Metabolism/ja: Difference between revisions
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[[Amino acid/ja|アミノ酸]]は、タンパク質や他の生体分子を合成するために使われるか、エネルギーを生産するために[[urea/ja|尿素]]と二酸化炭素に酸化される。酸化経路は、[[transaminase/ja|トランスアミナーゼ]]によるアミノ基の除去から始まる。アミノ基は[[urea cycle/ja|尿素サイクル]]に供給され、脱アミノ化された炭素骨格が[[keto acid/ja|ケト酸]]の形で残る。これらのケト酸のいくつかはクエン酸サイクルの中間体であり、例えばα-[[alpha-Ketoglutaric acid/ja|ケトグルタル酸]]は[[glutamate/ja|グルタミン酸]]の脱アミノ化によって形成される。また、[[glucogenic amino acid/ja|糖原性アミノ酸]]は[[gluconeogenesis/ja|糖新生]]によってグルコースに変換されることもある(後述)。 | [[Amino acid/ja|アミノ酸]]は、タンパク質や他の生体分子を合成するために使われるか、エネルギーを生産するために[[urea/ja|尿素]]と二酸化炭素に酸化される。酸化経路は、[[transaminase/ja|トランスアミナーゼ]]によるアミノ基の除去から始まる。アミノ基は[[urea cycle/ja|尿素サイクル]]に供給され、脱アミノ化された炭素骨格が[[keto acid/ja|ケト酸]]の形で残る。これらのケト酸のいくつかはクエン酸サイクルの中間体であり、例えばα-[[alpha-Ketoglutaric acid/ja|ケトグルタル酸]]は[[glutamate/ja|グルタミン酸]]の脱アミノ化によって形成される。また、[[glucogenic amino acid/ja|糖原性アミノ酸]]は[[gluconeogenesis/ja|糖新生]]によってグルコースに変換されることもある(後述)。 | ||
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==エネルギー変換== | ==エネルギー変換== | ||
{{Anchor|Energy transformations}} | {{Anchor|Energy transformations}} | ||
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炭水化物の同化において、単純な有機酸は[[glucose/ja|グルコース]]のような[[monosaccharide/ja|単糖]]に変換され、次に[[starch/ja|デンプン]]のような[[polysaccharide/ja|多糖]]を組み立てるのに使われる。[[pyruvate/ja|ピルビン酸]]、[[lactic acid/ja|乳酸]]、[[glycerol/ja|グリセロール]]、[[glycerate 3-phosphate/ja|グリセリン酸3-リン酸]]、[[amino acid/ja|アミノ酸]]などの化合物から[[glucose/ja|グルコース]]を生成することを[[gluconeogenesis/ja|糖新生]]という。糖新生は一連の中間体を介してピルビン酸を[[glucose-6-phosphate/ja|グルコース-6-リン酸]]に変換するが、その多くは[[glycolysis/ja|解糖]]と共通している。しかしながら、この経路は単に[[glycolysis/aj|解糖]]を逆に実行したものではなく、いくつかのステップが非解糖系酵素によって触媒されている。このことは、グルコースの生成と分解を別々に制御することを可能にし、両方の経路が同時に[[futile cycle/ja|無駄なサイクル]]で走ることを防ぐという意味で重要である。 | 炭水化物の同化において、単純な有機酸は[[glucose/ja|グルコース]]のような[[monosaccharide/ja|単糖]]に変換され、次に[[starch/ja|デンプン]]のような[[polysaccharide/ja|多糖]]を組み立てるのに使われる。[[pyruvate/ja|ピルビン酸]]、[[lactic acid/ja|乳酸]]、[[glycerol/ja|グリセロール]]、[[glycerate 3-phosphate/ja|グリセリン酸3-リン酸]]、[[amino acid/ja|アミノ酸]]などの化合物から[[glucose/ja|グルコース]]を生成することを[[gluconeogenesis/ja|糖新生]]という。糖新生は一連の中間体を介してピルビン酸を[[glucose-6-phosphate/ja|グルコース-6-リン酸]]に変換するが、その多くは[[glycolysis/ja|解糖]]と共通している。しかしながら、この経路は単に[[glycolysis/aj|解糖]]を逆に実行したものではなく、いくつかのステップが非解糖系酵素によって触媒されている。このことは、グルコースの生成と分解を別々に制御することを可能にし、両方の経路が同時に[[futile cycle/ja|無駄なサイクル]]で走ることを防ぐという意味で重要である。 | ||
脂肪はエネルギーを貯蔵する一般的な方法であるが、ヒトのような[[vertebrate/ja|脊椎動物]]ではアセチル-CoAを[[pyruvate/ja|ピルビン酸]]に変換することができないため、貯蔵されている[[fatty acid/ja|脂肪酸]]を[[gluconeogenesis/ja|糖新生]]によってグルコースに変換することができない。植物は必要な酵素機構を持っているが、動物は持っていない。その結果、脊椎動物は長期間の飢餓の後、脂肪酸を代謝できない脳などの組織でグルコースの代わりに脂肪酸から[[Ketone body/ja|ケトン体]]を生成する必要がある。植物や細菌などの他の生物では、この代謝の問題は[[glyoxylate cycle/ja|グリオキシル酸サイクル]]を用いて解決される。このサイクルはクエン酸サイクルの[[decarboxylation/ja|脱炭酸]]段階をバイパスし、アセチル-CoAから[[oxaloacetate/ja|オキサロ酢酸]]への変換を可能にし、グルコースの生産に利用できる。 | |||
脂肪以外のグルコースは、通常血中グルコースレベルを維持するために使用されていた糖新生を通じて組織内で利用可能なエネルギー資源として、ほとんどの組織に貯蔵されている。 | |||
多糖類や[[glycan/ja|糖鎖]]は、[[uridine diphosphate glucose/ja|ウリジン二リン酸グルコース]](UDP-Glc)のような反応性の糖-リン酸供与体から、[[glycosyltransferase/ja|糖転移酵素]]によって、成長する多糖類上の受容体[[hydroxyl/ja|水酸基]]に単糖が順次付加されることによって作られる。基質の環上の[[hydroxyl/ja|水酸基]]はいずれもアクセプターとなりうるので、生成する多糖は直鎖構造でも分岐構造でもよい。産生された多糖は、それ自体が構造的あるいは代謝的機能を持つこともあれば、[[oligosaccharyltransferase/ja|オリゴ糖転移酵素]]と呼ばれる酵素によって脂質やタンパク質に転移されることもある。 | |||
===脂肪酸、イソプレノイド、ステロール=== | |||
{{further/ja|Fatty acid synthesis/ja|Steroid metabolism/ja}} | |||
{{further|Fatty acid synthesis|Steroid metabolism}} | [[File:Sterol synthesis.svg|thumb|right|upright=1.6|中間体[[isopentenyl pyrophosphate/ja|イソペンテニルピロホスフェート]](IPP)、[[dimethylallyl pyrophosphate/ja|ジメチルアリルピロホスフェート]](DMAPP)、[[geranyl pyrophosphate/ja|ゲラニルピロホスフェート]](GPP)、[[squalene/ja|スクアレン]]を示した[[steroid synthesis/ja|ステロイド合成]]経路の簡略版。いくつかの中間体はわかりやすくするために省略してある。]] | ||
[[File:Sterol synthesis.svg|thumb|right|upright=1.6| | 脂肪酸は[[fatty acid synthase/ja|脂肪酸合成酵素]]がアセチル-CoA単位を重合し、還元することで作られる。脂肪酸のアシル鎖は、アシル基を付加し、アルコールに還元し、[[dehydration reaction/ja|脱水]]して[[alkene/ja|アルケン]]基にし、再び還元して[[alkane/ja|アルカン]]基にする反応のサイクルによって延長される。脂肪酸生合成の酵素は2つのグループに分けられる。動物や菌類では、これらの脂肪酸合成酵素反応はすべて1つの多機能型I型タンパク質によって行われるが、植物の[[plastid/ja|プラスチド]]や細菌では別々のII型酵素が経路の各段階を行う。 | ||
[[Terpene/ja|テルペン]]類および[[terpenoid/ja|イソプレノイド]]は、[[carotenoid/ja|カロテノイド]]類を含む脂質の大きな分類であり、植物の[[natural product/ja|天然物]]の最大の分類を形成している。これらの化合物は、反応性前駆体である[[isopentenyl pyrophosphate/ja|イソペンテニルピロホスフェート]]と[[dimethylallyl pyrophosphate/ja|ジメチルアリルピロホスフェート]]から供与された[[isoprene/ja|イソプレン]]単位の集合と修飾によって作られる。これらの前駆体はさまざまな方法で作ることができる。動物や古細菌では[[メバロン酸経路]]がアセチル-CoAからこれらの化合物を生成するが、植物や細菌では[[non-mevalonate pathway/ja|非メバロン酸経路]]がピルビン酸と[[glyceraldehyde 3-phosphate/ja|グリセルアルデヒド3-リン酸]]を基質として使用する。これらの活性化イソプレン供与体を用いる重要な反応の一つが[[steroid biosynthesis/ja|ステロール生合成]]である。ここでは、イソプレン単位が結合して[[squalene/ja|スクアレン]]を作り、さらに折り重なって一連の環を形成して[[lanosterol/ja|ラノステロール]]を作る。ラノステロールはその後、[[cholesterol/ja|コレステロール]]や[[ergosterol/ja|エルゴステロール]]などの他のステロールに変換される。 | |||
[[Terpene]] | |||
===タンパク質=== | |||
{{further/ja|Protein biosynthesis/ja|Amino acid synthesis/ja}} | |||
{{further|Protein biosynthesis|Amino acid synthesis}} | |||
生物は、20種類の一般的なアミノ酸を合成する能力に差がある。ほとんどの細菌や植物は20種類すべてを合成できるが、哺乳類は11種類の非必須アミノ酸しか合成できないため、9種類の[[essential amino acid/ja|必須アミノ酸]]は食物から摂取しなければならない。細菌''[[Mycoplasma pneumoniae/ja|肺炎マイコプラズマ]]''のような一部の単純な[[parasite/ja|寄生虫]]は全てのアミノ酸合成を欠き、宿主から直接アミノ酸を摂取する。すべてのアミノ酸は解糖、クエン酸サイクル、またはペントースリン酸経路の中間体から合成される。窒素は[[glutamate/ja|グルタミン酸]]と[[glutamine/ja|グルタミン]]から供給される。非必須アミノ酸合成は、適切なα-ケト酸の形成に依存し、それが[[Transaminase/ja|トランスアミナーゼ]]されてアミノ酸を形成する。 | |||
アミノ酸は[[peptide bond/ja|ペプチド結合]]の鎖で結合することでタンパク質になる。異なるタンパク質は、それぞれ固有のアミノ酸残基の配列を持っている:これがその[[primary structure/ja|一次構造]]である。アルファベットを組み合わせてほとんど無限の単語を作ることができるように、アミノ酸も様々な配列で結合して多種多様なタンパク質を作ることができる。タンパク質は、[[transfer RNA/ja|転移RNA]]分子に[[ester/ja|エステル]]結合で結合して活性化されたアミノ酸から作られる。この[[aminoacyl-tRNA/ja|アミノアシルtRNA]]前駆体は、[[aminoacyl tRNA synthetase/ja|アミノアシルtRNA合成酵素]]によって行われる[[Adenosine triphosphate/ja|ATP]]依存的反応で生成される。このアミノアシルtRNAは次に[[ribosome/ja|リボソーム]]の基質となり、[[messenger RNA/ja|メッセンジャーRNA]]の配列情報を利用して、伸長するタンパク質鎖にアミノ酸を結合させる。 | |||
===ヌクレオチドの合成とサルベージ=== | |||
{{further/ja|Nucleotide salvage/ja|Pyrimidine biosynthesis/ja|Purine/ja#Metabolism}} | |||
{{further|Nucleotide salvage|Pyrimidine biosynthesis|Purine#Metabolism}} | ヌクレオチドは、大量の代謝エネルギーを必要とする経路で、アミノ酸、二酸化炭素、[[formic acid/ja|ギ酸]]から作られる。その結果、ほとんどの生物はあらかじめ形成されたヌクレオチドを回収する効率的なシステムを持っている。[[Purine/ja|プリン]]類は[[nucleoside/ja|ヌクレオシド]]([[ribose/ja|リボース]]に結合した塩基)として合成される。[[adenine/ja|アデニン]]も[[guanine/ja|グアニン]]も、アミノ酸[[glycine/ja|グリシン]]、[[glutamine/ja|グルタミン]]、[[aspartic acid/ja|アスパラギン酸]]の原子と、[[coenzyme/ja|補酵素]]から移動した[[folic acid/ja|ギ酸]]を用いて合成される前駆体ヌクレオシド[[inosine/ja|イノシン]]一リン酸から作られる。[[folic acid/ja|テトラヒドロ葉酸]]から移行する。一方、[[Pyrimidine/ja|ピリミジン]]は、グルタミンとアスパラギン酸から形成される塩基[[Pyrimidinecarboxylic acid/ja|オロチン酸]]から合成される。 | ||
==ゼノバイオティクスと酸化還元代謝== | |||
{{Anchor|Xenobiotics and redox metabolism}} | |||
{{further|Xenobiotic metabolism|Drug metabolism|Alcohol metabolism|Antioxidant}} | {{further/ja|Xenobiotic metabolism/ja|Drug metabolism/ja|Alcohol metabolism/ja|Antioxidant/ja}} | ||
すべての生物は、食物として利用できず、代謝機能を持たないため細胞内に蓄積すると有害な化合物に常にさらされている。これらの潜在的に有害な化合物は[[xenobiotic/ja|ゼノバイオティクス]]と呼ばれる。[[drug/ja|合成薬物]]、[[poison/ja|自然毒]]、[[antibiotic/ja|抗生物質]]などのゼノバイオティクスは、一連のゼノバイオティクス代謝酵素によって解毒される。ヒトでは、[[cytochrome P450/ja|シトクロムP450オキシダーゼ]]、[[Glucuronosyltransferase/ja|UDP-グルクロノシルトランスフェラーゼ]]、[[glutathione S-transferase/ja|グルタチオン''S''-トランスフェラーゼ]]が含まれる。この酵素系は3段階で作用し、まず異種物質を酸化し(第I相)、次に水溶性基を分子に結合させる(第II相)。その後、修飾された水溶性異種生物は細胞外に排出され、多細胞生物ではさらに代謝されてから排泄される(第III相)。[[ecology/ja|生態学]]では、これらの反応は微生物による汚染物質の[[biodegradation/ja|生分解]]や、汚染された土地や流出油の[[bioremediation/ja|バイオレメディエーション]]において特に重要である。これらの微生物反応の多くは多細胞生物と共通であるが、微生物の種類が驚くほど多様であるため、これらの生物は多細胞生物よりもはるかに幅広い種類の異生物に対処することができ、[[organochloride/ja|有機塩化物]]化合物のような[[persistent organic pollutant/ja|難分解性有機汚染物質]]さえも分解することができる。 | |||
[[aerobic organism/ja|好気性生物]]にとって関連する問題は[[oxidative stress/ja|酸化ストレス]]である。ここでは、[[oxidative phosphorylation/ja|酸化的リン酸化]]や[[protein folding/ja|タンパク質折り畳み]]の際の[[disulfide bond/ja|ジスルフィド結合]]の形成などの過程で、[[hydrogen peroxide/ja|過酸化水素]]などの[[reactive oxygen species/ja|活性酸素種]]が生成される。これらの有害な酸化物質は、[[glutathione/ja|グルタチオン]]などの[[抗酸化物質]]の代謝産物や、[[catalase/ja|カタラーゼ]]や[[peroxidase/ja|ペルオキシダーゼ]]などの酵素によって除去される。 | |||
==生物の熱力学== | |||
{{Anchor|Thermodynamics of living organisms}} | |||
{{further|Biological thermodynamics}} | {{further/ja|Biological thermodynamics/ja}} | ||
生物は[[熱力学の法則]]に従わなければならないが、それは熱の伝達と[[:en:work (thermodynamics)|ワーク]]を記述するものである。[[:en:second laws of thermodynamics|熱力学の第二法則]]は、どのような[[isolated system/ja|孤立系]]でも[[entropy/ja|エントロピー]](無秩序)の量は減少しないと述べている。生物の驚くべき複雑さはこの法則に反しているように見えるが、すべての生物は周囲と物質とエネルギーを交換する[[open system (systems theory)/ja|オープンシステム]]であるため、生命は可能である。生命システムは[[:en:Thermodynamic equilibrium|均衡]]にあるわけではない、 | |||
しかしその代わりに、環境のエントロピーをより大きく増大させることによって、複雑性の高い状態を維持する[[dissipative system/ja|散逸系]]である。 | |||
細胞の代謝は、異化の[[:en:spontaneous process|自発的過程]]を同化の非自発的過程と結合させることでこれを実現している。[[:en:non-equilibrium thermodynamics|熱力学]]の用語では、代謝は無秩序を作り出すことによって秩序を維持する。 | |||
==調節と制御== | |||
{{Anchor|Regulation and control}} | |||
{{further|Metabolic pathway|Metabolic control analysis|Hormone|Regulatory enzymes|Cell signaling}} | {{further/ja|Metabolic pathway/ja|Metabolic control analysis/ja|Hormone|Regulatory enzymes/ja|Cell signaling/ja}} | ||
ほとんどの生物の環境は常に変化しているため、細胞内の状態を一定に保つためには、代謝反応を細かく[[:en:Control theory|制御]]する必要がある。代謝調節はまた、生物がシグナルに反応し、環境と積極的に相互作用することを可能にする。代謝経路がどのように制御されているかを理解するためには、密接に結びついた2つの概念が重要である。第一に、経路中の酵素の''制御''とは、シグナルに応答してその活性がどのように増減するかということである。第二に、この酵素が及ぼす''制御''とは、その活性の変化が経路全体の速度(経路を通る[[flux/ja|フラックス]])に及ぼす影響である。例えば、ある酵素が活性に大きな変化を示しても(すなわち、その酵素は高度に制御されている)、その変化が代謝経路のフラックスにほとんど影響しなければ、その酵素は経路の制御には関与していないことになる。 | |||
[[File:Insulin glucose metabolism ZP.svg|thumb|right|upright=1.35|''' | [[File:Insulin glucose metabolism ZP.svg|thumb|right|upright=1.35|'''グルコースの取り込みと代謝に対するインスリンの効果''' インスリンはレセプターに結合し(1)、多くのタンパク質の活性化カスケードを開始する(2)。これらには、Glut-4トランスポーターの[[plasma membrane/ja|細胞膜]]への転位とグルコースの流入(3)、[[glycogen/ja|グリコーゲン]]合成(4)、[[glycolysis/ja|解糖]](5)、[[fatty acid/ja|脂肪酸]]合成(6)などが含まれる。]] | ||
代謝調節には複数のレベルがある。本質的調節では、代謝経路は基質または生成物のレベルの変化に対応するように自己調節する。例えば、生成物の量が減少すると、それを補うために経路を通る[[flux/ja|フラックス]]を増加させることができる。この種の制御には、経路中の複数の酵素活性の[[allosteric regulation/ja|アロステリック制御]]が関与することが多い。外在的制御は、多細胞生物の細胞が他の細胞からのシグナルに応じて代謝を変化させることを含む。これらのシグナルは通常、[[hormone/ja|ホルモン]]や[[growth factor/ja|成長因子]]などの水溶性メッセンジャーの形をしており、細胞表面にある特定の[[receptor (biochemistry)/ja|受容体]]によって検出される。これらのシグナルは次に、しばしばタンパク質の[[phosphorylation/ja|リン酸化]]を伴う[[second messenger system/ja|セカンドメッセンジャーシステム]]によって細胞内に伝達される。 | |||
外因性制御の例として非常によく理解されているのは、[[insulin/ja|インスリン]]というホルモンによるグルコース代謝の調節である。インスリンは[[blood sugar/ja|血中グルコース濃度]]の上昇に反応して産生される。このホルモンが細胞上の[[insulin receptor/ja|インスリン受容体]]に結合すると、[[protein kinase/ja|プロテインキナーゼ]]のカスケードが活性化され、細胞がグルコースを取り込み、脂肪酸や[[glycogen/ja|グリコーゲン]]などの貯蔵分子に変換する。グリコーゲンの代謝は、グリコーゲンを分解する酵素である[[phosphorylase/ja|ホスホリラーゼ]]と、グリコーゲンを作る酵素である[[glycogen synthase/ja|グリコーゲン合成酵素]]の活性によって制御されている。これらの酵素は相互に制御されており、リン酸化はグリコーゲン合成酵素を阻害するが、ホスホリラーゼは活性化する。インスリンは[[phosphatase/ja|タンパク質ホスファターゼ]]を活性化し、これらの酵素のリン酸化の減少をもたらすことによってグリコーゲン合成を引き起こす。 | |||
==進化== | |||
{{Anchor|Evolution}} | |||
{{further|Proto-metabolism|Molecular evolution|Phylogenetics}} | {{further/ja|Proto-metabolism/ja|Molecular evolution/ja|Phylogenetics/ja}} | ||
[[File:Tree of life int.svg|thumb|right|upright=1.8|[[ | [[File:Tree of life int.svg|thumb|right|upright=1.8|生命の3つの[[Domain (biology)/ja|領域]]すべての生物の共通祖先を示す[[Phylogenetic tree/ja|進化樹]]。[[Bacteria/ja|細菌]]は青、[[eukaryote/ja|真核生物]]は赤、[[archaea/ja|古細菌]]は緑で着色されている。ツリーの周囲には含まれる[[phylum/ja|門]]の相対的な位置が示されている。]] | ||
解糖やクエン酸サイクルのような上記の代謝の中心経路は、全ての[[Three-domain system/ja|3ドメインthree domain]]の生物に存在し、[[last universal common ancestor/ja|最後の普遍的共通祖先]]にも存在した。 | |||
この普遍的祖先細胞は[[prokaryote/ja|原核生物]]であり、おそらく広範なアミノ酸、ヌクレオチド、炭水化物、脂質の代謝を持つ[[methanogen/ja|メタン菌]]であった。 | |||
後の[[evolution/ja|進化]]において、これらの古代の経路が保持されたのは、解糖やクエン酸サイクルなどの経路が、非常に効率よく、最小限のステップ数で最終生成物を生成することで、これらの反応が特定の代謝上の問題に対する最適な解決策となった結果かもしれない。 | |||
酵素に基づく代謝の最初の経路は[[purine/ja|プリン]]ヌクレオチド代謝の一部であったかもしれないし、それ以前の代謝経路は古代の[[RNA world hypothesis/ja|RNA世界]]の一部であったかもしれない。 | |||
新しい代謝経路が進化するメカニズムを説明するために、多くのモデルが提案されてきた。これらのモデルには、短い祖先経路に新規酵素が順次追加されるもの、経路全体が複製され、その後分岐するもの、既存の酵素を採用して新規反応経路に組み立てるものなどがある。 | |||
これらのメカニズムの相対的な重要性は不明だが、ゲノム研究によって、経路中の酵素は共通の祖先を持っている可能性が高いことが示されており、多くの経路は、経路中の既存のステップから新しい機能を生み出すというステップ・バイ・ステップで進化してきたことが示唆されている。 | |||
別のモデルとして、代謝ネットワークにおけるタンパク質の構造の進化を追跡する研究から、酵素が広く採用され、異なる代謝経路で同様の機能を果たすために酵素を借りていることが示唆されている([[:en:MANET database|MANETデータベース]]で明らかである)。 | |||
第三の可能性は、代謝の一部が「モジュール」として存在し、異なる経路で再利用され、異なる分子に対して同様の機能を果たすというものである。 | |||
新しい代謝経路の進化だけでなく、進化によって代謝機能が失われることもある。例えば、いくつかの[[parasite/ja|寄生虫]]では生存に必須ではない代謝過程が失われ、代わりにあらかじめ形成されたアミノ酸、ヌクレオチド、炭水化物が[[host (biology)/ja|ホスト]]から回収されることがある。同様の代謝能力の低下は[[endosymbiont/ja|内部共生]]にも見られる。 | |||
==調査と操作== | |||
{{Anchor|Investigation and manipulation}} | |||
{{further|Protein methods|Proteomics|Metabolomics|Metabolic network modelling}} | {{further/ja|Protein methods/ja|Proteomics/ja|Metabolomics/ja|Metabolic network modelling/ja}} | ||
[[File:A thaliana metabolic network.png|thumb|upright=1.35|right| | [[File:A thaliana metabolic network.png|thumb|upright=1.35|right|''[[Arabidopsis thaliana/ja|シロイヌナズナ]]''[[citric acid cycle/ja|クエン酸サイクル]]の[[Metabolic network/ja|代謝ネットワーク]]。[[enzyme/ja|酵素]]と[[metabolite/ja|代謝物]]を赤い四角で示し、それらの間の相互作用を黒い線で示した。]] | ||
古典的には、代謝は単一の代謝経路に焦点を当てた[[reductionism/ja|還元]]アプローチによって研究される。 | |||
特に有用なのは、[[radioactive tracer/ja|放射性トレーサー]]を全組織、組織、細胞レベルで用いることである。このトレーサーは、放射性標識された中間体や生成物を同定することによって、前駆体から最終生成物までの経路を定義する。 | |||
そして、これらの化学反応を触媒する酵素を[[protein purification/ja|精製]]し、その[[enzyme kinetics/ja|動力学]]や[[enzyme inhibitor/ja|阻害剤]]に対する反応を調べることができる。 | |||
これと並行して、細胞や組織内の低分子を同定するアプローチもある。 | |||
全体として、これらの研究は単純な代謝経路の構造と機能をよく知ることができるが、完全な細胞の代謝のような複雑な系に適用するには不十分である。 | |||
何千種類もの酵素を含む細胞内の[[metabolic network/ja|代謝ネットワーク]]の複雑さは、右の43のタンパク質と40の代謝産物間の相互作用を示した図が示している。しかし現在では、このゲノムデータを使って生化学反応の完全なネットワークを再構築し、その挙動を説明・予測できるような、より[[Holism/ja|ホリスティック]]な数学モデルを作成することが可能になっている。これらのモデルは、[[proteomics/ja|プロテオミクス]]や[[DNA microarray/ja|DNAマイクロアレイ]]研究から得られた[[gene expression/ja|遺伝子発現]]のデータと、古典的な手法で得られたパスウェイや代謝物のデータを統合するために用いると、特に強力になる。これらの技術を用いて、ヒトの代謝モデルが構築され、将来の創薬や生化学研究の指針となる。これらのモデルは現在、[[:en:Network theory|ネットワーク分析]]に利用され、ヒトの病気を共通のタンパク質や代謝物を持つグループに分類している。 | |||
バクテリアの代謝ネットワークは、[[Bow tie (biology)/ja|ボウタイ]]組織の顕著な例であり、幅広い栄養素を投入し、比較的少数の中間共通通貨を使って多種多様な産物や複雑な高分子を生産できる構造である。 | |||
この情報の主要な技術的応用は[[metabolic engineering/ja|代謝工学]]である。ここでは、[[yeast/ja|酵母]]、植物、[[bacteria/ja|バクテリア]]などの生物を遺伝子組み換えして、[[biotechnology/ja|バイオテクノロジー]]においてより有用なものとし、[[antibiotic/ja|抗生物質]]などの[[drug/ja|医薬品]]や、[[1,3-Propanediol/ja|1,3-プロパンジオール]]や[[shikimic acid/ja|シキミ酸]]などの工業化学物質の生産を助ける。これらの遺伝子組み換えは通常、製品の生産に使われるエネルギーの量を減らし、収量を増やし、廃棄物の生産を減らすことを目的としている。 | |||
==歴史== | |||
{{Anchor|History}} | |||
{{further|History of biochemistry|History of molecular biology}} | {{further/ja|History of biochemistry/ja|History of molecular biology/ja}} | ||
''メタボリズム''という言葉は、[[:ja:古代ギリシャ語|古代ギリシャ語]]のμεταβολή - "Metabole"に由来する。 | |||
[[File:Aristotle's metabolism.png|thumb|right|upright=1.4|[[:en:Aristotle's metabolism|アリストテレスの代謝]]は、オープンフローモデルである。]] | |||
[[File:Aristotle's metabolism.png|thumb|right|upright=1.4|[[Aristotle's | |||
===ギリシャ哲学=== | |||
[[:ja:アリストテレス|アリストテレス]]の''[[:en:The Parts of Animals|動物の部位]]''には、[[:en:Aristotle's biology|代謝に関する見解]]の詳細が、開放流モデルを作るのに十分な程度に記されている。彼は、プロセスの各段階で食物からの物質が変換され、熱が火の[[:en:classical element|古典的要素]]として放出され、残留物質が尿、胆汁、または糞便として排泄されると考えた。 | |||
[[ | |||
[[:en:Ibn al-Nafis|イブン・アル=ナフィス]]は、西暦1260年に発表した[[:en:Al-Risalah al-Kamiliyyah fil Siera al-Nabawiyyah|Al-Risalah al-Kamiliyyah fil Siera al-Nabawiyyah]](預言者の伝記に関するカミルの論考)という著作の中で新陳代謝について述べており、その中に次のようなフレーズがある。"身体もその部分も、溶解と栄養補給の連続的な状態にあるため、必然的に永続的な変化を遂げている。" | |||
[[Ibn al-Nafis]] | |||
===科学的手法の応用と現代の代謝理論=== | |||
=== | 代謝の科学的研究の歴史は数世紀にわたっており、初期の研究では動物全体を調べることから、現代の生化学では個々の代謝反応を調べるようになった。ヒトの代謝における最初の対照[[experiment/ja|実験]]は、1614年に[[:en:Santorio Santorio|Santorio Santorio]]が著書''Ars de statica medicina''の中で発表した。彼は食事、[[sleeping/ja|睡眠]]、仕事、セックス、絶食、飲酒、排泄の前後に体重を測定した方法を記述した。彼は、摂取した食物のほとんどが"[[insensible perspiration/ja|不感蒸泄性発汗]]"と呼ばれるもので失われることを発見した。 | ||
[[File:SantoriosMeal.jpg|thumb|right|upright=0.7|[[:en:Santorio Santorio|サントリーオ・サントリーオ]]の天秤、''Ars de statica medicina''(1614年初版)より]] | |||
[[File:SantoriosMeal.jpg|thumb|right|upright=0.7|[[Santorio Santorio]] | |||
これらの初期の研究では、これらの代謝プロセスのメカニズムは特定されておらず、[[:en:vitalism|生命力]]が生体組織を動かしていると考えられていた。19世紀、[[yeast/ja|酵母]]による糖の[[ethanol/ja|アルコール]]への[[fermentation (food)/ja|発酵]]を研究していた[[:en:Louis Pasteur|ルイ・パスツール]]は、発酵は彼が「発酵物」と呼ぶ酵母細胞内の物質によって触媒されると結論づけた。 | |||
彼は「アルコール発酵は酵母細胞の生命と組織に関連した行為であり、細胞の死や腐敗に関連した行為ではない」と書いた。 | |||
この発見は、1828年に[[:en:Friedrich Woehler|フリードリッヒ・ヴェーラー]]が発表した[[urea/ja|尿素]]の化学合成に関する論文とともに、完全に無機前駆体から調製された最初の有機化合物として注目されている。これは、細胞内で見られる有機化合物や化学反応が、化学の他の部分と原理的に何ら変わらないことを証明した。 | |||
20世紀初頭に[[:en:Eduard Buchner|エドゥアルド・ブフナー]]によって[[enzyme/ja|酵素]]が発見され、代謝の化学反応の研究が細胞の生物学的研究から切り離され、[[biochemistry/ja|生化学]]の始まりとなった。生化学の知識は20世紀初頭を通じて急速に増大した。これらの近代生化学者の中で最も多作だったのが、代謝の研究に多大な貢献をした[[:en:Hans Adolf Krebs|ハンス・クレブス]]である。彼は尿素サイクルを発見し、後に[[:en:Hans Kornberg|ハンス・コーンバーグ]]と共同でクエン酸サイクルとグリオキシル酸サイクルを発見した。 | |||
== こちらも参照 == | |||
* {{annotated link|Anthropogenic metabolism/ja}} | |||
* {{annotated link|Anthropogenic metabolism}} | * {{annotated link|Antimetabolite/ja}} | ||
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代謝(/məˈtæbəlɪzəm/, from Greek: μεταβολή metabolē, "change")とは、生物における生命を維持するための一連の化学反応のことである。代謝の3つの主な機能は、食物中のエネルギーを細胞プロセスを実行するために利用可能なエネルギーに変換すること、食物をタンパク質、脂質、核酸、および一部の炭水化物の構成要素に変換すること、および代謝廃棄物を除去することである。 これらの酵素触媒反応により、生物は成長・繁殖し、構造を維持し、環境に対応することができる、 また、代謝という言葉は、消化を含む生物で起こる全ての化学反応の総体を指すこともある、 この場合、上記の細胞内の一連の反応は中間(または中間代謝)と呼ばれる。
代謝反応は、異化-化合物の分解(例えば、細胞呼吸によるグルコースからピルビン酸への分解)と、同化-化合物(タンパク質、炭水化物、脂質、核酸など)の構築(合成)に分類される。通常、異化はエネルギーを放出し、同化はエネルギーを消費する。
代謝の化学反応は代謝経路に組織化されており、そこではある化学物質が一連のステップを経て別の化学物質に変換され、各ステップは特定の酵素によって促進される。酵素は、エネルギーを放出する自発的反応に結合させることによって、エネルギーを必要とし、それ自体では起こらないような望ましい反応を生物が推進することを可能にするので、代謝にとって極めて重要である。酵素は触媒として機能し、反応をより速く進行させる。また、例えばセルの環境の変化や他の細胞からのシグナルに応答して、代謝反応の速度を調節することもできる。
特定の生物の代謝システムは、どの物質を栄養とし、どの物質を毒とするかを決定する。例えば、いくつかの原核生物は硫化水素を栄養としているが、このガスは動物にとっては毒である。生物の基礎代謝量は、これらすべての化学反応によって消費されるエネルギー量の尺度である。
代謝の顕著な特徴は、大きく異なる種の間で基本的な代謝経路が類似していることである。例えば、クエン酸サイクルの中間体として最もよく知られているカルボン酸のセットは、すべての既知の生物に存在し、単細胞細菌の大腸菌やゾウのような巨大な多細胞生物などの多様な種に見られる。このような代謝経路の類似性は、進化史において早くから出現していたためと考えられ、その保持はその効能によるものと考えられる。2型糖尿病、メタボリックシンドローム、がんなどの様々な疾患では、正常な代謝が破綻している。がん細胞の代謝もまた正常細胞の代謝とは異なっており、こうした違いを利用してがんの治療介入のターゲットを見つけることができる。
主要な性化学物質


動物、植物、微生物を構成する構造のほとんどは、4つの基本的なクラスの分子からできている: アミノ酸、炭水化物、核酸、脂質(しばしば脂肪と呼ばれる)である。これらの分子は生命維持に不可欠であるため、代謝反応は細胞や組織を作る際にこれらの分子を作ることに集中するか、消化によって分解してエネルギーを得るために使用することに集中する。これらの生化学物質は結合して、DNAやタンパク質といった生命に必須な高分子のポリマーを作ることができる。
分子の種類 | モノマーの形態名 | ポリマーの形態名 | ポリマー形態の例 |
---|---|---|---|
アミノ酸 | アミノ酸 | プロテイン (ポリペプチドでできている) | 繊維状タンパク質 と 球状タンパク質 |
炭水化物 | 単糖類 | 多糖類 | スターチ, グリコーゲン, セルロース |
核酸 | ヌクレオチド | ポリヌクレオチド | DNA と RNA |
アミノ酸とタンパク質
タンパク質はアミノ酸がペプチド結合で結合した直鎖状に配列したものである。多くのタンパク質は酵素であり、代謝における化学反応を触媒する。 他のタンパク質は、細胞の形状を維持する足場のシステムである細胞骨格を形成するものなど、構造的または機械的な機能を持つ。 タンパク質はまた、細胞シグナル伝達、免疫応答、細胞接着、膜を介した活性輸送、および細胞周期において重要である。 アミノ酸はまた、クエン酸サイクル(トリカルボン酸サイクル)に入るための炭素源を提供することで、細胞のエネルギー代謝にも寄与する、 特に、グルコースのような主要なエネルギー源が不足しているときや、細胞が代謝ストレスを受けているときには、この役割を果たす。
脂質
脂質は生化学物質の中で最も多様なグループである。その主な構造的用途は、細胞膜のような内外の生体膜の一部としての利用である。その化学エネルギーを利用することもできる。脂質は、酸素を含む小さな極性領域を持つ長い非極性炭化水素鎖を含む脂肪酸のポリマーである。脂質は通常疎水性または両親媒性の生体分子と定義されるが、エタノール、ベンゼン、クロロホルムなどの有機溶媒に溶解する。脂肪は脂肪酸とグリセロールを含む化合物の大きなグループであり、エステル結合によって3つの脂肪酸に結合したグリセロール分子はトリアシルグリセリドと呼ばれる。この基本構造にはいくつかのバリエーションがあり、スフィンゴミエリンのsphingosine/jaスフィンゴシンのような骨格や、リン脂質のようなリン酸のような親水性|親水性基がある。ステロールなどのステロイドも脂質の主要な分類である。
炭水化物

炭水化物は、多くの水酸基が結合したアルデヒドまたはケトンであり、直鎖または環として存在することができる。炭水化物は最も豊富な生体分子であり、エネルギーの貯蔵や輸送(デンプン、グリコーゲン)、構造成分(植物のセルロース、動物のキチン)など、多くの役割を担っている。基本的な炭水化物単位は単糖と呼ばれ、ガラクトース、フルクトース、そして最も重要なグルコースが含まれる。単糖類は連結してほとんど無限の方法で多糖類を形成することができる。
核酸
DNAとRNAという2つの核酸は、核酸のポリマーである。各核酸は、リボースまたはデオキシリボースの糖基に結合したリン酸から構成され、窒素塩基に結合している。核酸は、遺伝情報の保存と利用、および転写とタンパク質生合成の過程を通してのその解釈に重要である。この情報はDNA修復機構によって保護され、DNA複製によって伝播する。多くのウイルスはRNAゲノムを持っており、例えばHIVは逆転写を用いてそのウイルスRNAゲノムからDNAテンプレートを作り出す。スプライソソームやリボソームなどのリボザイムに含まれるRNAは、化学反応を触媒できるので酵素に似ている。個々の核酸はリボース糖に核酸塩基を結合させて作られる。これらの塩基は窒素を含む複素環であり、プリンまたはピリミジンに分類される。ヌクレオチドはまた、代謝基転移反応における補酵素としても働く。
補酵素(コエンザイム)

代謝には膨大な数の化学反応が含まれるが、そのほとんどは、分子内の原子の官能基とその結合の移動を伴う、いくつかの基本的なタイプの反応に分類される。この一般的な化学反応によって、細胞は小さな代謝中間体のセットを使って、異なる反応間で化学基を運ぶことができる。これらの基転移中間体は補酵素と呼ばれる。各クラスの基転移反応は、特定の補酵素によって行われる。補酵素は、それを生成する一連の酵素の基質であり、それを消費する一連の酵素の基質でもある。 したがって、これらの補酵素は絶えず作られ、消費され、そして再利用される。
中心的な補酵素のひとつが、細胞のエネルギー通貨であるアデノシン三リン酸(ATP)である。このヌクレオチドは、異なる化学反応間で化学エネルギーを伝達するために使われる。細胞内に存在するATPの量はわずかだが、絶えず再生されるため、人体は1日に自分の体重ほどのATPを使うことができる。ATPは異化作用と同化作用の橋渡しをする。異化作用によって分子が分解され、同化作用によって分子が組み合わされる。異化反応はATPを生成し、同化反応はATPを消費する。また、リン酸化反応ではリン酸基の運搬役としても働く。
ビタミンは細胞内で作ることができない、少量で必要とされる有機化合物である。ヒトの栄養学では、ほとんどのビタミンは修飾後に補酵素として機能する。例えば、全ての水溶性ビタミンは細胞内で使用される際にリン酸化されるか、ヌクレオチドと結合する。ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD+)は、ビタミンB3の誘導体(ナイアシン)であり、水素受容体として働く重要な補酵素である。何百種類ものデヒドロゲナーゼが基質から電子を除去し、NAD+をNADHに還元する。この還元型補酵素は、水素原子を基質に移動させる必要のある細胞内の還元酵素の基質となる。ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドは、細胞内でNADHとNADPHという2つの関連した形で存在する。NAD+/NADH型は異化反応においてより重要であり、NADP+/NADPHは同化反応において使用される。

ミネラルと補酵素
無機元素は代謝において重要な役割を果たす。豊富に含まれるものもあれば(例えばナトリウムやカリウム)、微量で機能するものもある。人間の体重の約99%は炭素、窒素、カルシウム、ナトリウム、塩素、カリウム、水素、リン、酸素、硫黄の元素で構成されている。有機化合物(タンパク質、脂質、炭水化物)は炭素と窒素の大部分を含み、酸素と水素の大部分は水として存在する。
豊富な無機元素は電解質として機能する。最も重要なイオンはナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、塩化物、リン酸塩および有機イオン重炭酸塩である。細胞膜を横切る正確なイオン勾配の維持は、浸透圧とpHを維持する。これらの組織における活動電位は、細胞外液と細胞の体液である細胞質との間の電解質の交換によって生成されるため、イオンは神経や筋肉の機能にとっても重要である。電解質はイオンチャネルと呼ばれる細胞膜のタンパク質を通して細胞に出入りする。例えば、筋収縮は、細胞膜とT管にあるイオンチャネルを介したカルシウム、ナトリウム、カリウムの移動に依存している。
遷移金属は通常微量元素として生体内に存在するが、その中でも亜鉛と鉄が最も多く含まれている。金属補因子はタンパク質の特定の部位に強固に結合している。酵素補因子は触媒反応中に修飾されることがあるが、触媒された反応の終了時には必ず元の状態に戻る。金属微量栄養素は、特定の輸送体によって生体内に取り込まれ、使用されないときはフェリチンやメタロチオネインなどの貯蔵タンパク質に結合する。
異化
異化とは、大きな分子を分解する一連の代謝過程のことである。これには食物分子の分解と酸化が含まれる。異化反応の目的は、分子を構築する同化反応に必要なエネルギーと成分を供給することである。これらの異化反応の正確な性質は生物によって異なり、生物はエネルギー、水素、炭素の供給源(一次栄養群)に基づいて下表のように分類することができる。有機栄養生物は水素原子や電子の供給源として有機分子を利用し、岩石栄養生物は無機基質を利用する。光栄養生物が太陽光を化学エネルギーに変換するのに対し、化学栄養生物は還元されたドナー分子、例えば有機分子、水素、硫化水素、鉄イオンから酸素、硝酸塩、硫酸塩への電子の移動を含む酸化還元反応に依存する。動物では、これらの反応には複雑な有機分子が関与しており、それらは二酸化炭素や水などのより単純な分子に分解される。植物やシアノバクテリアなどの光合成生物は、太陽光から吸収したエネルギーを蓄えるために同様の電子伝達反応を用いる。
エネルギー源 | 日光 | photo- | -troph | ||
分子 | chemo- | ||||
水素または電子供与体 | 有機化合物 | organo- | |||
無機化合物 | litho- | ||||
炭素供給源 | 有機化合物 | hetero- | |||
無機化合物 | auto- |
動物における最も一般的な一連の異化反応は、主に3つの段階に分けることができる。第一段階では、タンパク質、多糖類、脂質などの大きな有機分子が、細胞外で消化されて小さな成分になる。次に、これらの小さな分子は細胞に取り込まれ、より小さな分子、通常はアセチルコエンザイムA(アセチル-CoA)に変換され、エネルギーを放出する。最後に、アセチル-CoA上のアセチル基はクエン酸サイクルと電子伝達系で水と二酸化炭素に酸化され、補酵素ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD+)をNADHに還元しながらさらにエネルギーを放出する。
消化
高分子は細胞で直接処理することができない。高分子は細胞の代謝に使われる前に、より小さな単位に分解されなければならない。これらの高分子を消化するために、様々な種類の酵素が使われる。これらの消化酵素には、タンパク質をアミノ酸に消化するプロテアーゼや、多糖類を単糖類として知られる単純な糖に消化するグリコシドヒドロラーゼが含まれる。
微生物は単純に消化酵素を周囲に分泌するが、動物は胃や膵臓などの内蔵や唾液腺などの特殊な細胞からのみ分泌する。これらの細胞外酵素によって放出されたアミノ酸や糖は、次に能動輸送タンパク質によって細胞内に送り込まれる。

有機化合物からのエネルギー
炭水化物の異化とは、炭水化物をより小さな単位に分解することである。糖質は通常、単糖に消化された後に細胞内に取り込まれる。細胞内に取り込まれると、主な分解経路は解糖であり、グルコースやフルクトースなどの糖がピルビン酸に変換され、いくらかのATPが生成される。ピルビン酸はいくつかの代謝経路の中間体であるが、大部分は好気的(酸素を用いる)解糖によってアセチル-CoAに変換され、クエン酸サイクルに供給される。クエン酸サイクルではさらにいくらかのATPが生成されるが、最も重要な生成物はNADHであり、アセチル-CoAが酸化される際にNAD+から作られる。この酸化は、廃棄物として二酸化炭素を放出する。嫌気的条件下では、解糖は乳酸を生成し、酵素乳酸デヒドロゲナーゼがNADHをNAD+に再酸化して解糖で再利用する。

脂肪は加水分解によって遊離脂肪酸とグリセロールに異化される。グリセロールは解糖に入り、脂肪酸はβ酸化によって分解されてアセチル-CoAを放出し、クエン酸サイクルに供給される。脂肪酸は糖質よりも酸化時に多くのエネルギーを放出する。ステロイドもまた、いくつかの細菌によってβ酸化に似たプロセスで分解され、この分解プロセスでは、大量のアセチル-CoA、プロピオニル-CoA、ピルビン酸が放出される。また、M. tuberculosisは脂質コレステロールを唯一の炭素源として増殖することができ、コレステロール利用経路に関与する遺伝子はM. tuberculosisの感染ライフサイクルの様々な段階において重要であることが確認されている。
アミノ酸は、タンパク質や他の生体分子を合成するために使われるか、エネルギーを生産するために尿素と二酸化炭素に酸化される。酸化経路は、トランスアミナーゼによるアミノ基の除去から始まる。アミノ基は尿素サイクルに供給され、脱アミノ化された炭素骨格がケト酸の形で残る。これらのケト酸のいくつかはクエン酸サイクルの中間体であり、例えばα-ケトグルタル酸はグルタミン酸の脱アミノ化によって形成される。また、糖原性アミノ酸は糖新生によってグルコースに変換されることもある(後述)。
エネルギー変換
酸化的リン酸化
酸化的リン酸化では、クエン酸サイクルのような領域で有機分子から取り除かれた電子が酸素に移動し、放出されたエネルギーを使ってATPが作られる。これは真核生物では電子伝達鎖と呼ばれるミトコンドリアの膜にある一連のタンパク質によって行われる。原核生物では、これらのタンパク質は細胞の内膜に存在する。これらのタンパク質は、NADHのような被還元分子のエネルギーを使って、膜を横切ってプロトンを送り出す。

ミトコンドリアからプロトンを送り出すと、膜を横切ってプロトンの濃度差が生じ、電気化学的勾配が発生する。この力によって、プロトンはATP合成酵素と呼ばれる酵素の基部を通ってミトコンドリア内に戻る。プロトンの流れは茎サブユニットを回転させ、合成酵素ドメインの活性部位の形状を変化させ、アデノシン二リン酸 をリン酸化させ、ATPに変える。
無機化合物からのエネルギー
ケモリソトロフは原核生物に見られる代謝の一種で、無機化合物の酸化からエネルギーを得る。これらの生物は還元力の源として水素、還元された硫黄化合物(硫化物、硫化水素、チオ硫酸など)、鉄(Fe(II))、またはアンモニアを用いることができ、これらの化合物の酸化からエネルギーを得る。これらの微生物プロセスは、酢酸生成、硝化、脱窒などの地球規模の生物地球化学サイクルにおいて重要であり、土壌肥沃度にとって重要である。
光からのエネルギー
太陽光のエネルギーは、植物、シアノバクテリア、細菌、緑色硫黄細菌、およびいくつかの原生生物によって取り込まれる。このプロセスは、後述する光合成の一部として、二酸化炭素の有機化合物への変換と結合していることが多い。しかし、原核生物ではエネルギー捕捉系と炭素固定系は別々に作動することもある。紫色細菌や緑色硫黄細菌は、炭素固定と有機化合物の発酵を切り替えながら、エネルギー源として太陽光を利用することができるからである。
多くの生物において、太陽エネルギーの取り込みは、プロトン濃度勾配としてのエネルギー貯蔵を伴うため、原理的には酸化的リン酸化と似ている。このプロトン原動力が、ATP合成の原動力となる。この電子輸送鎖の駆動に必要な電子は、光合成反応センターと呼ばれる光を集めるタンパク質から供給される。反応中心は存在する光合成色素の性質によって2種類に分類され、ほとんどの光合成細菌は1種類しか持たないが、植物やシアノバクテリアは2種類持っている。
植物、藻類、シアノバクテリアでは、光化学系IIが光エネルギーを使って水から電子を取り出し、廃棄物として酸素を放出する。電子は次にシトクロムb6f複合体に流れ、そのエネルギーを使って葉緑体のチラコイド膜を横切ってプロトンを送り出す。これらのプロトンは、先ほどと同じようにATP合成酵素を駆動しながら、膜を通って再び移動する。その後、電子は光化学系Iを流れ、補酵素NADP+を還元するのに使われる。
同化
同化作用とは、異化作用によって放出されたエネルギーが複雑な分子を合成するために使われる一連の建設的な代謝過程のことである。一般に、細胞構造を構成する複雑な分子は、より小さく単純な前駆体から段階的に構築される。同化作用には3つの基本段階がある。第一に、アミノ酸、単糖類、イソプレノイド、ヌクレオチドなどの前駆体の生産、第二に、ATPからのエネルギーを用いて反応性形態への活性化、第三に、これらの前駆体をタンパク質、多糖類、脂質、核酸などの複雑な分子に組み立てることである。
生物の同化作用は、細胞内で構築される分子の供給源によって異なることがある。植物のような独立栄養生物は、二酸化炭素や水のような単純な分子から、多糖類やタンパク質のような細胞内の複雑な有機分子を構築することができる。一方、従属栄養生物は、これらの複雑な分子を作り出すために、単糖類やアミノ酸など、より複雑な物質の供給源を必要とする。光独立栄養生物と光従属栄養生物は光からエネルギーを得るが、化学独立栄養生物と化学従属栄養生物は酸化反応からエネルギーを得る。
炭素固定

光合成とは、太陽光と二酸化炭素(CO2)から炭水化物を合成することである。植物、シアノバクテリア、藻類では、酸素光合成は水を分解し、酸素は廃棄物として生成される。この過程では、前述のように光合成反応センターで生成されたATPとNADPHを用いてCO2をグリセリン酸3-リン酸に変換し、これをグルコースに変換することができる。この炭素固定反応は、カルビン - ベンソン サイクルの一部として、酵素RuBisCOによって行われる。植物ではC3炭素固定、C4炭素固定、CAM光合成の3種類の光合成が行われる。C3光合成はCO2を直接固定するが、C4光合成とCAM光合成は、強い日差しと乾燥条件に対処するための適応として、CO2をまず他の化合物に組み込む。
光合成原核生物では、炭素固定機構はより多様である。ここでは、二酸化炭素はカルビン-ベンソンサイクル、逆クエン酸サイクル、またはアセチル-CoAのカルボキシル化によって固定される。原核生物の化学的独立栄養生物もカルビン・ベンソンサイクルによってCO2を固定するが、反応の駆動には無機化合物からのエネルギーを用いる。
炭水化物と糖鎖
炭水化物の同化において、単純な有機酸はグルコースのような単糖に変換され、次にデンプンのような多糖を組み立てるのに使われる。ピルビン酸、乳酸、グリセロール、グリセリン酸3-リン酸、アミノ酸などの化合物からグルコースを生成することを糖新生という。糖新生は一連の中間体を介してピルビン酸をグルコース-6-リン酸に変換するが、その多くは解糖と共通している。しかしながら、この経路は単に解糖を逆に実行したものではなく、いくつかのステップが非解糖系酵素によって触媒されている。このことは、グルコースの生成と分解を別々に制御することを可能にし、両方の経路が同時に無駄なサイクルで走ることを防ぐという意味で重要である。
脂肪はエネルギーを貯蔵する一般的な方法であるが、ヒトのような脊椎動物ではアセチル-CoAをピルビン酸に変換することができないため、貯蔵されている脂肪酸を糖新生によってグルコースに変換することができない。植物は必要な酵素機構を持っているが、動物は持っていない。その結果、脊椎動物は長期間の飢餓の後、脂肪酸を代謝できない脳などの組織でグルコースの代わりに脂肪酸からケトン体を生成する必要がある。植物や細菌などの他の生物では、この代謝の問題はグリオキシル酸サイクルを用いて解決される。このサイクルはクエン酸サイクルの脱炭酸段階をバイパスし、アセチル-CoAからオキサロ酢酸への変換を可能にし、グルコースの生産に利用できる。 脂肪以外のグルコースは、通常血中グルコースレベルを維持するために使用されていた糖新生を通じて組織内で利用可能なエネルギー資源として、ほとんどの組織に貯蔵されている。
多糖類や糖鎖は、ウリジン二リン酸グルコース(UDP-Glc)のような反応性の糖-リン酸供与体から、糖転移酵素によって、成長する多糖類上の受容体水酸基に単糖が順次付加されることによって作られる。基質の環上の水酸基はいずれもアクセプターとなりうるので、生成する多糖は直鎖構造でも分岐構造でもよい。産生された多糖は、それ自体が構造的あるいは代謝的機能を持つこともあれば、オリゴ糖転移酵素と呼ばれる酵素によって脂質やタンパク質に転移されることもある。
脂肪酸、イソプレノイド、ステロール

脂肪酸は脂肪酸合成酵素がアセチル-CoA単位を重合し、還元することで作られる。脂肪酸のアシル鎖は、アシル基を付加し、アルコールに還元し、脱水してアルケン基にし、再び還元してアルカン基にする反応のサイクルによって延長される。脂肪酸生合成の酵素は2つのグループに分けられる。動物や菌類では、これらの脂肪酸合成酵素反応はすべて1つの多機能型I型タンパク質によって行われるが、植物のプラスチドや細菌では別々のII型酵素が経路の各段階を行う。
テルペン類およびイソプレノイドは、カロテノイド類を含む脂質の大きな分類であり、植物の天然物の最大の分類を形成している。これらの化合物は、反応性前駆体であるイソペンテニルピロホスフェートとジメチルアリルピロホスフェートから供与されたイソプレン単位の集合と修飾によって作られる。これらの前駆体はさまざまな方法で作ることができる。動物や古細菌ではメバロン酸経路がアセチル-CoAからこれらの化合物を生成するが、植物や細菌では非メバロン酸経路がピルビン酸とグリセルアルデヒド3-リン酸を基質として使用する。これらの活性化イソプレン供与体を用いる重要な反応の一つがステロール生合成である。ここでは、イソプレン単位が結合してスクアレンを作り、さらに折り重なって一連の環を形成してラノステロールを作る。ラノステロールはその後、コレステロールやエルゴステロールなどの他のステロールに変換される。
タンパク質
生物は、20種類の一般的なアミノ酸を合成する能力に差がある。ほとんどの細菌や植物は20種類すべてを合成できるが、哺乳類は11種類の非必須アミノ酸しか合成できないため、9種類の必須アミノ酸は食物から摂取しなければならない。細菌肺炎マイコプラズマのような一部の単純な寄生虫は全てのアミノ酸合成を欠き、宿主から直接アミノ酸を摂取する。すべてのアミノ酸は解糖、クエン酸サイクル、またはペントースリン酸経路の中間体から合成される。窒素はグルタミン酸とグルタミンから供給される。非必須アミノ酸合成は、適切なα-ケト酸の形成に依存し、それがトランスアミナーゼされてアミノ酸を形成する。
アミノ酸はペプチド結合の鎖で結合することでタンパク質になる。異なるタンパク質は、それぞれ固有のアミノ酸残基の配列を持っている:これがその一次構造である。アルファベットを組み合わせてほとんど無限の単語を作ることができるように、アミノ酸も様々な配列で結合して多種多様なタンパク質を作ることができる。タンパク質は、転移RNA分子にエステル結合で結合して活性化されたアミノ酸から作られる。このアミノアシルtRNA前駆体は、アミノアシルtRNA合成酵素によって行われるATP依存的反応で生成される。このアミノアシルtRNAは次にリボソームの基質となり、メッセンジャーRNAの配列情報を利用して、伸長するタンパク質鎖にアミノ酸を結合させる。
ヌクレオチドの合成とサルベージ
ヌクレオチドは、大量の代謝エネルギーを必要とする経路で、アミノ酸、二酸化炭素、ギ酸から作られる。その結果、ほとんどの生物はあらかじめ形成されたヌクレオチドを回収する効率的なシステムを持っている。プリン類はヌクレオシド(リボースに結合した塩基)として合成される。アデニンもグアニンも、アミノ酸グリシン、グルタミン、アスパラギン酸の原子と、補酵素から移動したギ酸を用いて合成される前駆体ヌクレオシドイノシン一リン酸から作られる。テトラヒドロ葉酸から移行する。一方、ピリミジンは、グルタミンとアスパラギン酸から形成される塩基オロチン酸から合成される。
ゼノバイオティクスと酸化還元代謝
すべての生物は、食物として利用できず、代謝機能を持たないため細胞内に蓄積すると有害な化合物に常にさらされている。これらの潜在的に有害な化合物はゼノバイオティクスと呼ばれる。合成薬物、自然毒、抗生物質などのゼノバイオティクスは、一連のゼノバイオティクス代謝酵素によって解毒される。ヒトでは、シトクロムP450オキシダーゼ、UDP-グルクロノシルトランスフェラーゼ、グルタチオンS-トランスフェラーゼが含まれる。この酵素系は3段階で作用し、まず異種物質を酸化し(第I相)、次に水溶性基を分子に結合させる(第II相)。その後、修飾された水溶性異種生物は細胞外に排出され、多細胞生物ではさらに代謝されてから排泄される(第III相)。生態学では、これらの反応は微生物による汚染物質の生分解や、汚染された土地や流出油のバイオレメディエーションにおいて特に重要である。これらの微生物反応の多くは多細胞生物と共通であるが、微生物の種類が驚くほど多様であるため、これらの生物は多細胞生物よりもはるかに幅広い種類の異生物に対処することができ、有機塩化物化合物のような難分解性有機汚染物質さえも分解することができる。
好気性生物にとって関連する問題は酸化ストレスである。ここでは、酸化的リン酸化やタンパク質折り畳みの際のジスルフィド結合の形成などの過程で、過酸化水素などの活性酸素種が生成される。これらの有害な酸化物質は、グルタチオンなどの抗酸化物質の代謝産物や、カタラーゼやペルオキシダーゼなどの酵素によって除去される。
生物の熱力学
生物は熱力学の法則に従わなければならないが、それは熱の伝達とワークを記述するものである。熱力学の第二法則は、どのような孤立系でもエントロピー(無秩序)の量は減少しないと述べている。生物の驚くべき複雑さはこの法則に反しているように見えるが、すべての生物は周囲と物質とエネルギーを交換するオープンシステムであるため、生命は可能である。生命システムは均衡にあるわけではない、 しかしその代わりに、環境のエントロピーをより大きく増大させることによって、複雑性の高い状態を維持する散逸系である。 細胞の代謝は、異化の自発的過程を同化の非自発的過程と結合させることでこれを実現している。熱力学の用語では、代謝は無秩序を作り出すことによって秩序を維持する。
調節と制御
ほとんどの生物の環境は常に変化しているため、細胞内の状態を一定に保つためには、代謝反応を細かく制御する必要がある。代謝調節はまた、生物がシグナルに反応し、環境と積極的に相互作用することを可能にする。代謝経路がどのように制御されているかを理解するためには、密接に結びついた2つの概念が重要である。第一に、経路中の酵素の制御とは、シグナルに応答してその活性がどのように増減するかということである。第二に、この酵素が及ぼす制御とは、その活性の変化が経路全体の速度(経路を通るフラックス)に及ぼす影響である。例えば、ある酵素が活性に大きな変化を示しても(すなわち、その酵素は高度に制御されている)、その変化が代謝経路のフラックスにほとんど影響しなければ、その酵素は経路の制御には関与していないことになる。

代謝調節には複数のレベルがある。本質的調節では、代謝経路は基質または生成物のレベルの変化に対応するように自己調節する。例えば、生成物の量が減少すると、それを補うために経路を通るフラックスを増加させることができる。この種の制御には、経路中の複数の酵素活性のアロステリック制御が関与することが多い。外在的制御は、多細胞生物の細胞が他の細胞からのシグナルに応じて代謝を変化させることを含む。これらのシグナルは通常、ホルモンや成長因子などの水溶性メッセンジャーの形をしており、細胞表面にある特定の受容体によって検出される。これらのシグナルは次に、しばしばタンパク質のリン酸化を伴うセカンドメッセンジャーシステムによって細胞内に伝達される。
外因性制御の例として非常によく理解されているのは、インスリンというホルモンによるグルコース代謝の調節である。インスリンは血中グルコース濃度の上昇に反応して産生される。このホルモンが細胞上のインスリン受容体に結合すると、プロテインキナーゼのカスケードが活性化され、細胞がグルコースを取り込み、脂肪酸やグリコーゲンなどの貯蔵分子に変換する。グリコーゲンの代謝は、グリコーゲンを分解する酵素であるホスホリラーゼと、グリコーゲンを作る酵素であるグリコーゲン合成酵素の活性によって制御されている。これらの酵素は相互に制御されており、リン酸化はグリコーゲン合成酵素を阻害するが、ホスホリラーゼは活性化する。インスリンはタンパク質ホスファターゼを活性化し、これらの酵素のリン酸化の減少をもたらすことによってグリコーゲン合成を引き起こす。
進化

解糖やクエン酸サイクルのような上記の代謝の中心経路は、全ての3ドメインthree domainの生物に存在し、最後の普遍的共通祖先にも存在した。 この普遍的祖先細胞は原核生物であり、おそらく広範なアミノ酸、ヌクレオチド、炭水化物、脂質の代謝を持つメタン菌であった。 後の進化において、これらの古代の経路が保持されたのは、解糖やクエン酸サイクルなどの経路が、非常に効率よく、最小限のステップ数で最終生成物を生成することで、これらの反応が特定の代謝上の問題に対する最適な解決策となった結果かもしれない。 酵素に基づく代謝の最初の経路はプリンヌクレオチド代謝の一部であったかもしれないし、それ以前の代謝経路は古代のRNA世界の一部であったかもしれない。
新しい代謝経路が進化するメカニズムを説明するために、多くのモデルが提案されてきた。これらのモデルには、短い祖先経路に新規酵素が順次追加されるもの、経路全体が複製され、その後分岐するもの、既存の酵素を採用して新規反応経路に組み立てるものなどがある。 これらのメカニズムの相対的な重要性は不明だが、ゲノム研究によって、経路中の酵素は共通の祖先を持っている可能性が高いことが示されており、多くの経路は、経路中の既存のステップから新しい機能を生み出すというステップ・バイ・ステップで進化してきたことが示唆されている。 別のモデルとして、代謝ネットワークにおけるタンパク質の構造の進化を追跡する研究から、酵素が広く採用され、異なる代謝経路で同様の機能を果たすために酵素を借りていることが示唆されている(MANETデータベースで明らかである)。 第三の可能性は、代謝の一部が「モジュール」として存在し、異なる経路で再利用され、異なる分子に対して同様の機能を果たすというものである。
新しい代謝経路の進化だけでなく、進化によって代謝機能が失われることもある。例えば、いくつかの寄生虫では生存に必須ではない代謝過程が失われ、代わりにあらかじめ形成されたアミノ酸、ヌクレオチド、炭水化物がホストから回収されることがある。同様の代謝能力の低下は内部共生にも見られる。
調査と操作

古典的には、代謝は単一の代謝経路に焦点を当てた還元アプローチによって研究される。 特に有用なのは、放射性トレーサーを全組織、組織、細胞レベルで用いることである。このトレーサーは、放射性標識された中間体や生成物を同定することによって、前駆体から最終生成物までの経路を定義する。 そして、これらの化学反応を触媒する酵素を精製し、その動力学や阻害剤に対する反応を調べることができる。 これと並行して、細胞や組織内の低分子を同定するアプローチもある。 全体として、これらの研究は単純な代謝経路の構造と機能をよく知ることができるが、完全な細胞の代謝のような複雑な系に適用するには不十分である。
何千種類もの酵素を含む細胞内の代謝ネットワークの複雑さは、右の43のタンパク質と40の代謝産物間の相互作用を示した図が示している。しかし現在では、このゲノムデータを使って生化学反応の完全なネットワークを再構築し、その挙動を説明・予測できるような、よりホリスティックな数学モデルを作成することが可能になっている。これらのモデルは、プロテオミクスやDNAマイクロアレイ研究から得られた遺伝子発現のデータと、古典的な手法で得られたパスウェイや代謝物のデータを統合するために用いると、特に強力になる。これらの技術を用いて、ヒトの代謝モデルが構築され、将来の創薬や生化学研究の指針となる。これらのモデルは現在、ネットワーク分析に利用され、ヒトの病気を共通のタンパク質や代謝物を持つグループに分類している。
バクテリアの代謝ネットワークは、ボウタイ組織の顕著な例であり、幅広い栄養素を投入し、比較的少数の中間共通通貨を使って多種多様な産物や複雑な高分子を生産できる構造である。
この情報の主要な技術的応用は代謝工学である。ここでは、酵母、植物、バクテリアなどの生物を遺伝子組み換えして、バイオテクノロジーにおいてより有用なものとし、抗生物質などの医薬品や、1,3-プロパンジオールやシキミ酸などの工業化学物質の生産を助ける。これらの遺伝子組み換えは通常、製品の生産に使われるエネルギーの量を減らし、収量を増やし、廃棄物の生産を減らすことを目的としている。
歴史
メタボリズムという言葉は、古代ギリシャ語のμεταβολή - "Metabole"に由来する。

ギリシャ哲学
アリストテレスの動物の部位には、代謝に関する見解の詳細が、開放流モデルを作るのに十分な程度に記されている。彼は、プロセスの各段階で食物からの物質が変換され、熱が火の古典的要素として放出され、残留物質が尿、胆汁、または糞便として排泄されると考えた。
イブン・アル=ナフィスは、西暦1260年に発表したAl-Risalah al-Kamiliyyah fil Siera al-Nabawiyyah(預言者の伝記に関するカミルの論考)という著作の中で新陳代謝について述べており、その中に次のようなフレーズがある。"身体もその部分も、溶解と栄養補給の連続的な状態にあるため、必然的に永続的な変化を遂げている。"
科学的手法の応用と現代の代謝理論
代謝の科学的研究の歴史は数世紀にわたっており、初期の研究では動物全体を調べることから、現代の生化学では個々の代謝反応を調べるようになった。ヒトの代謝における最初の対照実験は、1614年にSantorio Santorioが著書Ars de statica medicinaの中で発表した。彼は食事、睡眠、仕事、セックス、絶食、飲酒、排泄の前後に体重を測定した方法を記述した。彼は、摂取した食物のほとんどが"不感蒸泄性発汗"と呼ばれるもので失われることを発見した。

これらの初期の研究では、これらの代謝プロセスのメカニズムは特定されておらず、生命力が生体組織を動かしていると考えられていた。19世紀、酵母による糖のアルコールへの発酵を研究していたルイ・パスツールは、発酵は彼が「発酵物」と呼ぶ酵母細胞内の物質によって触媒されると結論づけた。 彼は「アルコール発酵は酵母細胞の生命と組織に関連した行為であり、細胞の死や腐敗に関連した行為ではない」と書いた。 この発見は、1828年にフリードリッヒ・ヴェーラーが発表した尿素の化学合成に関する論文とともに、完全に無機前駆体から調製された最初の有機化合物として注目されている。これは、細胞内で見られる有機化合物や化学反応が、化学の他の部分と原理的に何ら変わらないことを証明した。
20世紀初頭にエドゥアルド・ブフナーによって酵素が発見され、代謝の化学反応の研究が細胞の生物学的研究から切り離され、生化学の始まりとなった。生化学の知識は20世紀初頭を通じて急速に増大した。これらの近代生化学者の中で最も多作だったのが、代謝の研究に多大な貢献をしたハンス・クレブスである。彼は尿素サイクルを発見し、後にハンス・コーンバーグと共同でクエン酸サイクルとグリオキシル酸サイクルを発見した。
こちらも参照
- Anthropogenic metabolism/ja
- Antimetabolite/ja
- Calorimetry/ja
- Isothermal microcalorimetry/ja
- Inborn errors of metabolism/ja
- Iron–sulfur world hypothesis/ja, 生命の起源についての「代謝第一」説である。
- Metabolic disorder/ja
- Microphysiometry/ja
- Primary nutritional groups/ja
- Proto-metabolism/ja
- Respirometry/ja
- Stream metabolism/ja
- Sulfur metabolism/ja
- Thermic effect of food/ja
- Urban metabolism/ja
- Water metabolism/ja
- Overflow metabolism/ja
- Oncometabolism/ja
- Reactome/ja
- KEGG/ja
さらに読む
Library resources about Metabolism |
入門
- Rose S, Mileusnic R (1999). The Chemistry of Life. Penguin Press Science. ISBN 0-14-027273-9.
- Schneider EC, Sagan D (2005). Into the Cool: Energy Flow, Thermodynamics, and Life. University of Chicago Press. ISBN 0-226-73936-8.
- Lane N (2004). Oxygen: The Molecule that Made the World. USA: Oxford University Press. ISBN 0-19-860783-0.
高度
- Price N, Stevens L (1999). Fundamentals of Enzymology: Cell and Molecular Biology of Catalytic Proteins. Oxford University Press. ISBN 0-19-850229-X.
- Berg J, Tymoczko J, Stryer L (2002). Biochemistry. W. H. Freeman and Company. ISBN 0-7167-4955-6.
- Cox M, Nelson DL (2004). Lehninger Principles of Biochemistry. Palgrave Macmillan. ISBN 0-7167-4339-6.
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外部リンク




一般情報
- The Biochemistry of Metabolism (archived 8 March 2005)
- Sparknotes SAT biochemistry Overview of biochemistry. School level.
- MIT Biology Hypertextbook Undergraduate-level guide to molecular biology.
人間の代謝
- Topics in Medical Biochemistry Guide to human metabolic pathways. School level.
- THE Medical Biochemistry Page Comprehensive resource on human metabolism.
糖尿病
- Flow Chart of Metabolic Pathways at ExPASy
- IUBMB-Nicholson Metabolic Pathways Chart
- SuperCYP: Database for Drug-Cytochrome-Metabolism Archived 3 November 2011 at the Wayback Machine
代謝経路
- Metabolism reference Pathway Archived 23 February 2009 at the Wayback Machine
- The Nitrogen cycle and Nitrogen fixation at the Wayback Machine (archive index)