Cytochrome P450/ja: Difference between revisions
Cytochrome P450/ja
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P450酵素をコードする[[Gene/ja|遺伝子]]および酵素自体は、[[protein superfamily/ja|スーパーファミリー]]を表す[[gene nomenclature/ja#Symbol and name|ルート記号]]'''CYP'''の後に、[[gene family/ja|遺伝子ファミリー]]を表す数字、サブファミリーを表す大文字、個々の遺伝子を表す別の数字が続く。遺伝子に言及する際には''[[:en:Italic type|イタリック体]]''で表記するのが慣例である。例えば、''CYP2E1'' は[[paracetamol/ja|パラセタモール]](アセトアミノフェン)の代謝に関与する酵素の一つである[[CYP2E1/ja|CYP2E1]]をコードする遺伝子である。''CYP''命名法は公式の命名規則であるが、'''CYP450'''または'''CYP<sub>450</sub>'''が同義語として用いられることもある。これらの名称は、命名規則に従って(ファミリー番号450のP450を示すため)決して使用すべきではない。しかし、P450の遺伝子名や酵素名の中には、歴史的な名称(例えば、CYP102A1のP450<sub>BM3</sub>)や、触媒活性や基質として使用される化合物の名称を示す機能名で呼ばれるものもある。例えば、[[CYP5A1/ja|CYP5A1]]、[[thromboxane/ja|トロンボキサン]]A<sub>2</sub>合成, [[Thromboxane-A synthase/ja|TBXAS1]]('''T'''hrom'''B'''o'''X'''ane '''A'''<sub>2</sub> '''S'''ynthase '''1''')、[[CYP51A1/ja|CYP51A1]], ラノステロール14-α-デメチラーゼ、基質('''L'''anosterol)と活性('''D'''e'''M'''ethylation)により、非公式にLDMと略されることもある。 | P450酵素をコードする[[Gene/ja|遺伝子]]および酵素自体は、[[protein superfamily/ja|スーパーファミリー]]を表す[[gene nomenclature/ja#Symbol and name|ルート記号]]'''CYP'''の後に、[[gene family/ja|遺伝子ファミリー]]を表す数字、サブファミリーを表す大文字、個々の遺伝子を表す別の数字が続く。遺伝子に言及する際には''[[:en:Italic type|イタリック体]]''で表記するのが慣例である。例えば、''CYP2E1'' は[[paracetamol/ja|パラセタモール]](アセトアミノフェン)の代謝に関与する酵素の一つである[[CYP2E1/ja|CYP2E1]]をコードする遺伝子である。''CYP''命名法は公式の命名規則であるが、'''CYP450'''または'''CYP<sub>450</sub>'''が同義語として用いられることもある。これらの名称は、命名規則に従って(ファミリー番号450のP450を示すため)決して使用すべきではない。しかし、P450の遺伝子名や酵素名の中には、歴史的な名称(例えば、CYP102A1のP450<sub>BM3</sub>)や、触媒活性や基質として使用される化合物の名称を示す機能名で呼ばれるものもある。例えば、[[CYP5A1/ja|CYP5A1]]、[[thromboxane/ja|トロンボキサン]]A<sub>2</sub>合成, [[Thromboxane-A synthase/ja|TBXAS1]]('''T'''hrom'''B'''o'''X'''ane '''A'''<sub>2</sub> '''S'''ynthase '''1''')、[[CYP51A1/ja|CYP51A1]], ラノステロール14-α-デメチラーゼ、基質('''L'''anosterol)と活性('''D'''e'''M'''ethylation)により、非公式にLDMと略されることもある。 | ||
現在の命名法ガイドラインでは、新しいCYPファミリーのメンバーは少なくとも40%の[[amino acid/ja|アミノ酸]]同一性を共有し、サブファミリーのメンバーは少なくとも55%のアミノ酸同一性を共有することが推奨されている。 | |||
現在の命名法ガイドラインでは、新しいCYPファミリーのメンバーは少なくとも40%の[[amino acid/ja|アミノ酸]]同一性を共有し、サブファミリーのメンバーは少なくとも55% | 命名法委員会は、基本遺伝子名([http://drnelson.uthsc.edu/CytochromeP450.html Cytochrome P450 Homepage] {{Webarchive|url=https://web.archive.org/web/20100627184446/http://drnelson.uthsc.edu/CytochromeP450.html |date=2010-06-27 }})と[[allele/ja|対立遺伝子]]名([https://www.pharmvar.org// CYP Allele Nomenclature Committee])の両方を割り当て、追跡している。 | ||
== 分類 == | == 分類 == | ||
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ヒトには57の遺伝子と59以上の[[pseudogene/ja|偽遺伝子]]があり、18のシトクロームP450遺伝子ファミリーと43のサブファミリーに分かれている。これは遺伝子とそれらがコードするタンパク質の要約である。詳しい情報はシトクロームP450命名法委員会のホームページを参照のこと。 | ヒトには57の遺伝子と59以上の[[pseudogene/ja|偽遺伝子]]があり、18のシトクロームP450遺伝子ファミリーと43のサブファミリーに分かれている。これは遺伝子とそれらがコードするタンパク質の要約である。詳しい情報はシトクロームP450命名法委員会のホームページを参照のこと。 | ||
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| '''ファミリー''' || '''機能''' || '''メンバー''' || '''遺伝子''' || '''偽遺伝子''' | | '''ファミリー''' || '''機能''' || '''メンバー''' || '''遺伝子''' || '''偽遺伝子''' | ||
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| '''CYP5''' || [[thromboxane/ja|トロンボキサン]] A<sub>2</sub> [[thromboxane-A synthase/ja|合成]] || 1サブファミリー, 1遺伝子 || [[Thromboxane-A synthase/ja|CYP5A1]] || | | '''CYP5''' || [[thromboxane/ja|トロンボキサン]] A<sub>2</sub> [[thromboxane-A synthase/ja|合成]] || 1サブファミリー, 1遺伝子 || [[Thromboxane-A synthase/ja|CYP5A1]] || | ||
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| '''CYP7''' || [[bile acid/ja| | | '''CYP7''' || [[bile acid/ja|胆汁酸]]生合成 ステロイド核の7α水酸化酵素 || 2サブファミリー, 2遺伝子 || [[CYP7A1/ja|CYP7A1]], [[CYP7B1/ja|CYP7B1]] || | ||
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| '''CYP8''' || ''さまざま'' || 2サブファミリー, 2遺伝子 || [[CYP8A1/ja|CYP8A1]] ([[prostacyclin/ja|プロスタサイクリン]]合成酵素), [[CYP8B1/ja|CYP8B1]] (胆汁酸生合成) || | | '''CYP8''' || ''さまざま'' || 2サブファミリー, 2遺伝子 || [[CYP8A1/ja|CYP8A1]] ([[prostacyclin/ja|プロスタサイクリン]]合成酵素), [[CYP8B1/ja|CYP8B1]] (胆汁酸生合成) || | ||
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| '''CYP11''' || [[steroid/ja]]生合成 || 2サブファミリー, 3遺伝子 || [[CYP11A1/ja|CYP11A1]], [[CYP11B1/ja|CYP11B1]], [[CYP11B2/ja|CYP11B2]] || | | '''CYP11''' || [[steroid/ja|ステロイド]]生合成 || 2サブファミリー, 3遺伝子 || [[CYP11A1/ja|CYP11A1]], [[CYP11B1/ja|CYP11B1]], [[CYP11B2/ja|CYP11B2]] || | ||
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| '''CYP17''' || [[steroid]] | | '''CYP17''' || [[steroid/ja|ステロイド]]生合成、17α水酸化酵素 || 1サブファミリー, 1遺伝子 || [[CYP17A1/ja|CYP17A1]] || | ||
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| '''CYP19''' || [[steroid/ja|ステロイド]]生合成、17α水酸化酵素: [[aromatase/ja|アロマターゼ]]は[[estrogen/ja|エストロゲン]]を合成する。 || 1サブファミリー, 1遺伝子 || [[CYP19A1/ja|CYP19A1]] || | | '''CYP19''' || [[steroid/ja|ステロイド]]生合成、17α水酸化酵素: [[aromatase/ja|アロマターゼ]]は[[estrogen/ja|エストロゲン]]を合成する。 || 1サブファミリー, 1遺伝子 || [[CYP19A1/ja|CYP19A1]] || | ||
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| '''CYP20''' || 機能不明 || 1サブファミリー, 1遺伝子 || [[CYP20A1/ja|CYP20A1]] || | | '''CYP20''' || 機能不明 || 1サブファミリー, 1遺伝子 || [[CYP20A1/ja|CYP20A1]] || | ||
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| '''CYP21''' || [[steroid/ja]]生合成 || 1サブファミリー, 1遺伝子, 1偽遺伝子 || [[CYP21A2/ja|CYP21A2]] || [[CYP21A1P/ja|CYP21A1P]] | | '''CYP21''' || [[steroid/ja|ステロイド]]生合成 || 1サブファミリー, 1遺伝子, 1偽遺伝子 || [[CYP21A2/ja|CYP21A2]] || [[CYP21A1P/ja|CYP21A1P]] | ||
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| '''CYP24''' || [[vitamin D/ja]]劣化 || 1サブファミリー, 1遺伝子 || [[CYP24A1/ja|CYP24A1]] || | | '''CYP24''' || [[vitamin D/ja]]劣化 || 1サブファミリー, 1遺伝子 || [[CYP24A1/ja|CYP24A1]] || | ||
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| '''CYP46''' || [[cholesterol/ja|コレステロール]]24-水酸化酵素 || 1サブファミリー, 1遺伝子, 1偽遺伝子 || [[CYP46A1/ja|CYP46A1]] || CYP46A4P | | '''CYP46''' || [[cholesterol/ja|コレステロール]]24-水酸化酵素 || 1サブファミリー, 1遺伝子, 1偽遺伝子 || [[CYP46A1/ja|CYP46A1]] || CYP46A4P | ||
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| '''CYP51''' || [[cholesterol/ja|コレステロール]]生合成 || 1サブファミリー, 1遺伝子, 3偽遺伝子 || [[CYP51A1/ja|CYP51A1]] ([[lanosterol/ja| | | '''CYP51''' || [[cholesterol/ja|コレステロール]]生合成 || 1サブファミリー, 1遺伝子, 3偽遺伝子 || [[CYP51A1/ja|CYP51A1]] ([[lanosterol/ja|ラノステロール]] 14α脱メチル化酵素) || CYP51P1, CYP51P2, CYP51P3 | ||
|} | |} | ||
== 他の種のP450 == | == 他の種のP450 == | ||
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シトクロムP450は植物防御において重要な役割を担っており、フィトアレキシン生合成、ホルモン代謝、多様な二次代謝産物の生合成に関与している。シトクロムP450遺伝子の発現は環境ストレスに応答して制御されることから、植物の防御機構において重要な役割を担っていることが示唆される。 | シトクロムP450は植物防御において重要な役割を担っており、フィトアレキシン生合成、ホルモン代謝、多様な二次代謝産物の生合成に関与している。シトクロムP450遺伝子の発現は環境ストレスに応答して制御されることから、植物の防御機構において重要な役割を担っていることが示唆される。 | ||
ファイトアレキシンは、植物が病原菌に反応して生産する抗菌化合物であり、植物の防御機構において重要であることが示されている。ファイトアレキシンは病原体特異的ではなく、むしろ植物特異的である。しかし、それでもファイトアレキシンは様々な病原菌を攻撃することができる。シロイヌナズナはキャベツやマスタードに近縁の植物で、カマレキシンというファイトアレキシンを産生する。カマレキシンはトリプトファンに由来し、その生合成には5つのチトクロームP450酵素が関与している。5つのチトクロームP450酵素には、CYP79B2、CYP79B3、CYP71A12、CYP71A13、CYP71B15が含まれる。カマレキシン生合成の第一段階はトリプトファンからインドール-3-アセトアルドキシム(IAOx)を生成し、CYP79B2またはCYP79B3によって触媒される。その後、IAOxは直ちにインドール-3-アセトニトリル(IAN)に変換され、CYP71A13またはそのホモログであるCYP71A12によって制御される。カマレキシンの生合成経路の最後の2段階はCYP71B15によって触媒される。これらのステップでは、システイン-インドール-3-アセトニトリル(Cys(IAN))からインドール-3-カルボン酸(DHCA)が生成され、次いでカマレキシンが生合成される。この経路には不明な中間段階がいくつかあるが、シトクロムP450がカマレキシンの生合成において極めて重要であり、この植物性アレキシンが植物の防御機構において主要な役割を果たしていることはよく理解されている。 | |||
シトクロムP450は、ジャスモン酸(JA)の合成に大きく関与しており、これは植物細胞にとって、生物学的および生物学的ストレスに対する一般的な防御ホルモンである。例えば、P450の一つであるCYP74Aは、ヒドロペルオキシドから飽和アレンオキシドを生成する脱水反応に関与している。JAの化学反応は、特にシロイヌナズナで示されているように、植物の傷によって引き起こされる生物ストレスの存在下で重要である。プロホルモンであるジャスモン酸は、活性化されたとみなされるためには、JAR1触媒作用によってJA-イソロイシン(JA-Ile)結合体に変換されなければならない。そしてJA-Ileの合成は、COI1といくつかのJAZタンパク質からなる共受容体複合体の集合につながる。低JA-Ile条件下では、JAZタンパク質の構成要素は転写抑制因子として働き、下流のJA遺伝子を抑制する。しかし、JA-Ileが十分な条件下では、JAZタンパク質はユビキチン化され、26Sプロテアソームを通して分解を受け、機能的な下流効果をもたらす。さらに、いくつかのCYP94(CYP94C1とCYP94B3)がJA-Ileの代謝に関係しており、JA-Ileの酸化状態が植物のシグナル伝達に異化的に影響することを示している。細胞外および細胞内ストレスに応答するチトクロームP450ホルモンの調節は、植物の適切な防御反応に不可欠である。このことは、ジャスモン酸とフィトアレキシン経路における様々なCYP P450の徹底的な解析を通して証明されている。 | |||
[[Cytochrome P450 aromatic O-demethylase/ja|シトクロムP450芳香族O-デメチラーゼ]]は、シトクロムP450タンパク質(GcoA)と3つのドメインのレダクターゼという、2つの異なるプロミスキャスな部分からできており、植物の細胞壁によく見られる芳香族バイオポリマーであるリグニンを、一連の異化反応において再生可能な炭素鎖に変換する能力において重要である。つまり、リグニン変換の重要なステップを促進する役割を担っているのだ。 | |||
[[Cytochrome P450 aromatic O-demethylase]] | |||
==InterProサブファミリー== | |||
{{Anchor|InterPro subfamilies}} | |||
[[InterPro]] | [[:en:InterPro|InterPro]]サブファミリー: | ||
* | * シトクロムP450, B-class {{InterPro|IPR002397}} | ||
* | * シトクロムP450, mitochondrial {{InterPro|IPR002399}} | ||
* | * シトクロムP450, E-class, group I {{InterPro|IPR002401}} | ||
* | * シトクロムP450, E-class, group II {{InterPro|IPR002402}} | ||
* | * シトクロムP450, E-class, group IV {{InterPro|IPR002403}} | ||
* [[Aromatase]] | * [[Aromatase/ja|アロマターゼ]] | ||
クロザピン、イミプラミン、 パラセタモール、フェナセチン 複素環式アリールアミン | |||
誘導性でCYP1A2が5-10%欠損している。 | |||
ヘム代謝においてウロポルフィリノーゲンをウロポルフィリンに酸化する(CYP1A2)が、他にも未発見の内因性基質があるかもしれない。 | |||
は、タバコの煙や焦げた食品に含まれる多環式炭化水素の一部によって誘導される。 | |||
これらの酵素は、アッセイにおいて化合物を発癌性物質に活性化する可能性があるため、注目されている。 | |||
CYP1A2の高レベルは結腸癌のリスク上昇に関連している。1A2酵素はタバコの喫煙によって誘導されるため、喫煙と大腸がんは関連している。 | |||
==歴史== | ==歴史== |