ハートナップ病は、ナイアシン欠乏をもたらす遺伝性栄養障害である。必須アミノ酸であるトリプトファンの吸収不全をもたらす遺伝的障害を持つイギリスの家族にちなんで名付けられた。トリプトファンはナイアシン合成の前駆体である。症状はペラグラに似ており、赤い鱗屑状の発疹や日光に対する過敏性などがある。この疾患の治療として、ナイアシンまたはナイアシンアミドを1回50~100mg、1日2回経口投与するが、早期に発見し治療すれば予後は良好である。ナイアシン合成は、その前駆体であるトリプトファンがセロトニンを形成するために代謝転換されるため、カルチノイド症候群でも欠損する。