Translations:Flavin adenine dinucleotide/18/ja
FADはNAD+よりも正の還元電位を持ち、非常に強い酸化剤である。細胞はこれを、C-C結合のアルケンへの脱水素反応など、エネルギー的に困難な多くの酸化反応に利用する。FAD依存性タンパク質は、電子輸送、DNA修復、ヌクレオチド生合成、脂肪酸のβ酸化、アミノ酸異化、さらにCoA、CoQ、ヘム基などの他の補因子の合成など、多種多様な代謝経路で機能している。 よく知られている反応の1つはクエン酸サイクル(TCAまたはクレブスサイクルとしても知られている)の一部である。コハク酸デヒドロゲナーゼ(電子伝達系の複合体II)は、ユビキノンのユビキノールへの還元と結合させることによってコハク酸のフマル酸への酸化を触媒するために共有結合したFADを必要とする。この酸化による高エネルギー電子は、FADをFADH2に還元することによって一時的に蓄えられる。FADH2はその後FADに戻り、その2つの高エネルギー電子を電子伝達系に送る。FADH2のエネルギーは、酸化的リン酸化によって1.5当量のATPを生成するのに十分である。いくつかの酸化還元フラボ蛋白質は、アセチルCoAデヒドロゲナーゼのようにFADと非共有結合し、脂肪酸のβ酸化やロイシンのようなアミノ酸の異化に関与する(イソバレリルCoAデヒドロゲナーゼ)、 イソロイシン(短鎖/分岐鎖アシル-CoAデヒドロゲナーゼ)、バリン(イソブチリル-CoAデヒドロゲナーゼ)、およびリジン(グルタリル-CoAデヒドロゲナーゼ)のようなアミノ酸の異化を行う。 代謝を制御するFAD依存性酵素のその他の例としては、グリセロール-3-リン酸デヒドロゲナーゼ(トリグリセリド合成)とプリンヌクレオチド異化に関与するキサンチンオキシダーゼがある。 フラボタンパク質においてFADが果たしうる非触媒的機能としては、構造的役割、あるいは生物時計や発生を制御する青感受性の光光受容体への関与、生物発光細菌における光の発生などがある。