Translations:Insulin/41/ja
筋肉と脂肪細胞の細胞膜にGLUT4グルコーストランスポーターが挿入され、肝臓と筋肉組織でグリコーゲンが合成され、肝臓、脂肪、乳腺組織でグルコースがトリグリセリドに変換されるカスケードは、IRS-1によってホスホイノシトール3キナーゼ(PI3K)が活性化されることによって起こる。この酵素は細胞膜のホスファチジルイノシトール4,5-ビスリン酸(PIP2)をホスファチジルイノシトール3,4,5-三リン酸(PIP3)に変換し、次にプロテインキナーゼB(PKB)を活性化すし、リン脂質に変換される。活性化されたPKBは、GLUT4を含むエンドソームと細胞膜との融合を促進し、細胞膜におけるGLUT4トランスポーターの増加をもたらす。PKBはまた、グリコーゲン合成酵素キナーゼ(GSK)をリン酸化し、それによってこの酵素を不活性化する。つまり、その基質であるグリコーゲン合成酵素(GS)はリン酸化されず、脱リン酸化されたままである。活性酵素であるグリコーゲン合成酵素(GS)は、グルコースからグリコーゲンを合成する際の律速段階を触媒する。同様の脱リン酸化は、トリグリセリドを生成しうる組織においてマロニル-CoAを介した脂肪の合成につながる解糖の速度を制御する酵素や、肝臓における糖新生の速度を制御する酵素にも影響する。これらの最終的な酵素の脱リン酸化の全体的な効果は、これらの反応を実行できる組織では、グルコースからのグリコーゲンと脂肪合成が刺激され、グリコーゲン分解と糖新生による肝臓でのグルコース生産が抑制されることである。脂肪組織によるトリグリセリドの遊離脂肪酸とグリセロールへの分解も阻害される。