Cytochrome P450/ja: Difference between revisions
Cytochrome P450/ja
Created page with "{| class="wikitable" | '''ファミリー''' || '''機能''' || '''メンバー''' || '''遺伝子''' || '''偽遺伝子''' |- | '''CYP1''' || 薬物およびステロイド(特にエストロゲン)の代謝、ベンゾ[''a'']ピレンの毒化((+)-ベンゾ[''a'']ピレン-7,8-ジヒドロジオール-9,10-エポキシドを形成する) || 3サブファミリー、..." |
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P450酵素をコードする[[Gene/ja|遺伝子]]および酵素自体は、[[protein superfamily/ja|スーパーファミリー]]を表す[[gene nomenclature/ja#Symbol and name|ルート記号]]'''CYP'''の後に、[[gene family/ja|遺伝子ファミリー]]を表す数字、サブファミリーを表す大文字、個々の遺伝子を表す別の数字が続く。遺伝子に言及する際には''[[:en:Italic type|イタリック体]]''で表記するのが慣例である。例えば、''CYP2E1'' は[[paracetamol/ja|パラセタモール]](アセトアミノフェン)の代謝に関与する酵素の一つである[[CYP2E1/ja|CYP2E1]]をコードする遺伝子である。''CYP''命名法は公式の命名規則であるが、'''CYP450'''または'''CYP<sub>450</sub>'''が同義語として用いられることもある。これらの名称は、命名規則に従って(ファミリー番号450のP450を示すため)決して使用すべきではない。しかし、P450の遺伝子名や酵素名の中には、歴史的な名称(例えば、CYP102A1のP450<sub>BM3</sub>)や、触媒活性や基質として使用される化合物の名称を示す機能名で呼ばれるものもある。例えば、[[CYP5A1/ja|CYP5A1]]、[[thromboxane/ja|トロンボキサン]]A<sub>2</sub>合成, [[Thromboxane-A synthase/ja|TBXAS1]]('''T'''hrom'''B'''o'''X'''ane '''A'''<sub>2</sub> '''S'''ynthase '''1''')、[[CYP51A1/ja|CYP51A1]], ラノステロール14-α-デメチラーゼ、基質('''L'''anosterol)と活性('''D'''e'''M'''ethylation)により、非公式にLDMと略されることもある。 | P450酵素をコードする[[Gene/ja|遺伝子]]および酵素自体は、[[protein superfamily/ja|スーパーファミリー]]を表す[[gene nomenclature/ja#Symbol and name|ルート記号]]'''CYP'''の後に、[[gene family/ja|遺伝子ファミリー]]を表す数字、サブファミリーを表す大文字、個々の遺伝子を表す別の数字が続く。遺伝子に言及する際には''[[:en:Italic type|イタリック体]]''で表記するのが慣例である。例えば、''CYP2E1'' は[[paracetamol/ja|パラセタモール]](アセトアミノフェン)の代謝に関与する酵素の一つである[[CYP2E1/ja|CYP2E1]]をコードする遺伝子である。''CYP''命名法は公式の命名規則であるが、'''CYP450'''または'''CYP<sub>450</sub>'''が同義語として用いられることもある。これらの名称は、命名規則に従って(ファミリー番号450のP450を示すため)決して使用すべきではない。しかし、P450の遺伝子名や酵素名の中には、歴史的な名称(例えば、CYP102A1のP450<sub>BM3</sub>)や、触媒活性や基質として使用される化合物の名称を示す機能名で呼ばれるものもある。例えば、[[CYP5A1/ja|CYP5A1]]、[[thromboxane/ja|トロンボキサン]]A<sub>2</sub>合成, [[Thromboxane-A synthase/ja|TBXAS1]]('''T'''hrom'''B'''o'''X'''ane '''A'''<sub>2</sub> '''S'''ynthase '''1''')、[[CYP51A1/ja|CYP51A1]], ラノステロール14-α-デメチラーゼ、基質('''L'''anosterol)と活性('''D'''e'''M'''ethylation)により、非公式にLDMと略されることもある。 | ||
現在の命名法ガイドラインでは、新しいCYPファミリーのメンバーは少なくとも40%の[[amino acid/ja|アミノ酸]]同一性を共有し、サブファミリーのメンバーは少なくとも55%のアミノ酸同一性を共有することが推奨されている。 | |||
現在の命名法ガイドラインでは、新しいCYPファミリーのメンバーは少なくとも40%の[[amino acid/ja|アミノ酸]]同一性を共有し、サブファミリーのメンバーは少なくとも55% | 命名法委員会は、基本遺伝子名([http://drnelson.uthsc.edu/CytochromeP450.html Cytochrome P450 Homepage] {{Webarchive|url=https://web.archive.org/web/20100627184446/http://drnelson.uthsc.edu/CytochromeP450.html |date=2010-06-27 }})と[[allele/ja|対立遺伝子]]名([https://www.pharmvar.org// CYP Allele Nomenclature Committee])の両方を割り当て、追跡している。 | ||
== 分類 == | == 分類 == | ||
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ヒトには57の遺伝子と59以上の[[pseudogene/ja|偽遺伝子]]があり、18のシトクロームP450遺伝子ファミリーと43のサブファミリーに分かれている。これは遺伝子とそれらがコードするタンパク質の要約である。詳しい情報はシトクロームP450命名法委員会のホームページを参照のこと。 | ヒトには57の遺伝子と59以上の[[pseudogene/ja|偽遺伝子]]があり、18のシトクロームP450遺伝子ファミリーと43のサブファミリーに分かれている。これは遺伝子とそれらがコードするタンパク質の要約である。詳しい情報はシトクロームP450命名法委員会のホームページを参照のこと。 | ||
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| '''ファミリー''' || '''機能''' || '''メンバー''' || '''遺伝子''' || '''偽遺伝子''' | | '''ファミリー''' || '''機能''' || '''メンバー''' || '''遺伝子''' || '''偽遺伝子''' | ||
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| '''CYP5''' || [[thromboxane/ja|トロンボキサン]] A<sub>2</sub> [[thromboxane-A synthase/ja|合成]] || 1サブファミリー, 1遺伝子 || [[Thromboxane-A synthase/ja|CYP5A1]] || | | '''CYP5''' || [[thromboxane/ja|トロンボキサン]] A<sub>2</sub> [[thromboxane-A synthase/ja|合成]] || 1サブファミリー, 1遺伝子 || [[Thromboxane-A synthase/ja|CYP5A1]] || | ||
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| '''CYP7''' || [[bile acid/ja| | | '''CYP7''' || [[bile acid/ja|胆汁酸]]生合成 ステロイド核の7α水酸化酵素 || 2サブファミリー, 2遺伝子 || [[CYP7A1/ja|CYP7A1]], [[CYP7B1/ja|CYP7B1]] || | ||
|- | |- | ||
| '''CYP8''' || ''さまざま'' || 2サブファミリー, 2遺伝子 || [[CYP8A1/ja|CYP8A1]] ([[prostacyclin/ja|プロスタサイクリン]]合成酵素), [[CYP8B1/ja|CYP8B1]] (胆汁酸生合成) || | | '''CYP8''' || ''さまざま'' || 2サブファミリー, 2遺伝子 || [[CYP8A1/ja|CYP8A1]] ([[prostacyclin/ja|プロスタサイクリン]]合成酵素), [[CYP8B1/ja|CYP8B1]] (胆汁酸生合成) || | ||
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| '''CYP11''' || [[steroid/ja]]生合成 || 2サブファミリー, 3遺伝子 || [[CYP11A1/ja|CYP11A1]], [[CYP11B1/ja|CYP11B1]], [[CYP11B2/ja|CYP11B2]] || | | '''CYP11''' || [[steroid/ja|ステロイド]]生合成 || 2サブファミリー, 3遺伝子 || [[CYP11A1/ja|CYP11A1]], [[CYP11B1/ja|CYP11B1]], [[CYP11B2/ja|CYP11B2]] || | ||
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| '''CYP17''' || [[steroid]] | | '''CYP17''' || [[steroid/ja|ステロイド]]生合成、17α水酸化酵素 || 1サブファミリー, 1遺伝子 || [[CYP17A1/ja|CYP17A1]] || | ||
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| '''CYP19''' || [[steroid/ja|ステロイド]]生合成、17α水酸化酵素: [[aromatase/ja|アロマターゼ]]は[[estrogen/ja|エストロゲン]]を合成する。 || 1サブファミリー, 1遺伝子 || [[CYP19A1/ja|CYP19A1]] || | | '''CYP19''' || [[steroid/ja|ステロイド]]生合成、17α水酸化酵素: [[aromatase/ja|アロマターゼ]]は[[estrogen/ja|エストロゲン]]を合成する。 || 1サブファミリー, 1遺伝子 || [[CYP19A1/ja|CYP19A1]] || | ||
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| '''CYP20''' || 機能不明 || 1サブファミリー, 1遺伝子 || [[CYP20A1/ja|CYP20A1]] || | | '''CYP20''' || 機能不明 || 1サブファミリー, 1遺伝子 || [[CYP20A1/ja|CYP20A1]] || | ||
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| '''CYP21''' || [[steroid/ja]]生合成 || 1サブファミリー, 1遺伝子, 1偽遺伝子 || [[CYP21A2/ja|CYP21A2]] || [[CYP21A1P/ja|CYP21A1P]] | | '''CYP21''' || [[steroid/ja|ステロイド]]生合成 || 1サブファミリー, 1遺伝子, 1偽遺伝子 || [[CYP21A2/ja|CYP21A2]] || [[CYP21A1P/ja|CYP21A1P]] | ||
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| '''CYP24''' || [[vitamin D/ja]]劣化 || 1サブファミリー, 1遺伝子 || [[CYP24A1/ja|CYP24A1]] || | | '''CYP24''' || [[vitamin D/ja]]劣化 || 1サブファミリー, 1遺伝子 || [[CYP24A1/ja|CYP24A1]] || | ||
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| '''CYP46''' || [[cholesterol/ja|コレステロール]]24-水酸化酵素 || 1サブファミリー, 1遺伝子, 1偽遺伝子 || [[CYP46A1/ja|CYP46A1]] || CYP46A4P | | '''CYP46''' || [[cholesterol/ja|コレステロール]]24-水酸化酵素 || 1サブファミリー, 1遺伝子, 1偽遺伝子 || [[CYP46A1/ja|CYP46A1]] || CYP46A4P | ||
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| '''CYP51''' || [[cholesterol/ja|コレステロール]]生合成 || 1サブファミリー, 1遺伝子, 3偽遺伝子 || [[CYP51A1/ja|CYP51A1]] ([[lanosterol/ja| | | '''CYP51''' || [[cholesterol/ja|コレステロール]]生合成 || 1サブファミリー, 1遺伝子, 3偽遺伝子 || [[CYP51A1/ja|CYP51A1]] ([[lanosterol/ja|ラノステロール]] 14α脱メチル化酵素) || CYP51P1, CYP51P2, CYP51P3 | ||
|} | |} | ||
== 他の種のP450 == | |||
{{Anchor|P450s in other species}} | |||
=== 動物 === | |||
他の動物はヒトよりも多くのP450遺伝子を持つことが多い。報告されている数は、海綿動物''[[Amphimedon queenslandica/ja|Amphimedon queenslandica]]''の35遺伝子から、頭索動物''[[Branchiostoma floridae/ja|Branchiostoma floridae]]''の235遺伝子に及ぶ。[[mice/ja|マウス]]は101のP450の遺伝子を持っており、[[sea urchin/ja|ウニ]]はさらに多い(おそらく120もの遺伝子を持っている)。 | |||
ほとんどのCYP酵素はモノオキシゲナーゼ活性を持つと推定されており、これまで研究されてきたほとんどの哺乳類のCYPがそうである(例えば、[[aromatase/ja|CYP19]]や[[Thromboxane-A synthase/ja|CYP5]]を除く)。[[gene/ja|遺伝子]]や[[genome sequencing/ja|ゲノムの配列決定]]は、酵素機能の[[biochemical/ja|生化学的]]特徴付けをはるかに凌駕しているが、機能が知られているCYPに近い[[homology (biology)/ja|相同性]]を持つ多くの遺伝子が見つかっており、機能性を知る手がかりとなっている。 | |||
ヒト以外の動物で最もよく研究されるP450のクラスは、[[developmental biology|発達]]に関与するもの(例えば、[[retinoic acid/ja|レチノイン酸]]や[[hormone/ja|ホルモン]]代謝)、または毒性化合物([[heterocyclic amine/ja|複素環アミン]]や[[polyaromatic hydrocarbons/ja|多芳香族炭化水素]]など)の代謝に関与するものである。多くの場合、近縁動物におけるP450の[[gene regulation/ja|遺伝子制御]]や[[enzyme function/ja|酵素機能]]に違いがあり、毒性化合物に対する感受性の違いを説明することができる(例:イヌはカフェインなどのキサンチンを代謝できない)。薬物の中には、異なる酵素を介して両方の種で代謝を受け、異なる代謝物を生じるものもあれば、ある種では代謝されるが別の種ではそのまま排泄されるものもある。このため、ある物質に対するある種の反応は、ヒトにおけるその物質の効果を示す信頼できる指標とはならない。サボテン腐敗の解毒に[[CYP28A1/ja|CYP28A1]]遺伝子の発現上昇を利用するソノラ砂漠のショウジョウバエの一種に''[[Drosophila mettleri/ja|Drosophila mettleri]]''がある。この種のハエは、宿主植物中の高レベルのアルカロイドにさらされることにより、この遺伝子のアップレギュレーションに適応した。 | |||
P450は[[mice/ja|マウス]]、[[rat/ja|ラット]]、[[dog/ja|イヌ]]で広く調べられてきたが、[[zebrafish/ja|ゼブラフィッシュ]]ではあまり調べられてこなかった。最近では、鳥類、特に七面鳥でもP450が発見されており、ヒトのがん研究の有用なモデルになるかもしれない。七面鳥の[[CYP1A5/ja|CYP1A5]]と[[CYP3A37/ja|CYP3A37]]は、それぞれヒトの[[CYP1A2/ja|CYP1A2]]と[[CYP3A4/ja|CYP3A4]]に速度論的特性やアフラトキシンB1の代謝において非常に類似していることが判明した。 | |||
CYPは[[insect/ja|昆虫]]でも盛んに研究されており、その多くは[[pesticide resistance/ja|殺虫剤耐性]]を理解するためである。 例えば、[[CYP6G1/ja|CYP6G1]]は[[DDT/ja|DDT]]耐性の''[[Drosophila melanogaster/ja|ショウジョウバエ]]''の殺虫剤耐性と関連しており、[[malaria/ja|マラリア]]媒介蚊''[[Anopheles gambiae/ja|アノフェレス・ガンビエ]]''の[[CYP6M2/ja|CYP6M2]]は[[pyrethroids/ja|ピレスロイド]]を直接代謝することができる。 | |||
=== 微生物 === | |||
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微生物のシトクロムP450は多くの場合可溶性酵素であり、多様な代謝過程に関与している。細菌におけるP450の分布は非常に多様で、多くの細菌はP450を持たない(例えば''大腸菌'')。放線菌を中心に、多数のP450を持つ細菌もいる。これまでに同定されているものは、一般的に、異種化合物の生体内変換(例えば、''[[Streptomyces griseolus/ja|Streptomyces griseolus]]''由来の[[Vitamin D3 dihydroxylase/ja|CYP105A1]]は[[sulfonylurea herbicide/ja|スルホニルウレア除草剤]]を毒性の低い誘導体に代謝する)に関与しているか、特殊な代謝産物生合成経路の一部である(例えば、[[CYP170B1/ja|CYP170B1]]は[[Streptomyces albus/ja|Streptomyces albus]]の[[sesquiterpenoid/ja|セスキテルペノイド]]アルバフラベノンの生産を触媒する)。微生物において必須であることが示されているP450はまだないが、[[CYP105 family/ja|CYP105ファミリー]]は高度に保存されており、これまでに配列決定されたすべての[[streptomycete/ja|放線菌]]ゲノムに代表的なものが存在する。バクテリアのP450酵素は溶解性が高いため、主に膜に結合している真核生物のP450よりも扱いやすいと一般に考えられている。このことは、P450が触媒する驚くべき化学反応と相まって、試験管内で[[heterologously expressed protein/ja|異種発現タンパク質]]を用いた多くの研究につながっている。P450が生体内でどのような働きをするのか、天然の基質は何なのか、そしてP450が自然環境におけるバクテリアの生存にどのように貢献しているのかを調べた研究はほとんどない。構造的・機構的研究に大きく貢献した3つの例をここに挙げるが、多くの異なるファミリーが存在する。 | |||
* 多くのシトクロムP450のモデルとして使用されており、X線結晶構造解析によって解かれた最初の[[Cytochrome P450 cam/ja|シトクロムP450立体構造]]である。 この酵素は、[[putidaredoxin/ja|プチダレドキシン]]、2Fe-2Sクラスター含有タンパク質補因子からの2段階の電子伝達からなる樟脳水酸化触媒サイクルの一部である。 | |||
* [[Cytochrome P450 cam]] | * 放線菌''[[Saccharopolyspora erythraea/ja|Saccharopolyspora erythraea]]''に由来する[[Cytochrome P450 eryF/ja|シトクロムP450 eryF]](CYP107A1)は、[[antibiotic/ja|抗生物質]]の生合成を担う。マクロライドである6-デオキシエリスロノライドBのC6-ヒドロキシル化による[[erythromycin/ja|エリスロマイシン]]の生合成を担っている。 | ||
* | * 土壌細菌''[[Bacillus megaterium/ja|Bacillus megaterium]]''由来の[[Cytochrome P450 BM3/ja|シトクロムP450 BM3]] (CYP102A1)は、ω-1位からω-3位までのいくつかの[[ong-chain fatty acid/ja|長鎖脂肪酸]]のNADPH依存的な水酸化を触媒する。ほとんど全ての既知のCYP(CYP505A1、シトクロムP450フォクシーを除く)とは異なり、CYPドメインと電子供与性補酵素との天然の融合タンパク質を構成している。したがって、BM3はバイオテクノロジーの応用において非常に有用である可能性がある。 | ||
* [[thermophillic/ja|好熱菌]]である[[Sulfolobus solfataricus/ja|Sulfolobus solfataricus]]から単離されたシトクロムP450 119([[CYP119A1/ja|CYP119A1]])は、様々なメカニズム研究に利用されている。好熱性酵素は高温で機能するように進化したため、室温では(機能するとしても)ゆっくりと機能する傾向があり、そのため優れた機構モデルとなっている。 | |||
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=== 菌類 === | |||
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一般的に使用される[[Antifungal drug/ja#Imidazole, triazole, and thiazole antifungals|アゾール系]]クラスの抗真菌薬は、真菌の[[cytochrome P450 14α-demethylase/ja|シトクロームP450 14α-デメチラーゼ]]を阻害することで作用する。これにより、[[lanosterol/ja|ラノステロール]]から真菌細胞膜の成分である[[ergosterol/ja|エルゴステロール]]への変換が阻害される。 (これはヒトのP450には異なる感受性があるため有用であるだけで、このクラスの[[antifungals/ja|抗真菌薬]]はこのように作用する) | |||
真菌のP450については、多くの真菌がヒトに対して[[Pathogenic fungi/ja|病原性]]([[Candida (fungus)/ja|カンジダ]][[yeast/ja|酵母]]や[[aspergillus/ja|アスペルギルス]]などなど)であり、植物に対しても病原性真菌であるため、重要な研究が進行中である。 | |||
''[[Cunninghamella elegans/ja|Cunninghamella elegans]]''は、哺乳類の薬物代謝モデルとして使える候補である。 | |||
''[[Cunninghamella elegans]]'' | |||
=== 植物 === | |||
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シトクロムP450は植物の成長、発生、防御の様々な過程に関与している。P450遺伝子は植物ゲノムの約1%を占めると推定されている。これらの酵素は、様々な[[fatty acid/ja|脂肪酸]]抱合体、[[plant hormone/ja|植物ホルモン]]、[[secondary metabolite/ja|二次代謝産物]]、[[lignin/ja|リグニン]]、様々な防御化合物につながる。 | |||
シトクロムP450は植物防御において重要な役割を担っており、フィトアレキシン生合成、ホルモン代謝、多様な二次代謝産物の生合成に関与している。シトクロムP450遺伝子の発現は環境ストレスに応答して制御されることから、植物の防御機構において重要な役割を担っていることが示唆される。 | |||
ファイトアレキシンは、植物が病原菌に反応して生産する抗菌化合物であり、植物の防御機構において重要であることが示されている。ファイトアレキシンは病原体特異的ではなく、むしろ植物特異的である。しかし、それでもファイトアレキシンは様々な病原菌を攻撃することができる。シロイヌナズナはキャベツやマスタードに近縁の植物で、カマレキシンというファイトアレキシンを産生する。カマレキシンはトリプトファンに由来し、その生合成には5つのチトクロームP450酵素が関与している。5つのチトクロームP450酵素には、CYP79B2、CYP79B3、CYP71A12、CYP71A13、CYP71B15が含まれる。カマレキシン生合成の第一段階はトリプトファンからインドール-3-アセトアルドキシム(IAOx)を生成し、CYP79B2またはCYP79B3によって触媒される。その後、IAOxは直ちにインドール-3-アセトニトリル(IAN)に変換され、CYP71A13またはそのホモログであるCYP71A12によって制御される。カマレキシンの生合成経路の最後の2段階はCYP71B15によって触媒される。これらのステップでは、システイン-インドール-3-アセトニトリル(Cys(IAN))からインドール-3-カルボン酸(DHCA)が生成され、次いでカマレキシンが生合成される。この経路には不明な中間段階がいくつかあるが、シトクロムP450がカマレキシンの生合成において極めて重要であり、この植物性アレキシンが植物の防御機構において主要な役割を果たしていることはよく理解されている。 | |||
シトクロムP450は、ジャスモン酸(JA)の合成に大きく関与しており、これは植物細胞にとって、生物学的および生物学的ストレスに対する一般的な防御ホルモンである。例えば、P450の一つであるCYP74Aは、ヒドロペルオキシドから飽和アレンオキシドを生成する脱水反応に関与している。JAの化学反応は、特にシロイヌナズナで示されているように、植物の傷によって引き起こされる生物ストレスの存在下で重要である。プロホルモンであるジャスモン酸は、活性化されたとみなされるためには、JAR1触媒作用によってJA-イソロイシン(JA-Ile)結合体に変換されなければならない。そしてJA-Ileの合成は、COI1といくつかのJAZタンパク質からなる共受容体複合体の集合につながる。低JA-Ile条件下では、JAZタンパク質の構成要素は転写抑制因子として働き、下流のJA遺伝子を抑制する。しかし、JA-Ileが十分な条件下では、JAZタンパク質はユビキチン化され、26Sプロテアソームを通して分解を受け、機能的な下流効果をもたらす。さらに、いくつかのCYP94(CYP94C1とCYP94B3)がJA-Ileの代謝に関係しており、JA-Ileの酸化状態が植物のシグナル伝達に異化的に影響することを示している。細胞外および細胞内ストレスに応答するチトクロームP450ホルモンの調節は、植物の適切な防御反応に不可欠である。このことは、ジャスモン酸とフィトアレキシン経路における様々なCYP P450の徹底的な解析を通して証明されている。 | |||
[[Cytochrome P450 aromatic O-demethylase/ja|シトクロムP450芳香族O-デメチラーゼ]]は、シトクロムP450タンパク質(GcoA)と3つのドメインのレダクターゼという、2つの異なるプロミスキャスな部分からできており、植物の細胞壁によく見られる芳香族バイオポリマーであるリグニンを、一連の異化反応において再生可能な炭素鎖に変換する能力において重要である。つまり、リグニン変換の重要なステップを促進する役割を担っているのだ。 | |||
[[Cytochrome P450 aromatic O-demethylase]] | |||
==InterProサブファミリー== | |||
{{Anchor|InterPro subfamilies}} | |||
[[InterPro]] | [[:en:InterPro|InterPro]]サブファミリー: | ||
* | * シトクロムP450, B-class {{InterPro|IPR002397}} | ||
* | * シトクロムP450, mitochondrial {{InterPro|IPR002399}} | ||
* | * シトクロムP450, E-class, group I {{InterPro|IPR002401}} | ||
* | * シトクロムP450, E-class, group II {{InterPro|IPR002402}} | ||
* | * シトクロムP450, E-class, group IV {{InterPro|IPR002403}} | ||
* [[Aromatase]] | * [[Aromatase/ja|アロマターゼ]] | ||
クロザピン、イミプラミン、 パラセタモール、フェナセチン 複素環式アリールアミン | |||
誘導性でCYP1A2が5-10%欠損している。 | |||
ヘム代謝においてウロポルフィリノーゲンをウロポルフィリンに酸化する(CYP1A2)が、他にも未発見の内因性基質があるかもしれない。 | |||
は、タバコの煙や焦げた食品に含まれる多環式炭化水素の一部によって誘導される。 | |||
これらの酵素は、アッセイにおいて化合物を発癌性物質に活性化する可能性があるため、注目されている。 | |||
CYP1A2の高レベルは結腸癌のリスク上昇に関連している。1A2酵素はタバコの喫煙によって誘導されるため、喫煙と大腸がんは関連している。 | |||
==歴史== | ==歴史== |