Merck & Co.: Difference between revisions
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| logo_caption = | | logo_caption = 1992年に[[:en:Chermayeff & Geismar & Haviv|Chermayeff & Geismar]]のSteff Geissbuhlerがデザインした現在のメルク・アンド・カンパニーのロゴ。米国とカナダでは "MERCK"の商号が使用され(上)、これらの国以外では "MSD"が使用されている(下)。 | ||
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'''Merck & Co., Inc.''' | '''Merck & Co., Inc.'''('''Merck & Co., Inc.''')は、アメリカの[[:en:Rahway, New Jersey|ニュージャージー州ラーウェイ]]に本社を置く[[:en:Multinational corporation|多国籍]][[pharmaceutical/ja|製薬]]企業であり、1668年にドイツで設立された[[:en:Merck Group|Merck Group]]に由来する。米国とカナダ以外では'''Merck Sharp & Dohme'''または'''MSD'''として事業を展開している。世界最大の製薬会社のひとつであり、売上高では世界トップ5に入る。 | ||
Merck & Co. | Merck & Co.は1891年にMerckグループのアメリカ法人として設立された。Merckは医薬品、ワクチン、生物学的製剤、動物用医薬品を開発・製造している。がん免疫療法、抗糖尿病医薬品、[[HPV/ja|HPV]]および[[chickenpox/ja|水疱瘡]]ワクチンなど、2020年の売上高を誇る複数のブロックバスター薬物や製品を有している。 | ||
2022年の[[:en:Fortune 500|''Fortune''500]]では71位、2022年の[[:en:Forbes Global 2000|''Forbes''Global 2000]]では87位であり、いずれも2021年の売上に基づいている。2023年の[[Wikipedia:Forbes Global 2000|Forbes Global 2000]]における同社の座は73位だった。 | |||
==Products== | ==Products== | ||
[[File:HPV-vaccine- Gardasil2016JAPAN-03.jpg|thumb| | [[File:HPV-vaccine- Gardasil2016JAPAN-03.jpg|thumb|ガーダシルの日本パッケージ(MSDのブランド名が表示されている)]] | ||
同社は[[medicine/ja|医薬品]]、[[vaccine/ja|ワクチン]]、生物学的療法、[[animal health/ja|アニマルヘルス]]製品を開発している。2020年には6つの[[blockbuster drug/ja|ブロックバスター医薬品]]または製品があり、それぞれの売上高は10億ドルを超えている。''キイトルーダ''([[pembrolizumab/ja|ペムブロリズマブ]])は[[cancer immunotherapy/ja|がん免疫療法]]に使用される[[humanized antibody/ja|ヒト化抗体]]で、2020年の売上高は143億ドル。 2020年の売上は13億ドル、[[typ2 2 diabetes/ja|2型糖尿病]]の治療に使われる[[anti-diabetic medication/ja|抗糖尿病薬]]の''ジャヌビア''([[sitagliptin/ja|シタグリプチン]])は53億ドル、[[HPV vaccine/ja|HPVワクチン]]の[[Gardasil/ja|ガーダシル]]は39億ドルである。 2020年の売上は39億ドル、[[chickenpox/ja|水痘]]の予防に使われる[[varicella vaccine/ja|水痘ワクチン]]のバリバックスは19億ドル、[[neuromuscular-blocking drug/ja|神経筋遮断薬]]の''ブリディオン''([[Sugammadex/ja|スガマデクス]])は12億ドル、[[pneumococcal polysaccharide vaccine/ja|肺炎球菌多糖体ワクチン]]の''ニューモバックス23''は11億ドルである。同社の他の主要製品には、2020年の売上高が8億5700万ドルであった[[HIV/AIDS/ja|HIV/AIDS]]の治療に用いられる[[antiretroviral medication/ja|抗レトロウイルス薬]]である''Isentress''([[raltegravir/ja|ラルテグラビル]])、[[immunosuppressive drug/ja|免疫抑制薬]]として使用される[[human/ja|ヒト]]の[[monoclonal antibody/ja|モノクローナル抗体]]である''Simponi''([[golimumab/ja|ゴリムマブ]])が2020年の売上は7億9700万ドル、成人のBRCA変異進行[[ovarian cancer/ja|卵巣がん]]の維持治療薬の''Lynparza''([[olaparib/ja|オラパリブ]])で2020年の売上は7億2500万ドルとなっている。 | |||
Merckの主要製品の詳細は以下の通りである: | |||
* [[Januvia]] | * [[Januvia/ja|ジャヌビア]](シタグリプチン)は、2型糖尿病治療薬のジペプチジルペプチダーゼIV阻害薬である。2013年、ジャヌビアは世界で2番目に売れている糖尿病治療薬である。ジャヌビアは一般的にジェネリックの抗糖尿病薬[[metformin/ja|メトホルミン]]と併用される。ジャヌビアは、他の多くの糖尿病治療薬と異なり、体重増加がほとんどなく、低血糖を伴わないこともあって人気を博している。メルク社は、ジャヌビアとメトホルミンの両方を含む1錠の配合剤もジャヌメットという商品名で販売している。ジャヌビアや他のDPP-IV阻害薬による治療では、膵炎のリスクがわずかに上昇することが懸念されている。 | ||
* [[Zetia]] | * [[Zetia/ja|ゼチーア]](エゼチミブ)は、食事性コレステロールの吸収を阻害する作用を持つ高コレステロール血症治療薬である。ゼチーアは、当初は血清コレステロール値への影響に基づいて承認されたが、実際に心血管疾患の発生率に影響を与えるという確証がなかったため、議論の的となっていた。しかし、2014年の米国心臓学会学術集会で発表されたIMPROVE-IT試験の結果では、高リスクの急性冠症候群後の患者に対して、シンバスタチンにゼチアを追加することで、緩やかではあるが統計学的に有意なベネフィットが示された。 | ||
* [[Remicade]] | * [[Remicade/ja|レミケード]](一般名:インフリキシマブ)は、サイトカイン[[TNF-alpha/ja|TNFα]]を標的とするモノクローナル抗体であり、[[rheumatoid arthritis/ja|関節リウマチ]]、[[Crohn's disease/ja|クローン病]]、[[ankylosing spondylitis/ja|強直性脊椎炎]]、[[plaque psoriasis/ja|尋常性乾癬]]などの広範な自己免疫疾患の治療に用いられる。レミケードおよび他のTNFα阻害薬は、メトトレキサートと相加的な治療効果を示し、QOLを改善する。副作用には、感染症や特定の癌のリスク増加が含まれる。Merckは特定の領域で、[[Janssen Biotech]]は他の領域でこの薬の権利を有していた。2017年、Merckはレミケードのバイオシミラーであるレンフレクシスを発表した。 | ||
* [[Gardasil]] | * [[Gardasil/ja|ガーダシル]](遺伝子組換えヒト乳頭腫ウイルスワクチン)は、[[Human papillomavirus/ja|ヒト乳頭腫ウイルス]](HPV)の複数の血清型に対するワクチンである。 | ||
* [[Isentress]] | * [[Isentress/ja|イセントレス]](ラルテグラビル)は、HIV感染症治療用のヒト免疫不全ウイルスインテグラーゼ阻害薬である。この作用機序を持つ最初の抗HIV薬である。[[:en:United States Department of Health and Human Services|米国保健社会福祉省]]が推奨するいくつかの第一選択治療レジメンの一つである。 | ||
* [[Keytruda]] | * [[Keytruda/ja|キイトルーダ]](ペムブロリズマブ)はがん治療用の免疫調節薬である。2014年9月4日、米国食品医薬品局(FDA)は[[Pembrolizumab/ja|ペムブロリズマブ]](MK-3475)をメラノーマ治療の画期的治療薬として承認した。臨床試験において、ペムブロリズマブは患者の約4分の1で腫瘍の部分的な退縮をもたらし、その多くは6カ月以上の追跡調査でもそれ以上の病状の進行が見られていない。 | ||
* | * インバンツ([[Ertapenem/ja|エルタペネム]])は注射用抗生物質で、Merckは1999年からその権利を所有している。Merckは台湾のSavior Lifetec社と、米国における[[generic drug/ja|ジェネリック医薬品]]の販売権獲得をめぐって法的紛争を起こしていた。その後、Savior社はジェネリック医薬品であるエルタペネムの販売承認を取得した。 | ||
* [[Mexsana]] | * [[Mexsana/ja|メクサナ]]は防腐剤入りの薬用パウダーである。 | ||
* [[Mectizan]] | * [[Mectizan/ja|メクチザン]](イベルメクチン)は、伝統的に[[River Blindness/ja|河川失明症]]の治療に用いられてきた抗寄生虫薬である。Merckのメクチザン・ドネーション・プログラムの中心的存在で、イエメンやアフリカ諸国などの何百万人もの人々の治療のために、Merckはこの薬の投与量を寄付している。 | ||
*[[Molnupiravir]] | *[[Molnupiravir/ja|モルヌピラビル]]は[[COVID-19/ja|COVID-19]]を治療するための抗ウイルス薬で、Ridgeback Biotherapeutics社と共同で開発された。 | ||
Merck & Co. | Merck & Co.は、医師、看護師、技術者、獣医師向けの医学参考書のシリーズである''[[Wikipedia:The Merck Manuals|The Merck Manuals]]''を出版している。これには、世界で最も売れている医学参考書である''[[Wikipedia:Merck Manual of Diagnosis and Therapy|Merck Manual of Diagnosis and Therapy]]''が含まれる。2012年に[[:en:Royal Society of Chemistry|英国王立化学会]]に買収されるまで、化合物の大要である''[[Wikipedia:The Merck Index|The Merck Index]]''はMerck & Co.によって出版されていた。 | ||
==History== | ==History== | ||
===Roots and early history=== | ===Roots and early history=== | ||
{{Main|Merck Group}} | {{Main|:en:Merck Group}} | ||
[[File:ENGEL APHOTHEKE.png|thumb| | [[File:ENGEL APHOTHEKE.png|thumb|[[Darmstadt|ダルムシュタット]]のエンジェル薬局は、[[:en:Merck Group|Merck Group]]の始まりである。]] | ||
Merck & Co. | Merck & Co.の起源は、1668年に[[Wikipedia:Friedrich Jacob Merck|Friedrich Jacob Merck]]が[[Wikipedia:Darmstadt|Darmstadt]]の薬局を購入したときに[[Wikipedia:Merck family|Merck family]]によって設立された旧ドイツの親会社[[Wikipedia:Merck Group|Merck Group]]に遡る。1827年、Merck Groupは[[morphine/ja|モルヒネ]]の商業的製造によって薬局から製薬会社へと発展した。Merckは[[opium/ja|アヘン]]からモルヒネを得る化学的プロセスを完成させ、後に[[cocaine/ja|コカイン]]を導入した。 | ||
1887年、ドイツ生まれで長年Merck に勤務していたTheodore Weickerが、Merck Groupの代表として渡米した。1891年、WeickerはE.Merckから受け取った20万ドルを元手に、マンハッタン区に本社を置くMerck & Co.を設立した。この年、当時のE.Merckの社長の息子(創業者の孫)で23歳のGeorge MerckがニューヨークでWeickerに加わった。Merck & Co.は1891年から1917年まで、[[Wikipedia:Merck Group|Merck Group]]の米国子会社として運営された。 | |||
===Nationalization=== | ===Nationalization=== | ||
アメリカが[[:ja:第一次世界大戦|第一次世界大戦]]に参戦した後、ドイツとのつながりがあったため、Merck & Co.は[[:en:Trading with the Enemy Act of 1917|1917年敵国取引法]]に基づく[[:en:expropriation|収用]]の対象となった。政府はドイツの親会社が所有する株式の80%を差し押さえ、売却した。1919年、George F. Merck(Merck familyのアメリカ支社長)は、[[Goldman Sachs]]および[[Lehman Brothers]]と共同で、アメリカ政府の競売で350万ドルで会社を買い戻したが、Merck & Co.は元のドイツの親会社とは別会社のままであった。Merck & Co.は、米国とカナダにおける「Merck」の名称の商標権を保有し、それ以外の地域では旧親会社が権利を保有している。Merckの名称を使用する権利は、2016年に両社間で訴訟の対象となった。 | |||
1925年、[[Wikipedia:George W. Merck|George W. Merck]]が父George F. Merckの後を継いで社長に就任した。1927年、フィラデルフィアのキニーネ製造会社Powers[[:en:William Weightman|Weightman]]-Rosengarten Companyと合併。George Merckが社長に留まり、Frederic Rosengartenが会長となった。1929年、[[:en:H. K. Mulford Company|H. K. Mulford Company]]はSharp and Dohmeと合併し、第一次世界大戦における騎兵馬の予防接種やジフテリア抗毒素のMerck & Co.への納入など、ワクチン技術をもたらした。 | |||
1943年、[[:en:Rutgers University|ラトガース大学]]の[[:en:Selman Waksman|Selman Waksman]]の研究室で、Merckが資金を提供した研究プログラムの中で[[Streptomycin/ja|ストレプトマイシン]]が発見された。それは[[Tuberculosis/ja|結核]]に対する最初の有効な治療薬となった。発見当時、結核感染者を隔離するための[[sanatorium/ja|療養所]]は先進国の都市のいたるところにあり、50%が入所後5年以内に死亡していた。Merckとラトガース大学との契約では、ストレプトマイシンの独占権が与えられていたが、Waksmanの要請により、同社は契約を再交渉し、ロイヤリティと引き換えに権利を大学に返還した。大学はその後、抗生物質の安定供給を確保するため、7社と非独占的ライセンスを結んだ。 | |||
===1950–2000=== | ===1950–2000=== | ||
1950年代、[[thiazide/ja|チアジド系]]利尿薬がMerckの科学者Karl H. Beyer, James M. Sprague, John E. Baer, Frederick C. Novelloによって開発され、1958年にこのクラスの最初の薬剤である[[chlorothiazide/ja|クロロチアジド]]がデュイリルという商品名で販売されるに至った。クロロチアジドの発見につながる研究は、「数え切れないほどの何千人もの命を救い、何百万人もの高血圧患者の苦しみを和らげる」ことにつながり、1975年にラスカー財団から公衆衛生特別賞を授与された。 | |||
1953年、Merck & Co.はフィラデルフィアに本社を置くSharp & Dohme, Inc.と合併し、米国最大の医薬品メーカーとなった。Sharp & Dohme, Inc.は1929年に[[Wikipedia:H. K. Mulford Company|H. K. Mulford Company]]を買収し、[[smallpox/ja|天然痘]]ワクチンをポートフォリオに加えた。統合された会社は、米国とカナダではMerckの商号を維持し、北米以外ではMerck Sharp & Dohme(MSD)となった。 | |||
1965年、Merck & Co.は[[Wikipedia:Charles Frosst|Charles Frosst]] Ltd.を買収した。[[:ja:モントリオール|モントリオール]](1899年設立)を買収し、カナダの子会社および製薬研究施設としてMerck-Frosst Canada, Inc.を設立した。Merckは2010年7月にこの施設を閉鎖したが、2011年にMerck Canadaとして再出発した。 | |||
[[Maurice Hilleman]] | Merckの科学者であった[[Wikipedia:Maurice Hilleman|Maurice Hilleman]]は、1967年に最初の[[mumps vaccine/ja|おたふくかぜワクチン]]、1969年に最初の[[rubella vaccine/ja|風疹ワクチン]]、1971年に最初の3価の麻疹・おたふくかぜ・風疹([[MMR vaccine/ja|MMRワクチン]])を開発した。風疹ワクチン開発の余波で、風疹に関連した先天性異常の発生率は、アメリカでは年間10,000人にも上っていたものがゼロになった。Hillemanはまた、最初の[[Hepatitis B vaccine/ja|B型肝炎ワクチン]]と、水疱瘡のための最初の[[varicella vaccine/ja|水痘ワクチン]]を開発した。 | ||
1970年にニュージャージー州で法人化された。1976年に[[Wikipedia:John J. Horan|John J. Horan]]がCEO兼会長に就任し、1985年まで務めた。彼のリーダーシップの下、研究開発への投資は3倍に増加し、Merckは世界最大の製薬会社となった。 | |||
1979年、Merckの科学者は[[lovastatin/ja|ロバスタチン]](「メバコール」)を開発した。[[statin/ja|スタチン]]クラスの最初の薬である。 | |||
Merckの科学者である[[William C. Campbell (scientist)/ja|ウィリアム・C・キャンベル]]と[[:en:Satoshi Ōmura|大村智]]は1981年に[[veterinary/ja|獣医学用]]として[[ivermectin/ja|イベルメクチン]]を開発し、その後1987年から88年にかけて[[Onchocerciasis/ja|オンコセルカ症]]に対してメクチザンの名でヒトに使用されるようになり、今日では[[river blindness/ja|河川盲目症]]、[[lymphatic filariasis/ja|リンパ系フィラリア症]]、[[scabies/ja|疥癬]]などの寄生虫感染症に対して使用されている。 | |||
1982年には[[AstraZeneca]]と[[:en:joint venture|合弁会社]]KBI Inc.を設立した。1980年代後半から1990年代にかけては、研究開発の専門知識を利用するために[[DuPont]]と、市販の消費者向け医薬品を販売するために[[Johnson & Johnson]]とも合弁会社を設立した。 | |||
1985年、Merckは[[carbapenem/ja|カルバペネム]]クラスの抗生物質の最初のメンバーである[[imipenem/ja|イミペネム]]の承認を得た。カルバペネムクラスの抗生物質は、特定の院内感染や多剤耐性感染症の治療ガイドラインにおいて重要な役割を果たしている。同年、[[Wikipedia:P. Roy Vagelos|P. Roy Vagelos]]がHoranの後任としてCEO兼会長に就任した。 | |||
1991年、Merckの子会社Kelcoはサンディエゴ地域の[[volatile organic compound/ja|揮発性有機化合物]](VOC)排出公害の責任を負った。1996年、Merckは大気汚染に対して180万ドルを支払った。年間{{convert|680000|lb|abbr=on}}のスモッグ排出量を削減するために新しい機械が設置された。 | |||
1993年11月、Merck & Co.はMedco Containment Servicesを60億ドルで買収した。Merckは10年後にMedcoを分離独立させた。 | |||
=== 2001–2019 === | === 2001–2019 === | ||
[[File:Merck Research Laboratories.jpg|thumb|right| | [[File:Merck Research Laboratories.jpg|thumb|right|[[:en:South San Francisco, California|カリフォルニア州サウスサンフランシスコ]]のMerck研究所]] | ||
2002年5月、[[:en:Bill & Melinda Gates Foundation|ビル&メリンダ・ゲイツ財団]]はMerckの株式を購入。 | |||
2002年から2005年にかけて、Merckのオーストラリアの関連会社は出版社[[:en:Elsevier|エルゼビア]]に非公開の金額を支払い、医学雑誌「[[:en:Australasian Journal of Bone and Joint Medicine|Australasian Journal of Bone and Joint Medicine]]」を8号発行した。このジャーナルは独立した査読付きジャーナルであるかのような体裁をとり、Merckが費用を支払ったことを一切示していなかったが、実際には他の出版物に掲載されたメルクに有利な論文を再掲載していた。この誤解を招くような出版物は、2009年にバイオックスをめぐる人身傷害訴訟で明らかになった。エルゼビア社のヘルスサイエンス部門のマイケル・ハンセンCEOは、この行為が「容認できない」と認めた。 | |||
2005年、[[:en:Chief executive officer|CEO]]の[[:en:Raymond Gilmartin|レイモンド・ギルマーティン]]が退任。Merckの[[Vioxx/ja|バイオックス]]の世界的な自主回収に伴い、レイモンド・ギルマーティンが退任。元製造部門社長の[[:en:Richard Clark (pharmacologist)|Richard Clark]]がCEO兼社長に就任。 | |||
2009年11月、Merck & Co. は[[:en:Schering-Plough|Schering-Plough]]との合併を410億米ドルで完了した。実際にはMerck & Co. がSchering-Ploughを買収したが、この買収は「逆合併」とされ、「旧」Merck & Co. はMerck Sharp & Dohme,に、Schering-Ploughは「Merck & Co., Inc.」に社名変更された。この作戦は、Schering-Ploughの[[Remicade/ja|レミケード]]の販売権を維持するために「チェンジ・オブ・コントロール」を回避しようとするものであった。2011年に[[Johnson & Johnson]]との和解が成立し、メルクは5億ドルの支払いに同意した。Merck Sharp & Dohmeは現在もMerck & Co.の子会社である。 | |||
[[Richard Clark (pharmacologist)|Richard Clark]] | 2011年10月に[[:en:Richard Clark (pharmacologist)|Richard Clark]]がCEO兼社長を退任し、[[:en:Kenneth Frazier|Kenneth Frazier]]がCEOに就任。 | ||
2013年10月、Merckは2015年までにコストを25億ドル削減するため、8,500人を削減すると発表した。2011年と2012年に発表された7,500人の人員削減と合わせると、レイオフは従業員の20%に相当する。 | |||
2014年までに、Merckで行われた研究により、63の[[New molecular entity/ja|新分子化合物]]が米国FDAに承認された。 | |||
2014年8月、MerckはIdenix Pharmaceuticalsを38.5億ドルで買収した。 | |||
2014年12月、スイスのバイオテクノロジー企業OncoEthix社を最大3億7500万ドルで買収。 | |||
2010年から2015年にかけて、同社は約36,450人の雇用を削減した。この間、同社は消費者向け健康事業を[[Bayer]]に売却し、免疫学、ワクチン、糖尿病、新興市場、特定の抗生物質のような病院で使用される医薬品に焦点を絞った。 | |||
2015年1月、Merckは[[:en:Cubist Pharmaceuticals|Cubist Pharmaceuticals]]を買収した。 | |||
2015年7月、Merckと[[:en:Ablynx|Ablynx]]は1年半前に締結した免疫腫瘍学の提携を4年間拡大し、Ablynx社に44億ドルのマイルストーン支払いの可能性を生み出した。同社はまた、キイトルーダと同様の初期段階の治療薬であるcCAM Biotherapeuticsとの提携に9500万ドルを前払いすると発表した。Merckは、免疫チェックポイント[[CEACAM1/ja|CEACAM1]]をブロックするように設計された抗体であるCM-24を導入する。 | |||
1つ目はカルテット・メディシンとその低分子疼痛治療薬、2つ目は細胞内がん標的を研究するComplixとの提携で、この2つの提携はそれぞれ最大5億9500万ドルと2億8000万ドルを生み出す可能性がある。その数日後、同社はIOmet Pharma社を買収すると発表し、IOmet社はMerck & Co.の完全子会社となった。この買収には、IOmet社の[[indoleamine-2,3-dioxygenase 1/ja|インドールアミン-2,3-ジオキシゲナーゼ1]](IDO)、[[tryptophan 2,3-dioxygenase/ja|トリプトファン2,3-ジオキシゲナーゼ]](TDO)、二重作用阻害剤が含まれる。 | |||
2016年7月、同社は[[P2RX3/ja|P2RX3]]受容体を遮断するために使用される候補薬の開発者であるAfferent Pharmaceuticals社を約10億ドルと最大7億5,000万ドルのマイルストーン支払いで買収した。 | |||
2017年、Merckは[[PARP inhibitor/ja|PARP阻害剤]] LynparzaをAstraZenecaから買収した。 | |||
2017年4月、Merck Animal Healthはブラジルの動物用医薬品メーカーVallée S.A.を買収した。 | |||
2017年9月、[[retinoic acid-inducible gene I/ja|レチノイン酸誘導性遺伝子I]]経路を標的とする候補薬の開発企業であるRigontec社を5億5,400万ドルで買収すると発表した。 | |||
2017年10月、オーストラリアのメルボルンの専門家であるDavid Lauに、胃腸(GI)がんにおける第1回Merck-AGITG臨床研究フェローシップを授与した。 | |||
2018年6月、Merckはオーストラリアのウイルス性抗がん剤企業である[[:en:Viralytics|Viralytics]]を5億200万豪ドルで買収した。 | |||
2018年、Merckは[[Ebola virus/ja|エボラウイルス]]のザイール株と闘うためのV920と呼ばれる治験用ワクチンについて、画期的治療指定に基づく[[Food and Drug Administration/ja|食品医薬品局]]への生物製剤承認申請手続きを開始した。 | |||
2019年4月、同社はImmune Design社を約3億ドルで買収し、同社の免疫療法プログラムへのアクセスを獲得した。また、Antelliq Groupを24億ドル(負債込みで37億ドル)で買収した。 | |||
2019年5月、Merckは[[Von Hippel–Lindau disease/ja|フォン・ヒッペル・リンダウ病]]関連の[[renal cell carcinoma/ja|腎細胞がん]]に対するHIF-2α阻害剤を開発するPeloton Therapeuticsを最大22億ドルで買収すると発表した。 | |||
2019年6月、MerckはTilos Therapeuticsを最大7億7300万ドルで買収すると発表した。 | |||
2019年11月、パーキンソン病とアルツハイマー病治療に注力するCalportaを買収した。 | |||
2019年12月、Merck Animal Healthは[[:en:Pentair|Pentair]]から養殖会社のVakiを買収した。 | |||
===2020–present=== | ===2020–present=== | ||
2020年1月、Merckは経口[[Bruton's tyrosine kinase/ja|ブルトン型チロシンキナーゼ]](BTK)阻害薬である[[Nemtabrutinib/ja|ARQ 531]]の開発元であるArQule社を27億ドルで買収した。 | |||
2020年3月、Merckは[[:en:New Jersey Business magazine|ニュージャージー・ビジネス・マガジン]]と[[:en:New Jersey Business and Industry Association|ニュージャージー・ビジネス・アンド・インダストリー・アソシエーション]]による第1回マニュファクチャリング・アワードで表彰された10社のうちの1社に選ばれた。 | |||
2020年6月、Merkは[[COVID-19/ja|COVID-19]]や[[cancer/ja|がん]]を含む感染症に対するワクチンや免疫調整療法に注力するThemis Bioscienceを買収した。 | |||
また2020年6月には、Merck Animal Healthは、牛の体温や動きをモニターして病気を早期発見するデータ・分析会社Quantified Ag社を買収した。 | |||
2020年8月、Merck Animal HealthはDNAベースの動物トレーサビリティを手掛ける[[:en:IdentiGEN|IdentiGEN社]]を買収した。 | |||
2020年9月、Merckは[[Wikipedia:Seattle Genetics|Seattle Genetics]]の普通株式10億ドルを取得し、ラディラツズマブ・ベドチンの共同開発に合意した。 | |||
Merckは2020年11月、血液腫瘍と固形腫瘍の両方で[[ROR1/ja|チロシンキナーゼ様オーファン受容体1]](ROR1)を標的とするように設計された[[antibody-drug conjugate/ja|抗体薬物複合体]]であるVLS-101の開発者であるベロスバイオ社を27億5000万ドルで買収すると発表した。VLS-101は現在第I相および第II相臨床試験中である。同社はまた、OncoImmune社を4億2500万ドルで買収し、同社の第3相候補薬であるCD24Fcを獲得すると発表した。CD24Fcは重症で重篤なCOVID-19患者の治療に使用される。 | |||
2021年2月、 Merck Animal HealthはPrognostiX Poultryを買収した。 | |||
2021年3月、Merckのコーポレート・アフェアーズ責任者Petra Wicklandtが代表として[[:en:Munich Security Conference|ミュンヘン安全保障会議]]に出席し、兵器化された[[monkeypox/ja|サル痘]]株の流出に対する公衆衛生上の対応をシミュレートする卓上演習に参加した。 | |||
2021年4月、Merckは18億5,000万ドルでPandion Therapeuticsを買収し、自己免疫疾患の治療薬の提供を拡大した。 | |||
2021年6月、米国政府はMerckの製品である[[molnupiravir/ja|モルヌピラビル]]が[[COVID-19/ja|COVID-19]]の治療薬として規制当局から承認された場合、12億ドルを投じて170万回分を購入することに合意した。2021年10月、同社はこの薬物が[[COVID-19/ja|COVID-19]]の軽度または中等度の患者の入院または死亡のリスクを約50%減少させ、この薬物の[[Emergency Use Authorization/ja|緊急使用承認]]を求めると発表した。 | |||
2021年7月、Kenneth Frazierの後任としてRobert M. DavisがCEOに就任し、Kenneth Frazierはエグゼクティブ・チェアマンに就任した。 | |||
2021年7月、Merckは[[Organon & Co.]]の[[:en:corporate spin-off|コーポレート・スピンオフ]]を完了した。 | |||
2021年9月、Merckは[[Wikipedia:Acceleron Pharma|Acceleron Pharma]]を115億ドルで買収すると発表し、[[pulmonary hypertension/ja|肺高血圧症]]の治療に使用される[[Sotatercept/ja|ソタテルセプト]]と[[luspatercept-aamt/ja|ルスパテルセプト-aamt]]を獲得した。 | |||
2022年9月には、家畜管理会社の[[Wikipedia:Vence|Vence]]を非公開で買収し、[[Wikipedia:Merck Animal Health|Merck Animal Health]]社に組み込むと発表した。 | |||
2022年12月、Merckは中国のKelun-Biotechとのライセンス契約を発表し、[[antibody-drug conjugate/ja|抗体薬物複合体]]のセットで初期のがんパイプラインを拡大すると発表した。 | |||
2023年4月、Merckは[https://www.prometheusbiosciences.com/ Prometheus Biosciences]社を108億ドルで買収すると発表した。 | |||
2024年1月、同社は[[Wikipedia:Harpoon Therapeutics|Harpoon Therapeutics]]を6億8,000万ドルで買収すると発表した。この買収により、Merckはがん治療薬のポートフォリオを拡大する。主なポジションはHPN328で、[[DLL3/ja|DLL3]](デルタ様リガンド3)発現を伴う進行がん患者、固有の[[small cell lung cancer/ja|小細胞肺がん]](SCLC)、[[neuroendocrine tumors/ja|神経内分泌腫瘍]]、その他いくつかの種を治療するために研究されている[[T-cells/ja|T細胞]]の活性化剤である。Merckのポートフォリオは、特許取得済みのT細胞活性化のためのHarpoon Tri特異的デザイン(TriTAC)を用いたT細胞アトラクションによっても補完される。工学的タンパク質技術によると、腫瘍細胞は患者自身の免疫細胞によって破壊される。ProTriTACプラットフォームはTriTACプラットフォームと連携し、T細胞を誘引するが腫瘍に到達するまで不活性な治療薬を開発する。 | |||
==Acquisition history== | ==Acquisition history== | ||
{{hidden begin|border=1px #aaa solid|title=Merck & Co Acquisitions|ta1=center}} | {{hidden begin|border=1px #aaa solid|title=Merck & Co Acquisitions|ta1=center}} | ||
{{Tree list}} | {{Tree list}} | ||
*'''Merck & Co''' {{small|( | *'''Merck & Co''' {{small|(1891年に[[:en:Merck Group||Merck of Darmstadt]]の米国子会社として設立され、後に第一次世界大戦中の1917年に米国政府によって国有化された。)}} | ||
**Merck & Co | **Merck & Co | ||
***Merck & Co | ***Merck & Co | ||
****H. K. Mulford Company {{small|( | ****H. K. Mulford Company {{small|(1929年買収)}} | ||
****Sharp & Dohme, Inc {{small|( | ****Sharp & Dohme, Inc {{small|(1953年買収)}} | ||
****Charles E. Frosst Ltd {{small|( | ****Charles E. Frosst Ltd {{small|(1965年に買収、Merck-Frosst Canada, Incに改組、2011年にMerck Canadaに改組した。)}} | ||
****Medco Containment Services Inc {{small|( | ****Medco Containment Services Inc {{small|(1993年買収, 2003年スピンオフ)}} | ||
***Schering‑Plough | ***Schering‑Plough | ||
****[[Schering-Plough]] {{small|( | ****[[Wikipedia:Schering-Plough|Schering-Plough]] {{small|(1971年合併)}} | ||
*****Schering Corporation {{small|( | *****Schering Corporation {{small|(1851年設立)}} | ||
*****Plough, Inc {{small|( | *****Plough, Inc {{small|(1908年設立)}} | ||
****Organon International | ****Organon International | ||
*****Alydia Health {{small|( | *****Alydia Health {{small|(2021年買収)}} | ||
****Intervet | ****Intervet | ||
****Diosynth | ****Diosynth | ||
****Nobilon | ****Nobilon | ||
**Imperial Blue Corporation | **Imperial Blue Corporation | ||
***Idenix Pharmaceuticals {{small|( | ***Idenix Pharmaceuticals {{small|(2014年買収)}} | ||
**Maven Corporation | **Maven Corporation | ||
***[[Cubist Pharmaceuticals]] | ***[[Wikipedia:Cubist Pharmaceuticals|Cubist Pharmaceuticals]] | ||
****[[Trius Therapeutics]] {{small|( | ****[[Wikipedia:Trius Therapeutics|Trius Therapeutics]] {{small|(2013年買収)}} | ||
****Optimer Pharmaceuticals {{small|(Acq | ****Optimer Pharmaceuticals {{small|(Acq 2013年買収)}} | ||
**OncoEthix {{small|( | **OncoEthix {{small|(2015年買収)}} | ||
**IOmet Pharma {{small|( | **IOmet Pharma {{small|(2016年買収)}} | ||
**Afferent Pharmaceuticals {{small|( | **Afferent Pharmaceuticals {{small|(2016年買収)}} | ||
**Merck Animal Health | **Merck Animal Health | ||
***Vallée S.A. {{small|( | ***Vallée S.A. {{small|(2017年買収)}} | ||
***Vaki {{small|( | ***Vaki {{small|(2019年買収)}} | ||
***Quantified Ag {{small|( | ***Quantified Ag {{small|(2020年買収)}} | ||
***IdentiGEN {{small|( | ***IdentiGEN {{small|(2020年買収)}} | ||
***PrognostiX Poultry Ltd {{small|( | ***PrognostiX Poultry Ltd {{small|(2021年買収)}} | ||
***Vence {{small|( | ***Vence {{small|(2022年買収)}} | ||
**Rigontec {{small|( | **Rigontec {{small|(2017年買収)}} | ||
**[[Viralytics]] {{small|( | **[[Wikipedia:Viralytics|Viralytics]] {{small|(2018年買収)}} | ||
**Antelliq Group {{small|( | **Antelliq Group {{small|(2018年買収)}} | ||
**Cascade Merger Sub, Inc. | **Cascade Merger Sub, Inc. | ||
***Immune Design Corp {{small|( | ***Immune Design Corp {{small|(2019年買収)}} | ||
**Peloton Therapeutics {{small|( | **Peloton Therapeutics {{small|(2019年買収)}} | ||
**Tilos Therapeutics {{small|( | **Tilos Therapeutics {{small|(2019年買収)}} | ||
**Calporta {{small|( | **Calporta {{small|(2019年買収)}} | ||
**Argon Merger Sub, Inc. | **Argon Merger Sub, Inc. | ||
***ArQule, Inc. {{small|( | ***ArQule, Inc. {{small|(2019年買収)}} | ||
**Themis Bioscience {{small|( | **Themis Bioscience {{small|(2020年買収)}} | ||
**VelosBio {{small|( | **VelosBio {{small|(2020年買収)}} | ||
**OncoImmune {{small|( | **OncoImmune {{small|(2020年買収)}} | ||
**Astros Merger Sub, Inc. | **Astros Merger Sub, Inc. | ||
***[[Acceleron Pharma]] {{small|( | ***[[Wikipedia:Acceleron Pharma|Acceleron Pharma]] {{small|(2021年買収)}} | ||
**Prometheus Biosciences {{small|( | **Prometheus Biosciences {{small|(2023年買収)}} | ||
**Caraway Therapeutics {{small|( | **Caraway Therapeutics {{small|(2023年買収)}} | ||
**Harpoon Therapeutics {{small|( | **Harpoon Therapeutics {{small|(ペンディング)}} | ||
{{Tree list/end}} | {{Tree list/end}} | ||
{{hidden end}} | {{hidden end}} | ||
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==Philanthropy== | ==Philanthropy== | ||
===Merck Company Foundation=== | ===Merck Company Foundation=== | ||
1957年の設立以来、Merck Company財団は教育機関や非営利団体に4億8,000万ドル以上を含む7億4,000万ドルの寄付を行ってきた。 | |||
2012年12月7日、同財団は同性愛者への差別を理由に[[:en:Boy Scouts of America|ボーイスカウト・オブ・アメリカ]]への寄付を終了すると発表した。 | |||
===Patient assistance programs=== | ===Patient assistance programs=== | ||
Merck & Co. | Merck & Co. は、医薬品を購入できない人々に援助を提供する最初のアメリカの製薬会社のひとつであり、1950年代にプログラムを開始した。Merckは7つの患者支援プログラムを提供しており、それぞれに特定の資格要件がある。 | ||
===Hilleman Laboratories=== | ===Hilleman Laboratories=== | ||
MerckとWellcome trustは、発展途上国で使用される低コストのワクチンの開発に専念する、インドを拠点とする非営利研究組織である[[Wikipedia:Hilleman Laboratories|Hilleman Laboratories]]に共同出資している。現在のプロジェクトには、コレラ、ロタウイルス、髄膜炎の予防のための低コスト耐熱性ワクチンの開発が含まれる。 | |||
===Merck for Mothers=== | ===Merck for Mothers=== | ||
Merck for | Merck for Mothersは、女性が出産中に命を落とすことのない世界を実現するためのMerckのグローバル・イニシアチブである。 | ||
===Mectizan donation program=== | ===Mectizan donation program=== | ||
1987年、Merckは[[:en:UNICEF|ユニセフ]]と共同で、主にアフリカで河川失明症として知られるオンコセルカ症と闘うため、新薬メクチザンを「必要な人に必要なだけ」寄贈するプログラムを開始した。それまでWHOは、この病気を媒介するクロバエの数を減らすために殺虫剤を使用し、この病気と闘ってきた。しかし、1980年代の研究で、この薬物がこの病気の治療と予防にいかに効果的であるかが示されると、WHOはそれまでの戦略の代わりにこの薬物を使用することに同意した。Merckの関与は、世界中でこの病気に対する成功の重要な要因と考えられており、薬物を必要とするすべての人々に薬物の全量を寄付するという決定は、イエメンやアフリカ諸国などを対象とするメクチザン・ドネーション・プログラムの一部として使用されている。プログラム開始以来、7億人以上が治療を受け、現在もアフリカ、ラテンアメリカ、イエメンで8000万人が治療を受けている。オンコセルカ症による失明は減少しており、ラテンアメリカやアフリカでは、オンコセルカ症が完全になくなった地域もある。 | |||
==Lawsuits and controversies== | ==Lawsuits and controversies== | ||
===Vioxx=== | ===Vioxx=== | ||
1999年、[[Food and Drug Administration (United States)/ja|米国食品医薬品局]](FDA)は、[[arthritis/ja|関節炎]]の治療薬としてMerckの製品であるバイオックス(一般名[[rofecoxib/ja|ロフェコキシブ]])を承認した。Vioxxは酵素[[cyclooxygenase-2/ja|シクロオキシゲナーゼ-2]]の選択的阻害剤として設計された。このような化合物は[[naproxen/ja|ナプロキセン]]のような旧来の[[anti-inflammatory/ja|抗炎症]]薬物よりも消化管出血が少ないと期待され、毎年2万人の入院と2000人の死亡に関連していた。バイオックスは史上最も処方された薬物のひとつとなった。 | |||
その後、Merckや他の企業による研究により、ナプロキセンと比較した場合、[[Vioxx/ja|バイオックス]]の使用に関連した心臓発作のリスクの増加が発見された。Merckは2002年、心血管系リスクの可能性を反映し、バイオックスの添付文書を調整した。 | |||
2004年9月23日、Merck社は自社が実施していた[[clinical trial/ja|臨床試験]]の結果に関する情報を入手し、その中には18ヶ月以上医薬品を使用しているVioxx使用者において心臓発作のリスクが増加するという所見が含まれていた。2004年9月28日、Merck社はFDAにバイオックスの自主的な市場撤退を通知し、9月30日に撤退を公表した。米国医療費調査のデータに基づく1999年から2004年までの分析によると、バイオックスは他の人気のある[[COX-2 inhibitor/ja|COX-2阻害剤]][[Celebrex/ja|セレブレックス]]と共に46,783件の心臓発作と関連しており、両方で推定26,603人が死亡した。 | |||
約50,000人が、自分または家族がバイオックスの服用後に心臓発作や脳卒中などの医学的問題を起こしたとして、Merck社を提訴した。2007年11月、Merck社は係争中のバイオックス訴訟の大半を解決するため、48億5000万ドルを支払うことに合意した。和解案では、心臓発作、虚血性脳卒中、心臓突然死の発生を確認できる医薬品および薬局の記録、傷害または死亡前60日以内に少なくとも30錠のバイオックスを受領していること、バイオックス関連事象発生後14日以内にバイオックスを使用していることを確認できる書類の提出を請求者に義務付けた。業界アナリストや投資家は、Merckの賠償責任が当初100億ドルから250億ドルに達すると見積もっていたことを考慮すると、この和解はMerckの勝利であると一般に見ていた。2008年半ばの時点で、原告集団が和解を成立させるためにMerck社が要求した基準割合に達していたが、陪審に持ち込まれた20件の訴訟のうち、原告が勝訴したのはわずか3件で、いずれも比較的少額の賠償金だった。 | |||
Merck社は、米国外のバイオックス被害者とその家族に対する補償を検討することを拒否している。これは、少なくとも400人の被害者がおり、被害者とその家族に与えられる法的保護が特に弱い英国で特に顕著である。 | |||
後の訴訟で公開された社内の電子メールのやりとりによると、Merck社はバイオックスに批判的な医師を「無力化」または「信用失墜」させるリストを持っていた。「彼らを探し出し、彼らが住んでいる場所で破壊する必要があるかもしれない」とある社員は書いている。スタンフォード大学医学部の教授は、Merck社は研究者に対する脅迫と[[:en:academic freedom|学問の自由]]の侵害を行っていると述べた。 | |||
2008年5月20日、Merck社は[[Vioxx/ja|バイオックス]]の販売促進のために欺瞞的なマーケティング戦術を行ったとして、30州と5800万ドルで和解した。2018年まで、Merckの新しいテレビでの疼痛広告はすべて食品医薬品局の審査を受け、要請があれば変更または延期しなければならない。 | |||
===Fosamax=== | ===Fosamax=== | ||
フォサマック([[alendronate/ja|アレンドロネート]])は[[bisphosphonate/ja|ビスホスホネート]]製剤であり、閉経後骨粗鬆症の治療および特定の癌における骨格障害の予防に用いられる。米国臨床内分泌学会、[[:en:American College of Obstetricians and Gynecologists|米国産科婦人科学会]]、[[:en:North American Menopause Society|北米更年期学会]]、および英国国立骨粗鬆症ガイドライングループは、閉経後骨粗鬆症の第一選択治療としてアレンドロネートおよび他の特定のビスホスホネートを推奨している。ビスホスホネート系薬剤による長期治療は、最初の3〜5年間の治療後、3〜5年間持続する骨折防止効果と骨密度増加効果をもたらす。アレンドロネートは股関節、椎体、手首の骨折リスクを35〜39%減少させる。 | |||
2013年12月、Merck社は、同社の骨粗鬆症薬物が顎骨壊死を発症させたと主張する集団訴訟の原告1,200人に対し、総額2,770万ドルを支払うことで合意した。和解に先立ち、Merck社はいわゆるベルウェザー裁判5件中3件で勝訴していた。2014年8月現在、約4000件の訴訟が判決または和解を待っている。 | |||
===Medicaid overbilling=== | ===Medicaid overbilling=== | ||
[[:en:United States Department of Justice|米国司法省]]による不正調査は、[[:en:False Claims Act/|偽請求法]]に基づき内部告発者によって提起された2つの別々の訴訟で疑惑が提起された2000年に始まった。彼らは、Merckが[[:en:Medicaid|メディケイド]]やその他の医療プログラムに適切なリベートを支払わず、医療提供者に違法な報酬を支払っていたと主張した。2008年2月7日、Merckは、最も人気のある医薬品をメディケイドに日常的に過剰請求していたとして、6億5,000万ドル以上を支払うことで和解に合意した。この和解は[[:en:List of Largest Pharmaceutical Settlements|最大の医薬品和解]]の一つであった。連邦政府は3億6,000万ドル以上を受け取り、さらに49州とワシントンDCは2億9,000万ドル以上を受け取った。ある内部告発者は6,800万ドルの報奨金を受け取った。Merck社は、責任や不正行為を認めることなく和解を成立させた。 | |||
==="Merck" name legal dispute=== | ==="Merck" name legal dispute=== | ||
193カ国のうち191カ国では、Merckの本家本元であるダルムシュタットの[[Wikipedia:Merck Group|Merck Group]]が「Merck」の名称の権利を所有している。米国とカナダでは、EMD(Emanuel Merck, Darmstadtの略称)の名で取引されているが、ここでの法的名称は''Merck KGaA, Darmstadt, Germany''となっており、「Merck Group」の代わりに「EMDグループ」の名称が使用されている。米国とカナダではMerck & Co.が商標「Merck」の権利を保有しているが、それ以外の地域ではMSD(Merck, Sharp & Dohmeの略称)の名で取引されており、法律上の名称はここでは「Merck Sharp & Dohme LLC, a subsidiary of Merck & Co. Kenilworth, NJ, USA''とある。 | |||
2015年、[[Wikipedia:Merck Group|Merck Group]]は新しいロゴを採用し、「本物のMerck」のブランドを守るために「より積極的に」取り組むと述べた。ダルムシュタットのMerckは、その旧子会社であるケニルワースのMerck & Co.(MSD)に対し、Merckの名称の侵害使用をめぐって数カ国で訴訟を開始した。2016年、[[:en:United Kingdom|英国]]の[[:en:High Court of Justice|高等法院]]は、MSDが旧親会社との契約に違反し、英国でメルクの名称を使用する権利があるのはダルムシュタットのMerck社のみであるとの判決を下した。同判決はまた、MSDがグローバルウェブサイトでブランディングの一環として「Merck」を使用しているのは英国に向けたものであり、英国におけるMerckの商標権を侵害しているとした。 | |||
この判決を受け、MSDは2016年1月に米国で反訴を開始し、連邦訴訟を提起した。この訴訟では、米国でのブランド展開やソーシャルメディアでの「Merck KGaA」および「MERCK」の使用増加を含む行為を通じて、旧親会社が「商標権を侵害している」と訴えた。さらにMerck & Co.は、Merck Groupを連邦商標の希釈化、不正競争、虚偽広告、欺瞞的取引慣行、契約違反、[[:en:cybersquatting|サイバースクワッティング]]でも訴えている。この事件は、ある研究科学者が腫瘍学の研究助成金に関してMerck & Co.と連絡を取っていると思い込んでいたところ、実際にはMerck Groupと連絡を取っていたことから発覚した。その結果、Merck & Co.は連邦裁判所に、Merck Groupが米国内の製品またはマーケティング資料に「Merck」を使用することを差し止めるよう求めた。直接の結果として、Merck社はMerck Groupが得た「すべての金銭的利益、利益、利点」と損害額の3倍、さらに懲罰的損害賠償を求めている。 | |||
2020年4月、スイスにおけるMerckのMSDに対する訴訟の過程で、[[:en:Federal Supreme Court of Switzerland|スイス連邦最高裁判所]]は、MSDがグローバルウェブサイトで「Merck」ブランドを使用することは、[[:en:geotargeting|ジオターゲティング]]メカニズムがなければ、スイスにおいて「商業的効果」を持つ可能性があり、したがってスイスにおける「Merck」ブランドに対するMerckの権利(もしあれば)を侵害する可能性があるとの判決を下した。 | |||
=== Tax fraud === | === Tax fraud === | ||
2007年、Merck社は23億ドルを支払い、1993年から2001年にかけてのオフショア税不正疑惑を解決した。 | |||
=== Propecia === | === Propecia === | ||
2021年、[[:en:Reuters|ロイター通信]]の調査によって、Merck社のハゲ薬物[[Finasteride/ja|プロペシア]]が男性に持続的な性機能障害を引き起こしていることが明らかになった。この薬物は、700件以上の自殺念慮の発生と110件の死亡に関連している。Merck社は1998年から報告を受けていたが、そのリスクをラベルに記載することはなかった。2015年、Merck社はプロペシアに関連した不当死をめぐり、消費者権利の法律事務所ヘーゲンズ・バーマンに訴えられた。 | |||
===Environmental violations=== | ===Environmental violations=== | ||
Merck & Co. | Merck & Co.はかつて、[[:en:United States Environmental Protection Agency|米国環境保護庁]]の汚染物質リストに掲載されている動物発がん性物質である[[methylene chloride/ja|塩化メチレン]]を、製造工程の一部で溶剤として使用していた。その後、Merckの化学者とエンジニアは、環境への悪影響がより少ない化合物に置き換えた。Merckはまた、化学反応をより効率的に調整し、製造を50%迅速化する分散制御システムを導入することで、有害な廃棄物の処分や保管の必要性をなくし、環境を保護するために設備を改良した。生物学的酸素要求量も削減された。2011年、Merckは[[:en:Riverside, Pennsylvania|ペンシルベニア州リバーサイド]]と[[:en:West Point, Pennsylvania|ペンシルベニア州ウェストポイント]]にある医薬品製造施設における連邦環境法違反の疑惑を解決するため、150万ドルの民事罰を支払った。 | ||
== Public-private engagement == | == Public-private engagement == | ||
=== Conferences === | === Conferences === | ||
Merckは2020年9月に開催されるバーチャル[[:en:ISPOR|ISPOR]]のカンファレンス・サポーターを務めた | |||
=== Political lobbying === | === Political lobbying === | ||
Merckは、[[:en:government agencies|政府機関]]、[[:en:universities|大学]]、[[pharmaceutical companies/ja|製薬会社]]、[[:en:lobbying groups|ロビー団体]]を含む[[health research/ja|健康研究]][[:en:Advocacy group|アドボカシー・ネットワーク]]の[[:en:AcademyHealth|AcademyHealth]]の貢献メンバーである。 | |||
==External links== | ==External links== | ||
{{Commons category-inline}} | {{Commons category-inline}} | ||
* {{Official website | * {{Official website}} | ||
{{Finance links | {{Finance links | ||
| name = Merck & Co. | | name = Merck & Co. |
Latest revision as of 22:11, 14 March 2024
![]() ![]() 1992年にChermayeff & GeismarのSteff Geissbuhlerがデザインした現在のメルク・アンド・カンパニーのロゴ。米国とカナダでは "MERCK"の商号が使用され(上)、これらの国以外では "MSD"が使用されている(下)。 | |
![]() アッパー・グウィネッド・タウンシップ, ペンシルバニア州にあるMerck's branch office campus | |
Sector | Public |
---|---|
Industry | Pharmaceutical industry |
Area served | Worldwide |
Key people | Robert M. Davis (chairman, president and CEO) |
Products | |
![]() | |
![]() | |
Total assets | ![]() |
Total equity | ![]() |
Number of employees | c. 72,000 (2023) |
Website |
Merck & Co., Inc.(Merck & Co., Inc.)は、アメリカのニュージャージー州ラーウェイに本社を置く多国籍製薬企業であり、1668年にドイツで設立されたMerck Groupに由来する。米国とカナダ以外ではMerck Sharp & DohmeまたはMSDとして事業を展開している。世界最大の製薬会社のひとつであり、売上高では世界トップ5に入る。
Merck & Co.は1891年にMerckグループのアメリカ法人として設立された。Merckは医薬品、ワクチン、生物学的製剤、動物用医薬品を開発・製造している。がん免疫療法、抗糖尿病医薬品、HPVおよび水疱瘡ワクチンなど、2020年の売上高を誇る複数のブロックバスター薬物や製品を有している。
2022年のFortune500では71位、2022年のForbesGlobal 2000では87位であり、いずれも2021年の売上に基づいている。2023年のForbes Global 2000における同社の座は73位だった。
Products

同社は医薬品、ワクチン、生物学的療法、アニマルヘルス製品を開発している。2020年には6つのブロックバスター医薬品または製品があり、それぞれの売上高は10億ドルを超えている。キイトルーダ(ペムブロリズマブ)はがん免疫療法に使用されるヒト化抗体で、2020年の売上高は143億ドル。 2020年の売上は13億ドル、2型糖尿病の治療に使われる抗糖尿病薬のジャヌビア(シタグリプチン)は53億ドル、HPVワクチンのガーダシルは39億ドルである。 2020年の売上は39億ドル、水痘の予防に使われる水痘ワクチンのバリバックスは19億ドル、神経筋遮断薬のブリディオン(スガマデクス)は12億ドル、肺炎球菌多糖体ワクチンのニューモバックス23は11億ドルである。同社の他の主要製品には、2020年の売上高が8億5700万ドルであったHIV/AIDSの治療に用いられる抗レトロウイルス薬であるIsentress(ラルテグラビル)、免疫抑制薬として使用されるヒトのモノクローナル抗体であるSimponi(ゴリムマブ)が2020年の売上は7億9700万ドル、成人のBRCA変異進行卵巣がんの維持治療薬のLynparza(オラパリブ)で2020年の売上は7億2500万ドルとなっている。
Merckの主要製品の詳細は以下の通りである:
- ジャヌビア(シタグリプチン)は、2型糖尿病治療薬のジペプチジルペプチダーゼIV阻害薬である。2013年、ジャヌビアは世界で2番目に売れている糖尿病治療薬である。ジャヌビアは一般的にジェネリックの抗糖尿病薬メトホルミンと併用される。ジャヌビアは、他の多くの糖尿病治療薬と異なり、体重増加がほとんどなく、低血糖を伴わないこともあって人気を博している。メルク社は、ジャヌビアとメトホルミンの両方を含む1錠の配合剤もジャヌメットという商品名で販売している。ジャヌビアや他のDPP-IV阻害薬による治療では、膵炎のリスクがわずかに上昇することが懸念されている。
- ゼチーア(エゼチミブ)は、食事性コレステロールの吸収を阻害する作用を持つ高コレステロール血症治療薬である。ゼチーアは、当初は血清コレステロール値への影響に基づいて承認されたが、実際に心血管疾患の発生率に影響を与えるという確証がなかったため、議論の的となっていた。しかし、2014年の米国心臓学会学術集会で発表されたIMPROVE-IT試験の結果では、高リスクの急性冠症候群後の患者に対して、シンバスタチンにゼチアを追加することで、緩やかではあるが統計学的に有意なベネフィットが示された。
- レミケード(一般名:インフリキシマブ)は、サイトカインTNFαを標的とするモノクローナル抗体であり、関節リウマチ、クローン病、強直性脊椎炎、尋常性乾癬などの広範な自己免疫疾患の治療に用いられる。レミケードおよび他のTNFα阻害薬は、メトトレキサートと相加的な治療効果を示し、QOLを改善する。副作用には、感染症や特定の癌のリスク増加が含まれる。Merckは特定の領域で、Janssen Biotechは他の領域でこの薬の権利を有していた。2017年、Merckはレミケードのバイオシミラーであるレンフレクシスを発表した。
- ガーダシル(遺伝子組換えヒト乳頭腫ウイルスワクチン)は、ヒト乳頭腫ウイルス(HPV)の複数の血清型に対するワクチンである。
- イセントレス(ラルテグラビル)は、HIV感染症治療用のヒト免疫不全ウイルスインテグラーゼ阻害薬である。この作用機序を持つ最初の抗HIV薬である。米国保健社会福祉省が推奨するいくつかの第一選択治療レジメンの一つである。
- キイトルーダ(ペムブロリズマブ)はがん治療用の免疫調節薬である。2014年9月4日、米国食品医薬品局(FDA)はペムブロリズマブ(MK-3475)をメラノーマ治療の画期的治療薬として承認した。臨床試験において、ペムブロリズマブは患者の約4分の1で腫瘍の部分的な退縮をもたらし、その多くは6カ月以上の追跡調査でもそれ以上の病状の進行が見られていない。
- インバンツ(エルタペネム)は注射用抗生物質で、Merckは1999年からその権利を所有している。Merckは台湾のSavior Lifetec社と、米国におけるジェネリック医薬品の販売権獲得をめぐって法的紛争を起こしていた。その後、Savior社はジェネリック医薬品であるエルタペネムの販売承認を取得した。
- メクサナは防腐剤入りの薬用パウダーである。
- メクチザン(イベルメクチン)は、伝統的に河川失明症の治療に用いられてきた抗寄生虫薬である。Merckのメクチザン・ドネーション・プログラムの中心的存在で、イエメンやアフリカ諸国などの何百万人もの人々の治療のために、Merckはこの薬の投与量を寄付している。
- モルヌピラビルはCOVID-19を治療するための抗ウイルス薬で、Ridgeback Biotherapeutics社と共同で開発された。
Merck & Co.は、医師、看護師、技術者、獣医師向けの医学参考書のシリーズであるThe Merck Manualsを出版している。これには、世界で最も売れている医学参考書であるMerck Manual of Diagnosis and Therapyが含まれる。2012年に英国王立化学会に買収されるまで、化合物の大要であるThe Merck IndexはMerck & Co.によって出版されていた。
History
Roots and early history

Merck & Co.の起源は、1668年にFriedrich Jacob MerckがDarmstadtの薬局を購入したときにMerck familyによって設立された旧ドイツの親会社Merck Groupに遡る。1827年、Merck Groupはモルヒネの商業的製造によって薬局から製薬会社へと発展した。Merckはアヘンからモルヒネを得る化学的プロセスを完成させ、後にコカインを導入した。
1887年、ドイツ生まれで長年Merck に勤務していたTheodore Weickerが、Merck Groupの代表として渡米した。1891年、WeickerはE.Merckから受け取った20万ドルを元手に、マンハッタン区に本社を置くMerck & Co.を設立した。この年、当時のE.Merckの社長の息子(創業者の孫)で23歳のGeorge MerckがニューヨークでWeickerに加わった。Merck & Co.は1891年から1917年まで、Merck Groupの米国子会社として運営された。
Nationalization
アメリカが第一次世界大戦に参戦した後、ドイツとのつながりがあったため、Merck & Co.は1917年敵国取引法に基づく収用の対象となった。政府はドイツの親会社が所有する株式の80%を差し押さえ、売却した。1919年、George F. Merck(Merck familyのアメリカ支社長)は、Goldman SachsおよびLehman Brothersと共同で、アメリカ政府の競売で350万ドルで会社を買い戻したが、Merck & Co.は元のドイツの親会社とは別会社のままであった。Merck & Co.は、米国とカナダにおける「Merck」の名称の商標権を保有し、それ以外の地域では旧親会社が権利を保有している。Merckの名称を使用する権利は、2016年に両社間で訴訟の対象となった。
1925年、George W. Merckが父George F. Merckの後を継いで社長に就任した。1927年、フィラデルフィアのキニーネ製造会社PowersWeightman-Rosengarten Companyと合併。George Merckが社長に留まり、Frederic Rosengartenが会長となった。1929年、H. K. Mulford CompanyはSharp and Dohmeと合併し、第一次世界大戦における騎兵馬の予防接種やジフテリア抗毒素のMerck & Co.への納入など、ワクチン技術をもたらした。
1943年、ラトガース大学のSelman Waksmanの研究室で、Merckが資金を提供した研究プログラムの中でストレプトマイシンが発見された。それは結核に対する最初の有効な治療薬となった。発見当時、結核感染者を隔離するための療養所は先進国の都市のいたるところにあり、50%が入所後5年以内に死亡していた。Merckとラトガース大学との契約では、ストレプトマイシンの独占権が与えられていたが、Waksmanの要請により、同社は契約を再交渉し、ロイヤリティと引き換えに権利を大学に返還した。大学はその後、抗生物質の安定供給を確保するため、7社と非独占的ライセンスを結んだ。
1950–2000
1950年代、チアジド系利尿薬がMerckの科学者Karl H. Beyer, James M. Sprague, John E. Baer, Frederick C. Novelloによって開発され、1958年にこのクラスの最初の薬剤であるクロロチアジドがデュイリルという商品名で販売されるに至った。クロロチアジドの発見につながる研究は、「数え切れないほどの何千人もの命を救い、何百万人もの高血圧患者の苦しみを和らげる」ことにつながり、1975年にラスカー財団から公衆衛生特別賞を授与された。
1953年、Merck & Co.はフィラデルフィアに本社を置くSharp & Dohme, Inc.と合併し、米国最大の医薬品メーカーとなった。Sharp & Dohme, Inc.は1929年にH. K. Mulford Companyを買収し、天然痘ワクチンをポートフォリオに加えた。統合された会社は、米国とカナダではMerckの商号を維持し、北米以外ではMerck Sharp & Dohme(MSD)となった。
1965年、Merck & Co.はCharles Frosst Ltd.を買収した。モントリオール(1899年設立)を買収し、カナダの子会社および製薬研究施設としてMerck-Frosst Canada, Inc.を設立した。Merckは2010年7月にこの施設を閉鎖したが、2011年にMerck Canadaとして再出発した。
Merckの科学者であったMaurice Hillemanは、1967年に最初のおたふくかぜワクチン、1969年に最初の風疹ワクチン、1971年に最初の3価の麻疹・おたふくかぜ・風疹(MMRワクチン)を開発した。風疹ワクチン開発の余波で、風疹に関連した先天性異常の発生率は、アメリカでは年間10,000人にも上っていたものがゼロになった。Hillemanはまた、最初のB型肝炎ワクチンと、水疱瘡のための最初の水痘ワクチンを開発した。
1970年にニュージャージー州で法人化された。1976年にJohn J. HoranがCEO兼会長に就任し、1985年まで務めた。彼のリーダーシップの下、研究開発への投資は3倍に増加し、Merckは世界最大の製薬会社となった。
1979年、Merckの科学者はロバスタチン(「メバコール」)を開発した。スタチンクラスの最初の薬である。
Merckの科学者であるウィリアム・C・キャンベルと大村智は1981年に獣医学用としてイベルメクチンを開発し、その後1987年から88年にかけてオンコセルカ症に対してメクチザンの名でヒトに使用されるようになり、今日では河川盲目症、リンパ系フィラリア症、疥癬などの寄生虫感染症に対して使用されている。
1982年にはAstraZenecaと合弁会社KBI Inc.を設立した。1980年代後半から1990年代にかけては、研究開発の専門知識を利用するためにDuPontと、市販の消費者向け医薬品を販売するためにJohnson & Johnsonとも合弁会社を設立した。
1985年、Merckはカルバペネムクラスの抗生物質の最初のメンバーであるイミペネムの承認を得た。カルバペネムクラスの抗生物質は、特定の院内感染や多剤耐性感染症の治療ガイドラインにおいて重要な役割を果たしている。同年、P. Roy VagelosがHoranの後任としてCEO兼会長に就任した。
1991年、Merckの子会社Kelcoはサンディエゴ地域の揮発性有機化合物(VOC)排出公害の責任を負った。1996年、Merckは大気汚染に対して180万ドルを支払った。年間680,000 lb (310,000 kg)のスモッグ排出量を削減するために新しい機械が設置された。
1993年11月、Merck & Co.はMedco Containment Servicesを60億ドルで買収した。Merckは10年後にMedcoを分離独立させた。
2001–2019

2002年5月、ビル&メリンダ・ゲイツ財団はMerckの株式を購入。
2002年から2005年にかけて、Merckのオーストラリアの関連会社は出版社エルゼビアに非公開の金額を支払い、医学雑誌「Australasian Journal of Bone and Joint Medicine」を8号発行した。このジャーナルは独立した査読付きジャーナルであるかのような体裁をとり、Merckが費用を支払ったことを一切示していなかったが、実際には他の出版物に掲載されたメルクに有利な論文を再掲載していた。この誤解を招くような出版物は、2009年にバイオックスをめぐる人身傷害訴訟で明らかになった。エルゼビア社のヘルスサイエンス部門のマイケル・ハンセンCEOは、この行為が「容認できない」と認めた。
2005年、CEOのレイモンド・ギルマーティンが退任。Merckのバイオックスの世界的な自主回収に伴い、レイモンド・ギルマーティンが退任。元製造部門社長のRichard ClarkがCEO兼社長に就任。
2009年11月、Merck & Co. はSchering-Ploughとの合併を410億米ドルで完了した。実際にはMerck & Co. がSchering-Ploughを買収したが、この買収は「逆合併」とされ、「旧」Merck & Co. はMerck Sharp & Dohme,に、Schering-Ploughは「Merck & Co., Inc.」に社名変更された。この作戦は、Schering-Ploughのレミケードの販売権を維持するために「チェンジ・オブ・コントロール」を回避しようとするものであった。2011年にJohnson & Johnsonとの和解が成立し、メルクは5億ドルの支払いに同意した。Merck Sharp & Dohmeは現在もMerck & Co.の子会社である。
2011年10月にRichard ClarkがCEO兼社長を退任し、Kenneth FrazierがCEOに就任。
2013年10月、Merckは2015年までにコストを25億ドル削減するため、8,500人を削減すると発表した。2011年と2012年に発表された7,500人の人員削減と合わせると、レイオフは従業員の20%に相当する。
2014年までに、Merckで行われた研究により、63の新分子化合物が米国FDAに承認された。
2014年8月、MerckはIdenix Pharmaceuticalsを38.5億ドルで買収した。
2014年12月、スイスのバイオテクノロジー企業OncoEthix社を最大3億7500万ドルで買収。
2010年から2015年にかけて、同社は約36,450人の雇用を削減した。この間、同社は消費者向け健康事業をBayerに売却し、免疫学、ワクチン、糖尿病、新興市場、特定の抗生物質のような病院で使用される医薬品に焦点を絞った。
2015年1月、MerckはCubist Pharmaceuticalsを買収した。
2015年7月、MerckとAblynxは1年半前に締結した免疫腫瘍学の提携を4年間拡大し、Ablynx社に44億ドルのマイルストーン支払いの可能性を生み出した。同社はまた、キイトルーダと同様の初期段階の治療薬であるcCAM Biotherapeuticsとの提携に9500万ドルを前払いすると発表した。Merckは、免疫チェックポイントCEACAM1をブロックするように設計された抗体であるCM-24を導入する。
1つ目はカルテット・メディシンとその低分子疼痛治療薬、2つ目は細胞内がん標的を研究するComplixとの提携で、この2つの提携はそれぞれ最大5億9500万ドルと2億8000万ドルを生み出す可能性がある。その数日後、同社はIOmet Pharma社を買収すると発表し、IOmet社はMerck & Co.の完全子会社となった。この買収には、IOmet社のインドールアミン-2,3-ジオキシゲナーゼ1(IDO)、トリプトファン2,3-ジオキシゲナーゼ(TDO)、二重作用阻害剤が含まれる。
2016年7月、同社はP2RX3受容体を遮断するために使用される候補薬の開発者であるAfferent Pharmaceuticals社を約10億ドルと最大7億5,000万ドルのマイルストーン支払いで買収した。
2017年、MerckはPARP阻害剤 LynparzaをAstraZenecaから買収した。
2017年4月、Merck Animal Healthはブラジルの動物用医薬品メーカーVallée S.A.を買収した。
2017年9月、レチノイン酸誘導性遺伝子I経路を標的とする候補薬の開発企業であるRigontec社を5億5,400万ドルで買収すると発表した。
2017年10月、オーストラリアのメルボルンの専門家であるDavid Lauに、胃腸(GI)がんにおける第1回Merck-AGITG臨床研究フェローシップを授与した。
2018年6月、Merckはオーストラリアのウイルス性抗がん剤企業であるViralyticsを5億200万豪ドルで買収した。
2018年、Merckはエボラウイルスのザイール株と闘うためのV920と呼ばれる治験用ワクチンについて、画期的治療指定に基づく食品医薬品局への生物製剤承認申請手続きを開始した。
2019年4月、同社はImmune Design社を約3億ドルで買収し、同社の免疫療法プログラムへのアクセスを獲得した。また、Antelliq Groupを24億ドル(負債込みで37億ドル)で買収した。
2019年5月、Merckはフォン・ヒッペル・リンダウ病関連の腎細胞がんに対するHIF-2α阻害剤を開発するPeloton Therapeuticsを最大22億ドルで買収すると発表した。
2019年6月、MerckはTilos Therapeuticsを最大7億7300万ドルで買収すると発表した。
2019年11月、パーキンソン病とアルツハイマー病治療に注力するCalportaを買収した。
2019年12月、Merck Animal HealthはPentairから養殖会社のVakiを買収した。
2020–present
2020年1月、Merckは経口ブルトン型チロシンキナーゼ(BTK)阻害薬であるARQ 531の開発元であるArQule社を27億ドルで買収した。
2020年3月、Merckはニュージャージー・ビジネス・マガジンとニュージャージー・ビジネス・アンド・インダストリー・アソシエーションによる第1回マニュファクチャリング・アワードで表彰された10社のうちの1社に選ばれた。
2020年6月、MerkはCOVID-19やがんを含む感染症に対するワクチンや免疫調整療法に注力するThemis Bioscienceを買収した。
また2020年6月には、Merck Animal Healthは、牛の体温や動きをモニターして病気を早期発見するデータ・分析会社Quantified Ag社を買収した。
2020年8月、Merck Animal HealthはDNAベースの動物トレーサビリティを手掛けるIdentiGEN社を買収した。
2020年9月、MerckはSeattle Geneticsの普通株式10億ドルを取得し、ラディラツズマブ・ベドチンの共同開発に合意した。
Merckは2020年11月、血液腫瘍と固形腫瘍の両方でチロシンキナーゼ様オーファン受容体1(ROR1)を標的とするように設計された抗体薬物複合体であるVLS-101の開発者であるベロスバイオ社を27億5000万ドルで買収すると発表した。VLS-101は現在第I相および第II相臨床試験中である。同社はまた、OncoImmune社を4億2500万ドルで買収し、同社の第3相候補薬であるCD24Fcを獲得すると発表した。CD24Fcは重症で重篤なCOVID-19患者の治療に使用される。
2021年2月、 Merck Animal HealthはPrognostiX Poultryを買収した。
2021年3月、Merckのコーポレート・アフェアーズ責任者Petra Wicklandtが代表としてミュンヘン安全保障会議に出席し、兵器化されたサル痘株の流出に対する公衆衛生上の対応をシミュレートする卓上演習に参加した。
2021年4月、Merckは18億5,000万ドルでPandion Therapeuticsを買収し、自己免疫疾患の治療薬の提供を拡大した。
2021年6月、米国政府はMerckの製品であるモルヌピラビルがCOVID-19の治療薬として規制当局から承認された場合、12億ドルを投じて170万回分を購入することに合意した。2021年10月、同社はこの薬物がCOVID-19の軽度または中等度の患者の入院または死亡のリスクを約50%減少させ、この薬物の緊急使用承認を求めると発表した。
2021年7月、Kenneth Frazierの後任としてRobert M. DavisがCEOに就任し、Kenneth Frazierはエグゼクティブ・チェアマンに就任した。
2021年7月、MerckはOrganon & Co.のコーポレート・スピンオフを完了した。
2021年9月、MerckはAcceleron Pharmaを115億ドルで買収すると発表し、肺高血圧症の治療に使用されるソタテルセプトとルスパテルセプト-aamtを獲得した。
2022年9月には、家畜管理会社のVenceを非公開で買収し、Merck Animal Health社に組み込むと発表した。
2022年12月、Merckは中国のKelun-Biotechとのライセンス契約を発表し、抗体薬物複合体のセットで初期のがんパイプラインを拡大すると発表した。
2023年4月、MerckはPrometheus Biosciences社を108億ドルで買収すると発表した。
2024年1月、同社はHarpoon Therapeuticsを6億8,000万ドルで買収すると発表した。この買収により、Merckはがん治療薬のポートフォリオを拡大する。主なポジションはHPN328で、DLL3(デルタ様リガンド3)発現を伴う進行がん患者、固有の小細胞肺がん(SCLC)、神経内分泌腫瘍、その他いくつかの種を治療するために研究されているT細胞の活性化剤である。Merckのポートフォリオは、特許取得済みのT細胞活性化のためのHarpoon Tri特異的デザイン(TriTAC)を用いたT細胞アトラクションによっても補完される。工学的タンパク質技術によると、腫瘍細胞は患者自身の免疫細胞によって破壊される。ProTriTACプラットフォームはTriTACプラットフォームと連携し、T細胞を誘引するが腫瘍に到達するまで不活性な治療薬を開発する。
Acquisition history
- Merck & Co (1891年に|Merck of Darmstadtの米国子会社として設立され、後に第一次世界大戦中の1917年に米国政府によって国有化された。)
- Merck & Co
- Merck & Co
- H. K. Mulford Company (1929年買収)
- Sharp & Dohme, Inc (1953年買収)
- Charles E. Frosst Ltd (1965年に買収、Merck-Frosst Canada, Incに改組、2011年にMerck Canadaに改組した。)
- Medco Containment Services Inc (1993年買収, 2003年スピンオフ)
- Schering‑Plough
- Schering-Plough (1971年合併)
- Schering Corporation (1851年設立)
- Plough, Inc (1908年設立)
- Organon International
- Alydia Health (2021年買収)
- Intervet
- Diosynth
- Nobilon
- Schering-Plough (1971年合併)
- Merck & Co
- Imperial Blue Corporation
- Idenix Pharmaceuticals (2014年買収)
- Maven Corporation
- Cubist Pharmaceuticals
- Trius Therapeutics (2013年買収)
- Optimer Pharmaceuticals (Acq 2013年買収)
- Cubist Pharmaceuticals
- OncoEthix (2015年買収)
- IOmet Pharma (2016年買収)
- Afferent Pharmaceuticals (2016年買収)
- Merck Animal Health
- Vallée S.A. (2017年買収)
- Vaki (2019年買収)
- Quantified Ag (2020年買収)
- IdentiGEN (2020年買収)
- PrognostiX Poultry Ltd (2021年買収)
- Vence (2022年買収)
- Rigontec (2017年買収)
- Viralytics (2018年買収)
- Antelliq Group (2018年買収)
- Cascade Merger Sub, Inc.
- Immune Design Corp (2019年買収)
- Peloton Therapeutics (2019年買収)
- Tilos Therapeutics (2019年買収)
- Calporta (2019年買収)
- Argon Merger Sub, Inc.
- ArQule, Inc. (2019年買収)
- Themis Bioscience (2020年買収)
- VelosBio (2020年買収)
- OncoImmune (2020年買収)
- Astros Merger Sub, Inc.
- Acceleron Pharma (2021年買収)
- Prometheus Biosciences (2023年買収)
- Caraway Therapeutics (2023年買収)
- Harpoon Therapeutics (ペンディング)
- Merck & Co
Philanthropy
Merck Company Foundation
1957年の設立以来、Merck Company財団は教育機関や非営利団体に4億8,000万ドル以上を含む7億4,000万ドルの寄付を行ってきた。
2012年12月7日、同財団は同性愛者への差別を理由にボーイスカウト・オブ・アメリカへの寄付を終了すると発表した。
Patient assistance programs
Merck & Co. は、医薬品を購入できない人々に援助を提供する最初のアメリカの製薬会社のひとつであり、1950年代にプログラムを開始した。Merckは7つの患者支援プログラムを提供しており、それぞれに特定の資格要件がある。
Hilleman Laboratories
MerckとWellcome trustは、発展途上国で使用される低コストのワクチンの開発に専念する、インドを拠点とする非営利研究組織であるHilleman Laboratoriesに共同出資している。現在のプロジェクトには、コレラ、ロタウイルス、髄膜炎の予防のための低コスト耐熱性ワクチンの開発が含まれる。
Merck for Mothers
Merck for Mothersは、女性が出産中に命を落とすことのない世界を実現するためのMerckのグローバル・イニシアチブである。
Mectizan donation program
1987年、Merckはユニセフと共同で、主にアフリカで河川失明症として知られるオンコセルカ症と闘うため、新薬メクチザンを「必要な人に必要なだけ」寄贈するプログラムを開始した。それまでWHOは、この病気を媒介するクロバエの数を減らすために殺虫剤を使用し、この病気と闘ってきた。しかし、1980年代の研究で、この薬物がこの病気の治療と予防にいかに効果的であるかが示されると、WHOはそれまでの戦略の代わりにこの薬物を使用することに同意した。Merckの関与は、世界中でこの病気に対する成功の重要な要因と考えられており、薬物を必要とするすべての人々に薬物の全量を寄付するという決定は、イエメンやアフリカ諸国などを対象とするメクチザン・ドネーション・プログラムの一部として使用されている。プログラム開始以来、7億人以上が治療を受け、現在もアフリカ、ラテンアメリカ、イエメンで8000万人が治療を受けている。オンコセルカ症による失明は減少しており、ラテンアメリカやアフリカでは、オンコセルカ症が完全になくなった地域もある。
Lawsuits and controversies
Vioxx
1999年、米国食品医薬品局(FDA)は、関節炎の治療薬としてMerckの製品であるバイオックス(一般名ロフェコキシブ)を承認した。Vioxxは酵素シクロオキシゲナーゼ-2の選択的阻害剤として設計された。このような化合物はナプロキセンのような旧来の抗炎症薬物よりも消化管出血が少ないと期待され、毎年2万人の入院と2000人の死亡に関連していた。バイオックスは史上最も処方された薬物のひとつとなった。
その後、Merckや他の企業による研究により、ナプロキセンと比較した場合、バイオックスの使用に関連した心臓発作のリスクの増加が発見された。Merckは2002年、心血管系リスクの可能性を反映し、バイオックスの添付文書を調整した。
2004年9月23日、Merck社は自社が実施していた臨床試験の結果に関する情報を入手し、その中には18ヶ月以上医薬品を使用しているVioxx使用者において心臓発作のリスクが増加するという所見が含まれていた。2004年9月28日、Merck社はFDAにバイオックスの自主的な市場撤退を通知し、9月30日に撤退を公表した。米国医療費調査のデータに基づく1999年から2004年までの分析によると、バイオックスは他の人気のあるCOX-2阻害剤セレブレックスと共に46,783件の心臓発作と関連しており、両方で推定26,603人が死亡した。
約50,000人が、自分または家族がバイオックスの服用後に心臓発作や脳卒中などの医学的問題を起こしたとして、Merck社を提訴した。2007年11月、Merck社は係争中のバイオックス訴訟の大半を解決するため、48億5000万ドルを支払うことに合意した。和解案では、心臓発作、虚血性脳卒中、心臓突然死の発生を確認できる医薬品および薬局の記録、傷害または死亡前60日以内に少なくとも30錠のバイオックスを受領していること、バイオックス関連事象発生後14日以内にバイオックスを使用していることを確認できる書類の提出を請求者に義務付けた。業界アナリストや投資家は、Merckの賠償責任が当初100億ドルから250億ドルに達すると見積もっていたことを考慮すると、この和解はMerckの勝利であると一般に見ていた。2008年半ばの時点で、原告集団が和解を成立させるためにMerck社が要求した基準割合に達していたが、陪審に持ち込まれた20件の訴訟のうち、原告が勝訴したのはわずか3件で、いずれも比較的少額の賠償金だった。
Merck社は、米国外のバイオックス被害者とその家族に対する補償を検討することを拒否している。これは、少なくとも400人の被害者がおり、被害者とその家族に与えられる法的保護が特に弱い英国で特に顕著である。
後の訴訟で公開された社内の電子メールのやりとりによると、Merck社はバイオックスに批判的な医師を「無力化」または「信用失墜」させるリストを持っていた。「彼らを探し出し、彼らが住んでいる場所で破壊する必要があるかもしれない」とある社員は書いている。スタンフォード大学医学部の教授は、Merck社は研究者に対する脅迫と学問の自由の侵害を行っていると述べた。
2008年5月20日、Merck社はバイオックスの販売促進のために欺瞞的なマーケティング戦術を行ったとして、30州と5800万ドルで和解した。2018年まで、Merckの新しいテレビでの疼痛広告はすべて食品医薬品局の審査を受け、要請があれば変更または延期しなければならない。
Fosamax
フォサマック(アレンドロネート)はビスホスホネート製剤であり、閉経後骨粗鬆症の治療および特定の癌における骨格障害の予防に用いられる。米国臨床内分泌学会、米国産科婦人科学会、北米更年期学会、および英国国立骨粗鬆症ガイドライングループは、閉経後骨粗鬆症の第一選択治療としてアレンドロネートおよび他の特定のビスホスホネートを推奨している。ビスホスホネート系薬剤による長期治療は、最初の3〜5年間の治療後、3〜5年間持続する骨折防止効果と骨密度増加効果をもたらす。アレンドロネートは股関節、椎体、手首の骨折リスクを35〜39%減少させる。
2013年12月、Merck社は、同社の骨粗鬆症薬物が顎骨壊死を発症させたと主張する集団訴訟の原告1,200人に対し、総額2,770万ドルを支払うことで合意した。和解に先立ち、Merck社はいわゆるベルウェザー裁判5件中3件で勝訴していた。2014年8月現在、約4000件の訴訟が判決または和解を待っている。
Medicaid overbilling
米国司法省による不正調査は、偽請求法に基づき内部告発者によって提起された2つの別々の訴訟で疑惑が提起された2000年に始まった。彼らは、Merckがメディケイドやその他の医療プログラムに適切なリベートを支払わず、医療提供者に違法な報酬を支払っていたと主張した。2008年2月7日、Merckは、最も人気のある医薬品をメディケイドに日常的に過剰請求していたとして、6億5,000万ドル以上を支払うことで和解に合意した。この和解は最大の医薬品和解の一つであった。連邦政府は3億6,000万ドル以上を受け取り、さらに49州とワシントンDCは2億9,000万ドル以上を受け取った。ある内部告発者は6,800万ドルの報奨金を受け取った。Merck社は、責任や不正行為を認めることなく和解を成立させた。
"Merck" name legal dispute
193カ国のうち191カ国では、Merckの本家本元であるダルムシュタットのMerck Groupが「Merck」の名称の権利を所有している。米国とカナダでは、EMD(Emanuel Merck, Darmstadtの略称)の名で取引されているが、ここでの法的名称はMerck KGaA, Darmstadt, Germanyとなっており、「Merck Group」の代わりに「EMDグループ」の名称が使用されている。米国とカナダではMerck & Co.が商標「Merck」の権利を保有しているが、それ以外の地域ではMSD(Merck, Sharp & Dohmeの略称)の名で取引されており、法律上の名称はここでは「Merck Sharp & Dohme LLC, a subsidiary of Merck & Co. Kenilworth, NJ, USAとある。
2015年、Merck Groupは新しいロゴを採用し、「本物のMerck」のブランドを守るために「より積極的に」取り組むと述べた。ダルムシュタットのMerckは、その旧子会社であるケニルワースのMerck & Co.(MSD)に対し、Merckの名称の侵害使用をめぐって数カ国で訴訟を開始した。2016年、英国の高等法院は、MSDが旧親会社との契約に違反し、英国でメルクの名称を使用する権利があるのはダルムシュタットのMerck社のみであるとの判決を下した。同判決はまた、MSDがグローバルウェブサイトでブランディングの一環として「Merck」を使用しているのは英国に向けたものであり、英国におけるMerckの商標権を侵害しているとした。
この判決を受け、MSDは2016年1月に米国で反訴を開始し、連邦訴訟を提起した。この訴訟では、米国でのブランド展開やソーシャルメディアでの「Merck KGaA」および「MERCK」の使用増加を含む行為を通じて、旧親会社が「商標権を侵害している」と訴えた。さらにMerck & Co.は、Merck Groupを連邦商標の希釈化、不正競争、虚偽広告、欺瞞的取引慣行、契約違反、サイバースクワッティングでも訴えている。この事件は、ある研究科学者が腫瘍学の研究助成金に関してMerck & Co.と連絡を取っていると思い込んでいたところ、実際にはMerck Groupと連絡を取っていたことから発覚した。その結果、Merck & Co.は連邦裁判所に、Merck Groupが米国内の製品またはマーケティング資料に「Merck」を使用することを差し止めるよう求めた。直接の結果として、Merck社はMerck Groupが得た「すべての金銭的利益、利益、利点」と損害額の3倍、さらに懲罰的損害賠償を求めている。
2020年4月、スイスにおけるMerckのMSDに対する訴訟の過程で、スイス連邦最高裁判所は、MSDがグローバルウェブサイトで「Merck」ブランドを使用することは、ジオターゲティングメカニズムがなければ、スイスにおいて「商業的効果」を持つ可能性があり、したがってスイスにおける「Merck」ブランドに対するMerckの権利(もしあれば)を侵害する可能性があるとの判決を下した。
Tax fraud
2007年、Merck社は23億ドルを支払い、1993年から2001年にかけてのオフショア税不正疑惑を解決した。
Propecia
2021年、ロイター通信の調査によって、Merck社のハゲ薬物プロペシアが男性に持続的な性機能障害を引き起こしていることが明らかになった。この薬物は、700件以上の自殺念慮の発生と110件の死亡に関連している。Merck社は1998年から報告を受けていたが、そのリスクをラベルに記載することはなかった。2015年、Merck社はプロペシアに関連した不当死をめぐり、消費者権利の法律事務所ヘーゲンズ・バーマンに訴えられた。
Environmental violations
Merck & Co.はかつて、米国環境保護庁の汚染物質リストに掲載されている動物発がん性物質である塩化メチレンを、製造工程の一部で溶剤として使用していた。その後、Merckの化学者とエンジニアは、環境への悪影響がより少ない化合物に置き換えた。Merckはまた、化学反応をより効率的に調整し、製造を50%迅速化する分散制御システムを導入することで、有害な廃棄物の処分や保管の必要性をなくし、環境を保護するために設備を改良した。生物学的酸素要求量も削減された。2011年、Merckはペンシルベニア州リバーサイドとペンシルベニア州ウェストポイントにある医薬品製造施設における連邦環境法違反の疑惑を解決するため、150万ドルの民事罰を支払った。
Public-private engagement
Conferences
Merckは2020年9月に開催されるバーチャルISPORのカンファレンス・サポーターを務めた
Political lobbying
Merckは、政府機関、大学、製薬会社、ロビー団体を含む健康研究アドボカシー・ネットワークのAcademyHealthの貢献メンバーである。
External links
Media related to Merck & Co. at Wikimedia Commons
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- Business data for Merck & Co.:
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