Spice/ja: Difference between revisions
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[[:en:India|インド]]は、世界のスパイス生産量の75%を占めている。歴史的には、[[:en:Indian subcontinent|インド亜大陸]]、[[:en:East Asia|東アジア]]、中東でスパイス貿易が発達し、[[Indian cuisine/ja|料理]]にも反映されている。ヨーロッパではスパイスの需要があり、近世の探検を促す経済的・文化的要因のひとつとなった。 | [[:en:India|インド]]は、世界のスパイス生産量の75%を占めている。歴史的には、[[:en:Indian subcontinent|インド亜大陸]]、[[:en:East Asia|東アジア]]、中東でスパイス貿易が発達し、[[Indian cuisine/ja|料理]]にも反映されている。ヨーロッパではスパイスの需要があり、近世の探検を促す経済的・文化的要因のひとつとなった。 | ||
==語源== | |||
''スパイス''の語源は[[:ja:中英語|中英語]]で、[[:ja:古フランス語|古フランス語]]の{{Lang|fro|espece}}'', {{Lang|fro|espis(c)e}},'' {{Lang|fro|espis(c)e}}に由来している。[[:en:Middle English Dictionary|中英語辞典]]によると、古フランス語は[[:ja:アングロ=ノルマン語|英仏語]]のspeceに由来し、[[:ja:メリアム=ウェブスター|メリアム・ウェブスター]]によると、古フランス語は英仏語の''espece''、''espis''に由来する。両書とも、英仏語の語源が[[:en:ラテン語|ラテン語]]の{{Lang|la|species}}であることに同意している。中英語の{{Lang|enm|spice}は、13世紀に名詞として初めて使用されたことが知られている。 | {{Anchor|Etymology}} | ||
''スパイス''の語源は[[:ja:中英語|中英語]]で、[[:ja:古フランス語|古フランス語]]の{{Lang|fro|espece}}'', {{Lang|fro|espis(c)e}},'' {{Lang|fro|espis(c)e}}に由来している。[[:en:Middle English Dictionary|中英語辞典]]によると、古フランス語は[[:ja:アングロ=ノルマン語|英仏語]]のspeceに由来し、[[:ja:メリアム=ウェブスター|メリアム・ウェブスター]]によると、古フランス語は英仏語の''espece''、''espis''に由来する。両書とも、英仏語の語源が[[:en:ラテン語|ラテン語]]の{{Lang|la|species}}であることに同意している。中英語の{{Lang|enm|spice}}は、13世紀に名詞として初めて使用されたことが知られている。 | |||
==歴史== | ==歴史== | ||
{{Anchor|History}} | |||
{{main/ja|Spice trade/ja}} | {{main/ja|Spice trade/ja}} | ||
===初期の歴史=== | |||
スパイス貿易は、紀元前2000年頃までに[[:ja:インド亜大陸|インド亜大陸]]では[[cinnamon/ja|シナモン]]と[[black pepper/ja|黒胡椒]]、[[:ja:東アジア|東アジア]]ではハーブと胡椒で発展した。エジプトでは[[:en:Ancient Egyptian funerary practices|ミイラ]]作りにハーブが使われ、エキゾチックなスパイスやハーブの需要が世界貿易を活性化させた。紀元前1000年頃には、[[:ja:中国|中国]]、[[:ja:韓国|韓国]]、[[:ja:インド|インド]]でハーブを使った医薬品が発見された。初期の用途は、魔法、医療、宗教、伝統、保存に関連していた。 | |||
紀元前1700年頃には、[[:ja:メソポタミア|メソポタミア]]で[[Clove/ja|クローブ]]が使用されていた。古代インドの[[:ja:叙事詩|叙事詩]] [[Wikipedia:Ramayana|Ramayana]]には、クローブのことが書かれている。[[:ja:古代ローマ|ローマ人]]は、[[:en:Pliny the Elder|長老プリニウス]]が書いたように、紀元前1世紀にはクローブを使用していた。スパイスに関する最古の文書記録は、古代エジプト、中国、インドの文化に由来する。 | |||
[[ | 紀元前1550年のエジプト初期の[[:en:Ebers Papyrus|エベルス・パピルス]]には、約800種類の薬効と数多くの薬用処置が記されている。[[:ja:東南アジア|東南アジア]]の[[:ja:バンダ諸島|バンダ諸島]]が原産地の[[nutmeg/ja|ナツメグ]]は、紀元前6世紀にヨーロッパに伝わったと歴史家は考えている。 | ||
インドネシア商人は中国、インド、中東、アフリカ東海岸を旅した。[[:ja:アラブ|アラブ]]商人は中東とインドを通るルートを促進した。その結果、エジプトの[[:ja:港湾都市|港湾都市]][[:ja:アレクサンドリア|アレクサンドリア]]がスパイス交易の中心地となった。ヨーロッパの香辛料貿易に先立つ最も重要な発見は、[[:ja:モンスーン|モンスーン]]風だった(紀元40年)。東方のスパイス栽培農家から西ヨーロッパの消費者に向けた航海は、かつて中東アラブのキャラバンによって促進された陸続きのスパイス・ルートに次第に取って代わった。 | |||
スパイスは[[:ja:旧約聖書|旧約聖書]]にも登場するほど、古代世界では重要なものだった。[[:ja:創世記|創世記]]では、[[:ja:ヨセフ (ヤコブの子)|ヨセフ]]は兄弟たちによって香辛料商に奴隷として売られた。出[[:ja:出エジプト記|エジプト記]]では、[[:ja:マナ (食物)|マナ]]は見た目がコリアンダーに似ていると描写されている。[[:ja:雅歌|ソロモン雅歌]]では、男性の語り手が愛する人を多くのサフラン、シナモン、その他のスパイスに例えている。 | |||
===中世=== | |||
[[File:Le livre des merveilles de Marco Polo-pepper.jpg|thumb|left|胡椒を収穫する''ミュルス''。フランス版''『[[:en:The Travels of Marco Polo|マルコ・ポーロ旅行記]]』''より。]] | |||
[[File:Le livre des merveilles de Marco Polo-pepper.jpg|thumb|left| | スパイスは[[:en:Middle Ages|中世]]のヨーロッパで最も需要が高く、高価な製品のひとつであり、最も一般的なものは[[black pepper/ja|ブラックペッパー]]、[[cinnamon/ja|シナモン]](および安価な代替品[[Cinnamomum aromat/ja|カシア]])、[[cumin/ja|クミン]]、[[nutmeg/ja|ナツメグ]]、[[ginger/ja|ジンジャー]]、[[cloves/ja|クローブ]]であった。中世医学の主な理論が[[:ja:四体液説|四体液説]]であったことを考えると、スパイスやハーブは食物の「体液」のバランスをとるために不可欠なものであり、[[:ja:パンデミック|パンデミック]]が頻発していた当時、健康を維持するための日々の基本であった。[[Medieval medicine of Western Europe/ja|中世の医学]]を利用する人々によって望まれていたことに加え、中世のヨーロッパのエリートたちもスパイスを切望し、スパイスは「楽園」のものであり、「楽園」につながるものだと信じていた。ヨーロッパ貴族のスパイスに対する需要の一例として、12世紀に[[:ja:スペイン|スペイン]]にスパイスを持ち帰るために多大な資源を投入した[[:en:King of Aragon|アラゴン王]]が挙げられる。彼は特にワインに入れる香辛料を探しており、当時の[[:en:European Monarchs|ヨーロッパの君主]]の中で香辛料を欲していたのは彼だけではなかった。 | ||
スパイスはすべてアジアやアフリカの農園から輸入されたもので、高価なものだった。8世紀から15世紀まで、[[:ja:ヴェネツィア共和国|ヴェネツィア共和国]]は中東とのスパイス貿易を独占し、その地位を利用して近隣の[[:en:Maritime republics|イタリア海洋共和国]]や都市国家を支配した。この貿易はこの地域を豊かにした。[[:en:Late Middle Ages|中世後期]]には、毎年約1,000トンの胡椒と1,000トンのその他の一般的な香辛料が西ヨーロッパに輸入されていたと推定されている。これらの商品の価値は、150万人分の穀物の年間供給量に相当した。最も高級だったのは[[saffron/ja|サフラン]]で、その鮮やかな黄赤色と風味のために使われた。 | |||
中世後期の北フランス料理で胡椒の代わりに使われた[[cardamom/ja|カルダモン]]の親戚である[[Aframomum melegueta/ja|グレイン・オブ・パラダイス]]、[[long pepper/ja|ロングペッパー]]、[[nutmeg/ja|メース]]、[[spikenard/ja|スパイケナード]]、[[galangal/ja|ガランガル]]、[[cubeb/ja|クベブ]]など、今ではヨーロッパ料理ではあまり使われなくなったスパイスもある。 | |||
=== 近世 === | |||
== | [[:ja:スペイン|スペイン]]と[[:ja:ポルトガル|ポルトガル]]は、アジアからの香辛料やその他の貴重な産物を交易する新しいルートを求めていた。[[:ja:ポルトガル|ポルトガル]]の航海士[[:ja:ヴァスコ・ダ・ガマ|ヴァスコ・ダ・ガマ]]が1499年に[[:ja:インド|インド]]へ航海した主な理由は、貿易ルートと香辛料産地の支配だった。インドのコショウ市場を発見したダ・ガマは、[[:ja:ベネチア|ベネチア]]が要求するよりもはるかに安い値段でコショウを確保することができた。同じ頃、[[:ja:クリストファー・コロンブス|クリストファー・コロンブス]]が[[:ja:新大陸|新大陸]]から帰国した。彼はそこで手に入る新しいスパイスについて[[:ja:投資家|投資家]]たちに説明した。 | ||
[[ | |||
15世紀から16世紀にかけての香辛料貿易におけるもうひとつの競争相手は、クロアチア南部の海洋共和国[[:ja:ドゥブロヴニク|ドゥブロヴニク]]の[[:ja:ラグサ共和国|ラグー人]]だった。[[:ja:アフォンソ・デ・アルブケルケ|アフォンソ・デ・アルブケルケ]](1453-1515)の武勇により、ポルトガルはインドへの海路を掌握した。1506年には[[:ja:紅海|紅海]]の[[:ja:ソコトラ島|ソコトラ島]]を、1507年には[[:ja:ペルシャ湾|ペルシャ湾]]の[[:en:Ormuz|オルムーズ]]を占領した。[[:ja:インド|インド]][[:ja:総督|総督]]になってからは、1510年にインドの[[:ja:ゴア州|ゴア]]を、1511年には[[:ja:マレー半島|マレー半島]]の[[:ja:マラッカ|マラッカ]]を占領した。ポルトガルは[[:ja:タイ王国|シャム]]、[[:ja:中国|中国]]、[[:ja:モルッカ諸島|マルク諸島]]と直接貿易できるようになった。 | |||
新大陸の発見とともに、[[allspice/ja|オールスパイス]]、[[chili pepper/ja|唐辛子]]、[[vanilla/ja|バニラ]]、[[chocolate/ja|チョコレート]]などの新しい香辛料がもたらされた。この発展により、アメリカは新しい調味料で後発組となったが、スパイス貿易は19世紀まで利益を上げ続けた。 | |||
==機能== | |||
{{Anchor|Function}} | |||
[[File:Common Indian spices.jpg|thumb| | [[File:Common Indian spices.jpg|thumb|ターメリックパウダー、マスタードシード、チリパウダー、クミンシード|alt=チリパウダー、マスタードシード、ターメリックパウダー、クミンシード]] | ||
スパイスは主に食品の[[flavoring/ja|風味付け]]や、バラエティーを生み出すために使われる。また、[[:ja:化粧品|化粧品]]や[[:ja:香|お香]]の香り付けにも使われる。様々な時代において、多くのスパイスは薬効があると信じられてきた。最後に、スパイスは高価で希少なエキゾチックな商品であるため、その[[Wikipedia:conspicuous consumption|顕著な消費]]はしばしば富と社会階級の象徴とされてきた。 | |||
===防腐剤の主張=== | |||
== | {{quote box|align=right|width=35%|中世における香辛料愛好の最も一般的な説明は、肉を腐敗から守るため、あるいはすでに腐敗した肉の味をごまかすために使われたというものだ。この説得力はあるが誤った考えは、都市伝説のようなもので、本能的に魅力的な話であるため、単なる事実では拭い去れないようだ...。香辛料を買う余裕のある人なら、都会人が地元のスーパーで買う肉よりも新鮮な肉を簡単に手に入れることができた}} | ||
{{quote box|align=right|width=35%| | スパイスは[[:ja:食料保存|食品の保存料]]として、あるいは[[:en:Meat spoilage|腐敗した肉]]の味を隠すために、特にヨーロッパの[[:ja:中世|中世]]において使われたと主張されることが多い。これは誤りである。実際、スパイスは[[:ja:塩漬け|塩漬け]]、[[:ja:燻製|燻製]]、[[:jaピクルス|漬け込み]]、[[:en:food drying|乾燥]]に比べ、保存料としてはむしろ効果がなく、腐敗した肉の味を覆い隠すこともできない。さらに、香辛料は常に比較的高価なものであった。15世紀のオックスフォードでは、豚一頭丸ごとが、最も安価な香辛料である胡椒1ポンドとほぼ同じ値段であった。15世紀のオックスフォードでは、豚の丸焼きの値段は、最も安いスパイスである胡椒の1ポンドとほぼ同じだった: 「古い料理本には、スパイスが保存料として使われていないことが明記されている。古い料理本には、スパイスが保存料として使われていなかったことがはっきりと書かれている。"一般的に、スパイスは調理の最後に加えることが推奨されている。実際、[[:ja:クリストフォロ・ディ・メッシスブーゴ|クリストフォロ・ディ・メシスブーゴ]]は16世紀、コショウが腐敗を早める可能性があることを示唆している。 | ||
試験管内で[[antimicrobial/ja|抗菌]]作用を示すスパイスもあるが、胡椒は最も一般的なスパイスで、比較的効果が低い。 | |||
{{clear}} | {{clear}} | ||
==分類とタイプ == | |||
{{Anchor|Classification and types}} | |||
[[File:Indian spices with labels (garam masala components) (49684333301).jpg|thumb| | [[File:Indian spices with labels (garam masala components) (49684333301).jpg|thumb|[[Indian spices/ja|インドのハーブとスパイス]]のプレート]] | ||
===料理用ハーブとスパイス=== | |||
== | {{main/ja|List of culinary herbs and spices/ja}} | ||
{{main|List of culinary herbs and spices}} | |||
===植物の基礎=== | |||
{{Div col|colwidth=28em}} | {{Div col|colwidth=28em}} | ||
* | * [[fennel/ja|フェンネル]]、[[Mustard seeds/ja|マスタード]]、[[nutmeg/ja|ナツメグ]]、[[black pepper/ja|ブラックペッパー]]などの[[Seed/ja|種子]] | ||
* [[Cayenne pepper/ja|カイエンペッパー]]、[[Chimayo pepper/jaチマヨペッパー]]などの[[Fruit/ja|果実]] | |||
* [[Mace (spice)/ja|メース]] (ナツメグの果実の一部)などの[[Aril/ja|果皮]] | |||
* [[Cinnamomum zeylanicum/ja|トゥルーシナモン]]、[[Cinnamomum aromaticum/ja|カシア]]などの[[Bark (botany)/ja|樹皮]] | |||
* [[Flower bud]] | * [[cloves/ja|クローブ]]などの[[Flower bud/ja|花のつぼみ]] | ||
* [[saffron/ja|サフラン]]などの[[Stigma (botany)/ja|茎]] | |||
* [[ | * [[turmeric/ja|ウコン]]、[[ginger/ja|ショウガ]]、[[galangal/ja|ガランガル]]などの[[Root/ja|根]]や[[rhizome/ja|根茎]] | ||
* [[ | * [[asafoetida/ja|アサフェティダ]]などの[[Resins/ja|樹脂]] | ||
{{Div col end}} | {{Div col end}} | ||
===一般的なスパイスミックス=== | |||
{{main/ja|Spice mix/ja}} | |||
{{main|Spice mix}} | |||
{{Div col|colwidth=28em}} | {{Div col|colwidth=28em}} | ||
* [[Advieh]] ([[ | * [[Advieh/ja|アドヴィエ]] ([[:ja:イラン|イラン]]) | ||
* [[Baharat]] ([[ | * [[Baharat/ja|バハラート]] ([[:ja:アラブ世界|アラブ世界]]と[[:ja:中東|中東]]全般) | ||
* [[Berbere]] ([[ | * [[Berbere/ja|ベルベレ]] ([[:ja:エチオピア|エチオピア]]、[[:ja:エリトリア|エリトリア]]、[[:ja:ソマリア|ソマリア]]) | ||
* [[Bumbu (seasoning)| | * [[Bumbu (seasoning)/ja|ブンブ]] ([[:ja:インドネシア|インドネシア]]) | ||
* [[Cajun cuisine#Blended| | * [[Cajun cuisine#Blended/ja|ケイジャン]] ([[:ja:アメリカ|アメリカ]]) | ||
* [[Chaat masala]] ([[ | * [[Chaat masala/ja|チャート・マサラ]] ([[:ja:インド亜大陸|インド亜大陸]]) | ||
* [[Chili pepper| | * [[Chili pepper/ja|チリ]] [[Chili powder/ja|パウダー]]と[[crushed red pepper/ja|クラッシュドレッドペッパー]] ([[Cayenne pepper/ja|カイエン]], [[Chipotle/ja|チポトレ]], [[Jalapeño/ja|ハラペーニョ]], [[New Mexico chile/ja|ニューメキシコ]], [[Tabasco pepper/ja|タバスコ]], [[List of Capsicum cultivars/ja|その他の品種]]) | ||
* [[Curry powder]] | * [[Curry powder/ja|カレー粉]] | ||
* [[Five-spice powder]] ([[ | * [[Five-spice powder/ja|五香粉]] ([[:ja:中国|中国]]) | ||
* [[Garam masala]] ( | * [[Garam masala/ja|ガラムマサラ]] (インド亜大陸) | ||
* [[Harissa]] ([[ | * [[Harissa/ja|ハリッサ]] ([[:ja:北アフリカ|北アフリカ]]) | ||
* [[Hawaij]] ([[ | * [[Hawaij/ja|ハワイジ]] ([[:ja:イエメン|イエメン]]) | ||
* [[Jamaican jerk spice| | * [[Jamaican jerk spice/ja|ジャークスパイス]] ([[:ja:ジャマイカ|ジャマイカ]]) | ||
* [[Khmeli suneli]] ( | * [[Khmeli suneli/ja|クメリ・スネリ]] (ジョージア、旧ソビエト連邦) | ||
* [[Masala (spice)| | * [[Masala (spice)/ja|マサラ]] (インド亜大陸で使用されるミックスの総称) | ||
* [[Mixed spice]] ([[ | * [[Mixed spice/ja|ミックススパイス]] ([[:ja:イギリス|イギリス]]) | ||
* [[Panch phoron]] ( | * [[Panch phoron/ja|パンチ・フォロン]] (インド亜大陸) | ||
* [[Pumpkin pie spice]] ([[ | * [[Pumpkin pie spice/ja|パンプキン・パイ・スパイス]] ([[:ja:アメリカ|アメリカ]]) | ||
* [[Quatre épices]] ([[ | * [[Quatre épices/ja|カトルエピス]] ([[:ja:フランス|フランス]]) | ||
* [[Ras el hanout]] ([[ | * [[Ras el hanout/ja|ラスエルハヌート]] ([[:ja:北アフリカ|北アフリカ]]) | ||
* [[Sharena sol]] ( | * [[Sharena sol/ja|シャレナソル]] (''カラフルソルト''、 [[:ja:ブルガリア|ブルガリア]]) | ||
* [[Shichimi| | * [[Shichimi/ja|七味唐辛子]] ([[:ja:日本|日本]]) | ||
* [[Speculaas]] ([[ | * [[Speculaas/ja|スペキュラ]] ([[:ja:ベルギー|ベルギー]]、[[:ja:オランダ|オランダ]]) | ||
* Thuna Paha ([[ | * トゥナパハ(Thuna Paha) ([[:ja:スリランカ|スリランカ]]) | ||
* [[Podravka#Consumer brands| | * [[Podravka#Consumer brands/ja|ベジータ]] ([[:ja:クロアチア|クロアチア]]) | ||
* [[Za'atar]] ( | * [[Za'atar/ja|ザアタル]] (中東) | ||
{{Div col end}} | {{Div col end}} | ||
==ハンドリング== | |||
{{Anchor|Handling}} | |||
[[File:Spice-shelf.jpg|thumb|upright=1.00| | [[File:Spice-shelf.jpg|thumb|upright=1.00|カナダやアメリカの家庭の台所でよく使われるスパイスの棚]] | ||
{{Anchor|Ground spices}} | {{Anchor|Ground spices}} | ||
[[File:Peugeot pepper mill.jpg|thumb|left|upright=.50|ペッパーミル]] | |||
[[File:Peugeot pepper mill.jpg|thumb|left|upright=.50| | スパイスを丸ごと挽くには、[[:en:mortar and pestle|すり鉢とすりこぎ]]が定番である。少量なら[[:en:microplane|マイクロプレーン]]や目の細かい[[:ja:グレーター|おろし金]]、大量なら[[:en:blade grinder|コーヒーグラインダー]]が便利だ。ブラックペッパーのような使用頻度の高いスパイスは、専用の手挽きグラインダーや[[:en:Burr mill#Manual burr grinders|ミル]]で保管するのがよいだろう。 | ||
スパイスの風味は、空気に触れると[[oxidize/ja|酸化]]したり蒸発したりする化合物(揮発性オイル)に由来する部分がある。スパイスを挽くと表面積が大きくなり、酸化や蒸発の速度が増す。従って、スパイスをホールで保存し、必要な時に粉砕することで、風味が最大限に引き出される。乾燥したホールスパイスの賞味期限はおよそ2年、挽いたスパイスの賞味期限はおよそ6ヶ月である。挽いたスパイスの "風味の寿命 "はもっと短くなる。挽いたスパイスは光を避けて保存するのが良い。 | |||
スパイスに含まれる風味成分の中には水に溶けるものもあるが、多くは油脂に溶ける。一般的に、スパイスの風味が料理に染み込むには時間がかかるため、スパイスは調理の早い段階で加える。[[herb/ja|ハーブ]]は通常、調理の後半に加える。 | |||
{{clear}} | {{clear}} | ||
===サルモネラ菌汚染=== | |||
[[:ja:アメリカ食品医薬品局|食品医薬品局]]が2007〜2009年度に米国に出荷された香辛料を調査したところ、出荷量の約7%が''[[Salmonella/ja|サルモネラ]]''菌に汚染されており、その一部は抗生物質耐性であった。ほとんどの香辛料は加熱調理されてから提供されるため、サルモネラ菌汚染の影響はないことが多いが、一部の香辛料、特に胡椒は生食されることが多く、食卓で便利に使われる。主要生産国であるメキシコとインドからの出荷が最も多く汚染されていた。[[:ja:食品照射|食品照射]]はこのリスクを最小化すると言われている。 | |||
==健康研究== | |||
{{Anchor|Health research}} | |||
例えば、2017年の[[:ja:ワシントン・ポスト|''ワシントン・ポスト紙'']]は、スパイスは「台所にある天然の薬局」であると伝えている。想定される健康効果には、抗酸化作用や抗炎症作用、特定の疾患に対する効果などがある。2019年のシステマティックレビューでは、25のスパイスに関する研究が調査され、これらの効能を裏付ける証拠はまだ十分ではなく、「さらなる研究が必要である」と結論づけられた。レビューでは、多くの研究がカプセルや "人工的な "形態の香辛料を投与することで実施されているが、香辛料は通常このような方法で摂取されることはなく、通常は他の食品と一緒に摂取されると指摘している。スパイスは料理の風味付けとして塩の必要性を減らし、心臓血管に良い影響を与える可能性がある。 | |||
==生産== | |||
{{Anchor|production}} | |||
[[File:Spices in an Indian market.jpg|thumb|right| | [[File:Spices in an Indian market.jpg|thumb|right|インド[[:ja:ゴア州|ゴア]]のスパイスとハーブショップ]] | ||
{| class="sortable wikitable" style="float:left; | {| class="sortable wikitable" style="float:left; | ||
|+ | |+ スパイス生産国トップ <br />(単位:トン) | ||
! | !ランク | ||
! | !国 | ||
!2010 | !2010 | ||
!2011 | !2011 | ||
|- | |- | ||
| 1 || | | 1 || インド || 1,474,900 || 1,525,000 | ||
|- | |- | ||
| 2 || | | 2 || バングラディシュ || 128,517 || 139,775 | ||
|- | |- | ||
| 3 || | | 3 || トルコ || 107,000 || 113,783 | ||
|- | |- | ||
| 4 || | | 4 || 中国 || 90,000 || 95,890 | ||
|- | |- | ||
| 5 || | | 5 || パキスタン || 53,647 || 53,620 | ||
|- | |- | ||
| 6 || | | 6 || イラン || 18,028 || 21,307 | ||
|- | |- | ||
| 7 || | | 7 || ネパール || 20,360 || 20,905 | ||
|- | |- | ||
| 8 || | | 8 || コロンビア || 16,998 || 19,378 | ||
|- | |- | ||
| 9 || | | 9 || エチオピア || 27,122 || 17,905 | ||
|- | |- | ||
| 10 || | | 10 || スリランカ || 8,293 || 8,438 | ||
|- bgcolor="#cccccc" | |- bgcolor="#cccccc" | ||
| — || ''[[ | | — || ''[[:ja:世界|世界]]'' || 1,995,523 || 2,063,472 | ||
|- | |- | ||
|colspan=4 | ''Source: [[ | |colspan=4 | ''Source: [[:ja:国際連合食糧農業機関|国際連合食糧農業機関]]'' | ||
|} | |} | ||
{{Clear}} | {{Clear}} | ||
==標準化== | |||
{{Anchor|Standardization}} | |||
[[:ja:国際標準化機構|国際標準化機構]]は、関連する食品添加物とともに、香辛料と[[:ja:調味料|調味料]]を[[:ja:国際規格分類|国際規格分類]]67.220シリーズの一部として扱っている。 | |||
==研究== | |||
{{Anchor|Research}} | |||
ケララ州[[:ja:コーリコード|コジコデ]]にある[[Indian Institute of Spices Research/ja|インド香辛料研究所]]は、ブラックペッパー、カルダモン、シナモン、クローブ、[[garcinia/ja|ガルシニア]]、ジンジャー、ナツメグ、パプリカ、ターメリック、バニラという10種類の香辛料作物の研究に専心している。 | |||
==ギャラリー== | |||
{{Anchor|Gallery}} | |||
<gallery mode="packed"> | <gallery mode="packed"> | ||
File:Gato negro.jpg| | File:Gato negro.jpg|カフェとスパイスの店''ガトー・ネグロ''(アルゼンチン、[[:ja:ブエノスアイレス|ブエノスアイレス]]) | ||
File:Spice shop, Mashad, Iran.jpg| | File:Spice shop, Mashad, Iran.jpg|イランで様々なスパイスを販売するスパイス・ショップ | ||
File:Night Spice market in Casablanca.JPG| | File:Night Spice market in Casablanca.JPG|モロッコ、カサブランカの夜のスパイス・ショップ | ||
File:Taliparamba Market.jpg| | File:Taliparamba Market.jpg|インド、[[:en:Taliparamba|タリパランバ]]のスパイス・ショップ | ||
File:Taliparamba grocery.jpg| | File:Taliparamba grocery.jpg|インド、[[Wikipedia:Taliparamba|タリパランバ]]で売られているスパイス | ||
File:Spice seller, Kashgar market.jpg| | File:Spice seller, Kashgar market.jpg|[[:ja:カシュガル市|カシュガル]]市場のスパイス売り | ||
File:Spice Market, Marakech (2242330035).jpg| | File:Spice Market, Marakech (2242330035).jpg|モロッコ、[[:ja:マラケシュ|マラケシュ]]のスパイスマーケット | ||
</gallery> | </gallery> | ||
== こちらも参照 == | |||
{{portal|Herbs and Spices/ja|Medicine/ja}} | |||
{{portal| | |||
<!-- Please keep entries in alphabetical order & add a short description [[WP:SEEALSO]] --> | <!-- Please keep entries in alphabetical order & add a short description [[WP:SEEALSO]] --> | ||
* {{annotated link|List of Indian spices}} | * {{annotated link|List of Indian spices/ja}} | ||
* [[List of culinary herbs and spices]] | * [[List of culinary herbs and spices/ja]] | ||
* [[Outline of herbs and spices]] | * [[Outline of herbs and spices/ja]] | ||
* {{annotated link|Seasoning}} | * {{annotated link|Seasoning/ja}} | ||
* [[Spice mix]] | * [[Spice mix/ja]] | ||
* [[Spice use in Antiquity]] | * [[Spice use in Antiquity/ja]] | ||
<!-- please keep entries in alphabetical order --> | <!-- please keep entries in alphabetical order --> | ||
==参考== | |||
=== 本 === | |||
=== | |||
* {{cite book |last=Czarra |first=Fred |year=2009 |title=Spices: A Global History|url=https://archive.org/details/spicesglobalhist0000czar |url-access=registration |publisher=Reaktion Books |page=[https://archive.org/details/spicesglobalhist0000czar/page/128 128] |isbn=978-1-86189-426-7}} | * {{cite book |last=Czarra |first=Fred |year=2009 |title=Spices: A Global History|url=https://archive.org/details/spicesglobalhist0000czar |url-access=registration |publisher=Reaktion Books |page=[https://archive.org/details/spicesglobalhist0000czar/page/128 128] |isbn=978-1-86189-426-7}} | ||
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Latest revision as of 08:25, 7 July 2023
スパイス(香辛料)とは、主に食品の香り付けや色付けに用いられる種子、果実、根、樹皮、またはその他の植物の物質である。スパイスはハーブとは区別され、植物の葉、花、茎を香り付けや付け合わせとして使用するものである。香辛料は薬、宗教儀式、コスメ、香水の製造に用いられることもある。例えば、バニラはフレグランス製造の原料としてよく使用されている。
スパイスは、新鮮なもの、丸ごと乾燥させたもの、あらかじめ挽いたものを乾燥させたものなど、いくつかの形態で提供されることがある。一般的に、スパイスは乾燥させたものである。スパイスは便利なように粉末にすることもある。乾燥したスパイスは保存期間が最も長いので、大量に購入して保存することができ、1食分あたりの単価が安くなる。生姜のようなフレッシュなスパイスは、乾燥したものよりも風味が良いが、フレッシュなスパイスは高価で、保存期間もかなり短くなる。また、ターメリックのように、生のままでは手に入らないスパイスもあり、挽いて購入しなければならないこともある。フェンネルやマスタードシードのような小さな種は、ホールとパウダーの両方で使用されることが多い。
スパイスの健康効果はよく言われることだが、その効果を証明する研究はまだ十分に行われていない。
インドは、世界のスパイス生産量の75%を占めている。歴史的には、インド亜大陸、東アジア、中東でスパイス貿易が発達し、料理にも反映されている。ヨーロッパではスパイスの需要があり、近世の探検を促す経済的・文化的要因のひとつとなった。
語源
スパイスの語源は中英語で、古フランス語のespece, espis(c)e, espis(c)eに由来している。中英語辞典によると、古フランス語は英仏語のspeceに由来し、メリアム・ウェブスターによると、古フランス語は英仏語のespece、espisに由来する。両書とも、英仏語の語源がラテン語のspeciesであることに同意している。中英語のspiceは、13世紀に名詞として初めて使用されたことが知られている。
歴史
初期の歴史
スパイス貿易は、紀元前2000年頃までにインド亜大陸ではシナモンと黒胡椒、東アジアではハーブと胡椒で発展した。エジプトではミイラ作りにハーブが使われ、エキゾチックなスパイスやハーブの需要が世界貿易を活性化させた。紀元前1000年頃には、中国、韓国、インドでハーブを使った医薬品が発見された。初期の用途は、魔法、医療、宗教、伝統、保存に関連していた。
紀元前1700年頃には、メソポタミアでクローブが使用されていた。古代インドの叙事詩 Ramayanaには、クローブのことが書かれている。ローマ人は、長老プリニウスが書いたように、紀元前1世紀にはクローブを使用していた。スパイスに関する最古の文書記録は、古代エジプト、中国、インドの文化に由来する。 紀元前1550年のエジプト初期のエベルス・パピルスには、約800種類の薬効と数多くの薬用処置が記されている。東南アジアのバンダ諸島が原産地のナツメグは、紀元前6世紀にヨーロッパに伝わったと歴史家は考えている。
インドネシア商人は中国、インド、中東、アフリカ東海岸を旅した。アラブ商人は中東とインドを通るルートを促進した。その結果、エジプトの港湾都市アレクサンドリアがスパイス交易の中心地となった。ヨーロッパの香辛料貿易に先立つ最も重要な発見は、モンスーン風だった(紀元40年)。東方のスパイス栽培農家から西ヨーロッパの消費者に向けた航海は、かつて中東アラブのキャラバンによって促進された陸続きのスパイス・ルートに次第に取って代わった。
スパイスは旧約聖書にも登場するほど、古代世界では重要なものだった。創世記では、ヨセフは兄弟たちによって香辛料商に奴隷として売られた。出エジプト記では、マナは見た目がコリアンダーに似ていると描写されている。ソロモン雅歌では、男性の語り手が愛する人を多くのサフラン、シナモン、その他のスパイスに例えている。
中世

スパイスは中世のヨーロッパで最も需要が高く、高価な製品のひとつであり、最も一般的なものはブラックペッパー、シナモン(および安価な代替品カシア)、クミン、ナツメグ、ジンジャー、クローブであった。中世医学の主な理論が四体液説であったことを考えると、スパイスやハーブは食物の「体液」のバランスをとるために不可欠なものであり、パンデミックが頻発していた当時、健康を維持するための日々の基本であった。中世の医学を利用する人々によって望まれていたことに加え、中世のヨーロッパのエリートたちもスパイスを切望し、スパイスは「楽園」のものであり、「楽園」につながるものだと信じていた。ヨーロッパ貴族のスパイスに対する需要の一例として、12世紀にスペインにスパイスを持ち帰るために多大な資源を投入したアラゴン王が挙げられる。彼は特にワインに入れる香辛料を探しており、当時のヨーロッパの君主の中で香辛料を欲していたのは彼だけではなかった。
スパイスはすべてアジアやアフリカの農園から輸入されたもので、高価なものだった。8世紀から15世紀まで、ヴェネツィア共和国は中東とのスパイス貿易を独占し、その地位を利用して近隣のイタリア海洋共和国や都市国家を支配した。この貿易はこの地域を豊かにした。中世後期には、毎年約1,000トンの胡椒と1,000トンのその他の一般的な香辛料が西ヨーロッパに輸入されていたと推定されている。これらの商品の価値は、150万人分の穀物の年間供給量に相当した。最も高級だったのはサフランで、その鮮やかな黄赤色と風味のために使われた。 中世後期の北フランス料理で胡椒の代わりに使われたカルダモンの親戚であるグレイン・オブ・パラダイス、ロングペッパー、メース、スパイケナード、ガランガル、クベブなど、今ではヨーロッパ料理ではあまり使われなくなったスパイスもある。
近世
スペインとポルトガルは、アジアからの香辛料やその他の貴重な産物を交易する新しいルートを求めていた。ポルトガルの航海士ヴァスコ・ダ・ガマが1499年にインドへ航海した主な理由は、貿易ルートと香辛料産地の支配だった。インドのコショウ市場を発見したダ・ガマは、ベネチアが要求するよりもはるかに安い値段でコショウを確保することができた。同じ頃、クリストファー・コロンブスが新大陸から帰国した。彼はそこで手に入る新しいスパイスについて投資家たちに説明した。
15世紀から16世紀にかけての香辛料貿易におけるもうひとつの競争相手は、クロアチア南部の海洋共和国ドゥブロヴニクのラグー人だった。アフォンソ・デ・アルブケルケ(1453-1515)の武勇により、ポルトガルはインドへの海路を掌握した。1506年には紅海のソコトラ島を、1507年にはペルシャ湾のオルムーズを占領した。インド総督になってからは、1510年にインドのゴアを、1511年にはマレー半島のマラッカを占領した。ポルトガルはシャム、中国、マルク諸島と直接貿易できるようになった。
新大陸の発見とともに、オールスパイス、唐辛子、バニラ、チョコレートなどの新しい香辛料がもたらされた。この発展により、アメリカは新しい調味料で後発組となったが、スパイス貿易は19世紀まで利益を上げ続けた。
機能

スパイスは主に食品の風味付けや、バラエティーを生み出すために使われる。また、化粧品やお香の香り付けにも使われる。様々な時代において、多くのスパイスは薬効があると信じられてきた。最後に、スパイスは高価で希少なエキゾチックな商品であるため、その顕著な消費はしばしば富と社会階級の象徴とされてきた。
防腐剤の主張
スパイスは食品の保存料として、あるいは腐敗した肉の味を隠すために、特にヨーロッパの中世において使われたと主張されることが多い。これは誤りである。実際、スパイスは塩漬け、燻製、漬け込み、乾燥に比べ、保存料としてはむしろ効果がなく、腐敗した肉の味を覆い隠すこともできない。さらに、香辛料は常に比較的高価なものであった。15世紀のオックスフォードでは、豚一頭丸ごとが、最も安価な香辛料である胡椒1ポンドとほぼ同じ値段であった。15世紀のオックスフォードでは、豚の丸焼きの値段は、最も安いスパイスである胡椒の1ポンドとほぼ同じだった: 「古い料理本には、スパイスが保存料として使われていないことが明記されている。古い料理本には、スパイスが保存料として使われていなかったことがはっきりと書かれている。"一般的に、スパイスは調理の最後に加えることが推奨されている。実際、クリストフォロ・ディ・メシスブーゴは16世紀、コショウが腐敗を早める可能性があることを示唆している。
試験管内で抗菌作用を示すスパイスもあるが、胡椒は最も一般的なスパイスで、比較的効果が低い。
分類とタイプ

料理用ハーブとスパイス
植物の基礎
一般的なスパイスミックス
- アドヴィエ (イラン)
- バハラート (アラブ世界と中東全般)
- ベルベレ (エチオピア、エリトリア、ソマリア)
- ブンブ (インドネシア)
- ケイジャン (アメリカ)
- チャート・マサラ (インド亜大陸)
- チリ パウダーとクラッシュドレッドペッパー (カイエン, チポトレ, ハラペーニョ, ニューメキシコ, タバスコ, その他の品種)
- カレー粉
- 五香粉 (中国)
- ガラムマサラ (インド亜大陸)
- ハリッサ (北アフリカ)
- ハワイジ (イエメン)
- ジャークスパイス (ジャマイカ)
- クメリ・スネリ (ジョージア、旧ソビエト連邦)
- マサラ (インド亜大陸で使用されるミックスの総称)
- ミックススパイス (イギリス)
- パンチ・フォロン (インド亜大陸)
- パンプキン・パイ・スパイス (アメリカ)
- カトルエピス (フランス)
- ラスエルハヌート (北アフリカ)
- シャレナソル (カラフルソルト、 ブルガリア)
- 七味唐辛子 (日本)
- スペキュラ (ベルギー、オランダ)
- トゥナパハ(Thuna Paha) (スリランカ)
- ベジータ (クロアチア)
- ザアタル (中東)
ハンドリング


スパイスを丸ごと挽くには、すり鉢とすりこぎが定番である。少量ならマイクロプレーンや目の細かいおろし金、大量ならコーヒーグラインダーが便利だ。ブラックペッパーのような使用頻度の高いスパイスは、専用の手挽きグラインダーやミルで保管するのがよいだろう。
スパイスの風味は、空気に触れると酸化したり蒸発したりする化合物(揮発性オイル)に由来する部分がある。スパイスを挽くと表面積が大きくなり、酸化や蒸発の速度が増す。従って、スパイスをホールで保存し、必要な時に粉砕することで、風味が最大限に引き出される。乾燥したホールスパイスの賞味期限はおよそ2年、挽いたスパイスの賞味期限はおよそ6ヶ月である。挽いたスパイスの "風味の寿命 "はもっと短くなる。挽いたスパイスは光を避けて保存するのが良い。
スパイスに含まれる風味成分の中には水に溶けるものもあるが、多くは油脂に溶ける。一般的に、スパイスの風味が料理に染み込むには時間がかかるため、スパイスは調理の早い段階で加える。ハーブは通常、調理の後半に加える。
サルモネラ菌汚染
食品医薬品局が2007〜2009年度に米国に出荷された香辛料を調査したところ、出荷量の約7%がサルモネラ菌に汚染されており、その一部は抗生物質耐性であった。ほとんどの香辛料は加熱調理されてから提供されるため、サルモネラ菌汚染の影響はないことが多いが、一部の香辛料、特に胡椒は生食されることが多く、食卓で便利に使われる。主要生産国であるメキシコとインドからの出荷が最も多く汚染されていた。食品照射はこのリスクを最小化すると言われている。
健康研究
例えば、2017年のワシントン・ポスト紙は、スパイスは「台所にある天然の薬局」であると伝えている。想定される健康効果には、抗酸化作用や抗炎症作用、特定の疾患に対する効果などがある。2019年のシステマティックレビューでは、25のスパイスに関する研究が調査され、これらの効能を裏付ける証拠はまだ十分ではなく、「さらなる研究が必要である」と結論づけられた。レビューでは、多くの研究がカプセルや "人工的な "形態の香辛料を投与することで実施されているが、香辛料は通常このような方法で摂取されることはなく、通常は他の食品と一緒に摂取されると指摘している。スパイスは料理の風味付けとして塩の必要性を減らし、心臓血管に良い影響を与える可能性がある。
生産

ランク | 国 | 2010 | 2011 |
---|---|---|---|
1 | インド | 1,474,900 | 1,525,000 |
2 | バングラディシュ | 128,517 | 139,775 |
3 | トルコ | 107,000 | 113,783 |
4 | 中国 | 90,000 | 95,890 |
5 | パキスタン | 53,647 | 53,620 |
6 | イラン | 18,028 | 21,307 |
7 | ネパール | 20,360 | 20,905 |
8 | コロンビア | 16,998 | 19,378 |
9 | エチオピア | 27,122 | 17,905 |
10 | スリランカ | 8,293 | 8,438 |
— | 世界 | 1,995,523 | 2,063,472 |
Source: 国際連合食糧農業機関 |
標準化
国際標準化機構は、関連する食品添加物とともに、香辛料と調味料を国際規格分類67.220シリーズの一部として扱っている。
研究
ケララ州コジコデにあるインド香辛料研究所は、ブラックペッパー、カルダモン、シナモン、クローブ、ガルシニア、ジンジャー、ナツメグ、パプリカ、ターメリック、バニラという10種類の香辛料作物の研究に専心している。
ギャラリー
-
カフェとスパイスの店ガトー・ネグロ(アルゼンチン、ブエノスアイレス)
-
イランで様々なスパイスを販売するスパイス・ショップ
-
モロッコ、カサブランカの夜のスパイス・ショップ
-
インド、タリパランバのスパイス・ショップ
-
インド、タリパランバで売られているスパイス
-
カシュガル市場のスパイス売り
-
モロッコ、マラケシュのスパイスマーケット
こちらも参照
- List of Indian spices/ja
- List of culinary herbs and spices/ja
- Outline of herbs and spices/ja
- Seasoning/ja
- スパイスミックス
- Spice use in Antiquity/ja
参考
本
- Czarra, Fred (2009). Spices: A Global History. Reaktion Books. p. 128. ISBN 978-1-86189-426-7.
- Dalby, Andrew (2000). Dangerous Tastes: The Story of Spices. University of California Press. ISBN 978-0-520-23674-5.
- Freedman, Paul (2008). Out of the East: Spices and the Medieval Imagination. Yale University Press. ISBN 978-0-300-21131-3.
- Keay, John (2006). The Spice Route: A History. John Murray. ISBN 978-0-7195-6199-3.
- Krondl, Michael (2008). The Taste of Conquest: The Rise and Fall of the Three Great Cities of Spice. Random House. ISBN 978-0-345-50982-6.
- Miller, James Innes (1969). The spice trade of the Roman Empire, 29 B.C. to A.D. 641. Oxford: Clarendon P. ISBN 978-0-19-814264-5.
- Morton, Timothy (2006). The Poetics of Spice: Romantic Consumerism and the Exotic. Cambridge University Press. ISBN 978-0-521-02666-6.
- Seidemann, Johannes (2005). World Spice Plants: Economic Usage, Botany, Taxonomy. Springer. ISBN 978-3-540-22279-8.
- Turner, Jack (2004). Spice: The History of a Temptation. Knopf. ISBN 978-0-375-40721-5.
![]() | この記事は、クリエイティブ・コモンズ・表示・継承ライセンス3.0のもとで公表されたウィキペディアの項目Spice(10 December 2022, at 15:10編集記事参照)を翻訳して二次利用しています。 |