Cannabis (drug)/ja: Difference between revisions
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==== 生殖に関する健康 ==== | ==== 生殖に関する健康 ==== | ||
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=== 受動的アサ煙 === | === 受動的アサ煙 === | ||
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<small>[[File:Map-of-world-medical-cannabis-laws.svg|医療目的での大麻使用を合法化した国]]も参照。</small>]] | <small>[[:File:Map-of-world-medical-cannabis-laws.svg|医療目的での大麻使用を合法化した国]]も参照。</small>]] | ||
20世紀初頭以降、ほとんどの国が大麻の栽培、所持、移転に対する[[:en:prohibition (drugs)|法律]]を制定した。これらの法律は、娯楽以外の目的での大麻栽培にも悪影響を及ぼしてきたが、大麻の取り扱いが合法または許可制となっている地域も多い。多くの司法管轄区域では、少量の大麻所持に対する罰則を軽減し、投獄ではなく押収や時に罰金によって対応し、[[:en:black market|闇市場]]で薬物を取引する者に重点を置くようになっている。 | 20世紀初頭以降、ほとんどの国が大麻の栽培、所持、移転に対する[[:en:prohibition (drugs)|法律]]を制定した。これらの法律は、娯楽以外の目的での大麻栽培にも悪影響を及ぼしてきたが、大麻の取り扱いが合法または許可制となっている地域も多い。多くの司法管轄区域では、少量の大麻所持に対する罰則を軽減し、投獄ではなく押収や時に罰金によって対応し、[[:en:black market|闇市場]]で薬物を取引する者に重点を置くようになっている。 | ||
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{{lang|es|Sinsemilla}}(スペイン語で「種なし」の意)は、乾燥させた種子のない(すなわち[[:en:Parthenocarpy|単為結果性]]の)雌の[[Cannabis sativa/ja|大麻草]]の[[infructescence/ja|果序]]である。THCの生成は受粉が起こると減少するため、受粉を防ぐ目的でTHCをほとんど生成しない雄株は花粉を放出する前に除去され、[[:en:Parthenocarpy|単為結果性]]の果実の発達が促され、密集した[[infructescence/ja|果序]]として収穫される。屋外での栽培がよりリスクの高いものとなっている禁止措置への対応として、[[:en:Cannabis (drug) cultivation#Hydroponic cultivation|水耕栽培]]、[[:en:Cannabis (drug) cultivation#Feminized seeds|クローン繁殖]]、[[:en:Cannabis (drug) cultivation#Light|高強度の人工照明]]、および[[:en:Cannabis (drug) cultivation#SOG|シー・オブ・グリーン法]]などの高度な栽培技術が頻繁に用いられている。 | {{lang|es|Sinsemilla}}(スペイン語で「種なし」の意)は、乾燥させた種子のない(すなわち[[:en:Parthenocarpy|単為結果性]]の)雌の[[Cannabis sativa/ja|大麻草]]の[[infructescence/ja|果序]]である。THCの生成は受粉が起こると減少するため、受粉を防ぐ目的でTHCをほとんど生成しない雄株は花粉を放出する前に除去され、[[:en:Parthenocarpy|単為結果性]]の果実の発達が促され、密集した[[infructescence/ja|果序]]として収穫される。屋外での栽培がよりリスクの高いものとなっている禁止措置への対応として、[[:en:Cannabis (drug) cultivation#Hydroponic cultivation|水耕栽培]]、[[:en:Cannabis (drug) cultivation#Feminized seeds|クローン繁殖]]、[[:en:Cannabis (drug) cultivation#Light|高強度の人工照明]]、および[[:en:Cannabis (drug) cultivation#SOG|シー・オブ・グリーン法]]などの高度な栽培技術が頻繁に用いられている。 | ||
{{anchor|Skunk}}"Skunk"(スカンク)とは、選択的交配および時には[[:en:hydroponics|水耕栽培]]によって栽培された、強力な作用を持つ複数の命名品種の大麻を指す。それは''Cannabis sativa''と''C. indica''の交配種であり(この組み合わせによる他の品種も多数存在する)。スカンク大麻のTHC含有量は通常6%から15%の範囲であり、まれに20%に達する。オランダのコーヒーショップにおける平均THC含有量は約18〜19%である。 | |||
{{anchor|Skunk}}"Skunk" | |||
アメリカ合衆国で販売される大麻の平均THC含有量は、1970年代から2000年の間に劇的に上昇した。これにはさまざまな理由により異論があり、これが事実か、または不適切な検査手法による見かけ上の結果かについてのコンセンサスはほとんどない。slate.comに寄稿したDaniel Forbesによれば、現代の品種の相対的な強度は、非常に高価で強力だが普及率の低いサンプルに過度な重みが与えられているため、偏っている可能性があるという。かつては葉のようなTHC含有量の低い植物部位もサンプルに含めていた古い検査手法によって結果が歪められていた可能性があるとする者もいれば、現代の品種は実際に旧来の品種よりも大幅に強力であると考える者もいる。 | |||
大麻の主要な生産国は、アフガニスタン、カナダ、中国、コロンビア、インド、ジャマイカ、レバノン、メキシコ、モロッコ、オランダ、パキスタン、パラグアイ、スペイン、タイ、トルコ、イギリス、アメリカ合衆国である。 | |||
====価格==== | |||
==== | 大麻の価格、すなわち路上価値は、地理的地域やTHC含有量によって大きく異なる。価格および市場全体も時代とともに大きく変動してきた。 | ||
* 1997年、アメリカ合衆国では大麻は総合的に第4位の価値作物であり、カリフォルニア州、ニューヨーク州、フロリダ州を含む多くの州では第1位または第2位と推定された。この推定は、小売価格の約60%に相当する生産者価格({{convert|3000|$/lb|$/kg}})に基づいている。 | |||
* | * 2006年、大麻は360億ドルの市場であったと推定された。この推定値は誇張されていると異議を唱えられている。国連の2008年『世界薬物報告書』によると、2006年のアメリカおよびカナダにおける路上価格は、品質に応じてグラムあたり約8.8ドルから25ドル(オンスあたり約250ドルから700ドル)とされていた。アメリカ合衆国の典型的な小売価格はグラムあたり10〜15ドル(オンスあたり約280〜420ドル)であった。 | ||
* | * 2017年には、合法的な大麻取引全体(95億ドル)のうち、アメリカ合衆国が90%を占めると推定された。 | ||
* | |||
アメリカ合衆国の一部の州が大麻を合法化した後、路上価格は下落し始めた。コロラド州では、喫煙用の果序(infructescences)の価格が2014年から2019年の間にオンスあたり200ドルから120ドル(グラムあたり7ドルから4.19ドル)へと40%下落した。 | |||
[[:en:European Monitoring Centre for Drugs and Drug Addiction|欧州麻薬・薬物依存監視センター]]によれば、2008年におけるヨーロッパでの大麻の典型的な小売価格はグラムあたり2ユーロから20ユーロであり、大多数の欧州諸国では4〜10ユーロの範囲であった。 | |||
==大麻とゲートウェイ・ドラッグ仮説== | |||
== | {{See also/ja|:en:Gateway drug effect}} | ||
{{See also|Gateway drug effect}} | |||
ゲートウェイ仮説とは、大麻の使用がより「強力な」薬物を試す可能性を高めるというものである。この仮説は、大麻使用に対するアメリカ合衆国の禁止政策の主要な根拠と見なす者もおり、激しく議論されている。 | |||
いくつかの研究では、ゲートウェイ仮説を裏付ける証拠はないものの、若年層の大麻使用者は介入プログラムのリスク群として考慮されるべきであるとされている。その他の研究結果では、[[hard and soft drugs/ja|ハードドラッグ]]の使用者は[[poly drug use/ja|多剤併用者]]である傾向があり、介入は単一のハードドラッグ使用ではなく、複数の薬物使用に対応すべきであることが示されている。2009年から2010年のスコットランド犯罪・司法調査では、多剤併用者のほぼ3分の2が大麻を使用していた。 | |||
ゲートウェイ効果は、違法薬物使用に関わる社会的要因によって現れる可能性がある。大麻が違法であるため、その消費者は他の違法薬物を使用または販売している人物と接触する状況に置かれることが多い。アルコールおよびタバコもゲートウェイ・ドラッグと見なされる可能性があることが、研究によって示されている。しかしながら、より簡潔な説明としては、大麻が違法なハードドラッグよりも入手しやすく(また若年で)使用されやすいという点が挙げられる。さらに、アルコールとタバコは通常、大麻よりも早い年齢で入手しやすく(地域によっては逆の場合もある)、そのためこれらの薬物を最初に使用する「ゲートウェイの連鎖」が形成されやすくなるのである。これらの人物は、提供されるあらゆる薬物を試す傾向にある。 | |||
ゲートウェイ仮説に関連する代替理論として、共通依存傾向(common liability to addiction, CLA)理論がある。この理論では、何らかの理由で複数の娯楽用薬物を試す傾向にある個人が存在するとされており、「ゲートウェイ」とされる薬物は、単にハードドラッグよりも早い年齢で入手可能であるものにすぎない。研究者らは包括的なレビューにおいて、ゲートウェイ「理論」における出来事の連鎖を因果的なものとして提示することは、研究および介入の両方を妨げるため危険であると指摘している。 | |||
2020年、[[:en:National Institute on Drug Abuse|アメリカ国立薬物乱用研究所]]は、大麻がより強力な薬物へのゲートウェイであるという主張を支持する研究を発表したが、大麻使用者の大多数に当てはまるわけではないとした。同研究所は、大麻使用が「他の合法的・違法な薬物の使用に先行する可能性が高い」とし、「調査の第1波において大麻使用を報告した成人は、大麻を使用しなかった成人と比較して、3年以内にアルコール使用障害を発症する可能性が高かった。調査開始時点ですでにアルコール使用障害を有していた者が大麻を使用した場合、その障害が悪化するリスクも高かった。大麻使用はニコチン依存など他の薬物使用障害とも関連している」と報告している。また、「これらの発見は、大麻が『ゲートウェイ・ドラッグ』であるという考えと一致している。しかしながら、大麻を使用する人の大多数は他の『より強力な』薬物を使用するには至らない。また、交差感作は大麻に特有のものではなく、アルコールおよびニコチンも他の薬物に対する脳の反応を高める下地を作る点で共通しており、大麻と同様に、より有害な薬物に進行する前に使用される傾向がある」と述べている。 | |||
==研究== | |||
{{See also/ja|:en:Medical cannabis research}} | |||
{{See also|Medical cannabis research}} | |||
大麻に関する研究は、その植物が[[:en:Legality of cannabis|多くの国で違法]]であることから困難を伴う。研究目的で使用される標準化された大麻のサンプルを入手するのは難しく、アメリカの[[:en:Food and Drug Administration|食品医薬品局]]のような国家規制機関の認可を受けた場合に限られる。 | |||
大麻の影響を研究する上では、他にも困難が存在する。多くの大麻喫煙者はタバコも喫煙しており、これが交絡因子を引き起こす。つまり、癌の原因がタバコなのか大麻なのか、あるいはその両方なのかが不明確になる。また、研究者が大麻使用者を研究対象として募集するのも困難である。大麻が多くの国で違法薬物であるため、人々は研究参加に消極的であり、参加したとしても、実際にどれだけ大麻を使用しているかを正確に申告しない可能性がある。 | |||
== 関連項目 == | == 関連項目 == |
Latest revision as of 19:53, 7 August 2025
Cannabis (drug)/ja | |
---|---|
![]() 乾燥段階の大麻 | |
Pronunciation |
|
Source plant(s) | アサ, インディカ種, ルデラリス種 |
Part(s) of plant | 花および果実 |
Geographic origin | 中央アジアまたは南アジア |
Active ingredients | テトラヒドロカンナビノール, カンナビジオール, カンナビノール, テトラヒドロカンナビバリン |
Main producers | アフガニスタン、カナダ、中国、コロンビア、インド、ジャマイカ、レバノン、メキシコ、モロッコ、オランダ、パキスタン、パラグアイ、スペイン、タイ、トルコ、イギリス、アメリカ合衆国 |
Legal status |
|
Part of a series on |
Cannabis |
---|
![]() |
大麻(/ˈkænəbɪs/、一般的にはマリファナ(/ˌmærəˈwɑːnə/)、ウィード、ポット、ガンジャなど様々な名称で知られる)は、アサ属の植物に由来する非化学的に均一な精神作用性薬物である。中央アジアまたは南アジアを原産とする大麻は、レクリエーション目的やエンセオジェン目的の薬物として、また様々な伝統医学において何世紀にもわたって使用されてきた。テトラヒドロカンナビノール (THC) は大麻の主要な精神作用性成分であり、カンナビジオール (CBD) を含む少なくとも65のカンナビノイドなど、植物中に知られている483の化合物の1つである。大麻は、喫煙、気化、食品内、または抽出物として使用できる。
大麻には様々な精神的および身体的効果があり、多幸感、変性意識状態、時間感覚の変化、集中力の低下、短期記憶の障害、身体運動(バランスと微細な精神運動制御)の障害、リラックス効果、食欲の増進などがある。効果の発現は喫煙の場合には数分以内に感じられるが、食用の場合には(経口摂取された薬物が消化・吸収される必要があるため)最大90分かかる場合がある。効果は使用量に応じて2〜6時間持続する。高用量では、精神的な効果として不安、妄想(関係妄想を含む)、幻覚、パニック、パラノイア、精神病などが含まれることがある。大麻の使用と精神病のリスクとの間には強い関係があるが、因果関係の方向性については議論がある。身体的な効果には、心拍数の増加、呼吸困難、吐き気、および母親が妊娠中に大麻を使用した子供の行動上の問題が含まれる。短期的な副作用には、口腔乾燥や目の充血も含まれる場合がある。長期的な有害作用には、依存症、思春期に定期的な使用を開始した人の精神能力の低下、慢性的な咳、呼吸器感染症への感受性、カンナビノイド過食症候群などがある。
大麻は、精神的な目的でも使用されることがあるが、ほとんどはレクリエーション目的または医薬品として使用される。2013年には、1億2800万人から2億3200万人の人々が大麻を使用していた(15歳から65歳までの世界人口の2.7%から4.9%)。これは世界で最も一般的に使用されているほとんどの国で違法な薬物であり、ザンビア、アメリカ合衆国、カナダ、ナイジェリアの成人における使用率が最も高い。1970年代以降、違法な大麻の効力は増加しており、THC濃度が上昇し、CBD濃度が低下している。
Cannabisの植物は、少なくとも紀元前3千年紀から栽培されており、紀元前500年頃には中央アジアのパミール高原でその精神活性効果のために喫煙されていた証拠がある。14世紀以降、大麻は法的制限の対象となっている。20世紀以降、大麻の所持、使用、栽培はほとんどの国で違法となっている。2013年、ウルグアイは、レクリエーション目的での大麻の使用を合法化した最初の国となった。その他に合法化した国には、カナダ、ジョージア、ドイツ、ルクセンブルク、マルタ、南アフリカ、タイがある。アメリカ合衆国では、大麻のレクリエーション目的での使用は24州、3準州、およびコロンビア特別区で合法化されているが、この薬物は連邦レベルでは依然として違法である。オーストラリアでは、オーストラリア首都特別地域でのみ合法化されている。
語源
Cannabisはスキタイ語である。古代ギリシャ人は、大麻が消費されるスキタイ人の葬儀を観察することによって、大麻の使用を知った。アッカド語では、大麻はqunubu(𐎯𐎫𐎠𐎭𐏂)として知られていた。この言葉はヘブライ語にqaneh bosem(קָנֶה בֹּשׂם)として採用された。
用途
医療用途

医療大麻、または医療用マリファナとは、病気の治療や症状の改善のために大麻を使用することを指すが、単一の合意された定義は存在しない(例えば、大麻由来のカンナビノイドや合成カンナビノイドも使用される)。大麻が化学療法中の吐き気や嘔吐を軽減したり、HIV/AIDS患者の食欲を増進させたり、慢性疼痛や筋痙攣を治療したりするために使用できることを示唆するいくつかの証拠がある。他の医療用途での使用に関する証拠は、安全性や有効性について結論を出すには不十分である。化学療法による吐き気や嘔吐、神経障害性疼痛、多発性硬化症の治療における大麻またはその派生物の使用を裏付ける証拠がある。AIDSによる消耗症候群、てんかん、関節リウマチ、緑内障に対する使用を支持する証拠はより低いレベルである。
大麻の医療使用は、カナダ、ベルギー、オーストラリア、オランダ、ニュージーランド、スペイン、アメリカ合衆国の多くの州を含む限られた地域でのみ合法である。この使用には通常、処方箋が必要であり、流通は通常、現地の法律で定められた枠組みの中で行われる。
嗜好品としての使用
大麻を摂取して効果が出ている状態は、一般的に「ハイになっている(high)」と表現される。この「ハイ(high)」の状態は、使用者の過去の経験や、摂取した大麻の種類などによって大きく異なる。大麻を喫煙した場合、数分以内に陶酔効果が現れることがある。主観的な知覚や気分の変化とは別に、最も一般的な短期的な身体的・神経学的効果には、心拍数の増加、食欲の増進、短期記憶およびワーキングメモリの障害、精神運動協応の障害などがある。
大麻の摂取によるさらなる望ましい効果には、リラクゼーション、一般的な意識の知覚の変化、感覚の増進、性欲の増進、時間や空間の認識の歪みなどがある。場合によっては、解離状態、例えば離人症や現実感消失につながることもある。
精神的な使用
大麻はいくつかの宗教において神聖な地位を占めており、ヴェーダ時代以来、インド亜大陸でエンセオジェン、つまり宗教、シャーマニズム、スピリチュアルな文脈で使用される化学物質として利用されてきた。インド亜大陸における大麻の神聖な地位に関する最も初期の記録は、紀元前1400年頃に作られたと推定されるアタルヴァ・ヴェーダに由来する。 ヒンドゥー教の神シヴァは、大麻の使用者として「バングの主」として記述されている。 現代文化において、大麻の精神的な使用は、大麻を秘跡として、また瞑想の補助として使用するラスタファリ運動の信奉者によって広められた。
摂取
摂取方法


脱炭酸してTHCAをTHCにするために熱を加える、様々なアサの摂取方法が存在する。一般的な方法は、以下の通りである。
- 喫煙は、小型パイプ、ボング、水ギセルに水を入れた携帯版であるボング、紙で巻いたジョイント、タバコの葉で巻いたブラントなどでカンナビノイドを燃やし吸引する方法である。
- 気化摂取は、様々なアサを165–190°Cまで加熱し、植物を燃焼させずに蒸気を発生させる方法である(THCの沸点は、大気圧下では157°Cである)。
- 食用は、バターや焼き菓子など様々な食品の材料としてアサを加える方法である。インドでは、バングという飲み物として一般的に摂取されている。
- 大麻茶は、THCが親油性で水にわずかしか溶けないこと(2.8 mg/l)を考慮して、飽和脂肪を多く含む食品と一緒に用いて作られる。
- 大麻のチンキ剤は、グリーンドラゴンとも呼ばれ、アルコールチンキ剤の大麻濃縮液である。
- カプセルは、通常ハッシュオイルやその他の栄養補助食品を含み、2018年にはカナダで約220品目が承認された。
国別の消費
Substance | Best estimate |
Low estimate |
High estimate |
---|---|---|---|
Amphetamine- type stimulants |
34.16 | 13.42 | 55.24 |
Cannabis | 192.15 | 165.76 | 234.06 |
Cocaine | 18.20 | 13.87 | 22.85 |
Ecstasy | 20.57 | 8.99 | 32.34 |
Opiates | 19.38 | 13.80 | 26.15 |
Opioids | 34.26 | 27.01 | 44.54 |
2013年には、1億2800万人から2億3200万人の人々が大麻を使用しており(15歳から65歳の世界人口の2.7%から4.9%)、アサは違法な薬物の中で最も広く使用されている。成人(2018年現在)の使用者数が最も多い国はザンビア、アメリカ合衆国、カナダ、ナイジェリアである。
アメリカ合衆国
1973年から1978年にかけて、11の州がマリファナを非犯罪化した。2001年には、ネバダ州がマリファナの所持を軽犯罪に引き下げ、2012年以降は、他のいくつかの州でもマリファナを非犯罪化、あるいは合法化している。
2018年の調査によると、アメリカ合衆国の人々のほぼ半数がマリファナを試したことがあり、16%が過去1年間に使用し、11%が過去1カ月間に使用したことがある。2014年の調査によると、アメリカ合衆国の大学生の間でのマリファナの日常的な使用は、記録が始まった1980年以降で最高レベルに達し、2007年の3.5%から2014年には5.9%に上昇し、タバコの日常的な使用を上回った。
アメリカ合衆国では、男性は女性の2倍以上マリファナを使用する傾向があり、18歳から29歳は65歳以上の6倍使用する傾向がある。2015年には、アメリカ合衆国の人口の44%がこれまでの人生でマリファナを試したことがあり、2013年の38%、1985年の33%から増加した。
アメリカ合衆国におけるマリファナの使用は世界平均の3倍であるが、他の西側民主主義国と同程度である。アメリカの高校12年生の44%が一度はマリファナを試したことがあり、初回使用の平均年齢は16歳で、アルコールの初回使用年齢と同様であるが、他の違法薬物の初回使用年齢よりは低い。
2022年のギャラップの世論調査では、アメリカ人が初めてタバコよりも多くのマリファナを吸っていると結論付けられた。
有害作用
短期

急性的な悪影響には、不安やパニック、注意力と記憶力の低下、精神病症状のリスク増加、明確な思考力の欠如、事故のリスク増加などがある。大麻は人の運転能力を損ない、THCは、車両事故を起こした運転手の血液から最も頻繁に発見される違法薬物である。THCが体内に残留している者は、大麻もアルコールも使用していない者と比較して、事故の原因となる可能性が3倍から7倍高いが、THCは陶酔後、数日から数週間にわたって血流中に残留するため、その役割が必ずしも因果的であるとは限らない。
即時に現れる望ましくない副作用には、短期記憶の低下、ドライマウス、運動能力の低下、眼の充血、めまい、倦怠感、嘔吐などがある。一部の使用者では、急性の精神病を発症する場合があり、通常は6時間で治まるが、まれに重度の使用者では症状が何日も続くことがある。
合法化によって、特に食用の大麻に児童がさらされる割合が増加している。児童におけるTHCの毒性と致死性は不明であるが、脳症、低血圧、人工呼吸を要するほどの重度の呼吸抑制、傾眠、昏睡のリスクがある。
死亡
ある系統的メタアナリシスによると、大麻の使用者は心臓病による死亡率が2倍になることが示された。大麻の使用者は、非使用者と比較して心臓発作のリスクが29%高く、脳卒中のリスクが20%高かった。特に若年層の使用者において、大麻の使用と自殺との間に関連性がある。
オレゴン州とアラスカ州の救急救命室を対象とした16カ月間の調査では、急性大麻中毒で入院した成人1名の死亡が報告された。
2025年の最近の研究では、大麻の使用による悪影響があるにもかかわらず、使用を止められないことが特徴である大麻使用障害と診断された人は、この障害を持たない人と比較して、5年間で死亡率がほぼ3倍に増加することが示唆された。この研究は、この障害を持つ人々が一般人口よりも自殺によって死亡する可能性が10倍高いことを示している。さらに、外傷、薬物中毒、肺癌による死亡リスクも高い。別の研究では、カナダで大麻が合法化された後、大麻使用障害に関連する統合失調症と精神病の症例が増加していることがわかった。
長期

心理的影響
2015年のメタアナリシスでは、禁断期間が長いほど障害の程度が小さいことと関連しているものの、大麻使用者では回想的記憶と展望的記憶の両方が損なわれていることがわかった。著者らは、大麻の使用に関連する欠陥の一部は可逆的であるものの、全てではないと結論付けた。2012年のメタアナリシスでは、ほとんどの認知領域における欠陥は急性の陶酔期間を過ぎても持続するが、25日以上禁断した被験者を対象とした研究では明らかでなかった。大麻が認知に与える長期的な影響に関する質の高い研究はほとんど行われておらず、結果は一般的に一貫していなかった。さらに、有意な発見の効果量は一般的に小さかった。あるレビューでは、ほとんどの認知機能は大麻の使用によって損なわれないものの、実行機能に残存する欠陥が生じると結論付けられた。実行機能の障害は、高齢者の集団で最も一貫して見られ、これはより重度の大麻への曝露、または思春期の大麻の使用に関連する発達上の影響を反映している可能性がある。あるレビューでは、自己申告による大麻の使用とIQの関係を調査した3つの前向きコホート研究が見つかった。最も多くの重度の大麻使用者を追跡した研究では、IQが7歳から13歳の間と38歳の間で低下したと報告された。学業成績の低下と早期の退学の増加は両方とも大麻の使用と関連していたが、因果関係は確立されていなかった。大麻使用者は、タスク関連の脳領域で活動が増加し、処理効率の低下による代償活動と一致していた。
生活の質の低下は重度の大麻の使用と関連しているが、その関係は一貫しておらず、タバコや他の物質よりも弱い。しかし、原因と結果の方向は不明確である。
大麻の長期的な影響は明確ではない。記憶と認知の問題、依存症のリスク、若年者における統合失調症のリスクに関する懸念がある。
神経画像診断
白質と灰白質の全体的な異常は大麻の使用と一貫して関連しているわけではないが、海馬の体積減少は一貫して見られる。扁桃体の異常が報告されることもあるが、その発見は一貫していない。
大麻の使用は、背外側前頭前野などのタスク関連領域の動員増加と関連しており、これは処理効率の低下による代償活動を反映していると考えられている。大麻の使用はまた、CB1受容体のダウンレギュレーションと関連している。ダウンレギュレーションの程度は累積的な大麻曝露と関連しており、1カ月間の禁断後に元に戻る。慢性的な大麻の使用が、ヒトの脳におけるグルタミン酸代謝物のレベルを低下させる可能性があるという限られた証拠がある。
大麻依存
DSM-IV (1994)の基準によると、マリファナを試した人の約9%が最終的に依存症になる。2013年のレビューでは、日常的な使用は10~20%の依存率と関連していると推定されている。大麻依存の最も高いリスクは、学業不振の経歴、小児期および思春期における逸脱行動、反抗性、親との関係不良、または親が薬物やアルコールの問題を抱えていた経歴がある人に見られる。日常的な使用者の約50%が使用中止時に離脱症状を経験し(すなわち依存症であり)、睡眠の問題、易怒性、不快気分、渇望を特徴とする。大麻の離脱症状はアルコールの離脱症状よりも深刻ではない。
DSM-5の基準によると、大麻に曝露された人の9%が大麻使用障害を発症するが、コカインでは20%、アルコールでは23%、ニコチンでは68%である。DSM-5における大麻使用障害は、DSM-IVの大麻乱用と依存の基準に、法的な問題に関する基準を除き、渇望を追加したものである。
精神科
臨床的な観点から、大麻(またはカンナビノイド)の使用に関連する精神疾患には、一過性で非持続的な精神病反応と、統合失調症に似たより長く持続的な障害という2つの重要な考え方がある。前者は、急性大麻関連精神病症状(CAPS)として正式に知られている。
疫学的なレベルでは、大麻の使用と精神病のリスク増加および精神病のより早期の発症との間に量反応関係が存在する。疫学的な関連性は強固であるが、因果関係を証明する証拠は不足している。
大麻はうつ病のリスクも増加させる可能性があるが、結論を出すには不十分な研究しか行われていない。大麻の使用は不安障害のリスク増加と関連しているが、因果関係は確立されていない。
2019年のレビューでは、統合失調症、精神病、または他の精神疾患の治療に大麻を使用することの安全性と有効性を判断するには研究が不十分であると結論付けられた。別の研究では、思春期の大麻の使用が、その後の人生でうつ病や自殺行動を発症するリスク増加と関連していることがわかった一方、不安への影響はないことがわかった。
身体的
マリファナへの重度の長期曝露は、身体的、精神的、行動的、社会的な健康上の影響をもたらす可能性がある。これは、「肝臓(特にC型肝炎が併存している場合)、肺、心臓、血管の疾患と関連している」可能性がある。2014年のレビューでは、大麻の使用はアルコールの使用よりも有害性が低い可能性がある一方で、さらなる研究なしに飲酒問題の代替として推奨することは時期尚早であると結論付けられた。2015年から2019年にかけて実施された様々な調査では、多くの大麻使用者が処方薬(オピオイドを含む)、アルコール、タバコの代替として使用していることがわかり、アルコールやタバコの代わりに大麻を使用した人のほとんどは、後者の摂取量を減らすか、または止めていた。
カンナビノイド過食症候群(CHS)は、一部の慢性的な大麻使用者に見られる重度の症状であり、24~48時間、制御不能な嘔吐を繰り返す。 CHSが原因で死亡した4件の症例が報告されている。
大麻の喫煙が呼吸器系に与える影響を調査した研究は限られている。慢性的な重度のマリファナ喫煙は、呼吸器感染症、咳、痰の生成、喘鳴、および慢性気管支炎の他の症状と関連している。入手可能な証拠は、大麻の使用と慢性閉塞性肺疾患との間の因果関係を支持していない。大麻の短期的な使用は気管支拡張と関連している。大麻の使用の他の副作用には、反復性の吐き気、腹部けいれん痛、および嘔吐を伴う状態であるカンナビノイド過食症候群(CHS)がある。
大麻の煙には、何千もの有機および無機の化学物質が含まれている。このタールはタバコの煙に含まれるものと化学的に類似しており、大麻の煙からは50以上の既知の発癌性物質が特定されている。また、大麻の煙はタバコの煙よりも深く吸い込まれる。2015年現在、大麻の喫煙が癌のリスク増加と関連しているかどうかについて合意は得られていない。大麻の軽度および中程度の使用は、肺癌や上気道癌のリスクを増加させるとは考えられていない。重度かつ長期的な使用がこれらの癌を引き起こすという証拠はまちまちである。一般的に、定期的に大麻を喫煙する人の肺合併症のリスクは、タバコを喫煙する人よりもはるかに低い。2015年のレビューでは、大麻の使用と精巣胚細胞腫瘍(TGCT)、特に非セミノーマTGCTの発症との間に関連性が見つかった。別の2015年のメタアナリシスでは、生涯にわたる大麻の使用と頭頸部癌のリスクとの間に関連性はないことがわかった。気化器を使用したり、錠剤の形でTHCを摂取したり、アサ食品を摂取したりする場合には、燃焼生成物は存在しない。
大麻が心血管疾患の一因となる可能性があるという懸念があるが、2018年現在、この関係の証拠は不明確である。これらの事象に関する研究は、大麻がしばしばタバコと併用され、アルコールやコカインなど心血管リスク因子があることが知られている薬物と併用されるため、複雑である。大麻の喫煙はまた、摂取後60分間の心筋梗塞のリスクを4.8倍に増加させることが示されている。
大麻が、血栓の治療に使用される処方薬の抗凝血剤の特性を妨害するという予備的な証拠がある。2019年現在、抗炎症薬および可能な鎮痛剤としての大麻の作用機序は定義されておらず、大麻 を薬物として使用するための政府の規制上の承認や臨床的な慣行はなかった。
救急救命への搬送
救急救命(ER)への大麻の使用に関連する入院は、2012年から2016年にかけて大幅に増加し、12歳から17歳の青少年が最も高いリスクを持っていた。合法化後のコロラド州のある医療センターでは、ER入院の約2パーセントが大麻使用者として分類された。これらの使用者の症状の4分の1は、部分的に大麻に起因するとされた(合計449,031人の患者のうち2,567人)。他の薬物が関与している場合もあった。これらの大麻による入院のうち、4分の1は急性精神症状のためであり、主に自殺念慮、うつ病、不安であった。さらに3分の1の症例は、カンナビノイド過食症候群を含む消化器系の問題であった。
アメリカ合衆国保健福祉省によると、2011年には大麻の使用に関連する救急救命への搬送が455,000件あった。これらの統計には、患者が最近の大麻の使用によって誘発された、または関連する症状の治療を受けた訪問が含まれる。薬物使用は救急救命への搬送に「関連付けられる」必要があるが、訪問の直接的な原因である必要はない。ほとんどの違法薬物救急救命への訪問は、複数の薬物が関与していた。129,000件のケースでは、大麻が唯一関連付けられた薬物であった。
生殖に関する健康
受動的アサ煙
2022年の研究では、ボングを使って大麻を喫煙すると、リビングルームなどの閉鎖空間で発癌性物質である微粒子状物質のバックグラウンドレベルが大幅に増加することがわかった。15分後、微粒子状物質の平均レベルはアメリカ合衆国環境保護庁の有害な空気質基準値の2倍以上であり、140分後には、タバコや水ギセルを使ってタバコを喫煙した場合よりも濃度が4倍高かった。これは、ボングからの受動的大麻煙が非喫煙者にとって健康リスクをもたらす可能性があることを示唆している。
薬理学
作用機序
THCはCB1受容体に対する弱い部分作動薬であり、CBDはCB1受容体に対する拮抗薬である。CB1受容体は主に脳および一部の末梢組織に存在し、CB2受容体は主に末梢組織に存在するが、神経膠細胞にも発現している。THCはCB1受容体に対する作動薬としての作用を通じて気分および認知を変化させるようであり、この受容体はセカンダリーメッセンジャー系(アデニル酸シクラーゼ)を用量依存的に阻害する。
CB1受容体の活性化を通じて、THCは間接的にドーパミンの放出を増加させ、精神作用を生じさせる。CBDはまた、μオピオイド受容体およびδオピオイド受容体のアロステリックモジュレーターとしても作用する。THCはまた、グリシン受容体の作用を増強する。これらの作用が大麻の効果にどのように、あるいはどの程度寄与しているかは不明である。
薬物動態
カンナビノイドは脂溶性が非常に高いため、体内に長期間残存する。THCを一度投与しただけでも、投与量および検出方法の感度に応じて、体内に数週間またはそれ以上にわたってTHCが検出可能である。研究者らは、これは大麻の効果における重要な要因である可能性があると示唆しており、特にカンナビノイドが神経細胞の脂質膜に蓄積することが考えられている。
化学
化学組成
大麻の主な精神活性成分はテトラヒドロカンナビノール(THC)であり、これはテトラヒドロカンナビノール酸(THCA)に熱を加えることで脱炭酸されて生成される。生の葉にはカンナビノイドがカルボン酸の形で存在するため、精神活性はない。THCはこの植物に含まれる483種の既知化合物のひとつであり、その中にはカンナビジオール(CBD)も含まれる。
体液中の検出
THCおよびその主要な(不活性な)代謝産物であるTHC-COOHは、クロマトグラフィー技術を用いて、薬物使用検査プログラムまたは交通違反やその他の刑事事件における法医学的調査の一環として、血液、尿、毛髪、唾液、または汗中で測定することができる。このような分析から得られる濃度は、能動的使用と受動的曝露の区別、使用からの経過時間、および使用の程度や期間の推定に役立つことが多い。ただし、これらの検査では、医療目的で認可された大麻の喫煙と、認可されていない娯楽目的の喫煙とを区別することはできない。市販のカンナビノイド免疫測定法は、しばしば大麻の存在を調べるために生理学的検体をスクリーニングする初期の方法として用いられるが、THCおよびその代謝産物との交差反応性の程度は異なる。尿には主にTHC-COOHが含まれる一方で、毛髪、唾液および汗には主にTHCが含まれる。血液には両方の物質が含まれうるが、その相対量は使用の新しさおよび使用量に依存する。
デュケノワ=ルビン検査は、現場におけるスクリーニング検査として一般的に用いられているが、幅広い物質が偽陽性を示すことがあるため、大麻の存在を確定的に確認することはできない。ジョン・ジェイ刑事司法大学の研究者は、亜鉛サプリメントの摂取が尿中のTHCおよび他の薬物の存在を隠す可能性があると報告した。しかし、ユタ大学医学部の研究者による2013年の研究は、自己投与による亜鉛が尿中薬物検査で偽陰性を生じさせる可能性を否定している。
品種および系統


CBDは5-HT1A受容体作動薬であり、抗不安作用があるかどうかを調べるための実験研究が行われている。一般に、サティバ種はより刺激的な精神作用のハイをもたらし、インディカ種は身体的なハイを伴う鎮静効果があるとされている。しかしながら、この主張は研究者によって異議を唱えられている。
2015年のレビューによれば、CBDとTHCの比率が高い系統の大麻を使用した場合、陽性症状(妄想や幻覚など)が有意に少なく、認知機能が良好であり、精神病を発症するリスクが低く、発症年齢も遅いことが、CBDとTHCの比率が低い大麻と比較して示された。
精神活性成分
国際連合薬物犯罪事務所(UNODC)によれば、「大麻サンプル中に含まれるTHCの量は、一般的に大麻の効力の指標として用いられている」。大麻製品には主に3つの形態があり、それは花・果実、樹脂(ハシシ)、およびオイル(ハシシオイル)である。UNODCは、大麻には通常5%のTHCが含まれており、樹脂は「最大20%のTHCを含むことがあり」、また「大麻オイルは60%以上のTHCを含む可能性がある」としている。
1970年代以降、非合法大麻の効力は大幅に上昇しており、THC含有量は増加し、CBD含有量は減少している。しかしながら、THC含有量の増加が使用者によるTHC摂取量の増加を引き起こしたのか、それとも使用者が効力に応じて摂取量を調整しているのかは不明である。THC含有量の上昇により、摂取するタールの量を減らすことが可能になっていると考えられている。同時に、押収されたサンプルにおけるCBD含有量は低下しており、その要因の一部はTHC濃度を高めようとする意図や、より多くの非合法栽培者が人工照明を使用して屋内で栽培していることにある。これにより発見を回避できる一方で、植物のCBD生産量は減少する。
オーストラリアの国家大麻予防情報センター(NCPIC)によれば、雌株の花穂には最も高い濃度のTHCが含まれ、次に葉が続く。茎や種子は「THC含有量がはるかに低い」とされる。国連によれば、葉は花穂の10分の1、茎は花穂の100分の1のTHCしか含まない可能性がある。
イギリスにおける大麻の分類見直しに伴い、政府は大麻をクラスC薬物からクラスB薬物へと再分類した。その一因とされたのが高濃度THCを含む大麻の出現である。彼らは、スカンクが警察によって押収されるサンプルの70%から80%を占めていると考えている(ただし、スカンクがすべてのハーブ型大麻と誤認されることもある)。抽出物であるハシシやハシシオイルは、一般的に高濃度の大麻花穂よりも多くのTHCを含む。
混入大麻および合成カンナビノイド
合成カンナビノイドが混入されたヘンプの花穂(または低効力の大麻花穂)が、2020年に大麻の路上薬物として販売され始めた。
大麻にオピオイド薬(ヘロインやフェンタニルなど)が混入されている場合、その短期的な効果は変化する。これらの薬物が追加される目的は、精神作用を強化し、重量を増加させ、利益率を高めることであるが、過剰摂取の危険性も増加させる。
調製法
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乾燥した花穂(マリファナ)
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キーフ1グラム
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ハシシ
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ハシシオイル
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抽出物(乳製バター)
マリファナ
マリファナまたはマリフアナ(ハーブ大麻)は、雌株の大麻植物の乾燥した花、果実、およびそれを支える葉や茎から構成される。これは最も広く消費されている形態であり、THC含有量は3%から20%であるが、33%に達するという報告もある。これは他のすべての調製物の原料となる基本素材である。ハーブ大麻と産業用ヘンプは同一種から派生し、精神活性成分(THC)を含むが、生化学的組成および用途は異なる系統である。ヘンプはTHC含有量が低く、CBD含有量が高いため、精神活性効果はより穏やかである。
キーフ
キーフはトリコームを豊富に含む粉末であり、大麻植物の葉、花、および果実からふるいにかけて得られる。それは粉末のまま消費することも、圧縮してハシシの塊に加工することもできる。「キーフ」という語はアラビア語口語のكيف(kēf/kīf、「快楽」の意)に由来する。
ハシシ

ハシシ(hasheesh、hashisha、または単にhashとも綴られる)は、キーフ(大麻の果実、花、葉から脱落したトリコームや細かい物質)を圧縮して作られる樹脂の塊または球体である。植物表面から樹脂をこすり取り、それを丸めて球体にする方法もある。その色は純度および原料の品種によって黒から金褐色まで変化する。経口摂取、喫煙、あるいは気化(ヴェーピング)によって使用される。
チンキ
抽出されたカンナビノイドは、高度数のスピリッツ(通常はグレインアルコール)を用いてチンキを作ることで得られ、「グリーンドラゴン」とも呼ばれる。Nabiximolsはチンキ製造を行う製薬会社の商品名である。
ハシシオイル
ハシシオイルは、溶媒抽出によって大麻植物から得られたカンナビノイドの樹脂状マトリックスであり、硬化または粘性のある塊となる。ハシシオイルは、その体積あたりの精神活性成分の含有量が高いため、大麻製品の中でも最も強力なものとなる可能性がある。この濃度は、植物中の精油および精神活性成分の組成により変動する。近年ではブタンおよび超臨界二酸化炭素を用いたハシシオイルが人気を集めている。
抽出物(インフュージョン)
使用される不揮発性溶媒の多様性により、多くの種類の大麻抽出物が存在する。植物材料は溶媒と混合され、圧搾および濾過されることで植物の油分が溶媒中に抽出される。この過程で使用される溶媒の例として、ココアバター、乳製バター、調理油、グリセリン、および皮膚用保湿剤などがある。使用される溶媒によっては、大麻食品に使用されたり、外用として適用される。
マリフアナ・プレンサダ
Marihuana prensada(プレスマリファナ)は、大麻から派生した製品であり、1990年代以降、南米の低所得層に広く流通している。現地では主に「paraguayo」または「paragua」として知られており、主要な生産国がパラグアイであることに由来する。マリファナは乾燥され、結合剤と混合されるが、これが毒性を持ち、健康に非常に有害である。それはレンガ(ladrillos)の形に成形され、アルゼンチン、ブラジル、チリ、ペルー、ベネズエラ、さらにはアメリカ合衆国でも安価で販売されている。
歴史
古代の歴史

大麻は中央アジアまたは南アジア原産であり、繊維や縄としての用途は中国や日本の新石器時代にまで遡る。大麻が向精神作用を持つことがいつ知られるようになったかは不明である。大麻を燃焼させた最古の考古学的証拠は、紀元前3500年に遡るルーマニアのkurganで発見された。学者らは、この薬物が青銅器時代にポンティック・カスピ海草原に住む原インド・ヨーロッパ人の部族によって儀式に使用され始めたと示唆しており、その風習はインド・ヨーロッパ語族の拡散の過程で西ユーラシア全体に広まったとされる。一部の研究では、ヴェーダに言及される古代インド・イラン人の薬物ソーマには、時に大麻が含まれていたとされる。これはトルクメニスタンにある紀元前2千年紀の神殿で、大麻を含む鉢が発見されたことに基づく。
大麻は古代アッシリア人にも知られており、彼らはイラン人を通じてその向精神作用を知った。一部の宗教儀式で使用され、qunubu(「煙を生み出す手段」の意)と呼ばれ、現代の「cannabis(カンナビス)」という語の語源である可能性がある。イラン人はまた、大麻をスキタイ人、トラキア人、ダキア人に伝えた。彼らのシャーマン(kapnobatai – 「煙/雲の上を歩く者たち」)は、大麻の果実部を燃やしてトランス状態を引き起こした。中国では紀元前2800年以前に使用され、インドでは紀元前1000年までに治療目的で使用されており、食品や飲料にも用いられた。バングーもその一例である。

大麻は古代より儀式的使用の歴史を有し、世界中の宗教で使用されてきた。娯楽目的や神秘体験目的の薬物として、また様々な伝統医学で何世紀にもわたり使用されてきた。大麻の喫煙に関する最古の証拠は、中国西部のパミール山脈にあるジルザンカル墓地(約2500年前)で発見されており、火葬儀式に使用されたと考えられる焦げた小石入りの香炉から大麻の痕跡が見つかっている。考古学者がパジリク遺跡で発見した麻の種子は、紀元前5〜2世紀にかけてスキタイ人による儀式的実践(例:食用)が存在したことを示し、ヘロドトスによる歴史的記述を裏付けている。大麻はマムルーク朝期にはスーフィー諸派、例えばカランダル派などによってイスラム教徒にも用いられた。エチオピアで発見され、炭素年代測定で約1320年頃とされる喫煙パイプからも大麻の痕跡が検出されている。
近代の歴史
大麻は1530年から1545年の間に新世界へスペイン人によって導入された。1836年から1840年にかけて北アフリカおよび中東を旅行したフランスの医師ジャック=ジョセフ・モローは、大麻の心理作用について記述し、1844年にはパリにハシシンのクラブを設立した。1842年、東インド会社の医療官としてベンガルで勤務中に大麻を研究したアイルランド人医師ウィリアム・ブルック・オショーネシーは、帰国の際に大麻を持ち帰り、西洋での関心を再燃させた。この時代の大麻に言及した古典文学としては、ボードレールの『Les paradis artificiels』(1860年)や、フィッツ・ヒュー・ラドローの『The Hasheesh Eater』(1857年)がある。

大麻は14世紀から一部の国で違法化され始め、20世紀半ばまでにはほとんどの国で違法となった。モーリシャスの植民地政府は1840年に、インド人契約労働者への影響を懸念して大麻を禁止した。同様の措置は1870年のシンガポールでも取られた。アメリカ合衆国では1906年にコロンビア特別区で初めて大麻販売が制限された。カナダでは、1923年の『The Opium and Narcotic Drug Act』により、国内での使用報告がないにもかかわらず大麻が刑事罰の対象となったが、2018年には娯楽・医療目的での使用が合法化された。
1925年、ハーグで開催された国際アヘン条約に関する国際会議において、「インド大麻」の輸出を禁止する妥協案が成立し、それを禁止している国への輸出を禁じた。また、輸入国には、輸入許可証の発行と、その輸入が「専ら医療または科学目的」であることを明記するよう求めた。さらに、「インド大麻とその樹脂の国際的な不正取引を防止するための効果的な管理」を行う義務も定められた。アメリカ合衆国では1937年にマリファナ税法が成立し、大麻のみならず産業用ヘンプの生産も禁止された。

1972年、オランダ政府は薬物を危険度に基づき分類し、大麻を比較的危険度の低いカテゴリーに位置付けた。これにより、30 grams (1.1 oz)以下の所持は軽犯罪とされた。1976年以降、大麻はコーヒーショップで娯楽目的に販売されている。ただし、大麻製品は特定のコーヒーショップにおいてのみ公然と販売され、個人使用目的での5 grams (0.18 oz)までの所持は非犯罪化されているものの、警察によって押収されることもあり、特に国境付近の車両検査では頻繁に行われている。その他の販売や輸送は認められておらず、公的に非犯罪化される以前から、オランダにおける大麻に対する姿勢は寛容であった。
ウルグアイでは、2013年12月にホセ・ムヒカ大統領が娯楽用大麻合法化法に署名し、近代において大麻を合法化した最初の国となった。2014年8月には、家庭での6株までの栽培と栽培クラブの設立、国家管理による大麻薬局制度が合法化された。
October 17, 2018[update]、カナダで娯楽用大麻が合法化された際、ヒト用栄養補助食品および動物用代替医療製品でTHC抽出物が1千万分の10(10ppm)以下のものは販売が承認された。Nabiximols(商品名:サティベックス)は処方薬として使用されている。
現在国際連合のWorld Drug Reportによれば、大麻は「2010年に世界で最も広く生産され、取引され、消費された薬物」であり、2015年時点で世界における使用者数は1億2800万人から2億3800万人と推定された。
文化・合法性・経済
文化

大麻は20世紀後半以降、タバコおよびアルコールに次いで世界で最も使用されている向n:精神薬の一つとなっている。ヴェラ・ルービンによれば、大麻の使用は二つの主要な文化的複合体に包括されてきた。一つは継続的で伝統的な民俗文化の流れであり、もう一つはより限定された現代的構成である。前者は聖なる使用と世俗的な使用の両方を含み、通常は小規模な栽培に基づいている。すなわち、紐、衣服、医薬、食料としての植物利用、そして「陶酔剤および交友の象徴」としての一般的な使用である。後者の大麻使用拡大の流れは、「商業的製造業者による麻の大規模栽培と繊維としての商取引目的での利用」に関係しており、またパリのハシシンのクラブ創設に遡るような幻覚体験の追求にも関連している。
合法性

医療目的での大麻使用を合法化した国も参照。
20世紀初頭以降、ほとんどの国が大麻の栽培、所持、移転に対する法律を制定した。これらの法律は、娯楽以外の目的での大麻栽培にも悪影響を及ぼしてきたが、大麻の取り扱いが合法または許可制となっている地域も多い。多くの司法管轄区域では、少量の大麻所持に対する罰則を軽減し、投獄ではなく押収や時に罰金によって対応し、闇市場で薬物を取引する者に重点を置くようになっている。
歴史的に大麻使用が容認されてきた一部の地域では、新たな制限が導入された。例えば、オランダ国境付近のコーヒーショップの閉鎖や、同国の中等学校付近の店舗の閉鎖などである。デンマークのコペンハーゲンでは、2014年に市長フランク・イェンセンが、大麻の生産および商取引合法化の可能性について議論した。
一部の司法管轄区では、常習者に対して自発的または義務的な治療プログラムが用いられている。単純所持に対しても、一部の国、特に東アジアでは長期の懲役刑が科されることがあり、大麻の販売は終身刑や場合によっては死刑に至ることもある。中国やタイなどでは、医療用大麻の合法化や植物全体の合法化(一定の制限付き)を掲げる政党、非営利団体、運動が出現している。
2012年12月、アメリカ合衆国ワシントン州は、州法(Washington Initiative 502)により大麻を公式に合法化した初の州となった(連邦法では依然として違法である)。コロラド州もこれに続き(Colorado Amendment 64)、2013年1月1日には、購入や販売はできないが、民間での喫煙を目的とした初の大麻クラブが認可された。2013年5月には、カリフォルニア州最高裁判所が、医療目的での大麻使用を認める州法があるにもかかわらず、地方自治体が医療用大麻薬局を禁止することができるとの判断を下した。カリフォルニア州内では近年、180以上の都市で禁止条例が制定されている。

2024年4月30日、アメリカ合衆国司法省は、大麻をスケジュールIからスケジュールIIIの規制物質へ再分類する方針を発表した。
2013年12月、ウルグアイは大麻の栽培、販売、使用を合法化した世界初の国となった。小売制度の導入には長期の遅れがあったが、2017年には16の薬局が大麻の商業販売を許可された。2018年6月19日、カナダ上院が法案を可決し、首相が施行日を2018年10月17日と発表した。カナダは合法化を行った世界で2番目の国である。
2015年11月、ウッタラーカンド州が、インドで初めて工業用の麻の栽培を合法化した。インド亜大陸のヒンドゥー教および仏教文化では大麻の使用が一般的であり、インドでは多くの露店が大麻を含む製品を公然と販売している。スリランカの伝統医療従事者も、大麻を含む製品を娯楽目的および宗教的祝祭のために販売している。インドの大麻取締法は植民地時代に遡る。インドとスリランカでは、伝統文化の文脈での大麻の娯楽的/祝祭的使用および医療目的での使用が容認されている。
2015年10月17日、オーストラリアの保健大臣スーザン・レイは、科学研究および患者を対象とした医療試験のために大麻の栽培を許可する新法を発表した。
2018年10月17日、カナダは大麻を合法化し、ウルグアイに次いで世界で2番目、G7諸国としては初めてとなった。この合法化には、カナダのアルコール規制に類似した年齢制限、家庭栽培の制限、流通・消費場所・販売時間の制限が伴う。使用に関する法律は州ごとに異なり、年齢制限、小売体制、家庭栽培の可否などが異なる。カナダの公認医療大麻生産者制度は、安全で信頼性の高い大麻生産における世界的な基準となることを目指しており、多くの関係者は多様な品種の実験機会を提供する「クラフト大麻産業」の成長を期待している。
大麻が刑事問題ではなく健康問題とみなされるようになったことから、チェコ、コロンビア、エクアドル、南アフリカ、カナダなどで大麻が合法化または非犯罪化されている。メキシコでは2017年中頃に医療用大麻が合法化され、2021年6月には娯楽目的でも合法化された。
ドイツは2024年4月に娯楽目的での大麻を合法化した。
国別の法的地位
2022年の時点で、ウルグアイおよびカナダは、娯楽用大麻の栽培、消費、および物々交換を全国的に完全に合法化した唯一の国である。アメリカ合衆国では、24の州、3つの準州、およびコロンビア特別区が娯楽用大麻の使用を合法化しているが、連邦レベルでは依然として違法である。商業的販売に関しては、州ごとに法律が異なる。ジョージアおよび南アフリカにおける裁判所の判決により、大麻の消費は合法化されたが、販売は合法化されていない。多くの国、特にスペインおよびオランダでは、大麻の販売が許可された施設で容認されており、限定的な取り締まり政策が採用されている。一般的な誤解に反して、オランダでは大麻は合法ではなく、1970年代以降非犯罪化されているにすぎない。2021年、マルタは娯楽用大麻の使用を合法化した最初の欧州連合加盟国となった。エストニアでは、THC含有量が0.2%未満の大麻製品のみ販売が合法であるが、より多くのカンナビジオールを含む製品も存在する。レバノンは最近、医療用としての大麻栽培を合法化した最初のアラブ国家となった。
違法な娯楽用大麻の使用に対する罰則は、押収や軽微な罰金から、投獄、さらには死刑にまで及ぶ。一部の国では、国外で薬物を使用した場合にも市民が処罰されることがあり、シンガポールおよび韓国がその例である。
経済
生産

Sinsemilla(スペイン語で「種なし」の意)は、乾燥させた種子のない(すなわち単為結果性の)雌の大麻草の果序である。THCの生成は受粉が起こると減少するため、受粉を防ぐ目的でTHCをほとんど生成しない雄株は花粉を放出する前に除去され、単為結果性の果実の発達が促され、密集した果序として収穫される。屋外での栽培がよりリスクの高いものとなっている禁止措置への対応として、水耕栽培、クローン繁殖、高強度の人工照明、およびシー・オブ・グリーン法などの高度な栽培技術が頻繁に用いられている。
"Skunk"(スカンク)とは、選択的交配および時には水耕栽培によって栽培された、強力な作用を持つ複数の命名品種の大麻を指す。それはCannabis sativaとC. indicaの交配種であり(この組み合わせによる他の品種も多数存在する)。スカンク大麻のTHC含有量は通常6%から15%の範囲であり、まれに20%に達する。オランダのコーヒーショップにおける平均THC含有量は約18〜19%である。
アメリカ合衆国で販売される大麻の平均THC含有量は、1970年代から2000年の間に劇的に上昇した。これにはさまざまな理由により異論があり、これが事実か、または不適切な検査手法による見かけ上の結果かについてのコンセンサスはほとんどない。slate.comに寄稿したDaniel Forbesによれば、現代の品種の相対的な強度は、非常に高価で強力だが普及率の低いサンプルに過度な重みが与えられているため、偏っている可能性があるという。かつては葉のようなTHC含有量の低い植物部位もサンプルに含めていた古い検査手法によって結果が歪められていた可能性があるとする者もいれば、現代の品種は実際に旧来の品種よりも大幅に強力であると考える者もいる。
大麻の主要な生産国は、アフガニスタン、カナダ、中国、コロンビア、インド、ジャマイカ、レバノン、メキシコ、モロッコ、オランダ、パキスタン、パラグアイ、スペイン、タイ、トルコ、イギリス、アメリカ合衆国である。
価格
大麻の価格、すなわち路上価値は、地理的地域やTHC含有量によって大きく異なる。価格および市場全体も時代とともに大きく変動してきた。
- 1997年、アメリカ合衆国では大麻は総合的に第4位の価値作物であり、カリフォルニア州、ニューヨーク州、フロリダ州を含む多くの州では第1位または第2位と推定された。この推定は、小売価格の約60%に相当する生産者価格($3,000 per pound ($6,600/kg))に基づいている。
- 2006年、大麻は360億ドルの市場であったと推定された。この推定値は誇張されていると異議を唱えられている。国連の2008年『世界薬物報告書』によると、2006年のアメリカおよびカナダにおける路上価格は、品質に応じてグラムあたり約8.8ドルから25ドル(オンスあたり約250ドルから700ドル)とされていた。アメリカ合衆国の典型的な小売価格はグラムあたり10〜15ドル(オンスあたり約280〜420ドル)であった。
- 2017年には、合法的な大麻取引全体(95億ドル)のうち、アメリカ合衆国が90%を占めると推定された。
アメリカ合衆国の一部の州が大麻を合法化した後、路上価格は下落し始めた。コロラド州では、喫煙用の果序(infructescences)の価格が2014年から2019年の間にオンスあたり200ドルから120ドル(グラムあたり7ドルから4.19ドル)へと40%下落した。
欧州麻薬・薬物依存監視センターによれば、2008年におけるヨーロッパでの大麻の典型的な小売価格はグラムあたり2ユーロから20ユーロであり、大多数の欧州諸国では4〜10ユーロの範囲であった。
大麻とゲートウェイ・ドラッグ仮説
ゲートウェイ仮説とは、大麻の使用がより「強力な」薬物を試す可能性を高めるというものである。この仮説は、大麻使用に対するアメリカ合衆国の禁止政策の主要な根拠と見なす者もおり、激しく議論されている。
いくつかの研究では、ゲートウェイ仮説を裏付ける証拠はないものの、若年層の大麻使用者は介入プログラムのリスク群として考慮されるべきであるとされている。その他の研究結果では、ハードドラッグの使用者は多剤併用者である傾向があり、介入は単一のハードドラッグ使用ではなく、複数の薬物使用に対応すべきであることが示されている。2009年から2010年のスコットランド犯罪・司法調査では、多剤併用者のほぼ3分の2が大麻を使用していた。
ゲートウェイ効果は、違法薬物使用に関わる社会的要因によって現れる可能性がある。大麻が違法であるため、その消費者は他の違法薬物を使用または販売している人物と接触する状況に置かれることが多い。アルコールおよびタバコもゲートウェイ・ドラッグと見なされる可能性があることが、研究によって示されている。しかしながら、より簡潔な説明としては、大麻が違法なハードドラッグよりも入手しやすく(また若年で)使用されやすいという点が挙げられる。さらに、アルコールとタバコは通常、大麻よりも早い年齢で入手しやすく(地域によっては逆の場合もある)、そのためこれらの薬物を最初に使用する「ゲートウェイの連鎖」が形成されやすくなるのである。これらの人物は、提供されるあらゆる薬物を試す傾向にある。
ゲートウェイ仮説に関連する代替理論として、共通依存傾向(common liability to addiction, CLA)理論がある。この理論では、何らかの理由で複数の娯楽用薬物を試す傾向にある個人が存在するとされており、「ゲートウェイ」とされる薬物は、単にハードドラッグよりも早い年齢で入手可能であるものにすぎない。研究者らは包括的なレビューにおいて、ゲートウェイ「理論」における出来事の連鎖を因果的なものとして提示することは、研究および介入の両方を妨げるため危険であると指摘している。
2020年、アメリカ国立薬物乱用研究所は、大麻がより強力な薬物へのゲートウェイであるという主張を支持する研究を発表したが、大麻使用者の大多数に当てはまるわけではないとした。同研究所は、大麻使用が「他の合法的・違法な薬物の使用に先行する可能性が高い」とし、「調査の第1波において大麻使用を報告した成人は、大麻を使用しなかった成人と比較して、3年以内にアルコール使用障害を発症する可能性が高かった。調査開始時点ですでにアルコール使用障害を有していた者が大麻を使用した場合、その障害が悪化するリスクも高かった。大麻使用はニコチン依存など他の薬物使用障害とも関連している」と報告している。また、「これらの発見は、大麻が『ゲートウェイ・ドラッグ』であるという考えと一致している。しかしながら、大麻を使用する人の大多数は他の『より強力な』薬物を使用するには至らない。また、交差感作は大麻に特有のものではなく、アルコールおよびニコチンも他の薬物に対する脳の反応を高める下地を作る点で共通しており、大麻と同様に、より有害な薬物に進行する前に使用される傾向がある」と述べている。
研究
大麻に関する研究は、その植物が多くの国で違法であることから困難を伴う。研究目的で使用される標準化された大麻のサンプルを入手するのは難しく、アメリカの食品医薬品局のような国家規制機関の認可を受けた場合に限られる。
大麻の影響を研究する上では、他にも困難が存在する。多くの大麻喫煙者はタバコも喫煙しており、これが交絡因子を引き起こす。つまり、癌の原因がタバコなのか大麻なのか、あるいはその両方なのかが不明確になる。また、研究者が大麻使用者を研究対象として募集するのも困難である。大麻が多くの国で違法薬物であるため、人々は研究参加に消極的であり、参加したとしても、実際にどれだけ大麻を使用しているかを正確に申告しない可能性がある。
関連項目
外部リンク

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The dictionary definition of marijuana at Wiktionary
- "Cannabis". European Union Drugs Agency (EUDA).
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