Citric acid cycle/ja: Difference between revisions
Citric acid cycle/ja
Created page with "肝臓では、細胞質のピルビン酸のミトコンドリア内''オキサロ酢酸''へのカルボキシル化は、血中の高レベルのグルカゴンおよび/またはエピネフリンの影響下で、乳酸と脱アミノ化アラニンをグルコースに変換する糖新生経路の初期段階である。ここで''オキサロ酢酸''をミ..." Tags: Mobile edit Mobile web edit |
No edit summary Tags: Mobile edit Mobile web edit |
||
(15 intermediate revisions by the same user not shown) | |||
Line 1: | Line 1: | ||
<languages /> | <languages /> | ||
[[File:Citric acid cycle with aconitate 2.svg|thumb|upright=2|クエン酸サイクルの概要]] | [[File:Citric acid cycle with aconitate 2.svg|thumb|upright=2|クエン酸サイクルの概要]] | ||
'''クエン酸サイクル'''('''Citric acid cycle''')は、'''Krebs cycle''', '''Szent-Györgyi-Krebs cycle''' '''TCA cycle (tricarboxylic acid cycle)'''とも呼ばれ、 [[carbohydrate/ja|炭水化物]]、[[fat/ja|脂質]]、[[protein/ja|タンパク質]]に由来する[[acetyl-CoA/ja|アセチル-CoA]]の[[Redox | '''クエン酸サイクル'''('''Citric acid cycle''')は、'''Krebs cycle''', '''Szent-Györgyi-Krebs cycle''' '''TCA cycle (tricarboxylic acid cycle)'''とも呼ばれ、 [[carbohydrate/ja|炭水化物]]、[[fat/ja|脂質]]、[[protein/ja|タンパク質]]に由来する[[acetyl-CoA/ja|アセチル-CoA]]の[[Redox/ja|酸化還元]]によって[[nutrient/ja|栄養素]]に蓄積されたエネルギーを放出する一連の[[chemical reaction/ja|生化学反応]]である。放出された化学エネルギーは[[Adenosine triphosphate/ja|ATP]]の形で利用できる。[[:en:Hans Krebs (biochemist)|クレブス]]サイクルは、[[anaerobic respiration/ja|嫌気性呼吸]]または[[aerobic respiration/ja|好気性呼吸]]によってエネルギーを生成するために、[[Cellular respiration/ja|呼吸]]を行う[[organism/ja|生物]]([[Fermentation/ja|発酵]]を行う生物とは異なる)によって使用される。さらに、このサイクルは特定の[[amino acid/ja|アミノ酸]]の[[precursor (chemistry)/ja|前駆体]]、および[[reducing agent/ja|還元剤]]を供給する。[[nicotinamide adenine dinucleotide/ja|NADH]]を供給する。多くの[[Metabolic pathway/ja|生化学的経路]]における中心的な重要性は、それが[[metabolism/ja|代謝]]の最も初期の構成要素の一つであったことを示唆している。クエン酸サイクルは「サイクル」と呼ばれているが、[[metabolite/ja|代謝物]]が1つの特定の経路をたどる必要はない。 | ||
この代謝経路の名前は、消費された[[citric acid/ja|クエン酸]]([[tricarboxylic acid/ja|トリカルボン酸]]の一種で、生物学的pHではイオン化型が優勢であるため、しばしばクエン酸塩と呼ばれる)に由来し、サイクルを完成させるためにこの一連の反応によって再生される。サイクルは酢酸([[acetyl-CoA/ja|アセチル-CoA]]の形)と[[water/ja|水]]を消費し、NAD<sup>+</sup>をNADHに還元し、二酸化炭素を放出する。クエン酸サイクルによって生成されたNADHは[[oxidative phosphorylation/ja|酸化的リン酸化]](電子輸送)経路に供給される。これら2つの密接に結びついた経路の正味の結果は、[[nutrient/ja|栄養素]]を酸化して[[adenosine triphosphate/ja|ATP]]の形で使用可能な化学エネルギーを生成することである。 | この代謝経路の名前は、消費された[[citric acid/ja|クエン酸]]([[tricarboxylic acid/ja|トリカルボン酸]]の一種で、生物学的pHではイオン化型が優勢であるため、しばしばクエン酸塩と呼ばれる)に由来し、サイクルを完成させるためにこの一連の反応によって再生される。サイクルは酢酸([[acetyl-CoA/ja|アセチル-CoA]]の形)と[[water/ja|水]]を消費し、NAD<sup>+</sup>をNADHに還元し、二酸化炭素を放出する。クエン酸サイクルによって生成されたNADHは[[oxidative phosphorylation/ja|酸化的リン酸化]](電子輸送)経路に供給される。これら2つの密接に結びついた経路の正味の結果は、[[nutrient/ja|栄養素]]を酸化して[[adenosine triphosphate/ja|ATP]]の形で使用可能な化学エネルギーを生成することである。 | ||
Line 13: | Line 13: | ||
クエン酸サイクルの構成要素と反応のいくつかは、1930年代に[[:en:Albert Szent-Györgyi|アルバート・ツェント=ギョルギ]]の研究によって確立された。彼は1937年、サイクルの構成要素である[[fumaric acid/ja|フマル酸]]に関する発見で[[:en:Nobel Prize in Physiology or Medicine|ノーベル生理学・医学賞]]を受賞した。彼はこの発見を、ハトの胸筋の研究によって行った。この組織はラタピーミルで分解され、水溶液中で放出された後も酸化能力を維持するため、ハトの胸筋は酸化反応の研究に非常に適していた。クエン酸サイクル自体は、1937年に[[:en:University of Sheffield|シェフィールド大学]]に在籍していた[[:en:Hans Adolf Krebs|ハンス・アドルフ・クレブス]]と[[:en:William Arthur Johnson (biochemist)|ウィリアム・アーサー・ジョンソン]]によって最終的に同定され、この功績で前者は1953年に[[:en:Nobel Prize for Physiology or Medicine|ノーベル生理学・医学賞]]を受賞した。 | クエン酸サイクルの構成要素と反応のいくつかは、1930年代に[[:en:Albert Szent-Györgyi|アルバート・ツェント=ギョルギ]]の研究によって確立された。彼は1937年、サイクルの構成要素である[[fumaric acid/ja|フマル酸]]に関する発見で[[:en:Nobel Prize in Physiology or Medicine|ノーベル生理学・医学賞]]を受賞した。彼はこの発見を、ハトの胸筋の研究によって行った。この組織はラタピーミルで分解され、水溶液中で放出された後も酸化能力を維持するため、ハトの胸筋は酸化反応の研究に非常に適していた。クエン酸サイクル自体は、1937年に[[:en:University of Sheffield|シェフィールド大学]]に在籍していた[[:en:Hans Adolf Krebs|ハンス・アドルフ・クレブス]]と[[:en:William Arthur Johnson (biochemist)|ウィリアム・アーサー・ジョンソン]]によって最終的に同定され、この功績で前者は1953年に[[:en:Nobel Prize for Physiology or Medicine|ノーベル生理学・医学賞]]を受賞した。 | ||
== 概要 == | == 概要 == | ||
{{Anchor|Overview}} | {{Anchor|Overview}} | ||
[[File:Acetyl-CoA-2D_colored.svg|thumb|upright=1.6|アセチル-CoAの構造図: 左側の青い部分が[[Acetyl/ja|アセチル基]]、黒い部分が[[coenzyme A/ja|補酵素A]]である。]] | [[File:Acetyl-CoA-2D_colored.svg|thumb|upright=1.6|アセチル-CoAの構造図: 左側の青い部分が[[Acetyl/ja|アセチル基]]、黒い部分が[[coenzyme A/ja|補酵素A]]である。]] | ||
クエン酸サイクルは、[[carbohydrate/ja|炭水化物]]、[[fat/ja|脂肪]]、[[protein/ja|タンパク質]]をつなぐ[[metabolic pathwary/ja|代謝経路]]である。このサイクルの[[Chemical reaction/ja|反応]]は8つの[[enzymes/ja|酵素]]によって行われ、[[acetate/ja|酢酸]](炭素数2の分子)をアセチル-CoAの形で完全に酸化し、それぞれ2分子の二酸化炭素と水にする。糖、脂肪、タンパク質の[[catabolism | クエン酸サイクルは、[[carbohydrate/ja|炭水化物]]、[[fat/ja|脂肪]]、[[protein/ja|タンパク質]]をつなぐ[[metabolic pathwary/ja|代謝経路]]である。このサイクルの[[Chemical reaction/ja|反応]]は8つの[[enzymes/ja|酵素]]によって行われ、[[acetate/ja|酢酸]](炭素数2の分子)をアセチル-CoAの形で完全に酸化し、それぞれ2分子の二酸化炭素と水にする。糖、脂肪、タンパク質の[[catabolism/ja|異化]]によって、炭素数2の有機生成物アセチル-CoAが生成され、クエン酸サイクルに入る。サイクルの反応はまた、3当量の[[nicotinamide adenine dinucleotide/ja|ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド]](NAD<sup>+</sup>)を3当量の還元型[[Nicotinamide adenine dinucleotide/ja|NAD<sup>+</sup>]](NADH)に変換する、 [[flavin adenine dinucleotide/ja|フラビンアデニンジヌクレオチド]](FAD)を1当量の[[Flavin adenine dinucleotide/ja|FADH<sub>2</sub>]]に、[[guanosine diphosphate/ja|グアノシン二リン酸]](GDP)と無機[[phosphate/ja|リン酸]](P<sub>i</sub>)をそれぞれ1当量の[[guanosine triphosphate/ja|グアノシン三リン酸]](GTP)に変換する。クエン酸サイクルによって生成されたNADHとFADH<sub>2</sub>は、[[oxidative phosphorylation/ja|酸化的リン酸化]]経路によってエネルギー豊富なATPを生成するために使われる。 | ||
アセチル-CoAの主な供給源のひとつは、[[glycolysis/ja|解糖]]による糖の分解で、[[pyruvic acid/ja|ピルビン酸]]が得られ、それが[[pyruvate dehydrogenase complex/ja|ピルビン酸デヒドロゲナーゼ複合体]]によって脱炭酸され、以下の反応スキームに従ってアセチル-CoAを生成する: | アセチル-CoAの主な供給源のひとつは、[[glycolysis/ja|解糖]]による糖の分解で、[[pyruvic acid/ja|ピルビン酸]]が得られ、それが[[pyruvate dehydrogenase complex/ja|ピルビン酸デヒドロゲナーゼ複合体]]によって脱炭酸され、以下の反応スキームに従ってアセチル-CoAを生成する: | ||
Line 32: | Line 30: | ||
* 各サイクルの終わりには、炭素数4の[[Oxaloacetic acid/ja|オキサロ酢酸]]が再生され、サイクルが継続される。 | * 各サイクルの終わりには、炭素数4の[[Oxaloacetic acid/ja|オキサロ酢酸]]が再生され、サイクルが継続される。 | ||
== ステップ == | == ステップ == | ||
{{Anchor|Steps}} | {{Anchor|Steps}} | ||
Line 81: | Line 78: | ||
|[[Alpha-ketoglutarate dehydrogenase/ja|α-ケトグルタル酸<br />デヒドロゲナーゼ]], [[Thiamine pyrophosphate/ja]], [[Lipoic acid/ja]], Mg++,トランスサクシニターゼ | |[[Alpha-ketoglutarate dehydrogenase/ja|α-ケトグルタル酸<br />デヒドロゲナーゼ]], [[Thiamine pyrophosphate/ja]], [[Lipoic acid/ja]], Mg++,トランスサクシニターゼ | ||
|[[Succinyl-CoA/ja]] + [[Nicotinamide adenine dinucleotide/ja|NADH + H <sup>+</sup>]] + CO<sub>2</sub> | |[[Succinyl-CoA/ja]] + [[Nicotinamide adenine dinucleotide/ja|NADH + H <sup>+</sup>]] + CO<sub>2</sub> | ||
|不可逆的な段階で[[Nicotinamide adenine dinucleotide/ja|NADH]]を生成 | |不可逆的な段階で[[Nicotinamide adenine dinucleotide/ja|NADH]]を生成 (ATP2.5分)、4C鎖を再生する(CoAは除く)。 | ||
|- | |- | ||
|6 | |6 | ||
Line 118: | Line 115: | ||
|これはステップ0と同じで、サイクルを再開する。この反応は不可逆的で、4Cのオキサロ酢酸を6Cの分子に拡張する。 | |これはステップ0と同じで、サイクルを再開する。この反応は不可逆的で、4Cのオキサロ酢酸を6Cの分子に拡張する。 | ||
|} | |} | ||
2つの[[carbon/ja|炭素]]原子が[[oxidation/ja|酸化]]されて[[carbon dioxide/ja|CO<sub>2</sub>]]になり、これらの反応から得られるエネルギーは[[Guanosine triphosphate/ja|GTP]](またはATP)を介して、また[[NADH/ja|NADH]]と[[Ubiquinol/ja|QH<sub>2</sub>]]の電子として他の代謝プロセスに伝達される。クエン酸サイクルで生成されたNADHは、後に[[oxidative phosphorylation/ja|酸化的リン酸化]]と呼ばれるプロセスの一種で、[[ATP synthase/ja|ATP合成]]を駆動するために酸化される(電子を供与する)ことがある。[[Flavin adenine dinucleotide/ja|FADH<sub>2</sub>]]は[[succinate dehydrogenase/ja|コハク酸デヒドロゲナーゼ]]に共有結合しており、クエン酸サイクルと酸化的リン酸化におけるミトコンドリアの[[electron transport chain/ja|電子輸送鎖]]の両方で機能する酵素である。したがって、FADH<sub>2</sub>は、コハク酸:ユビキノン酸化還元酵素複合体によって触媒される反応の最終電子受容体であり、[[electron transport chain/ja|電子伝達系]]の中間体としても働く[[coenzyme Q/ja|補酵素Q]]への電子伝達を促進する。 | 2つの[[carbon/ja|炭素]]原子が[[oxidation/ja|酸化]]されて[[carbon dioxide/ja|CO<sub>2</sub>]]になり、これらの反応から得られるエネルギーは[[Guanosine triphosphate/ja|GTP]](またはATP)を介して、また[[NADH/ja|NADH]]と[[Ubiquinol/ja|QH<sub>2</sub>]]の電子として他の代謝プロセスに伝達される。クエン酸サイクルで生成されたNADHは、後に[[oxidative phosphorylation/ja|酸化的リン酸化]]と呼ばれるプロセスの一種で、[[ATP synthase/ja|ATP合成]]を駆動するために酸化される(電子を供与する)ことがある。[[Flavin adenine dinucleotide/ja|FADH<sub>2</sub>]]は[[succinate dehydrogenase/ja|コハク酸デヒドロゲナーゼ]]に共有結合しており、クエン酸サイクルと酸化的リン酸化におけるミトコンドリアの[[electron transport chain/ja|電子輸送鎖]]の両方で機能する酵素である。したがって、FADH<sub>2</sub>は、コハク酸:ユビキノン酸化還元酵素複合体によって触媒される反応の最終電子受容体であり、[[electron transport chain/ja|電子伝達系]]の中間体としても働く[[coenzyme Q/ja|補酵素Q]]への電子伝達を促進する。 | ||
Line 132: | Line 128: | ||
サイクルの最初のターンの生成物は、1つの[[GTP cyclohydrolase I/ja|GTP]](または[[Adenosine triphosphate/ja|ATP]])、3つの[[Nicotinamide adenine dinucleotide/ja|NADH]]、1つの[[Flavin adenine dinucleotide/ja|FADH<sub>2</sub>]]、および2つの[[carbon dioxide/ja|CO<sub>2</sub>]]である。 | サイクルの最初のターンの生成物は、1つの[[GTP cyclohydrolase I/ja|GTP]](または[[Adenosine triphosphate/ja|ATP]])、3つの[[Nicotinamide adenine dinucleotide/ja|NADH]]、1つの[[Flavin adenine dinucleotide/ja|FADH<sub>2</sub>]]、および2つの[[carbon dioxide/ja|CO<sub>2</sub>]]である。 | ||
1つの[[blucose/ja|グルコース]]分子から2つのアセチル-CoA[[molecules/ja|分子]]が生成されるため、グルコース1分子あたり2サイクルが必要となる。したがって、2サイクル終了時の生成物は、2つのGTP、6つのNADH、2つの[[Flavin adenine dinucleotide/ja|FADH<sub>2</sub>]]、4つの[[Carbon dioxide/ja|CO<sub>2</sub>]]である。 | |||
{| class="wikitable" | {| class="wikitable" | ||
Line 193: | Line 187: | ||
肝臓では、[[cytosol/ja|細胞質]]のピルビン酸のミトコンドリア内''オキサロ酢酸''へのカルボキシル化は、血中の高レベルの[[glucagon/ja|グルカゴン]]および/または[[epinephrine/ja|エピネフリン]]の影響下で、[[lactic acid/ja|乳酸]]と脱アミノ化[[alanine/ja|アラニン]]をグルコースに変換する[[gluconeogenesis/ja|糖新生]]経路の初期段階である。ここで''オキサロ酢酸''をミトコンドリアに添加しても、別のクエン酸サイクル中間体(''リンゴ酸'')が直ちにミトコンドリアから除去されて細胞質オキサロ酢酸に変換され、最終的にグルコースに変換されるため、[[glycolysis/ja|解糖]]とはほぼ逆のプロセスで、正味のアナプラローシス効果はない。 | 肝臓では、[[cytosol/ja|細胞質]]のピルビン酸のミトコンドリア内''オキサロ酢酸''へのカルボキシル化は、血中の高レベルの[[glucagon/ja|グルカゴン]]および/または[[epinephrine/ja|エピネフリン]]の影響下で、[[lactic acid/ja|乳酸]]と脱アミノ化[[alanine/ja|アラニン]]をグルコースに変換する[[gluconeogenesis/ja|糖新生]]経路の初期段階である。ここで''オキサロ酢酸''をミトコンドリアに添加しても、別のクエン酸サイクル中間体(''リンゴ酸'')が直ちにミトコンドリアから除去されて細胞質オキサロ酢酸に変換され、最終的にグルコースに変換されるため、[[glycolysis/ja|解糖]]とはほぼ逆のプロセスで、正味のアナプラローシス効果はない。 | ||
[[protein catabolism/ja|タンパク質異化]]では、[[protein/ja|タンパク質]]は[[protease/ja|プロテアーゼ]]によって構成アミノ酸に分解される。その炭素骨格(すなわち脱アミノ酸)は、中間体としてクエン酸サイクルに入るか(例えば グルタミン酸またはグルタミンから誘導される''α-ケトグルタル酸'')としてクエン酸サイクルに入るか、あるいは[[leucine/ja|ロイシン]]、[[isoleucine/ja|イソロイシン]]、[[lysine/ja|リジン]]、[[phenylalanine/ja|フェニルアラニン]]、[[tryptophan/ja|トリプトファン]]、[[tyrosine/ja|チロシン]]の場合には、''アセチル-CoA''に変換され、燃焼してCO<sub>2</sub>と水になるか、[[ketone bodies/ja|ケトン体]]の形成に使われるが、これも生成される肝臓以外の組織で燃焼されるか、尿や呼気を介して排泄されるしかない。クエン酸サイクルに中間体として入るアミノ酸は、ミトコンドリアから細胞質オキサロ酢酸に変換され、最終的に[[glucose/ja|グルコース]]に変換される''リンゴ酸''を介して糖新生経路に入ることによってのみ異化除去される。これらはいわゆる''糖原性''アミノ酸である。脱アミノ化されたアラニン、システイン、グリシン、セリン、スレオニンはピルビン酸に変換され、結果的に''オキサロ酢酸''(アナプレロティック反応)としてクエン酸サイクルに入るか、''アセチル-CoA''としてCO<sub>2</sub>と水として廃棄される。 | |||
[[fat catabolism/ja|脂肪異化]]では、[[triglyceride/ja|トリグリセリド]]を[[hydrolysis/ja|加水分解]]して[[fatty acid/ja|脂肪酸]]と[[glycerol/ja|グリセロール]]に分解する。肝臓ではグリセロールは[[gluconeogenesis/ja|糖新生]]によって[[dihydroxyacetone phosphate/ja|ジヒドロキシアセトンリン酸]]と[[glyceraldehyde-3-phosphate/ja|グリセルアルデヒド-3-リン酸]]を介してグルコースに変換される。骨格筋では、グリセロールは[[Glycerol 3-phosphate/ja|グリセロール-3-リン酸]]に変換され、次に[[Dihydroxyacetone phosphate/ja|ジヒドロキシアセトンリン酸 (DHAP)]]に変換され、次にグリセルアルデヒド-3-リン酸に変換されることによって[[glycolysis/ja|解糖]]で使用される。 | |||
多くの組織、特に心臓や骨格[[muscle tissue/ja|筋組織]]において、[[fatty acid/ja|脂肪酸]]は[[beta oxidation/ja|β酸化]]として知られる過程を経て分解され、その結果クエン酸サイクルで使用できるミトコンドリアの''アセチル-CoA''が産生される。奇数の[[methylene bridge/ja|メチレン橋]]を持つ[[fatty acid/ja|脂肪酸]]の[[beta oxidation/ja|β酸化]]は[[propionyl-CoA/ja|プロピオニル-CoA]]を生成し、これは''[[succinyl-CoA/ja|スクシニル-CoA]]''に変換され、アナプレロティック中間体としてクエン酸サイクルに供給される。 | |||
[[eukaryote/ja|真核生物]]では、[[glycolysis/ja|解糖]]によるグルコース1分子(炭素数6)の完全分解、2分子の''アセチル-CoA''の生成、クエン酸サイクルでの異化、および酸化的リン酸化から得られる総エネルギーは約30[[Adenosine triphosphate/ja|ATP分子]]に相当する。脂肪酸鎖の炭素6セグメントのβ酸化と、それに続く[[Acetyl-CoA carboxylase/ja|''アセチル-CoA'']]の3分子の[[redox/ja|酸化]]から得られるATP分子の数は40である。 | |||
== クエン酸回路の中間体は、生合成プロセスの基質として機能 == | |||
{{Anchor|Citric acid cycle intermediates serve as substrates for biosynthetic processes}} | |||
この小見出しでは、前の小見出しと同様に、TCA中間体は''イタリック体''で示されている。 | |||
クエン酸サイクルの中間体のいくつかは、重要な化合物の合成に使用され、サイクルに重大な異化作用をもたらす。 | |||
''アセチル-CoA''はミトコンドリアから輸送することができない。細胞質アセチル-CoAを得るために、''クエン酸''はクエン酸サイクルから取り除かれ、ミトコンドリア内膜を横切って細胞質に運ばれる。そこで[[ATP citrate lyase/ja|ATPクエン酸リアーゼ]]によってアセチル-CoAとオキサロ酢酸に切断される。オキサロ酢酸は''リンゴ酸''としてミトコンドリアに戻される(その後、ミトコンドリアからさらに''アセチル-CoA''を運び出すために再び''オキサロ酢酸''に変換される)。細胞質アセチル-CoAは[[fatty acid synthesis/ja|脂肪酸合成]]と[[Mevalonate pathway/ja|コレステロールの産生]]に使われる。[[cholesterol/ja|コレステロール]]は、[[Steroid/ja#Steroidogenesis|ステロイドホルモン]]、[[bile acids/ja|胆汁酸塩]]、[[vitamin D/ja|ビタミンD]]の合成に使われる。 | |||
'' | |||
多くの[[Essential amino acid/ja|非必須アミノ酸]]の炭素骨格はクエン酸サイクル中間体から作られる。それらをアミノ酸に変えるためには、クエン酸サイクル中間体から形成された[[keto acid/ja|αケト酸]]が、[[Pyridoxine/ja|ピリドキサールリン酸]]を補酵素とする[[transamination/ja|トランスアミノ化]]反応で、[[glutamate/ja|グルタミン酸]]からアミノ基を獲得しなければならない。この反応でグルタミン酸はクエン酸サイクルの中間体である[[alpha-Ketoglutaric acid/ja|''α-ケトグルタル酸'']]に変換される。アミノ酸合成のための[[skeletal formula/ja|炭素骨格]]を提供できる中間体は、[[aspartate/ja|アスパラギン酸]]と[[asparagine/ja|アスパラギン]]を形成する''[[oxaloacetic acid/ja|オキサロ酢酸]]''と、[[glutamine/ja|グルタミン]]、[[proline/ja|プロリン]]、[[arginine/ja|アルギニン]]を形成する。 | |||
これらのアミノ酸のうち、アスパラギン酸およびグルタミンは、他の供給源からの炭素原子および窒素原子とともに、[[adenosine triphosphate/ja|ATP]]、[[adenosine monophosphate/ja|AMP]]、[[guanosine triphosphate/ja|GTP]]、[[nicotinamide adenine dinucleotide/ja|NAD]]、[[flavin adenine dinucleotide/ja|FAD]]、[[coenzyme A/ja|CoA]]と同様に[[DNA/ja|DNA]]および[[RNA/ja|RNA]]の塩基として使用される[[purines/ja|プリン]]を形成するために使用される。 | |||
[[pyrimidines/ja|ピリミジン]]の一部はアスパラギン酸(''オキサロ酢酸''に由来する)から組み立てられる。ピリミジンである[[thymine/ja|チミン]]、[[cytosine/ja|シトシン]]、[[uracil/ja|ウラシル]]はDNAやRNAにおいてプリン塩基の相補塩基を形成し、[[Cytidine triphosphate/ja|CTP]]、[[Uridine monophosphate/ja|UMP]]、[[Uridine diphosphate/ja|UDP]]、[[Uridine triphosphate/ja|UTP]]の構成要素でもある。 | |||
[[porphyrin/ja|ポルフィリン]]の炭素原子の大部分はクエン酸サイクルの中間体である''[[succinyl-CoA/ja|スクシニル-CoA]]''に由来する。これらの分子は、[[hemoglobin/ja|ヘモグロビン]]、[[myoglobin/ja|ミオグロビン]]、様々な[[cytochrome/ja|シトクロム]]などの[[hemoprotein/ja|ヘムタンパク質]]の重要な構成要素である。 | |||
糖新生の間[[Gluconeogenesis/ja#Pathway|ミトコンドリアの''オキサロ酢酸''は''リンゴ酸''に還元される]]、このリンゴ酸はミトコンドリアから輸送され、酸化されて細胞質でオキサロ酢酸に戻る。細胞質オキサロ酢酸は次に[[phosphoenolpyruvate carboxykinase/ja|ホスホエノールピルビン酸カルボキシキナーゼ]]によって[[phosphoenolpyruvate/ja|ホスホエノールピルビン酸]]に[[Decarboxylation/ja|脱炭酸]]され、これは[[liver/ja|肝臓]]と[[kidney/ja|腎臓]]によるほぼ全ての[[Glucogenic amino acid/ja|糖原性]]前駆体(糖原性アミノ酸や乳酸など)のグルコースへの変換における速度制限段階である。 | |||
クエン酸サイクルは[[catabolic/ja|異化]]と[[anabolic/ja|同化]]の両方の過程に関与するため、[[amphibolic/ja|両生類]]経路として知られている。 | |||
エヴァン・M.W.デュオ | |||
{{TCACycle WP78}} | {{TCACycle WP78}} | ||
== 循環乳酸を介してTCAサイクルに供給されるグルコース == | == 循環乳酸を介してTCAサイクルに供給されるグルコース == |