SGLTのサブタイプの1つであり、腎臓の近位尿細管におけるグルコースの再取り込みにおいて重要な役割を果たしている。イプラグリフロジンは、SGLT2を選択的に阻害することでグルコースの再取り込みを阻害し、血糖値を低下させる。
臨床試験
イプラグリフロジンの有効性及び安全性は、国内におけるフェーズⅢの単剤投与試験及び他の血糖降下剤(6種類)との併用臨床試験において確認されている。
プラセボ対照二重盲検試験が韓国の18ヵ所と台湾の12ヵ所で行われた。対象は20歳以上で2型糖尿病を12週間以上患っている患者であった。8週間の休薬期間を設け、メトホルミン以外の薬物をすべて除去した。患者は50mgのイプラグリフロジンとプラセボのいずれかを投与された。薬物は物理的な形はすべて同じであった。患者はメトホルミン以外の抗糖尿病薬の使用を禁止された。試験は4週間の追跡期間とともに24週間行われた。 ヘモグロビンA1cの標準偏差はイプラグリフロジン群で-0.94%、プラセボ群で-0.47%であった(群間差-0.46%、p<0.001)。空腹時血糖値および体重の変化もイプラグリフロジン群で有意に大きく、群間差はそれぞれ-14.1 mg/dLおよび-1.24 kgであった(いずれもp<0.001)。最も多くみられた有害事象は上気道感染症と尿路感染症であった。以上より、イプラグリフロジンは有効であると同時に安全であると結論された。
しかし、イプラグリフロジンは現在、長期的(3年以上)に使用した場合の安全性を確認するための観察症例対照臨床試験中である。この試験の終了予定は2018年10月である。
- 2016年10月18日:アステラス製薬、2型糖尿病を対象とした国内臨床試験を2016年10月に先行して完了
- 2016年9月7日:アステラス製薬、日本で1型糖尿病を対象とした第III相臨床試験(併用療法)を計画
- 2016年8月1日:日本における1型糖尿病(併用療法)の第III相臨床試験について
イプラグリフロジンは、米国、欧州などでも2型糖尿病治療薬として開発されており、メトホルミンとの併用で3つの第II相試験が終了していた。これはその後中止された。
商品化
2014年現在、スーグラは日本で最も償還額の高い薬物である。ピーク時の売上は80万人でUS$515百万に達し、患者1人当たりの年間コストはUS$644に達した。 2014年、日本における選択的SGLT2阻害薬の市場規模は約90億円であった。この市場におけるスーグラのシェアは約49%であった。
2015年5月から長期処方が可能となったことを受け、2015年のスグラットの売上高は77.8%増の73億円となった。日本の選択的SGLT2阻害薬市場におけるスーグラのシェアは約39%であった。
2016年の予想売上高は125億円に跳ね上がる。
マーケティング
イプラグリフロジンは日本で初めて発売された薬物である。そのため、アステラス製薬は同市場におけるトップシェアを維持するため、マーケティングに注力していく。アステラス製薬は、イプラグリフロジンの有効性・安全性に関する市販後データを蓄積してきた。アステラス製薬は、イプラグリフロジンの有効性・安全性に関する製造販売後データを蓄積しており、これらのデータに基づく情報提供により、日本市場におけるイプラグリフロジンの市場浸透を図っていく。
2015年、アステラス製薬はさらに韓国でSuglatを、タイでFeburicを発売した。
知的財産
2013年5月、ドイツのベーリンガーインゲルハイム社は、治療方法、医薬組成物およびその用途に関する特許を出願した。この特許出願にはSGLT2阻害薬イプラグリフロジンが含まれていた。 2014年4月、ベーリンガーインゲルハイムはSGLT2阻害剤のウマ科動物への使用を申請した。動物実験でのこれらの阻害剤の使用は、糖尿病だけでなく、ヒトへの適用を進めることを可能にする。 北京の国立生物科学研究所も2015年9月に同様の特許を出願している。 2016年1月、大連理工大学はイプラグリフロジンの合成法に関する特許を出願した。 この種の阻害剤に至る中間体の合成に関する特許は他にもある。