Translations:Bifidobacterium/14/ja
ビフィズス菌と乳児の腸内環境
ヒトの乳児の腸は、出生までは比較的無菌状態で、周囲の環境や母親から細菌を取り込む。乳児の腸を構成するマイクロバイオータは成人の腸とは異なる。乳児がマイクロバイオームの成人期に達するのは3歳頃で、マイクロバイオームの多様性が高まり、安定し、固形食に切り替わる時期である。母乳で育てられた乳児は、主に粉ミルクで育てられた乳児に比べ、ビフィズス菌に早くからコロニー形成される。ビフィドバクテリウムは乳児の腸内マイクロバイオームで最も一般的な細菌である。乳幼児では遺伝子型の経時的変動が大きく、成人のビフィドバクテリウムに比べて安定性に欠ける。3歳未満の乳幼児はマイクロバイオーム細菌の多様性は低いが、成人と比較すると個体間の多様性は高い。 乳児の腸内細菌叢のビフィズス菌の減少と多様性の増加は、母乳摂取量の減少と固形食摂取量の増加に伴って起こる。哺乳類の母乳にはすべてオリゴ糖が含まれており、自然淘汰が見られる。ヒトの母乳のオリゴ糖は酵素で消化されず、消化管を通過した後、大腸で微生物叢によって分解される。ビフィズス菌種のゲノムB. longum、B. bifidum、B. breveには、ヒトの母乳オリゴ糖の一部を加水分解できる遺伝子が含まれており、母乳栄養の乳児に多く見られる。ヒトによって産生された糖鎖は、ビフィズス菌の餌とエネルギーに変換される。